コラムです。
当ブログでは昨年から、ライターとしてサッカー情報サイト「Shooty」に時々投稿していました。かなり久しぶりになりましたが、編集者に原稿をメールしたのですが、反応が無い。あれっと思ってサイトをよく観察すると、9月から死んでいる・・・ いろいろな方向から編集者にメールを送りましたが、届かず。どうやら事情でフリーズしちゃっているらしい。
フリーズするのはしょうがないとしても、せっかく時間をかけて作り上げたコラム記事がお蔵入りするのは口惜しいので、このブログにそのまま掲載する事にしました。
『地域貢献度1位だから最強であることを証明(J1川崎)』
これでもかというくらいに地域に密着し、選手による地域貢献活動を続け、意外性とインパクトの高いスタジアムイベントでファン・サポーターの心をわしづかみにしているJクラブがある。それは川崎フロンターレ(J1川崎)。つい数年前まで「万年準優勝チーム」「シルバーコレクター」と言われていたが、昨季までの2連覇及び先日のルヴァン杯優勝で、地域貢献活動が多いクラブは実力も高い事を証明した。名実ともに優れたその実力の高さはどこにあるのか。それはファン・サポーターと距離感が近く、地域と同じ目線でホームタウンとともに成長してきたストーリーにある。
by Jリーグ公式HP
J1川崎のホームタウン
J1川崎のホームタウンは川崎市だが、その神奈川県はJクラブのホームタウンが混在している県である。横浜市には横浜Fマリノス(J1)、横浜FC(J2)、Y.S.C.C横浜(J3)と3クラブがあり、マリノスは他に横須賀市と大和市、湘南(J1)が湘南地域から小田原市まで9市11町、相模原(J3)の相模原市がある。
神奈川県には他にもプロ野球やBリーグクラブも割拠しており、とても厳しい環境にあると言える。その中で、川崎市をホームとして、FC東京(J1)との「多摩川クラシコ」ダービーなど、個性的な取り組みを行っている。
by J1川崎公式HP
プロスポーツ不毛の地を蘇生させたクラブ
過去の川崎市では、大洋ホエールズ(現DeNAベイスターズ)が横浜へ移転。ロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)は千葉へ移転。ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)は東京へ移転。東芝サッカー部(現コンサドーレ札幌)は北海道へ移転したが、Jリーグ加盟時に川崎市ではなく北海道を選んだとか。その中で、フロンターレはヴェルディの後にJクラブとして地域に登場してきたが、「またいずれ出て行くんでしょ?」と言われていた声に反して、地域密着路線を強調してクラブ運営を進めてきた。
最初の頃はタイトル戦以外は3千人程度の観客数で推移していたが、 様々なイベントや企画力を駆使して川崎の街の盛り上げに貢献していく。チームの存在を地域に浸透させていきながら、ファン・サポーターの数を増やしていき、後援会の会員数が3万5千人を数えるまでに成長を遂げた。まさに不毛の地から聖地に変貌させた。
ブームにしない社会貢献活動
2011年の東日本大震災の復興支援活動で「支援はブームじゃない。」を合言葉のもと、継続事業として現在まで8年間活動している。「Mind-1ニッポンプロジェクト」を立ち上げ、一過性でなく、被災地の復興の目処が経つまで継続性を持って行うことが重要と考え、中長期的な支援計画として、クラブに携わる全ての存在と力を合わせて継続的に支援活動を実施している。
事例は数多くあるが、「川崎フロンターレ算数ドリル」を寄付したきっかけで被災地である陸前高田市と交流が始まり、2015年に「高田フロンターレスマイルシップ」友好協定を締結。被災地訪問等の応援イベントが中心だったが、今年は地域の課題解決を目的に「ふろん田プロジェクト」を実施している。
そして今年、今度は今回の台風19号で地元川崎市が被災してしまった。発生したばかりなので、まだ具体的な動きは見えてこないが、更にパワーアップした活動が予想される。
by J1川崎公式HP
地域に優しく寄り添う地域貢献活動
