最近は、あらすじなどを手抜きさせていただいて
アマゾンの紹介からお借りします。
『『殿下の胡蝶』と謳われる黄家(こうけ)の雛女(ひめ)・玲琳(れいりん)は、宮中一の嫌われ者である朱家(しゅけ)の雛女(ひめ)・慧月(けいげつ)の手にかかり、互いの身体を入れ替えられてしまった。牢に入れられ、入れ替わりの事実は話せず、己を害した罪に問われ死を目前とする玲琳(れいりん)…と、思われたが。病弱ゆえ常に“死”と隣り合わせで過ごしてきた玲琳(れいりん)は、むしろ健康な身体を手に入れたことを喜んでしまい、持ち前の鋼メンタルで次々と逆境を乗り越えていく――!?』
よくよくタイトルを読むと「雛宮蝶鼠とりかえ伝」と入っているんですね。慧月(けいげつ)は宮中の溝鼠と揶揄されている嫌われ者だったのです。胡蝶とと溝鼠が入れ替わる物語であり、そしてこれは、チョーポジティブ人間の奮戦記です。
命を危ぶまれる状況に陥っても、また何もないような掘立小屋に追いやられても、危機一髪の状況になっても、あまりドキドキハラハラしません。
その代わり、ワクワクするのです。この若き女性が、どのようにそれを捕らえ、解決していくのかとかなり楽しいです。
私は最初、「ふつつかな悪女では・・・」とは、入れ替わってしまった慧月のことを指して言ってるのかと思っていました。(見かけは)悪女になってしまったと。だけど最後まで読むと、その「悪女」とは玲琳(れいりん)その人のことを指して言っていたのだと分かりました。裏の顔があったというのではありません。
あっ、でもそこの部分はネタバレになってしまうので、書いてはいけない部分でしょうか。だからそこは本の紹介の下に載せておきますね。
慧月は顔には似合わないような、派手な着物をいつも来ていました。
でもド派手で奇抜なその衣装は、実は彼女の隠されたセンスの良さを表していたのだと思います。ただ、いつも眉間にしわを寄せて、醜くゆがめた顔には似合わなかっただけ。
誰にも愛されずに、両親からも見捨てられて勝手に先に死なれた彼女は孤独な人。常に愛を求めていましたが、愛されることも知らなかった彼女に、人を愛する仕方は分からなかったのです。
人には意地悪ばっかり。
誰からも愛されている玲琳にさえなることが出来れば、自分も殿下からも愛される女性になれると思い込んでの術を使っての入れ替わりでした。でもいざ入れ替わってみると、虚弱な体が待っていただけで寝床から出ることもできません。
かたや玲琳は、健康な体を交換してもらって、申し訳ないと思いながら、すべてに感謝しつつ鎌を振り上げ畑を耕すのです。
悪の所業をなした慧月の不幸せだった今までの人生・・・・
やはりかつては皆に蔑まれて苦しい人生を送っていた、下級女官の莉莉(リーリー)
皆それぞれのエピソードにも引き込まれます。そして、彼女たちの裏で糸引く者も決して憎みきれる者ではないのも良くて、それぞれの未来があるのが良かったです。
溝鼠と蔑んでいたのに、「いつごろか、なぜか奇麗に感じるようになった。」と周りの者たちも思います。
要するに、美と醜はその作りにあるのではなく、内なる輝きからなるものかもしれないと言ったら。月並みすぎるでしょうか。
入院中、すでに買ってあったこの漫画の、ヒロインのポジティブさに救われました。
今の病院は患者さん同士のおしゃべりはダメなようです。(コロナのせいだと思います。)それでも、ほんの少しだけおしゃべりした若い人と
「まだ死に直面していないのに、死ぬかもしれないと心を痛めくよくよするするのは、無駄な時間だわ。」というようなセリフがあって、まさにそうだよねなどと、短い会話を交わし、友達になりました。
私はスマホで買い物をした経験がなかったので、入院中は、その先を購入して読むのは控えていて、家に帰ってきてからも、サポートが切れていたPCからの買い物は控えていて、少々続きを読むのを我慢していました。
4月になって、とうとう最後まで読むことが出来て嬉しかったです。
この先の話もあるみたいですが、それは今の段階では、小説版のようです。
【ネタバレしています。】
ポジティブで努力家。その努力から生まれた才能。人には優しくいつも嫋やかな気づきがあるのです。
誰も彼もがそんな玲琳に夢中になり、惹きつけられます。
彼女に励まされた人々は、彼女に会いたがり、傍にいたくなるのです。
そして結局は、玲琳の思ったように人は動き事は運んでいくのです。
莉莉は思います。こんな悪女はいないのだと・・・・。
お勧めできる作品だと思います。
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