かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

横尾忠則 創作の秘宝日記

2022年01月21日 | Books

天気は、いいが今日も寒い。
明日のゴルフも、凍ってるかもしれないので、あえなくキャンセル。
しばらく、続きそう。
オミクロンも。



横尾忠則第三弾。
本書も、本人のネットショップでゲット。
この写真、1969年の撮影というが、先見の明?
この写真に因んで、このコロナ禍で、マスクアートを発信し続けたという。



本書もサイン入り。
横尾さんの日記なのだが、本書は、2016年5月から2020年6月をカバー。
前作もあるのだそうが、そちらは、読んだことがない。
とにかく毎日、ちゃんと日記をつけているが、長いものから短いものまで、内容も様々。
ただ、その積み重ねにより、横尾さんの頭の中がちょっとわかる?いや不可能。

まず、日記の中で、夢の話がたくさん出て来て、亡くなった人とか、遠くにいる人と、平気で話してしまう。自分が、海外にもどんどん行けてしまう。

おでんがたくさん出てくるのだが、これは、飼い猫のこと?
ジョン・レノンの頭の中の、鏡の中のアリスの世界と似ているかもしれない。
それにしても、これだけ夢を覚えている人は少ないだろうし、またこれだけバラエティに富んだ夢を見る人もそう多くないだろう。
普通、夢は、パターン化するもののような気がするが。

一方、興味深いのは、その幅広い交友関係。
面白い人には、面白い人が、勝手に寄ってくるものらしい。
山田監督の訴訟騒ぎの話も載っている。

そして、病気の話。
お年だからしょうがないのだが、しょっちゅう重病にかかって入院したりしている。
そういえば、本人の話を直接聞けるはずだった唯一のチャンスも、両足の捻挫とかで、ビデオ放映に変わってしまった(ヨーコさんのイベント)。
難聴でほとんど人の話は聞こえていないらしい。
目もお悪いし。
それで、よくこれだけの仕事をこなされているものだ。

ほとんどスポーツはやらないようで、見るのも、野球、マラソン程度。
これでは、病気がちになるのもやむないか。

正直、極めて特殊な本なので、万人向けというわけではないが、アートに興味のある方に、お勧めできる。

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横尾忠則 学芸員・危機一髪

2022年01月20日 | Culture・Arts

寒い日が続いている。



横尾忠則本、第二弾。
本書は、神戸にある横尾忠則現代美術館で昨年開催された展覧会の図録。
なぜ、このタイトルになっているかというと、本館所蔵の作品が、かなりGENKYO展などに、貸し出されていて、展示物をその残り!から探さなくてはならない展覧会だったからだそうだ。

本館は、学芸員が3人いて、それぞれが年間1つ、企画するのだという。
それぞれの、コメントも載せてある。
3人の横尾さん評は、やはり、マニアックとか、偏執狂ということで、衆人の意見と一致している。

会場風景の写真も掲載されているが、ひじょうに綺麗に展示してある。



こちらも、横尾さんのサイン付。



そういうことで、展示作品は、GENKYO展と被らないのだが、これはこれで、ユニークな作品満載。
それぞれに学芸員のコメントが付いており、これが、またまた面白い。
絵の謎に挑戦するのだが、砕け散っている?

これは、落下するビートルズという絵だが、何故4人が、魚を持っているのか。
滝を背景にしているので、滝つぼで捕まえたのか。

アーカイブルームに古いTシャツを額装したものがあり、調べたら、何と、ジョン・レノンからのプレゼントだったという。
そして、ビートルズ関連記事も大量に発見。
滝の絵葉書を13,000枚収集したことも!

