河出さんのキング・クリムゾンのムックの話は、ずいぶん前にしたように思う。
あの本が出た時は、まだクリムゾンの来日が発表になる前だったと思う。
そういった意味では、慧眼だったのだが、ちょっと早すぎた?
クリムゾンから離れていた私には眼から鱗の情報満載だったが、来日公演の予習にはちょっと物足りないところもあった。
そしたら、後出しジャンケンで、シンコーさんが、同じようなムックを出してきて、コンサートの予習用には、シンコーさんの勝ち。
しかも、ディープ。
これまでのコンサートの写真、最新編集版のレポート、種々インタビュー、最新ツアーのセットリスト、各アルバムの詳説、最近のアルバムジャケットを手がけるクルック氏のインタビュー、スラックCD12枚組の視聴レビュー、クリムゾンメンバーの参加したアルバム一覧、これまでの彼らのツアー一覧と、盛りだくさん。
情報の羅列にとどまらず、各々深く掘り下げた内容になっており、ビギナーにも、コアなファンにも応えられる内容になっている。
特に、解体、再結成を繰り返した彼らの音楽の複雑怪奇な変遷を、できるだけ、論理的に解説しようとしているところが、凄い。
当の本人たちがどれだけ意識しているかわからないのだが、唯一の結成時からの生き残りのロバート・フリップには最初からお見通しだったということか?
それは、流石にありえないだろうが。
あのブライアン・ジョーンズが亡くなった直後のストーンズのハイドパークでの追悼コンサートの前座で、主役を食う演奏をした様子、陽水の氷の世界に影響を与えたのでは?という小話も面白い。
私みたいに、あまりクリムゾンを知らないで、今回のコンサートに臨もうとしている人には、是非お勧めしたい一冊。