リスペクトコラムです。
今季現在8位で、地元岡山よりもずいぶん上位の水戸さん。昨季は9位、一昨季は7位で最近は一桁順位を続けています。4月の対戦時も1-2で敗れている相手で、最近は強いチームというイメージを持っています。
そんな水戸さんの社長と言えば長く沼田社長というイメージがあり、当ブログもJ2ができたその昔から見てきました。昔は湘南さんの真壁会長の迷コンビから始まり、東日本大震災の時の被災地クラブでの活躍っぷり。でもその沼田社長も12年務めた昨季に退任され、代わりに小島新社長が就任されました。それ以降、小島社長の露出もそれほどなく、そのまま今まで来ていました。そんな時にプレジデント誌に小島社長のインタビューが載っていました。
【「タダ券で来る観客は、本当のファンではない」客席の空気を変えたJ2クラブの決断】(後編)
「J2水戸ホーリーホックが経営改革を進めている。昨年7月、社長となった小島耕氏がまず手を付けたのは「無料チケットの配布をやめること」。」
「「応援」とは「ホーリーホックにお金を使うこと」だと理解してもらわなければいけません。だから真っ先に戦略的でない無料招待チケットの配布をやめました。」
「(入場者数は)実際に減りました。そのかわりスタジアムの雰囲気が変わりました。」
「現在、有料入場者の割合が平均で8割を超すようになり、お客さんが試合に集中し、選手のプレーに注目して勝敗に一喜一憂するようになりました。
私たちは、お客さんにクラブにお金を使ってもらって、ホーリーホックを支える当事者になってほしいと考えているんです。私の着任後、まず力を入れたのがスポンサー企業以外にも5万円、10万円、20万円を出資してもらう「サポートカンパニー」という仕組みです。出資金の多寡にかかわらず、主体的に応援してもらう仕組みをつくったのです。」
「本気でJ1昇格を目指すなら、クラブ経営の体質やフロントの意識だけでなく、ファンサポーター、地域の方の意識も変えていく必要があります。
■コロナ禍では身の丈に合った経営を続けることが重要
もしもスタジアムや喫茶店で、私を見かけたらどんどん要望を伝えてほしい。ホームページやSNSからでもかまいません。地元の思いをすくい上げ、クラブを成長させる。そして、サポーターとクラブが一緒になって、ホームタウンに新しい原風景をつくり出す。それが、責任企業を持たない市民クラブのあり方だと考えています。」
「3年前から取り組みはじめたのが「Make Value Project」と名付けた独自の選手教育プログラムです。週1回、外部から講師を招き、「スポーツビジネスと地方創生」や「効果的なトレーニングと遺伝子の関係」「医療とサッカーの共通点」「社会人として必要な基礎知識」など、多様なテーマで講義を続けています。ときには私も登壇して講義を行います。」
「多様な選手が結束するためにも、なんのためにプレーしているのか、なぜプロサッカー選手になったか、誰のおかげでサッカーを続けられているのか、改めて考える必要があります。そのきっかけとなる場が「Make Value Project」なんです。」
「プロジェクトにはフロントのスタッフも参加します。小さなクラブだからこそ、選手とフロントの距離も近い。選手たちは、フロントのスタッフと接するなかで、自分たちを支えてくれる裏方の存在を実感し、市民クラブのなかでの自分の役割を自覚する選手もいます。」
「われわれの取り組みが他チームの選手たちにも広まっているのでしょう。他クラブのオファーよりも劣る条件でも、ホーリーホックを選んでくれる選手が増えています。あるいは、出番の少ない若手に対して「ホーリーホックで修行してこい」とレンタルで送り出してくれるJ1クラブも出てきました。」
「責任企業を持たない市民クラブでも、J1優勝が可能だと証明したいんです。そして、ファンサポーター、ホームタウンの方には、そのプロセスを一緒に追いかけて、ホーリーホックの歴史やストーリーを共有してほしい。」
引用:PRESIDENT Online
長いコラムでした。前編は社長就任編、後編は経営者編でした。後編をメインに紹介し、前編は抜粋記事にしてみました。後編ですが、タダ券を配らない姿勢は、地元岡山の木村前社長と同じでしたね。ただ、岡山と違うなと思ったのが、「私を見かけたらどんどん要望を伝えてほしい。ホームページやSNSからでもかまいません」という部分。いわゆる社長直行ポストのような存在ですが、それくらい社長とファン・サポーターの距離感が近いという事。いくら声をかけて欲しいとインタビュー記事で答えていても、試合会場にめったに見かけない、社長のSNSも無い状況では結局は遠い存在という事かな。
あと、水戸で修行してこいという事でJ1から入団してくる選手が多いというのもいいですね。確かにそんなイメージ持っていました。水戸さんのようにJ1から次々と若手有望選手がレンタルで移籍してくるところもあれば、なぜかJ1から寄り付かないところもあるのかもしれません。地元岡山もかつては五輪代表級の選手が何人も来ていましたが、ここ数年はそういう選手は見なくなり、順位もそれに合わせて下降化している印象。
【元サッカーライターが「J2クラブの社長」として経営再建に挑んだ結果 水戸ホーリーホックの大改革の裏側】(前編)
・2002年日韓W杯の時に本格的にサッカーを仕事にするしかないなと思った。W杯後に『エル・ゴラッソ』の創刊にたずさわり、サッカーライターとして活躍。その後、「映像制作会社を立ち上げるから手伝ってくれないか」と業界の仲間から声をかけられた。
