CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】夜の向こうの蛹たち

2020-07-24 21:22:20 | 読書感想文とか読み物レビウー
夜の向こうの蛹たち  作:近藤史恵

女性小説家に起こった、事件とも呼べない
少しだけ印象に残る日常のお話でありました
メインの登場人物が三人しかいないのに、
凄い面白いというか、この三人のそれぞれを描くだけで、
人間の機微というか、関係性みたいなのが
物語となって、目が離せなくなってしまうんだから
凄い小説だと、感嘆してしまった作品でした

だいたい、そういうことだろうなと、
わかりやすい展開で進んでいくのだけども、
それがミスリードか?と途中で思わされたり、
いや、ひねりもなく真っ向からそうなのか、
でも、だからどうなんだ?あれ、何がどういう話だっけ、と
目が回るようなスピードではないのに、
気付いたら、何が物語の中心だったか
見失わされてしまうような、
心の変化に戸惑わされる内容が、凄い面白いのでありました
男の身で読んでしまうからか、
女性ならではなんでなかろうか、と勝手に想像してしまう
そんな、心変わりですらない変化というのが
ごく自然に、とても当たり前に描かれていて、
ただ凄いと感じ入ってばかりでありました

ゆるく、だけどひとつ確かなテーマとして、
女性の容姿についてという部分があって、
そこに向けて、三者三様のあり方で生きつつも、
それがあまりにも違うようにも思えるが、
それもまた、不思議と理解できそうな按配で、
安易に誰かに強く出てどうした、なんていう、ありきたりな説教ではない、
様々に或る、そういった問題への態度が描かれているだけというのが
突き放したようでもあるけど、凄く興味深いと思えたのであります

主人公が好きだというタイプに、
誰かに媚びないというか、自分ではっきりと立っているというものが
ふんわり示されているんだが、それもまた、
独りよがりというか、そうではないと思っていた人が、
まるでそうであったかのように篭絡されてしまう展開になって
まぁ、インモラルな雰囲気もあわせて
凄い面白かったのであります
こういう雰囲気の小説好きすぎるわ、なんだ、俺は40代OLだったのか(違う)

日に日にバカになっていく自分を悲しく思うが
とても面白く楽しめたのでありました
もっと、こう楽しかった、こう面白かったと
言葉を尽くしたいくらいなんだけども、
語るほどに陳腐になるし、的外れになってしまいそうなので
悔しいが、このくらいでメモをおく


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