リスペクト(事例紹介)コラムです。
今日はちょっと空気の違う記事です。先日、フットボールチャンネルに興味を引くタイトルの記事を見つけました。某黄色いチームの名前が出ていましたが、「戦犯」って・・・ 見ると黄金時代を作った小見元GMのインタビュー記事でした。実は2014年の記事ですが、今読んでも説得力のある記事です。読んでみましょう、以下抜粋して紹介。
【Jリーグは代理人になめられている――。元敏腕GMが断言。「ブラジル人高騰の戦犯は柏レイソル」:フットボールチャンネル】
チームの浮沈は、強化部がカギを握る。強化部はクラブの予算をどのように使い、どのようにチーム力アップを図っているのか。J1柏強化本部の元統括ダイレクターだった小見幸隆氏のコメント。
〔半額だったレアンドロ・ドミンゲス〕
――補強で言えば、2010年には現在も10番を背負う司令塔レアンドロ・ドミンゲスを獲得。
「候補選手のDVDが7、8枚ほど届いて、確か3枚目がレアンドロ。見終えた瞬間に『残りはチェックしなくていいか』と強化部の中でジョークが出るほど、際立って上手かった。同じブラジル人だからといって、ネルシーニョ監督(当時)が知っているわけでもない。自分がすぐにブラジルに渡ったが、ここで重要なのが最初の窓口を間違えない事。ターゲット選手の代理人に直で接触してしまうと、平気で値段をつり上げてくる」
――日本は足元を見られていると。
「日本を含めたアジア全体が、ブラジルの代理人からなめられている。今のクラブでどのくらいもらっているのか、前のクラブからどのように移籍してきたのか、といったことを別ルートから調べた上で交渉しないと最終的に損をする。信頼の置ける日本人の代理人に依頼すれば、まずそうした調査から入る。その意味で、クラブとしては代理人を味方につけておく必要がある。今年(2014年)もいくつかのJクラブが引っ掛かっています」
――'11年にMVPを獲得したレアンドロは、決して高くなかったと。
「基本的に外国人選手は3人プラス1人のセット。以前の強化部がビッグネームの選手にお金をかけすぎて、親会社もそれが当然だと思っていたが、自分としては、そこまでお金をかけなくてもいい選手を獲得できることを証明したかった。結局、レアンドロを獲得したときは、高い時と比べて半額くらいの金額に収められた。親会社もようやく、それまで代理人が金額を上乗せしていたことに気がついた。東京Vより20年以上も遅れて」
〔実際に対日本向けの値段が一時的に跳ね上がった〕
――ヴェルディの黄金時代は、'93年7月に加入した元ブラジル代表MFビスマルクを抜きには語れない。
「あの時は、強化担当だった自分がビスマルクに張り付きました。それでも、彼を呼ぶにしても億単位のお金など必要なし。すでにヴェルディでプレーしていて、'94年にMVPを獲得するペレイラにしても然り。その意味で、あの頃は多摩丘陵から柏方面を睨みつけては、よく文句を言っていた(笑)」
――なぜ柏方面を。
「外国人選手、特にブラジル人の値段を高騰させた戦犯が、実は柏だった。'93年にカレカ、'95年にミューレルとそうそうたる選手を獲得したが、みんな代理人に金額をつり上げられていた。そんなに高い金を支払っていたら、今にブラジル人選手を呼べなくなるぞと。実際に対日本向けの値段が一時的に跳ね上がり、鹿島などもかなりの金額を使っていた」
――強化のための予算の中で、割合として大きいのはどういった費用になるのか。
「選手の年棒(人件費)と移籍金が占める割合が大きい。強化費としてはキャンプ費用等も計上。人件費は大枠が決まっていて、柏で自分が強化を担当した間はほとんど増減がなかった。親会社とクラブの関係は意外と疎遠で、親会社が毎年一定額を支払うだけでノータッチ。あとは自分たちで稼げというスタンス。ヴェルディの時は、日本テレビに頭を下げに行ったこともあった」
〔ジュビロの降格は大卒選手が多いのが原因か〕
――その中で、資金力とチームの成績はある程度比例すると。
「いい選手を取れば、当然お金がかかる。それよりもクラブへの忠誠心や感謝といったものが、1年間を通して間接的に勝負へ跳ね返ってくる。昨年(2013年)の磐田を例に挙げれば、あれだけお金があって、あれだけの選手がいれば、普通はJ2に降格しない。自分の歪んだ見方かもしれないが、磐田は大卒選手を熱心に獲得しており、その結果が、チームへの愛着心の薄さを招いたのかなと思っている。大卒選手には何の罪もないが、そういった微妙な点が勝負に影響するのがサッカー。読売クラブやヴェルディが強かった頃は、みんなチームを愛していて、伝統ある緑のユニホームに恥を欠かせたくないという思いを持ってプレーしていた。苦境から脱出しようとする時、人間は自身に心身で無理を強いるけど、昨年のジュビロはその無理が全員の間でちょっとずつ足りなかった」
――予算が少ないチームでも、魅力を持たせることは逆に可能だと。
「J1鳥栖には非常に興味がある。選手たちのモチベーションの高さ、選手個々がプレーにガッツを込めている点を含めて、心身への無理のきかせ方には正直、感動させられるものがある。何が彼らにそうさせているのか。選手が来たがるクラブとは何か、ということをもっと模索しなければならない」
という内容でした。記事の最後に「全文は『サッカー批評issue67』にて、お楽しみ下さい」とありました。一見一昔前の情報ですが、そうでもないでしょう。Jリーグは今季からクラブへの分配金を増やし、有名外国人選手をどんどん獲得して、観客を増やしてくださいというスタンス。まだ、正式には発表になっていませんが、神戸さんでポドルスキー選手の名前が出ています。おっと、同じネル監督ですね。
思えば、2回目のJ2降格が決まったシーズンに、小見さんがヴェルディさんの時のコネクションを使って、ネル監督を招聘してから柏の黄金時代はスタートしました。まさに功労者です。あの頃は楽しかったですね。小見さんはその後、2012年に退任され、その後はエルゴラッソ等のサッカー専門誌でのコラム執筆など、サッカー評論家として活動されています。
この記事で一つ気になったのが、「ジュビロの降格は大卒選手が多いのが原因か」というくだり。J1磐田は大卒選手を熱心に獲得しており、その結果が、チームへの愛着心の薄さを招いたとあります。ふと、そういえばJ2岡山も大卒選手ばかり。しかも有名大学が多い。小見さんの言葉に照らし合わせると、チーム全員で無理が足らず、そのうちチーム自体が下に降下していくという論調。当ブログの周りでも、岡山はどちらかといえば学歴が高い大卒の選手層という声を聞きます。この小見さんの見方はどうなんでしょうか。競技スポーツはハングリー精神が不可欠ですが、高学歴ばかりの大卒選手を揃えば、今後どういう作用が働いていくのかなと、小見さんの記事でちょっと思いました。
フットボールチャンネル該当記事: https://www.footballchannel.jp/2014/03/13/post30440/
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