CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

ダンシング・ヴァニティ

2009-02-09 22:22:58 | 読書感想文とか読み物レビウー
ダンシング・ヴァニティ  作:筒井康隆

とうとう読んだ、巨匠筒井康隆の作品であります
おそらく最新作だと思うのですが
なんというか、SFの凄い人だとか、
なんか凄い人だとか、全然よくわかってませんでしたが
読んでみた感想としては

なんだこれわ

もう、本当、褒めるとかどうとかというレベルじゃない
すげぇパワーというか、なんだこの小説
まさにバケモノでありました

内容がどうのこうのというのは実にどうでもよい話しで
いや、流行りのなにそれになぞらえると
一人の男の数奇な運命を辿っているお話なんだろうが
もう手法が斬新すぎるというか、この人の本が
全部あの調子なら、私はもう二度と読まないというくらい
凄まじい文体になっておるのが特徴であります

ともかく繰り返しばかり

ほぼ同じ情景を少しずつ崩していくのを三回くらい繰り返して
最後の部分から少し話しを進めて、またそれを三回繰り返して
その繰り返しと前回の繰り返しのあわせた部分を三回繰り返してと
正直、何が書いてあるのか
これまでの小説とはまったく読み方が違うことに喫驚したのであります
酷い、なんて小説なんだ

今までというか、ちょっとミステリだとかサスペンスだとかを
最近読んでいたせいもあって、小説を読むときに
できるかぎり描写されていることを覚えておこうと
そうやった読んでおったのでありますが
この小説は、そういうことをしていると、頭が壊れる
まるでそんなことに意味がない
いや、あるんだろう、むしろ、最近そういう読者が増えてるから
こんな覚えてられるか馬鹿野郎とか
読者が怒る方向にもってってんじゃないかというくらい
繰り返しで奇妙な世界を描き続けるという具合でありました

夢の話しというか、折々触れられる
精神世界というか、精神病とか呼ばれるそれこれを
のぞき見るような描写が多くて
なんか、薬決めてんじゃないかという情景が
いっぱいでてきて辟易というか、ついていけなくなるのでありました
だが、不思議と、もう読まないなんて思うんでなく
ちゃんと最後まで読んでしまい
クライマックスが近づいてくると、それまでと
何も変わらないのに、なんか、終わりに近づいていく感じが
むしろ繰り返しによって、儚さが増しているというか
なんか、

いい話しだった気がする

などと勘違いして終わるのでありました
一人の男の人生がおかしいけども描かれているので
別に自分に照らすことは何もないんだが
一人の男の最後が描かれるってのはいいなぁ
それも、こんな頭おかしい表現でも
その表現の中で精一杯真っ直ぐだったし、いいよなぁとか
前向きに解釈してよろしいなどと感想を抱いたわけだ

なんともしてやられたではないですが
読み終わって、誰かに薦められるかというと
全然お勧めできない内容なのでありますが
ともあれ、不思議空間というか不思議文章を読みたいなら
こちらがステキと思うのでありました

多分、巨匠だから許されるんだろうななんて
思ってしまいます
既に相当のお年を召していると聞いておりますが
そう考えると、この小説からやってくるパワーは
ハンパないです、小説家が全員こうだとしたら
並の人間じゃつとまりませんね