最終回のタイトルがテレビ画面の真ん中に現れた時、その言葉に胸がきゅーんとしました。
「花は咲く」
この言葉に、あの歌を連想した方も多いのではないでしょうか。
このドラマは「あまちゃん」のようにははっきりとはしていたとは思えませんが、やっぱり被災地応援のドラマだったことを思い出されるようなタイトルでした。
ラストの方で西田敏行さんの頼母がまるで仙人のようなヒゲを携えて登場してきました。
そして彼は言いました。
「花は散っても、また時が経てばまた咲く。何度でも。」
夫殿が
「良かったな、西田敏行。最後に良い登場の仕方で。幽霊じゃないし。」と言いました。
私は思わず勘違いして、劇場には行かなかったものの、先日wowowで見た「ステキな金縛り」の役のことかと思ってしまいました。でもそれは違いました。
NHK大河はお約束のように幽霊が一度は出てきたりしますでしょ。そのことを言っていたのです。
そう言えば、今回、そのお約束の幽霊が出てこなかったような気がします。言われてみると物足りない。
だからこの頼母さん、幽霊でも良かったな。
八重がふと横を見ると、そこに居たはずの頼母がいなくて、桜の花がさっと風に舞って散るとか・・・・
って、こんな八重と頼母の良いシーンでも、そんな事を考えていた邪道な私・・・・・・・^^;
でも、このシーンに感動していたのは本当です。
いやいや、アチラコチラで感動していました。
頑張って生きていこう。
そう思えるステキな最終回でした。
夫殿がまたこうも言いました。
「会津は本当に名誉を回復できたのかな。」
だから私は言いました。
「出来たと思うよ。だってさあ、だから私達は子供の頃から会津に偏見なんか持ってなかったじゃん。」と。
だけどそう言ってから、少し考えてしまいました。
子供の頃私は、明治維新の時の正義は薩摩や長州にあったと思っていなかっただろうかと。そしてその後「勝てば官軍」という言葉を知りそれに頷いたのは、それ以前の自分の気持があったからじゃないのかと。いつの間にか無意識に刷り込まれてしまうイメージは確かにあったのではなかったかと。
そう思うと会津の人たちの無念さは如何許のものだったか計り知れないと思うのでした。
私はその後考える所思う所がいろいろあって、もしもタイムスリップして自由にどちらかにつくことが出来るとしたらでどちらで戦うだろうかと考えた場合・・・って、いつもこのようなしょうもないことを考えて私という人間は成り立っているようです・・・・実は私は幕府側なんです。
今でこそ結末は見えてしまっているわけですが、もしもその結末が見えなかったらという場合の話です。
なぜかというのを書こうとしたら、頭の中で考えてきたことも含めて果てしなく広がっていってしまいました。それで感想アップも遅れてしまったのです。〈さり気なく言い訳です。)
ただ一言だけ書くと、開国は必定でも徳川政権でもありだったし、文明開化&尊王もやっぱり徳川でもありだった・・・・
確かに行き詰まっている政権ではあったかもしれませんが、「正義の御幡」は単に勝った者が振ったに過ぎなくて、まさに勝てば官軍だったと思います。あの革命は、時代を味方につけた「国盗り物語」だったと、私は思います。〈二言になっちゃったかな。〉
二言でもうまく言葉は纏まったなと、自己満足して読み返してみると、結構きつい言い方でした。思っていることがそのまま言葉に出たという感じですが、じゃあ松蔭の鋭い発想や龍馬の志はどうなんだと何方かに叱られそうです。なので付け加えて言うと、彼らなどの志高かった人たちは、まさに「時代」の化身だったかと思います。
ドラマの感想からどんどん外れて行きそうですが、「八重の桜」の中にもお互いの義みたいな発言があって、そこを彼女が悟っていく所に、次への道が開かれるんですよね。
