リスペクトコラムです。
当ブログで実は昔から関心が高いテーマが、選手のセカンドキャリア問題。その昔、Jキャリアサポートセンターができて素晴らしいなぁと思った後に、閉鎖になっておいおいと思ってから今までずっと気に留めているテーマです。どういう取り組みがベストなのか、記事下のアーカイブにあるように、もう20年くらいずっと取り上げています。今回の事例も素晴らしい内容です。
【プロスポーツと地域産業をつなぐ最高の恩返し|第二の挑戦 スポーツ選手のセカンドキャリアに迫る vol.2~廣瀨智靖~】
「廣瀨智靖さん(以下、廣瀨)は、幼少期からサッカー選手としてエリート街道を歩み、高校サッカーの名門・前橋育英高校からJリーグ モンテディオ山形に加入しJリーガーに。24歳で徳島ヴォルティスに移籍し、2年後の2015年に26歳の若さで引退しました。」
〔思い描いていたプロの世界と現実との違和感〕
「ーー実際に現役を引退される際にはどのようなことを考えていましたか?
廣瀨)プロの世界に身を置いていると、毎日が競争の世界でストレスを感じることも多いです。その中で、僕の息抜きは“洋服”でした。最初は先輩に連れて行ってもらっていたのですが、だんだんと僕自身がハマってしまい、当時住んでいた山形から仙台まで、週に2回は洋服を見に行くような生活をしていましたね。26歳までサッカーを続けてきたのも“サッカーが好き”という想いがあったからこそです。選手を引退し、次に仕事をするにも『自分がやりたい』と思える好きなことじゃないと仕事にできないなと思ったので、洋服の世界に進もうと決めました。」
〔ゼロから飛び込んだアパレル業界〕
「ーー実際にセカンドキャリアとして株式会社トゥモローランドでの仕事がスタート。はじめは店頭でのスーツの販売だったそうですが、いかがでしたか。
廣瀨)アルバイト経験すらなかったので、本当にすべてが初めての体験でした。知識も経験も技術もない中でいきなり店頭に立ち、お客さんに接しなければならないということは、正直ピッチに立つよりも怖さを感じていました。
本当にたくさんのミスもしました。注文された商品の発送を忘れてしまったり、採寸の際にお客様の脚にピンを刺してしまったり・・・(笑)。
ーーそれは大変ですね(笑)。
廣瀨)そうした難しい状況ではありましたが、『自分でやると決めた以上とことんやり遂げよう』という想いで、人が10年かかることを5年でできるようにと考えながら、人一倍努力していてきましたね。」
〔順調なキャリアを歩む中で感じる違和感とサードキャリア〕
「ーーそして、トゥモローランドから現在のマーマレーション株式会社へ、さらにキャリアを進めていきます。
廣瀨)トゥモローランドでは、入社後はドレスカテゴリー(スーツ部門)の販売員として、接客はもちろん採寸や体型補正(オーダー)を主に学びました。ここでドレスの専門的なことを1から学べたのはとても大きかったです。入社して3年目には新店舗の日本橋髙島屋のオープニングスタッフに選ばれ、のちに店舗マネージャーを経験させていただき、合計約5年在籍しました。アパレル業界では少しずつ力をつけている感覚があったのですが、もともと持っていた『いずれは洋服を通してサッカー界に恩返しをしたい』という考えに対し、『いまの仕事ではなかなかそれが達成できないのではないか』という思いも抱き始めていた矢先に、現在の勤務先であるマーマレーションに誘っていただき、2度目の転職を決めました。
ーーマーマレーションでは、自身のオーダースーツブランド『illbe』も立ち上げています。
廣瀨)会社自体はアパレルグッズの企画を行っている会社で、Jリーグのグッズ制作にも携わっています。アパレルグッズの商談を大宮アルディージャさんと商談しているときに自分の経歴を知っていただいてか『チームスーツをつくることはできませんか』という依頼がありました。会社としてスーツを取り扱うことはそれまでなかったのですが、僕自身のトゥモローランドでの経験も活かせるということで、『illbe』が立ち上がりました。」
〔山形から世界へ!米沢織の可能性〕
「ーー2023シーズンからは、古巣であるモンテディオ山形のフォーマルウェアの制作も『illbe』でされているのですよね。
廣瀨)モンテディオ山形のオフィシャルフォーマルウエアでは、山形県の伝統の織物『米沢織』を使用したジャケットやパンツを作成しました。正直、現役時代には『米沢織』というもの自体知らなかったのですが、関わらせていただく中で和装(着物)やレディースのブラックフォーマルとして使用されることが多く、“メンズ”の“スーツ”や“ジャケット”ではなかなか使用されたことのないものだと知りました。生地屋さんも経験の少ない分野だったこともあり、難しさはありましたが、米沢に何度も足を運びコミュニケーションを重ね、苦労した分納得ができる良いものができたと感じています。」
