CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】峠うどん

2020-09-28 20:41:57 | 読書感想文とか読み物レビウー
峠うどん  作:重松清

あれこれ読書してきたけども、重松清さんの作品は、
ドラマ作品はいくつも見てきたのに、本で読むのは初めてでした
ある少女の成長と死生観、もっというと、
死における葬式についての物語でありました

ほのぼのとした雰囲気で、
葬式に際して戸惑いや、葛藤のようなものを描く
人間ドラマでありまして、
たまたま斎場の前にうどん屋を営んでいたために、
葬式専門みたいなことになってしまって四苦八苦する祖父母のもとで、
高校受験を控える女子中学生が、お店の手伝いをしながら
そこにやってくるお客さんから、死について考えるというか
感じ取るものでありました

どのエピソードも非常に人情味あふれていて、
葬式ってそういうものかもなぁと思わされるところが
多々あるのだけども、
昔不良少年だった男が現在は僧侶になっていて、
その恩師の葬式に際しての姿なんかは、
いかにもありそうで、それでいて笑い話になっていて、
実に好きな人情話でありました

テーマというでもないけども、やっぱり物語として印象が強くなるのは、
早くして死んでしまったという人の場合、
親族や、参列する人たちの戸惑いの大きさと
悲しさを得られないかのような虚無の感覚というところで、
これもまた、ありそうだと考えるのであります
自分の祖父母の葬式は、なんとなしこなしたことがあるが、
そうではない親戚の、さらに若い人となったら
どういう感じにすればいいか、どう感じるかなんて
なんとも整理がつかないもんだろうと思うのであります

しんみりしながら、死を受け入れるということを
実際に学ぶというか、得ていく主人公の姿、
その最たるシーンがひとつ、凄くよい印象として残った
感動的な物語でありました
いいお話だった


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