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本書は、中村元博士さんの、講義を本にまとめたもの。
平易で、オーソドックス。装丁も、シンプルだが美しい。
ブッダの生涯に関する経文を引用しながら、わかりやすくブッダの生涯を描いてくれており、我々初心者にぴったりの内容になっている。
本文の後、中村さんによる説明がついていて、これがまた興味深い。
ブッダは、マガタ語の一種で説法されたと考えられ、後に、パーリ語、ガンダーラ語、サンスクリット語で、記されたと考えられている。
その内、パーリ語は、パーリ語三蔵に使われており、原始仏教に最も近いと考えられている。ところが、このパーリ語三蔵には、大乗仏教の聖典をまったく収録していないのだそうだ。日本人は、明治時代になって、その存在を知ることとなった。
つまり、日本に伝わった仏教は、インドで生まれた仏教から派生したもので、似て非なるものということになる。
4巻からなるお経シリーズの第1巻だが、第2巻は、絶版になっているようだ。文庫本に移行するのかな?