「ーー素晴らしいですね。『スポーツに恩返しがしたい』と考える人は、プロ選手に限らず多くいらっしゃいますよね。
廣瀨)“恩返し”という言葉は僕も使っていますが、簡単に言葉にできるものでもあると思っています。実際に今サッカー業界と関わらせてもらっていて感じるのは、自分が置かれた環境や目標・夢に向かって頑張っていれば自然と恩返しをしたい業界に関われていくのではないかということです。
恩返しのために頑張るというより、目の前のことを一生懸命やっていれば自然と恩返しにいつか繋がるのではないかということですね。目の前のことを頑張れない人は、そもそも恩返しという話ではないのかなって思いますし、地道にやっていかないと“恩返し”という言葉の意味が薄れていくのではないかと思います。僕も毎日必死に生きています(笑)。
ーー廣瀨さん自身の今後の展望について教えてください。
廣瀨)実際にプロスポーツチームと関わるようになり、プロスポーツチームが持っている影響力の高さを感じています。これから先は、モンテディオ山形の経験を活かし、日本にある素晴らしいものづくりの文化を、影響力のあるスポーツクラブを通して発信していく取り組みができるようにチャレンジを続けていき、『illbe』を世界中の人に着てもらいたいです。」
やはり、どれだけ早く意識するかどうかがキーポイントなのかもしれません。「次に仕事をするにも『自分がやりたい』と思える好きなことじゃないと仕事にできないなと思った」というのがいいですね。トゥモローランドは広く展開されているアパレルメーカーで、その次のマーマレーションは平部社長と他のメンバーも同じくトゥモローランド出身ですね。会社の実績としてはJ2山形の他に、浦安D-Rocksというラグビーチームとも契約している様子。
そして廣瀬さんが立ち上げたオーダーレーベルのオーダースーツブランド「illbe」も素晴らしいですね。顧客にプロアスリートや経営者など、全国各地に顧客を抱えるとか。WEリーグ大宮のチームスーツを手掛けているそうで、まさに廣瀬さんはセカンドキャリア満開という感じですね。これからも頑張って欲しいと思います。いつか、日本代表スーツも手掛けられたらいいですね。夢は大きく!
あと、小ネタになりますが、どこかで耳にしましたが、J1岡山の木村オーナーが、選手のキャリアサポートに関する会社を立ち上げたいと思っているという情報を知りました。ぜひお願いしたいと思いますが、まずはクラブの経営権を地域に少し返して、個人商店状態を改善して欲しいですね。今の個人商店状態(Jクラブで岡山くらい)では、リスクマネージメント的に長い目で見て、経営面で未来が見えてこないので。
選手のセカンドキャリア関連⑫:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20241207
〃 ⑪:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20240224
〃 ⑩:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20240222
〃 ⑨:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20231103
〃 ⑧:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20230906
〃 ⑦:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20230204
〃 ⑥:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20211218
〃 ⑤:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20180317
〃 ④:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20131227
〃 ③:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130618
〃 ②:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20100611
〃 ①:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20050915
#がんばろう石川 #がんばろう能登
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