CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】国宝

2018-11-26 20:48:51 | 読書感想文とか読み物レビウー
国宝  作:吉田 修一

少年が歌舞伎役者となり、やがて、人間国宝へと…、
そんなのがあらすじなんだが、
一人の人間の一生というか、生涯を描いた作品でありました
天才の生き様なので、共感とは異なる感動を覚えるものの
家族や友人、恋人や夢なんていうものと
どんな風に付き合っていたか、
人生に現れる艱難辛苦の数々なんかもあり、
面白く、洒脱な語り口で重いテーマを読まされた
そんな読書となったのであります

出自が極道にある、
ここからのスタートも衝撃でありまして、
ある日、その一家が壊滅するような打撃を受け、
止むに止まれず、役者の家に預けられて、そこで開眼していくのだけども、
その先に、ただただ、ひたすらの苦難の道が伸びていて、
読んでいると、よい時期がさほどに長くないために
重いというか、酷い有様だと思わされつつ
だけども、その中で精一杯に努力もするし、
それなりに腐りもしながら、やがて日の目をと
目指していく様が、応援したくなる感じなのでありました

そうかと思うと、その苦難を知って知らぬふりをしつつ、
売れるからと、世間的に悪役にさせられて、
それを受け入れていきていくことや、
とても大切な二人の親友との付き合いなんかが
またまた大変ドラマチックというか、
友情という青臭いそれが、ずっと生きている様なんかも観られて
感動的なのでありました

最終的に、なんかもやっとしたでもないが、
物語全体を通して、ここで描かれたものはなんだったのか、
そのあたりが読み解けなかったんだけども
歌舞伎の素養がなくても、何か素晴らしい舞があり、所作がありというのが
ありあり伝わる内容で、大変面白く読み終えたのでありました

男の朝ドラという感じの物語だったと
思うのであります