CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】香乱記

2017-12-02 19:59:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
香乱記  作:宮城谷 昌光

秦末期から楚漢戦争にかけて、斉の国を治めた田氏一族、
特にその時代の最後の斉王となった田横を主人公にした小説でした
まったく知らなかったという感じで読んだけども、
多分、過去の宮城谷先生の作品のどれかで
ちろっと出てきたんじゃないかなと思ったりするんだが
聖人といえばいいのか、実に澄み切った王の風情を描いていました

立場というか、この小説では、
項羽、劉邦、韓信といった英雄いずれもが、
狡猾で残忍で、軽薄な人間であると
唾棄すべきというか、まぁくそみそにしているのが
なかなか衝撃的でありまして、
ひょっとして、漢に親を殺されたんじゃないかとか
疑いたくなるような有様で描かれていました
まぁ、実際、漢を建てたあとに要人を殺しまくる劉邦が
いい人なわけがないのも事実だろうと感じるところでありますが
斉の王を主人公としているところもあて、
残忍というか、卑怯極まりない人物というのが
まざまざ描かれていて衝撃的でありました
この小説は、田横の話であるけども、
それを描くことで、項羽と劉邦の悪いところをふんだんに描いたと
そういうものであったという印象を受けたのであります

結構短い期間で、王が建ち滅びと
そんなことを繰り返すように鳴動していた中華が面白くて、
秦という大国の凄さと、その末期の哀れもわかれば、
動乱が続く有様も物凄いもので
いつの世の中も宦官が酷いというのと、
正義とは何かということを考えさせられる、
そういう清潔さを持ったものが滅んでいくという
世の中のあり方が哀しいというお話なんだけども、
根底に最近勉強していた老子があるのもステキというか
中国史を学ぶには、哲学思想として、
論語、老荘あたりは押さえておかないといけないのだなと
改めて思い知らされた次第でありました

面白かったけども、ちょっと覚えていられないんじゃないかと
自分の記憶力の低下を悲しく思いつつも
斉の田氏という一族がいたことだけは
なんとか覚えておきたい、そういう三冊でありました