CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】仕掛人・藤枝梅安 梅安最合傘

2023-07-26 21:05:07 | 読書感想文とか読み物レビウー
仕掛人・藤枝梅安 梅安最合傘  作:池波正太郎  

今度は梅安シリーズをまた読む
続き物を適当に読むことをいとわない性格な上に、
特に全部読まないといけないという強迫観念もないため、
はたして読んだ話だったか、そうでなかったか
わからないまま読んでしまうんだが、どうやら読んでなかったやつで
大変楽しめたのでありました
ここ最近、剣客商売読んでばかりだったので、小説としての印象の違いに
新鮮な驚きというか、面白さがあって大変よかった
これは、鬼平まで含めてしまうと、それぞれで書かれているタッチというか
描かれている男が違うのが、ものすごく楽しいなと
改めて、池波先生のキャラ造形のすばらしさに舌を巻いたのでありました

話としては、小杉さんを京都の白子屋に逃がしたけども、
どうやらそっちは面白くないからと、また江戸にもどってきてしまうという
そんなお話でありまして、
そこを仕方ないなと思いつつも、小杉さんはちゃんと正しい道に戻ってもらおうと
梅安と彦さんが、あれこれ骨を折るという話でもあるんだが
そうは問屋が降りないというお話であって
なかなか面白く読んだのでありました

剣客と違って、案外梅安先生が気が短いといっていいのか、
ある種の私怨による殺人を行っているといっても過言ではないのが
魅力でもあり、仇でもあるところだと
改めて認識させられたのでありました
独善的とまではいわないが、やはり、殺しをするという身勝手ははっきりしていて、
でも、それを押しとどめられない、殺しをする男としての葛藤と苦悩、
そして、それが故の死に場所へのあこがれめいた言動というのが
彦さんともども、弱音でもあるし、世迷い事でもあろうが
こぼれてしまうというのが、嫌味というか、
嫌な感じがせず、だからといってかっこいいわけではないという
こういう匙加減が絶妙で素晴らしかったと思うのでありました

梅安シリーズもいくつか読んでいるはずなんだが、
この巻を単独で読んだだけの感想だと
思ったよりも、梅庵さんは殺しに厭わないし、
なんだったら、割と殺してしまうタイプだよなという
危なっかしさがよかったりもすると思ったのである
特に、気に入らない女への暗い復讐めいた心に従った話なんかは、
確かにろくでもない女だと思いつつも、
それの今の幸せというものを改めて思い知ることによってとどまると
まぁそんな展開もあったりして、基本的に出てくる姿が甘いというか、
どこか徹底できていない辛さみたいなのが見えていて面白いのであった

これこそがこのシリーズの良さかとも思うのだが
色々と片付けて、さて、小杉さんを救おうという次巻へ続く話で終わるわけだが
嫌な予感しかしないというのもまた、シリーズの特徴だなと
にやにやして読んでしまったのである
ともかく面白過ぎる、素敵な小説だ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