CLASS3103 三十三組

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【読書】盤上に散る

2017-09-06 20:50:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
盤上に散る  作:塩田 武士

ある将棋の真剣師をめぐる物語でした
どうと、解説してしまうと、そのまま物語になってしまうというか
あらすじを書きづらい内容でありましたが、
大阪人情話とひとくくりにできるほど簡単ではなく、
少しずつ、当事者二人が、この真剣師に近づいていく
その様を追った物語なのでありました

謎といえば謎を追っているのでありますが、
差し迫った理由ではないといえばいいのか、
二人の人物がこれを追うわけだが、
一方は、母の葬儀後にこの真剣師に向けての手紙を発見し会おうと思い、
もう一方は、警察の厄介にならないためにその男を捜さないといけなくなりと、
そんな按配で、警察関係のほうも、物語が進むにつれて
なんといったらいいか、あれこれと思わされる事件が出てきたりしながら
最終的に…なんていうお話でありました

何にと、感動するところが見つけにくいといっていいか、
思いのほか、登場人物たちが楽しい、その姿を見ているのが面白いと
そういう感じの、大阪奇人変人ショーめいたところもあって、
愉快に読み進められるのでありました
色っぽい話なんて微塵もなく、
男と女のコンビなのに、酒に酔って失態というか、
酷い酒乱ぶりを発揮するとか、笑い話ばかりでよかったのであります

少しずつ謎というか、真剣師の背中が見えてくるように
話が進んでいくのだけども、やっぱり、
どこかその切羽つまった感じがなく、するする、
兵庫、大阪、京都をまたにかけて
だんだんとその男に肉薄していくところが
面白かったといえば面白かったんだが、
はらはらするような展開ではなかったのであります
そのおかげか、まったり読むことができるのでありました

将棋の話なのではあるけども、将棋がどうしたというよりは、
昭和のある生き方についてといったほうがよいような、
いまどきには見ない、こういうことが
まかり通っていたのかもしれないなと
それらを懐かしむにも似た感傷を覚える読書でありました
面白かったけども、ゆったり読むことのできる一冊でありました


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