森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

BORDER

2014-06-12 02:16:23 | テレビ・ラジオ

ここ数日、旅行で留守をしていました。

いつもならいそいそと旅行記を書き始めるところですが、先週時間がなくて書くことが出来なかった「BORDER」の感想を書いておきたいと思います。木曜日は同じ時間にTBSで「MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~」があり、ドラマ好きとしては両方とも捨てるわけにはいきません。我が家では「BORDER」を録画していました。

先日、先のソレを見た夫が、

「ああ、なんかすっきりしない。うーん、すっきりしない。むむむ、すっきりしない。」と、私が見ていないのに脇で煩かったのです。挙句に、ネットで評判を読み

「やっぱり賛否両論らしい。」と言うのです。

見ていない人に、ネタバレこそしていないにしてもそんな評価をばらしてどうするんだと思うでしょ。

まったく男ってさあ・・・・って、別にうちの旦那は男の代表じゃないけれどね。

仕方がないから、なんとなく忙しいよなと思いつつ旅行の前日にその録画を見たのです。

ところが夕方姉から他の要件で電話があり、その要件について話し終わると

「ところで、『BORDER』、まだ見ていないかもしれないけれど・・・」とその話題に触れたい模様。もちろんその時には視聴後でしたので問題もなくそのお話で盛り上がりました。

だけれど見てないかもしれないのにその話題を出したがると言うことは、かなり最終回は衝撃度が高かったようです。

 

その感想ですが、これが賛否両論になることこそ、ライターさんを含め作り手サイドの狙いそのものなのではないかと思いました。もちろん「否」ばかりではがっかりですが、「賛」ばかりでも、それはそれで驚くべき結果に感じてしまうのではないでしょうか。

「賛」があり「否」があり、強い印象になりそして記憶に残る。それこそがこのドラマの本望とも言えるかもしれません。

では私はどうなのかと言うと、私は「賛」派です。

 

これを見終わったときに、私はある映画を連想していました。その映画と言うのはブラピの「セブン」です。

ワタクシは自分自身をおおむね光の中の住人で正義の人でもあると思っているのです。でもドラマや映画では残酷なシリアルキラーの物語を好んだり、レクター博士やハスミンの物語が結構好きです。〈クリミナル・マインド・羊たちの沈黙・悪の教典など〉

もしもそこだけを取り上げて語られたら、なんだか怪しい危ない人のように感じられてしまうのかなと迷う所でもあるのですが、そういう物語、つまり虚構の世界で人間の奥にある残酷と悪を発散し、そしてリアルの世界では正義を貫くと言うバランスを保つと言うのが人間の技の一つであると思っているのです。

先日もどうしてそこまで善行を貫くことが出来るのだろうと尊敬している友達が、実はハスミンファンだと知って、自分の考えはそこそこ正しいと再確認したばかりです。

 

だから残酷な行為をした子供が残酷なゲームをしていたと言うことはあっても、残酷なゲームをやっていた子供が残酷な人になると言う逆は成り立たない公式だと思っています。時々イコールで結びつくような発言をなんだか堂々とテレビで言う人がいるけれど、思考力不足も甚だしいなと感じています。神経に触る本も読んだことがないとかそのような漫画やゲームなどもってのほかと見向きもしないでそこまでの年齢に達してしまった経験不足による発言なのかと思います。

最近ではわかりませんが、ちょっと前まであげられていたのは「バイオハザード」と言うゲーム。

私が若いときには、夫を殺害して床下に埋め一緒に暮らしていた若い女性が捕まった時、萩尾望都や山岸涼子、大島弓子などの漫画に影響を受けたようなことを書かれた記事があって、

「ああ」と、ひたすら「ああ」と思ったことがありました。またその人が窓辺に花を飾りレースの服を着て、まあなんか少女漫画のような人だったんですよね。

夫に対して「あんにゃろー」と思うことはあっても、それが殺意に近い感情だったとしても床下に埋めて花で飾って優雅にお茶を飲み一緒に暮らしたりなんか出来ませんよ、普通。

それは大概の人には、虚構の世界とリアル世界の間には大きな大きな境界、つまりBORDERがあるからなんですよ。

ほとんどの人がその境界を超える事はないし、理性が働いて超える事が出来ないのです。いや、理性だけじゃないな。人は殺してはならないなどと頭で一生懸命に考えて歯止めをかけてるわけがないもの。感覚的に嫌なんですよね。〈今日『ガリレオ』の再放送で、なんとこの事を言っていました。うひょー、タイムリー。と、言ってもそちらはちゃんと理論的。そのことをもっとちゃんと検索して追記したかったけれど、上手くリサーチできませんでした。湯川准教授は何と言ってたかなあ〉

でもあまりその事に拘ると、お話が支流に流れていってしまうので、元に戻しますね。元にと言っても連想した「セブン」と言う映画までです。

この映画の中の登場人物にとっては突きつけられた現実でも、見てる者にとっては虚構の世界です。もちろんそれは「BORDER」と言うドラマについても同じことが言えると思うのです。

だから心置きなく感情のままに思うことが自由なのです。

映画「セブン」のラスト、自分の妻の首を見たブラピが目の前の犯人と対峙するとき、毎回私は思うことが違うような気がします。ある時には「踏みとどまって欲しい。犯人に負けちゃだめだよ。」と思い、ある時には「一生分の懺悔を背負っても、復讐できるチャンスは今だけだよ。今それを実行しなければ一生後悔するんじゃないのか。」と過激な事を思うのでした。

