CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】線は、僕を描く

2020-02-26 22:35:42 | 読書感想文とか読み物レビウー
線は、僕を描く  作:砥上裕將

水墨画をテーマにした
生きるということに肉薄する物語でした

色々ありながら、水墨画を志すことになる主人公を軸にして、
水墨画のあり方と、そこにいたる気持ちや知識というものを
わかりやすく描いていて、凄く丁寧で
静かに面白い小説でした

何がという、大きな事件なんかは、あるようにも思うけども、
それは本当に大きなそれとは、あまり関わりなく、
実際に水墨画に携わる人からすれば、色々あるんだろうけども、
その仙人のような気分、気性というのが
著されていたという、その物語が面白いと思えたのでありました
実際がどうだとかは、とりあえずおいといて面白かった

読み終わって、よかったと感じているのだけども、
描かれていたことは、多方面からもっとあれこれいえる内容だと
思わなくもない、芸術をちょっと高尚化しすぎたきらいががあるなと
感じてしまうところなんだけども、
それは、そういうものだと楽しめると、とてもよい
小説だと感じたのでありました

それなりに、男女のあれこれも交えているのだけども
主人公の孤独という個性をどう昇華するか、
そこに集約されていたようでもあって、
架空の主人公なんだろうけども、彼を救うための物語という
役目というべきか、考えさせられるところは
色々と思うところ、覚えるところがあったように思う

ありていな学生生活も描きつつ、本当に描いていたのは
蘭の姿であり、そこに映る自己の生き方だったと
わかりやすい構図で、さらに、
それを菊という題材で著したかどうか、
そのあたりが、読んでいて、とても楽しかったと思えるのでありました

肩入れの問題とも思えるけども、
バラとボタンが赤々としている姿は、
読んでいて、水墨画を見なくても伝わったように思う
そんな楽しさがあったと、読み終わって感じるのでありました