CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】コメンテーター

2023-07-29 21:00:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
コメンテーター  作:奥田英朗

久しぶりの伊良部シリーズ、といっていいのか、
怪しい精神科医による、怪しい治療の風景が続く短編集
コンパクトにまとまってるのに、誰にでもありそうな症例というか、
この本によるところの精神疾患というのが、
癒えていく感じがすごく気持ちのよい内容で、
読んで心地よくなったのでありました、これが伊良部の治療効果なのか…

と、まぁ、そんな感じになるような
コロナがあれこれ流行りだして増えたといわれる
対人関係やら、様々な要因による精神疾患の数々を凄い適当な対症療法で
なんか、緩解していくみたいな気持ちになれる内容がよい
誰にでもありそうな不安というのが、先鋭化して病気となってしまうんだろうなと
まぁ、そんな医学的な根拠および、助言は一切でてこないので、
そういうエビデンスではないのだが、そうかもしれないと思わされる
ひとつも示唆されていないのに、勝手に考えて、治ってしまっていきそうな感じが
凄くうまいなと感心してしまった
というか、無茶苦茶だけど、そのままでいて嫌味じゃない伊良部というキャラクタが凄すぎるんだな

今回は、それに加えて、怪しい看護師のマユミちゃんの活躍が顕著で、
これシシドカフカが女優やるつもりがあるうちに、映像化してくんないかなとか思ってたんだが、
当然のように、ずいぶん前に映像化されていたみたいで、惜しいというか
まぁ、新しく作り直してもらってもいいんじゃないかしらと
思ったりしたのである、じゃぁ、伊良部誰がやるんだといわれると
こっちが難しいわけなんだけどもな

患者たちが、半ばやけくそみたいになるというのが、
見ていて心地よい部分だなと、自分がそこまで解放されていない状況で、
誰かが解放されたという姿を見ている、そんな小説体験が
心地よさの根底にあるなと思ったときに、
この小説好きだなと思ってしまったのでありました
なんとなし、ストレスを感じているんだなと
自分について、ふと気づかされるというか、そんな気持ちになったのであった


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