・主にBSやCSのスポーツ番組制作を手がける会社です。私は番組プロデューサーという立場で『Jリーグラボ』や『Jリーグマッチデーハイライト』などの制作にかかわった。
・2018年12月、J2水戸の西村GMとの交渉の場に同席した時に突然「クラブの経営改革を進めていて、人材を探している。ぜひ社外取締役という立場で参画して欲しい」と言われる。
・2019年4月に非常勤の取締役となり、当初は苦労しました。多くの社員は「東京からなにしにきたんだ」と反発して相手にしてくれない。
・信頼されるには、目に見える実績を上げるしかない。同級生の地元企業を中心にのスポンサーが徐々に増えるにつれ、社員たちの態度は変わりました。その後、常勤取締役、副社長を経て、コロナ禍の2020年7月に社長に就任
・トップチームを強化する以前の問題として、まずはきちんとした企業体として成立させる必要性を感じました。ひとつは社員の待遇の悪さです。ホーリーホックの給与は茨城県全体の平均より低い。
・クラブ発展のためには、フロントを充実させる必要がある。そう考えて、2019年4月に私が非常勤の取締役に着任してから、スタッフを13名から24名に増やしました。ただし、社員はまだ増やせないので、足りない分は業務委託契約で雇用しました。
・現実的に勝率を上げ、勝ち点を積み重ねるには実績のある選手を獲得し、才能ある若手を育成しなければならない。選手にしてもフロントにしてもアカデミーにしても、いい人材を集めるにはまず売上を伸ばし、経営規模を大きくしていくしかないと思い知りました。
・ホーリーホックは、2020年シーズンは22チーム中、9位。2019年は7位で最後までJ1参入プレーオフを争いました。経営規模を考えると大健闘ですね。J1に昇格したことはありませんが、J3に降格したこともない。
・責任企業を持たない市民クラブ。経営規模はJ2クラブの平均の半分以下。J1の経験があるモンテディオ山形、ヴァンフォーレ甲府も市民クラブです。ホームタウンの人口もほとんど同じです。それにもかかわらず、売り上げはわれわれのほぼ倍です。
・ホーリーホックのホームタウンは、茨城県の県央9市町村で人口は約75万人。しかも県民の給与所得は全国で8位。市民クラブとして発展できるポテンシャルは十分にあると感じています。
引用:PRESIDENT Online
小島社長はあのエルゴラッソ誌の創刊メンバーなんですね。こういうサッカーのメディア系出身の社長も珍しい。メディア人だから、どこのクラブにも詳しい、だから成功事例もよく知っているという訳か。社員の待遇を向上させてフロント全体をレベルアップさせ、クラブ力を高めたのですね。責任企業を持たない地方クラブのお手本のようなクラブ。当ブログでも、茨城県内のスクール戦略で、鹿島さんに攻められていると紹介した事があります。とにかく立地環境的に余りにも強豪クラブが多すぎです。その中で生き抜いてこられたのは尋常ではなかったと思います。市民クラブとして発展できるポテンシャルが十分にあると書いてあり、そのうちにJ1昇格の日も遠くないかもしれません。今の勢いを見ると地元岡山よりも早いかも。個人的にも水戸、茨城県には若い時に仕事で行っていた土地なので、馴染みは大きいです。なので頑張って欲しいですね。小島社長にも今後も注目したいと思います。
J2水戸関連⑭:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20200104
〃 ⑬:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20190831
〃 ⑫:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20180210
〃 ⑪:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20170424
〃 ⑩:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20160828
〃 ⑨:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20141012
〃 ⑧:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140817
〃 ⑦:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130822
〃 ⑥:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120819
〃 ⑤:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20110109
〃 ④:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20101106
〃 ③:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20100415
〃 ②:https//blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20090407
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