11月27日TBSラジオで「「野沢那智さん、ラジオでお別れ会」」と言う番組があったのですが、夕食が遅すぎて、聞き逃してしまいました。とっても残念です。
野沢さんの訃報は、10月30日、奈良に家族で旅行に行く為に横浜に向っている時に、携帯のツイッターで知りました。
凄く吃驚しました。心の中のアラン・ドロンがあまり歳をとらないのと同様に、野沢さんもいつまでも若い人、そんなイメージがあったからです。71歳。もうそんなお年だったのですね。死因は肺がん。私の舅と同じ病気です。私はこの舅が70で亡くなった事が、まだ若いのに死んだと思えてなりませんでした。71歳は、やはりまだまだお若くて、残念な死だったと思います。ご冥福をお祈りします。
高校時代、隣の席の少女は野沢那智さんのファンでした。定期券入れなんかにも彼の写真が入っていました。それって、結構マニアックな趣味に思えましたよ。私も彼は好きでしたよ。なんと言っても「どろろ」の百鬼丸ですし、アラン・ドロンですし、イリヤ・クリヤキンなわけですから。でも定期券に写真を入れるなら、彼が声を勤めた俳優さんの方が多いのでは?
そんな彼女も、きっと悲しんだ事でしょうね。青春時代の淡い想いと共に別れを告げたかもしれません。
私にとっても、彼がやっていた深夜放送「パックインミュージック」は、青春時代の一駒、そんな感じがしますよ。
結構毎週聴いていたのです。でもどんなお話をしていたのかは、さすがに大昔、全部と言って良いくらい忘れてしまいました。そんな中で、唯一、覚えているのが、タイトルの「幽霊を模写した男」のお話です。
パックインミュージックはリスナーからの投稿で成り立っている訳です。だからそのお話も作者様が実は何処かにいらっしゃるのですね。
作者と言うのは変かしら。投稿者さま?
もちろん、覚えていると言っても詳しく内容を覚えていると言う訳ではなく、そんなお話があったという程度です。
ナチ・チャコパックでは、夏になると怖いお話特集をするのですが、皆さんの投稿も結構怖くて、それを読むナッチャンが凄く上手いのですよ。とても一人じゃ聞けませんよ。姉とか私とかが寝てしまっていたら、お互いに起こしあうくらいです。また、彼は上手い具合に間を取って沈黙するのですよね。ラジオで沈黙はまずいですよね。だから、相方のチャコちゃんが上手い具合に「キャ!」とか「うふふ」とか声を入れるのですが、そのタイミングが上手すぎて、余計にワクワクまたはドキドキしてしまうのですね。
そして、その中でダントツに怖かったのが、その「幽霊を模写した男」のお話だったのです。
「ナッチャン、チャコちゃんこんばんは。小生の友人の奇妙な話を聞いてください。」と言う普通の挨拶から始まったその話はの内容は・・・うーん、うーん、なんだっけな・・・・おい、こらっ、引っ張っておいてそれはやっぱりないよな。
と言うわけで、ちょっと創作が入ってしまうかもしれませんが、こんな内容だったと思います。
『小生(投稿者)の友人はちょっと一風代わった男でしたが、絵の才能に恵まれていました。日頃から付き合いが悪い男でもありましたが、最近あまりにも学校にも出てこないので、気になってその男の家を訪れて見ることにしました。
すると家から出てきた友人は、思っていた様子とは異なり、異常にハイテンションで骨董屋から偶然素晴らしい幽霊画の絵を買ってしまったいきさつを述べたのです。その絵は素人の小生など見ても見事な掛け軸画で、なんでそんなものが友人の所にやってきたのだろうとなんだか腑に落ちない思いが少々はあったのです。そしてそれは見れば見るほど吸い込まれるような何かがありました。訪ねて行った後も、やはり友人は家に引きこもったままでしたので、また訪れてみると、彼はその幽霊画の模写に取り付かれてしまっていたのです。しかもその模写は製図の道具を使って、せんをしっかり写し取ると言うやり方だったのです。
常軌を逸したような友人の姿に、もうそんなことは止めろと忠告をしたのですが、事もあろうか、その彼は、今度は・・
その幽霊画の拡大画に挑戦し始めてしまったのです。呆れ果てた私は、もう彼の事は気にかけないことにしました。
だけどある日の真夜中、いきなり彼から、『絵が完成した。絵が完成した。』と叫ぶような電話が掛かり、その後断末魔のような悲鳴が聞こえたのです。気になって警察に連絡を入れた私は、警官と一緒に彼の家を訪れました。でもそこには彼の姿はありませんでした。家の中は荒らされた様子もなく、事件性はないということで処理されてしまいました。
ただ、その時私は警察にも言わなかったことがあるのです。家の中はこれと言って変わった様子はなかったのですが、ただ壁に掛かっていた幽霊画の掛け軸の中に、その幽霊はいなかったのです。
今でも彼は家出扱いになっています。』
やっぱり、怖い!
えっ、何?!
この文章じゃ怖くないって・・・。
すみませんねぇ。
って、いじけるのもなんですが、その頃の私はイマジネーションだけが友達のような者でしたので、拡大する幽霊の絵。いなくなってしまった掛け軸の絵。幽霊を定規やコンパスで測って写し取っていく。みんな悲鳴ものですよ。加えて上記の如くナッチャンが上手いのですよ。
怖い、怖いと耳を塞いでいましたら、姉が、
「ちょっと、大丈夫だよ。これ創作らしいよ。」と教えてくれました。
なぜなら最後に
「小生のつたない真か嘘か、嘘か真かの文章にお付き合い下さりありがとうございました。」と言う挨拶が入っていたのでした。
なーんだ、と私は思いましたが、反面ホッとしました。こんな恐ろしいお話があったらたまりませんからね。
ちなみに完全な余談ですが、自分が書いては放置してある創作文の中に、このお話に影響されて思いついたシーンがあるのです。さりげなく過ぎていく一夜の事でも、なにげに影響を受けていくものなのですね。
お話を元に戻しまして、この投稿は創作、いわば作者様がいらっしゃる訳で、「インチキ書きやがって~!」と言う場合は、ぜひとも訂正にいらしてくださいませ。あくまでもこんなんじゃなかったかなと言うことで書かせていただいていますから。&愛をこめて。
たまたま、私はこのようなお話が想い出です。でも、パックインミュージックに投稿した想い出を持っている人はどれだけいらっしゃるのでしょうね。読まれた想い出を持っている人は?私のように、忘れられない内容や掛かった曲をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
野沢那智さん、想い出をありがとう。
それから映画を日本語でたくさん楽しませてくれてありがとう。