左の小さな絵は、川崎市市民ミュージアムで開催された横尾忠則肖像図鑑展のポスターだそうだが、この縞模様は、アビーロードかと確認のところ、それは気づかなかったとの回答。
まったくとぼけたおじんだ。

作風も、題材も、変幻自在。
それぞれの絵を解釈するのも、学決・@一髪だったと思う。
会期中に、急遽GENKYO展へ貸出が発生したケースもあったという。
さぞスリリングなことだったと思うが、見たことがある絵が1枚もなく、かつそれが、ユニークで、興味深い物ばかりで、横尾さんの奥深さを、改めて、思い知った。

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アジアの聖地

2022年01月19日 | Culture・Arts


今日は、新聞で見つけた、半蔵門ミュージアムで開催されている、"アジアの聖地"写真展に行って来た。

井津建郎さんという写真家の展覧会。
井津建郎さんという方、全然知らなかったのだが、ずっとニューヨーク在住で、昨年、金沢に拠点を移されたということ。
なかなかすごい経歴なのだが、1979年にギザを訪れて以来、聖地巡りをされているそうで、世界各国を回られている。
私も、2001年にカンボジアを訪れて以来、アジアの聖地巡りをしているので、似たようなものだが、もちろん、プロだから、その規模は違う。

ただ、かなり訪れたことのあるところの写真も多かったので、親近感のある写真展ではあった。

写真の技法は、プラチナ・プリントという古い技法で、グレイのグラデーションが、今の写真に比べて、より深いのだという。
もっとすごいのは、フィルム自体の大きさが、35㎝×50cmとのことで、実物大に、感光紙に定着されたものが、展示されている。
カメラを持ち歩くだけで、重労働だ。
今は、その感光紙は、ないそうで、全て手作り。
そこまでやるか?

もちろん、ベストショットを撮るために、同じ場所で、ひたすらシャッターチャンスを待つのだろう。
訪れて、ぱちぱち写真を撮って、また次の場所に移動する私とは、雲泥の差だ。



この地図が今回展示されている写真の撮影地だが、全部で36カ所の内、私が行ったことがあるのが19カ所。
アジアに限れば、まぁまぁ健闘している。
どんな場所かは、my homepageにアクセスいただければと思うが、そこから先は、ますます奥地で行きづらいところ。
ただ、頑張れば、行けないこともない所でもある。

1990年代の写真が多く、アジアが脚光を浴びる前の、素朴さも感じられる。

展覧会を見た後、ミュージアム内のシアターで、真如苑が競り落としたかの有名な大日如来坐像についての、20分弱の映画を見たが、なかなかの出来で、これもよかった。
他にも見たい映画があったのだが、時間の関係で割愛。

何といっても、フリーなのがありがたい。
また、興味のある展示会があったら、訪れたい。
場所も、半蔵門駅の真上。
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GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?

2022年01月18日 | Culture・Arts

今日もゴルフ。
意外と寒くなく、楽しくプレイできた。



横尾忠則さんのH/Pで本を買うと、サイン本がいただけるということなので、5冊ほどゲット。
その中で、一番立派なのが本書。
先日まで、東京で展覧会をやっていたが、その図録。
展覧会の方は、行き損ねてしまったが(ただの六本木の肖像画展の方には、行った)。
今も大分に巡回展をやっているが、流石に、そこまでは。



こちらが、いただけるサイン。



サブタイトルが示すように、横尾さんの生まれてから、今までの、歴史をたどるような集大成的な図録だった。
展覧会に行っとけばよかった?

最初のインタビューからして面白い。
横尾さんのキャラがひじょうによく出ている。

まずは幼少期からだが、デザイナーとしての勉強はしたことがなく、絵が好きだったので、地元の新聞社のデザイナーが、社会人のスタート。

作風は、本当にバラエティに富んでいてつかみようがない。
私が、最初に横尾さんを知ったのは、ビートルズのポスターだが、その絵は、写実的だった。
書きなぐったような絵から、ピカソのような抽象的な絵。
グラフィックデザイナーとして一流だったことは、そのポスター群から一目瞭然。
でも一番有名なのは、画家に転じてからの、半分パロディの、アングラポスター群かもしれない。
先日展覧会に行った和田誠さんも出てくる。
そのすべてのジャンル?の絵が載っている。
三島由紀夫、インドへの傾倒、Y字路等、関心事も、極端に揺れ続ける。



最初のニューヨークでの個展は、大好評で、その時、ジョンとヨーコの自宅にも、招待された。

直近の作品まで紹介され、そのクオリティは、増す一方に見える。
すばらしい1冊だった。

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無敵の読解力

2022年01月17日 | Books
やはり今年の冬は、寒い?