J1川崎の数多くある地域貢献活動の中で最も有名なのが「川崎フロンターレ算数ドリル」。アーセナルが地元の教科書に協力しているのを参考に、クラブが企画・制作した小学校6年生用の算数問題集で、サッカーに関連した問題が掲載されている。今年は川崎市内公立小学校114校の全小学6年生及び、特別支援学校3校に配布されている。
それに終わらず、「算数ドリル実践学習」を実施している。選手が市内の配布校を訪れて、児童達と一緒に体を動かしながら問題を解いていく「実践授業」であり、6回目を数える。
数多くの地域貢献活動を実施しているが、青いサンタクロースに扮した選手達が市内病院の小児病棟訪問する「ブルーサンタ」が有名であり、クラブ創立時より続けている。
他にも川崎浴場組合連合会とコラボし、川崎市内の銭湯で展開してきた「いっしょにおフロんた~れ」では、NHKのオフロスキーや漫画「テルマエ・ロマエ」とのコラボ企画で、銭湯業界の活性化に貢献している。産業界への貢献としては、試合会場内で開催し、川崎市の「ものづくり」の魅力を発信する「川崎ものづくりフェア」が挙げられる。
選手会主催による多摩川の清掃活動「多摩川エコラシコ」の他に、今年は共生社会めざし発達障害の子ども達に観戦機会を提供する「センサリールーム」の設置や、雇用機会の創出を障害者や引きこもりの人たちに就労体験の場の提供など数えきれない。
by J1川崎公式HP
J1で群を抜くイベント力
企画力、実行力では他に追従するクラブは見当たらない。地域に根付いた「ぶっ飛んでいる」プロモーション活動。スタジアム外のイベント広場「川崎フロンパーク」と、スタジアム内で行うイベントがある。
その「ぶっ飛んだ」企画としては、陸上トラックでの「フォーミュラ・ニッポンのデモンストレーション走行」、南極の国立極地研究所とコラボした「難局物語」、国際宇宙ステーションを衛星回線で結び、選手や川崎市内の小学生が、宇宙飛行士との生交信企画「宇宙強大2DAYS」がまず挙げられる。いずれもJリーグ史上初だが、他にもピッチ真横にテントを設営して一泊二日で天体観測を行う「天の川クラシコ」がある。
「川崎フロンパーク」も多くの人気イベントがあるが、何と言っても川崎市にある大相撲「春日山部屋」との連携事業「イッツアスモウワールド」が人気が高く、そのちゃんこ料理がそのままスタジアムグルメで人気を博している。
by 全日本スーパーフォーミュラ選手権公式サイト
その仕掛け人は天野プロモーション部長
地域・社会貢献活動やイベント企画を通して、J1川崎の数々の地域密着を進めてきた功労者は、天野春果プロモーション部元部長。天野氏はその高い手腕が評価されて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に現在出向中である。実は2001年にも日韓W杯運営で出向しており、その評価は高い。
天野氏は「スポーツは強さも大事だけど、愛されることがもっと重要。地元の思いを汲んでこそ生きる」と口にしており、五輪を来年に控えた東京都内において、「東京2020教育プログラム」の中で、「東京2020算数ドリル」の配布及び「実践学習会」が実施されている。
by 天野春果公式ツイッター
Jリーグ百年構想を具現化するスポーツ文化の先進地
同じ川崎市内にXリーグの富士通フロンティアーズの本拠地になっている富士通スタジアム川崎(旧川崎球場)があるが、2014年にJ1川崎が指定管理者となっており、クラブが支援している事もあり、サッカー以外のスポーツも盛んに行われている。アメフト中心だが、ラクロスやグラウンドゴルフなど幅広く利用されており、特にアンプティサッカーは、2014年に日本選手権が開催されている。
by J1川崎公式HP
SNSを中心にICTの最大限の活用
親会社が富士通という事もあり、公式サイトや公式SNSはかなり充実している。毎日更新している「フロンターレ日記」はクラブに関わるあらゆる情報をわかりやすく発信している。
また、3大公式SNSを、各ユーザーの年代や性別といった利用層が違うという考えのもと、あらゆる媒体を使って、それぞれに沿った内容を発信している。特に「川崎フロンターレ スタッフ」ツイッターでは、アウェーツアーでの出発から帰着までの実況、現地応援サポからの現地グルメ情報を発信し、サポーターから喜ばれている。また、携帯サイト「モバフロ」では限定サービスが充実しており、特に選手ブログが人気で、現在18人の選手等が情報発信している。