でも常にこういうドラマでは「義」ばかりが描かれていて「利」の部分は、少々綺麗に隠されてしまっているように思うのです。ちょっと萎えて見ている回も結構ありました。
大河のシナリオって、本当に大変なんだなあとシミジミと思いました。
だけどこのシナリオのあり方は、凄く好きです。決してあり得ないような社会的中心人物と不容易に絡まないところなどは好感度が多大です。
違うライターさんだったら、容保臨終の時などに「あの少女は・・・」みたいな感じでラストドリームに現れそうで想像しただけでも震えが来てしまいます。そんなバカバカしいシーンが皆無だったゆえに、会津の人たちはみな離れ離れになっていても、心の中心には会津の殿様を大切に想っていた心が伝わってきたりもするのですよね。
ただ、逆に時にはお話はジミに感じてしまったりもしたのです。特に後半京都編ではキリスト教布教ドラマのようで、同志社が建っていく経過が面白いという反面、もうちょっとドラマチックであって欲しかったなと思ってもしまったのでした。
八重さんは女傑。もとより勤勉で優秀。
ひとりでも多く敵を倒して、違う言い方をすれば殺すために戦ったイクサの時代から、新島襄と歩んだ道、あまりにも180度違うその道に感じた矛盾や苦悩はなかったわけではないと思います。物語の中にも、父を会津に殺された少女のエピソードが出てきました。
八重さんはサメザメとも泣かず、のたうち回って苦しみを表現はしません。
ひたすら一途なイメージの綾瀬さんが演じても、強さが前面に出て、そして不思議なことに綾瀬さんが回を重ねるごとに、写真で見た本当の新島八重さんに見えてきてしまったのでした。それだけ綾瀬さんは頑張ったのですよね。
だけど私は自分が弱い人間ゆえに、ヒロインから心が離れていってしまったと言うのは確かにありました。
ただその分、周りの男性陣がそれを補ってあまりあるくらいでしたね。本当にイケメンパラダイスだったと思います♡
今回の私のイチオシは、会津の殿様容保でしたが、西島さんの覚馬、長谷川さんの尚之助、玉鉄の山川・・・・って、他の脇を固めた人も、みな味があって書ききれません。
もちろん女性陣も。
会津で戦ってそして散っていった女性たち、また覚馬の二人の妻も心に残るエピソードでした。あの二人は晩年はどうしていたんでしょうねって気にもなるところでした。
ところで八重さんは昭和7年まで生きていたのです。凄いなと思って検索すると、86歳。長生きではあるけれど、チョ~がつく程の長生きではありませんよね。要するに「遠い遠い昔」と思っていた明治維新という革命は、少し昔の出来事だったのですね。
っていうか、この時代、八重さんとごちそうさんのめ以子さんが同時期に存在していた〈片方は実際の人ではないから実際にという意味ではないですよ〉、なんか不思議な感じがします。
だんだん話題が細切れになってきましたので、もう終わりですが、後ひとつだけ書かせてください。
それはラストシーンです。
最初、私は感動してウルウルしながらも、やっぱりラストは鉄砲を持って戦うシーンを持ってくるのかと、「仕方がないなあ」と思って見ていました。彼女の一番の見せ所でもあるわけですから。でも本当は違うんじゃないかなと、全編を見ていて思っていたのです。年月や彼女の中の歴史が銃を包帯に変えて戦い、皇族以外の女性で初の叙勲を受け、会津の人たちに誇りを与えたのですよね。
でも最後に彼女は、その銃を水平から天に向かって打つのです。
水平の向こうには、敵がいる・・・。
でも天に向かって「私は諦めない。」と言い、銃が雲を蹴散らすと、そこからオープニングでお馴染みのきれいな傘の花が咲くのでした。
ひとつ、ふたつ・・・と。
「花は散っても、時が経てば花は咲く、何度でも。」
思わずううっっと泣きました。
という訳で、なんだか頑張って生きていこう、そんな気持ちになったのでした。