CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】賢者の愛

2015-10-13 20:53:27 | 読書感想文とか読み物レビウー
賢者の愛  作:山田 詠美

久しぶりのエイミーだと読んだのであります
前回読んだのが、ずいぶんと私の知ってるエイミーじゃない、
これはもう、ちょっと違う作家さんだ
なんて心配というか、寂しく思っていましたが
今回は、久しぶりにそうだったんじゃないかと
そう思いたくなるような、懐かしい香りのする
私が知るところの、姉小説でありました
そうだよ、これだよ
エイミーの独壇場だよと
嘆息見舞った読書でありました

そんなわけで、おねーさんが年下の男を薫陶するという
まぁ、夢物語的なそれだったわけですが、
ただのそういう怠惰で、ふしだらな小説なわけでなく、
もう少し怨念めいたというか、
うすら暗い背景をもたせつつ、なんともかんとも
終盤は、ちょっとしたサスペンスめいた感じで、
すとり、終わったという次第でありました

少し年齢設定に無理がというか、
これはどうなんだろうか、私が年齢を重ねたせいだろうかと
思わなくもないのでありますけども、
果たして、本当にエイミーの描くような、
恐ろしくできた女というのが居るものなのか、
それを思って仕方ないのでありました
これは男女間で感想がかわってくるんだろうかと
思ってしまうんだが、
この場合、男のほうは居そうだけど、
女のほうにそういうのが難しくないかと
私なんかは思ってしまったのであります

まぁ、よく考えてみると
男の方もなかなかありえないなと
思えなくもないのですけども、
ペタジーニとかいるしなぁと
考えてしまえば、なんとでもなる

そんな下世話の話はさておき、
薫陶する楽しさ、後ろめたい感触、
このないまぜになった感じが、
個人的に大変心地よくて、あっという間に読み終えたのであります
なんだろうか、全体的にファンタジーよな、
そして、これを読んでようやっと、
エイミーが芥川賞の審査員やるというのも
わかった気がするなんて
偉そうなことも感じてしまうのでありました

いいようのない世界が広がっていて
なかなかどうして、堪能したのであります
万人ウケはしまい