by J1川崎公式HP
Jリーグ№1のサポートショップ
日本一の加盟店数を誇るフロンターレシティ。「設立間もない苦しい時代に、クラブを支えてくれたのは地元商店の皆様。そこから生まれたのが地域店舗の皆様から年会費をもらい、クラブ応援店舗に加盟してもらうサポートショップ」。加盟店数は約750店舗(2016年実績)でJクラブ№1の加盟店舗数を誇る。ツイッターのハッシュタグで「#サポショ」での店舗・商品情報も発信されている。
川崎大師の必勝祈願の後に毎年、選手が総出で市内各商店街を訪問する「商店街挨拶回り」を実施し、地元商店街との絆を強めている。
by フロンタウンさぎぬま公式HP
大きな武田信平前会長の存在
武田氏が社長になったのはチームがJ1からJ2に降格した2001年。元はサッカー選手で、選手として富士通に入社したが、2年目に引退後はしばらくサッカーから離れて社業に就いて現場管理職を歴任していた。社長就任当時はチームの認知度が低く、興味を持たれていなかったため、地域の人に愛されないとファンは応援に来ないと痛感させられたとか。すぐに、それまで富士通の100%子会社から地元行政と他社からの出資を募り、親会社名を抜いた運営会社名に変更。個人の株主ではJ1札幌を手本として、個人持ち株会を発足。
挨拶回りに行くと「せっかく応援していたのに後ろ足で砂をかけるようにヴェルディは川崎を出て行った。お前らも同じだろ」と白い目で見られたので、ヴェルディを反面教師にしたところはあると述べている。
地域密着とチーム強化はクラブにとってクルマの両輪。川崎という市を活性化することも非常に重要なミッション。われわれが町の象徴になるくらいの意気込みであり、勝っても負けても切っても切れない関係に持ち込むしかないと意気込んでいる。
現在は特別顧問職だが、親企業と地域の橋渡しを貫き、ひたすら地域に根差す取り組みを続けてきた武田元会長の功績が大きい。現在日本アンプティサッカー協会理事長として活躍している。
by J1川崎公式HP
今後の期待
Jリーグ百年構想での理想的なJクラブ像を追求するその姿に、信奉しているクラブも多く、J3福島やJFL奈良とはクラブ間で提携している。また、サポーターとも良好な関係で、退団選手送別会をサポーター主催で開催している。そういった中、昨季までJ1で連覇を達成し、今季はクラブ史上初のルヴァン杯優勝を成し遂げており、まさに黄金時代が続いている。
災害復興を継続事業として長年実施し、地域・社会貢献活動を行う地域密着のクラブ運営だから強くなれる。そんな姿を具現化したJ1川崎、全国のJクラブの模範クラブとしてこれからも頑張って欲しい。
という感じで、サッカーサイトがフリーズしてしまい、編集者が音信不通というのも困ったものです。またいつの日か再開してもらえたらと思いますが、しんどいのかな。編集者自体のSNSは発見できたのですが、メッセージ類がすべてクローズされている状態。
まぁ個人的には時間がかかりましたが、一つのテーマでコンパクトにまとめる事ができて良かったです。このシリーズは今後も書きたかったのですが、とりあえずは中断ですか。また他で、ライターを募集しているサッカーサイトを探してみようかな。読者の方でいい情報があったら教えてください。当ブログへのメールは左コンテンツのプロフィール欄にありますので。
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J1川崎関連:87|86|85|84|83|82|81|80|79|78|77|76|75|74|73|72|71|70|69|68|67|66|65|64|63|62|61|60|59|58|57|56|55|54|53|52|51|50|49|48|47|46|45|44|43|42|41|40|39|38|37|36|35|34|33|32|31|30|29|28|27|26|25|24|23|22|21|⑳|⑲|⑱|⑰|⑯|⑮|⑭|⑬|⑫|⑪|⑩|⑨|⑧|⑦|⑥|⑤|④|③|②|①