この感覚、まさに「BORDER」のラストと同じじゃないですか。

 

BORDER」のラストで小栗旬演じる石川刑事が大森南朋演じる犯人を屋上に引きずり出し突き落とそうとしたけれど正しき感覚が歯止めになり彼を引き上げようとした時に「なーんだ」と思いませんでしたか。または犯人側の立場になって危ない状況から抜け出ていないのになんでそこで「また僕の勝ちですね。」なんてことを言うのだろうかとハラハラしませんでしたか。

虚構世界では石川刑事と共に境界越えをしてしまっていたのかもしれません。

最終回、本当に秀逸でしたね。

BORDERと言うのは生と死の境界の事かと思っていました。もちろんそれもだと思います。だけれどもラストにその境界の意味は正義と悪のそれだったのか気が付かせる所に計算された罠のようなものを感じました。

怪しい情報屋の赤井がうまい事を言いましたよね。

「極端な正義と悪の者は傍から見ると、実は同じに見える。」・・・のような感じのセリフ・・・


だけどわが夫殿がすっきりしなかったのは、あそこで終わってしまうと言う所なのかと思います。

でも逆に私は思うのです。あそこで終わらなかったら、その境界を越えてしまった者のその後をいかに描くと言うのだろうかと。もしもそれを描くのなら、あのような展開は最終回ではなくもっと早い回でなくてはならなかったはずです。

そうなると続編希望とかになってくると思うのですが、私的にはせっかくうまく終わったのだからもうこれにて終了が良いと思うのです。ただ、唯一続編やって欲しい理由があるとしたら、個性的な脇キャラたちが勿体ないのでもっと使い込んで欲しいと言う点かもしれません。情報屋、便利屋、ハッカーたちもそうですが、青木さんなんか宝の持ち腐れのような気がしてしまいました。

最終回でも誰も見てないかもしれないのに、駐車場などではちょっとあとから行くと言う石川刑事が気になり、「大丈夫かあいつ」感がすこぶる漂う演技をちゃんとしていて、やっぱりこの人大好きだなと思ってしまいました。もしも続編があるのなら、その続編の最終回では青木さんの立花刑事を是非幽霊にして活躍させていただきたいと思います。

幽霊と言うのはすでに私の妄想的物語が頭の中で構築されてしまっているからなのです。つまり立花刑事は殉職し、だけれど犯人の顔は見ていない。しかし耳に入っていたこと周りの状況などから二人で犯人逮捕をしていくと言う物語はいかがでしょうか。

また最後の大森さんの石川刑事の肩に手をかける掛け方がなんかあっさりしすぎるような気がしました。もちろん、ぬぅぅとやってしまうと、正統派ホラーになってしまうのであえて避けたのかもしれませんし、時間と言う枠の制限にも関係があったのかなと思うのですが、そこ、妄想ついでに書かせていただくと、いつものパターンでやって欲しかったと思いました。

いつものパターンと言うのは、頭がきぃぃーんとして振り向くと、少し離れたところに彼が立っている。そして声は聞こえず口だけが動くのです。石川が目を凝らすと、その口は「ようこそ」と。まるで迎え入れるように手を広げ微笑む男。石川は膝を落とし呆然とする・・・・ってな感じ。


しかし、よく考えると石川刑事が境界越えをしてしまったのは、彼を突き落してしまった時ではないんだなと書いていて徐々に分かってきたように思います。でも更に食い下がるのもどうかと思うので、そろそろ終わろうかと思うのですが、後もうちょっとだけお付き合いください。

実は小栗旬氏、私の好きな俳優リストに入っていません。ゆえに彼のドラマは見ないことが多いのです。だからこのドラマもある事がなければ見なかったと思います。そのある事と言うのは後で書きますが、1話目を見て、後は録画がたまっていきました。だけれど、ある日2話3話と続けて見たのです。そして思いました。

「なんかこれ、かなり面白いじゃん。」と。そしてファンの皆様には何を偉そうにと叱られてしまいそうですが、小栗氏にこの役はぴったりでお芝居が上手くなったように感じたのです。ペプシのCMもやたらかっこいい♪

最終回のラストのシーンも凄く彼の表情が良かったです。

と書いてから言うのもなんですが、最終回の演技賞はそうそうたる俳優さんたちを差し置いて、私的には子供を誘拐されたお母さん役の方に差し上げたいと思います。

彼女の狼狽ぶりと嘆くさまは本当にリアルに感じて涙を誘い、その後の石川刑事の行動に説得力を持たせました。

そしてどんな名優も勝てないのは子供かもしれません。

あの子の演技も素晴らしかったですね。

本当は無念でたまらなかったのに、それを一生懸命に押し殺して「ありがとう」と言うー

石川刑事でなくても怒りがこみ上げてきますよね。


最後に、上に書いた「ある事」についてですが、実は実家がこの「BORDER」のロケ地候補に挙げられていたんですよ。結果から言うと、最終的には候補から外されて何もなかったのですが、そのお話を姉から聞いて数日間、ワクワクしていました。ワタクシ、ミーハーなもので。候補から外されてしまった時には、もちろんがっかりしましたが、それでもワクワクした数日間は良い思い出になりました。

しかしスタッフの人から見れば、横浜での話に千葉在住のおばさんがワクワクしたりがっかりしたりって、勝手にやってろってなもんですよね。

はい、勝手にやってます。

しかし実家の前の道なんかひっそりしていて殺人現場にぴったりですよ。←おい!!!

またの機会がありましたら是非に。


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コメント (8)
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