本書は、新聞の広告で見つけた。
著者と、題名を見て、即ゲット。
面白かった。

とにかく、今の政治、ジャーナリズムのレベルが、劣化しているのは、常識的な社会人はみな感じているところだと思うが、その中で、頑張っておられる二人が、めった切り。
痛快だし、まさにそうなのかなと思う。
今は、亡き立花さんが加われば、最強?
もちろん、二人を批判する人達もいるし、それもわかるのだが、バックにある知識で、二人に勝てる人は、そういないだろう。
特に、佐藤氏は、ほとんどおかしい?

章立てが、現代の課題に見事にマッチ。
人新世、米中対立、やめられなかった東京オリンピック、リーダーの愛読書、日本人論の名著。
興味のあるトピックスばかりだ。
古典は、長く読み継がれてきた本で、それだけの価値を、時代時代の人々が、認めて来たもの。
残念ながら、私は、あまり読んでこなかったが、このお二人は、しっかり読むべき本を読み、その上で、議論を展開される。
特に、マルクス主義関連、マキャベリズム関連の議論が、面白いし、知らないことが多かった。

人新世については、やや議論が表面的になっているのではないか?と。
流行っぽくなっていて、本質的な議論がさらに必要と。

米中対立は、中国が、習近平が、トウショウヘイを(文字化けするのでカタカナ)の敷いた路線を逸脱したところから、始まっている(領土問題、少数民族問題)。
ただ、中国がこれだけ大きな存在になっている中、正面から衝突しても、お互い落としどころがなくなってしまう。
その点、オバマは、うまかった。
バイデンは、稚拙。
そういうイメージはなかったのだが、外交のど真ん中にいた二人の発言は重い。

やめられなかった五輪については、既に多くの報道がなされている。
国民のほとんどが反対しているのにも関わらず、開催されたのは、第二次世界大戦末期に似ているという。
トップに行けば行くほど、途中で誤りを認めてロスカットするという判断は下せない。
結局、ほとんどないチャンスを求めて、行きつくとこまで行かせてしまう。

リーダーの愛読書は、結構衝撃だった。
政治家のあまりにもの無知に、驚いている常識人は多いと思うが、この愛読書を見ると、その背景がよくわかる。
とにかく勉強不足だし、政治家になってからも、勉強しようともしない。
それで、日本がよくなると思っているのだろうか。
暗くなってしまう。
選挙人が選んだ政治家に、政治をゆだねるしかない今の制度。
それが、民主主義。
必ずしも民意が正しいとも言えない中(さらにリスクが高い?)、難しい話だが、今の制度下では、議員に頑張ってもらうしかなく。
ジャーナリズムの質的向上による、正しいチェック機能発揮がより重要になっている。

日本人についての名著と言えば、菊と刀が有名だ。
日本人は、島国だったり、海外との交易が長い間限定的だったりして、特殊であることはわかっているが、海外から見ると我々が思う以上に理解不能な面が多かったりする。
私も海外が長かったのでそう感じることも多かったが、しょせん日本人。
欧米人から見ると、もっと根っこから違うことが多いことが、それらの書からわかる。
欧米(アジアはちょっと違う?)と、これからも付き合う必要のある人は、是非読んでおくべき書だろう。

各章毎に、二人の会話に出た本の紹介があるので、興味のあるトピックスがあったら是非読んで欲しい。
目の前で起きる現象には、必ず背景があり、その背景を理解するには、古典の理解も必要だ。
本書は、温故知新を言っているのかもしれない。
ワンフレーズで、わかった気にさせてしまう論語は、あまり評価していないのだが。
現役世代に、是非読んでもらいたい一書。
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