CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】兄の終い

2020-08-13 21:14:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
兄の終い  作:村井理子

疎遠だった兄がなくなったと突然の連絡を受け取ってから
5日間ですべてを片付けるというお話
小説だと思ってたら、実話なんだそうで、
驚いてしまったのであります
でも、体裁が私小説めいた感じなので
小説として扱いたい

関西で、ほとんど連絡もとることなく過ごしていたというのに
突然に、兄の在所であった福島から連絡があって
物凄い短期間で、すべてを片付けないといけないという
そのあわただしさというか、なんか、壮絶な感じが
死という事象の感情とは違う側面を描いていて
凄い興味深い、面白い読み物でありました

息子が居たようなのだけども、それはまだ幼く、
それゆえか、物凄く汚れた家を片付けるというのが凄まじい苦難だったようで、
親の仇をとるように、どんどんと片付けていく
一種、心というか、何かを殺して、ひたすら片付けるマシーンのように
物凄く働いていく姿というのが、文章から読み取れるんだけども、
こういう時、どれほど働けるかというのは
とても重要な、人間としての何かを試されているかのようだなと思うのでありました
昨今の自分ののらりくらりさでは、
とてもじゃないが、この事態を5日間で片付けられる自信がないわ

兄の元嫁と、基本二人がかりで片付けていったようだけども、
あれこれの手続きだとか、様々な人間社会のしがらみも見つつ
その人を悲しむという行為がほとんどなく、
不思議な残滓というか、残された思念のようなものを遺品から
少しだけ感じたりするだけで、あとはただただ、
平常にしていくために、片付けていくという作業が
膨大で、とてつもなくて、なかなか大変だと思わされたのでありました

何を感想ともつのが正しいのかわからないし、
この本も、そういったことを求めていない
ただ、そういうことがあったという事実と、
まだ消化しきれていない自身の感想のようなものを
無理やり形にしただけの文章、そういった装いがステキだと
読み終えて思うのでありました

断捨離というか、身の回り片付けておこう
夏場に死んだら、大変な迷惑をかけてしまうなぁ