CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】マンチュリアン・リポート

2019-07-17 21:10:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
マンチュリアン・リポート  作:浅田 次郎

蒼穹の昴で出てきた人が何人か、
とか思ってたら、あれも浅田次郎だったかと
思い至りながら読んだのであります
満州で起きた歴史的な事件で、はたして、何が行われていたのか
その真実、事実はなんなのか
解き明かしながら、張作霖という人にクローズアップした物語でありました

恥ずかしながら、盧溝橋事件だとか、柳条湖事件だとか、
そして、張作霖爆殺だとか
そういう単語だけは知っていたので、
なんとなくわかった風で過ごしてきていたけども、
張作霖って、そもそも何者なんだと
それをまったく知らないままであったことに
この小説を読んで初めて気付いたのでありました
何をしているんだ、日本の歴史教育わ(不勉強なだけだ)

この小説を読んだだけで、わかったつもりも
また危険だとは思うものの
張作霖という人が、成り上がりで、日本でいうところの今太閤、
朱元璋だとか、劉邦だとかと並べてもおかしくないくらいの
英雄というべきか、成り上がりであったんだそうで、
その馬賊あがりの気性と、その裏にある綿密さなんかが
わずかな台詞と所作描写だけで
ありあり伝わってくるようで非常に面白かったのであります

また、SFでもないけども、西太后のお召列車である鋼鉄の公爵なる
機関車との会話なんかが、超越的な、形而上のやりとりなんだけど
含蓄に富んでいて、説明的なのに、まるでそうと思わせない
素晴らしい会話劇になっていて、状況や、時代が
凄く伝わってくるのでありました
最小限のお勉強文章があるだけで、あとは、
人情ドラマというか、人間のやりとりだけで物語は進み、
謎を解いていくというていなんだが、
もう、それがどうであるとかは関係がなく、
その時代、その事件のときに生きた人たちの鼓動が聞こえるような
時代を切り取ったように読める小説でありました
すげぇ面白かった

そんなわけで、じっくりと読んで
大変沁みたというか、面白かったとかみ締めたのであります