いつだって空を見上げて月が綺麗だと、嬉しくなったりするもんだ。
それに「中秋の」なんて頭についたら
なんだかもう特別な「月」にも見えてくるってもんさ。
空よ
晴れてくれてありがとう。
雲よ
流れてくれてありがとう。
美しい月をありがとう。
月は天空に浮かぶ無機質な土塊の球体
本当は何も語らないけれど
なにせ幼き頃から 詩人や作家の多くがその土塊に語らせる言葉を聞いてきたものだから
月の言葉に耳を傾けるのが習慣さ
― どう見えようが、私は本当は変わらない
そして、いつだって私はここにいる ―
いやいや、今日の月はそんな事は言っていないな。
光り輝く月は、私を見ろと言わんばかりだ。
だけどやっぱり月の光は優しくて
― あなたの今日を私に語りなさい。
と沈黙をもって語る。
街を歩けば
商魂たくましいと思うべきか、それとも季節を楽しむ手助けと見るべきか。
私にとっては後者。見つけたら嬉しくなっていそいそと買い求めたのだから。