日本では、1987年にがん緩和医療が言われ始め、
それから、20年が経った。
本年2007年、がん対策基本法が、成立し、
その中でも、がん緩和医療が述べられている。
ようやくがん緩和医療のあるべき姿が、
ここ日本でも実現されてきた。
がん対策基本法で謳われているが、
16条
*疼痛の緩和を、早期から適切にすること
*居宅において、がん患者に対しがん医療を提供するための連携協力体制を確保
とある。
緩和医療は、
今までの一般的な概念は、
「がんの治療をしても、助かりようもないターミナルな状況(終末期)で、なされるもの」というイメージをもたれると思うが、そうではない。
緩和医療は、
①何もしないという消極的ケアでなない。
②終末期だけではない。
③がん治療の痛みに対し、積極的に対応する医療なのである。
当然、従来から言われる
④末期がん患者のケア、見取りのケア、倫理面も含めたケアも含まれる。
緩和医療は、
がんの苦痛に対応する。
苦痛とは、
①身体的苦痛
いたみ、しびれ、全身倦怠感、食欲不振、便秘、嘔気・嘔吐、呼吸困難
②精神的苦痛
恐れ、怒り、不安、孤独感、抑うつ、せん妄
③社会的苦痛
④スピリチュアルな苦痛
がん患者の苦痛は、複合的であることが多く、
全人的な苦痛の緩和が重要となる。
多職種チームによる対応が必要になるのである。
一人の医師では出来ず、連携が必要なのである。
がんが、まず診断された場合、病院に入院し、
臨床腫瘍学の治療チームが治療に当たる。
治療に伴い、苦痛が現われるわけで、
そこで緩和ケアチームが、同時に、早期から緩和ケアも行う。
病期が進むにつれ、治療のウェートが中心であった状態から、
緩和ケアのウェートが徐々に重くなっていく。
途中、「PCU(見取りの施設)-地域病院ー在宅ケア」の
三角形の連携にバックアップされた地域医療へ帰っていくのが理想である。
緩和ケアチームの構成は、
緩和ケア医、精神科医、専任看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、放射線科医、臨床心理士、栄養士、理学療法士、チャプレンら。
在宅に移行するポイントは何か?
①痛みのために、在宅への移行が遅れることがないように緩和ケアを充実させる。
②在宅医療に移行しやすい鎮痛法を行う。
③痛みが、骨転移、神経障害などで大きく変化する可能性があることに対応する。
④在宅でのニーズに適した高度な鎮痛技術を提供できるシステムの構築
⑤病院と在宅との定期的な情報交換の必要性
現在、『がん疼痛治療ガイドライン』(2008年予定)
が、待たれるところである。
そして在宅医療におけるがん疼痛治療ガイドラインも、
同時に網羅されていることが求められる。
疼痛緩和の薬剤は、
強オピオイド製剤といわれ、
モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルが中心。
住みなれた地域、家で、
気兼ねなく療養できることが、
一番の幸せであると、私は考える。
だから、在宅での療養を求める人には、
それを可能にする環境の整備を、していきたいと考える。
医療面でいえば、
ここで述べた、
緩和ケアの充実これが、まず大事。
また、外来抗がん剤治療の充実。
看護面で言えば、
訪問看護の充実。
行政面で言えば、
交通機関、道路の整備。
そして、それらを可能にする
NPO、ボランティアスタッフの活動。
これらが合わさり、
初めて実現するであろう。
がんの緩和医療のまとめ。
キーワードは、
「早期から継続的に、積極的に」
「多職種チームで」
「連携」
*本日10/11開催中央区医師会の勉強会を参考に作成
講演『がん緩和医療の現状と今後の展望』
演者 国立がんセンター中央病院
手術部 部長
緩和医療支援チーム 管理者
下山 直人先生
それから、20年が経った。
本年2007年、がん対策基本法が、成立し、
その中でも、がん緩和医療が述べられている。
ようやくがん緩和医療のあるべき姿が、
ここ日本でも実現されてきた。
がん対策基本法で謳われているが、
16条
*疼痛の緩和を、早期から適切にすること
*居宅において、がん患者に対しがん医療を提供するための連携協力体制を確保
とある。
緩和医療は、
今までの一般的な概念は、
「がんの治療をしても、助かりようもないターミナルな状況(終末期)で、なされるもの」というイメージをもたれると思うが、そうではない。
緩和医療は、
①何もしないという消極的ケアでなない。
②終末期だけではない。
③がん治療の痛みに対し、積極的に対応する医療なのである。
当然、従来から言われる
④末期がん患者のケア、見取りのケア、倫理面も含めたケアも含まれる。
緩和医療は、
がんの苦痛に対応する。
苦痛とは、
①身体的苦痛
いたみ、しびれ、全身倦怠感、食欲不振、便秘、嘔気・嘔吐、呼吸困難
②精神的苦痛
恐れ、怒り、不安、孤独感、抑うつ、せん妄
③社会的苦痛
④スピリチュアルな苦痛
がん患者の苦痛は、複合的であることが多く、
全人的な苦痛の緩和が重要となる。
多職種チームによる対応が必要になるのである。
一人の医師では出来ず、連携が必要なのである。
がんが、まず診断された場合、病院に入院し、
臨床腫瘍学の治療チームが治療に当たる。
治療に伴い、苦痛が現われるわけで、
そこで緩和ケアチームが、同時に、早期から緩和ケアも行う。
病期が進むにつれ、治療のウェートが中心であった状態から、
緩和ケアのウェートが徐々に重くなっていく。
途中、「PCU(見取りの施設)-地域病院ー在宅ケア」の
三角形の連携にバックアップされた地域医療へ帰っていくのが理想である。
緩和ケアチームの構成は、
緩和ケア医、精神科医、専任看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、放射線科医、臨床心理士、栄養士、理学療法士、チャプレンら。
在宅に移行するポイントは何か?
①痛みのために、在宅への移行が遅れることがないように緩和ケアを充実させる。
②在宅医療に移行しやすい鎮痛法を行う。
③痛みが、骨転移、神経障害などで大きく変化する可能性があることに対応する。
④在宅でのニーズに適した高度な鎮痛技術を提供できるシステムの構築
⑤病院と在宅との定期的な情報交換の必要性
現在、『がん疼痛治療ガイドライン』(2008年予定)
が、待たれるところである。
そして在宅医療におけるがん疼痛治療ガイドラインも、
同時に網羅されていることが求められる。
疼痛緩和の薬剤は、
強オピオイド製剤といわれ、
モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルが中心。
住みなれた地域、家で、
気兼ねなく療養できることが、
一番の幸せであると、私は考える。
だから、在宅での療養を求める人には、
それを可能にする環境の整備を、していきたいと考える。
医療面でいえば、
ここで述べた、
緩和ケアの充実これが、まず大事。
また、外来抗がん剤治療の充実。
看護面で言えば、
訪問看護の充実。
行政面で言えば、
交通機関、道路の整備。
そして、それらを可能にする
NPO、ボランティアスタッフの活動。
これらが合わさり、
初めて実現するであろう。
がんの緩和医療のまとめ。
キーワードは、
「早期から継続的に、積極的に」
「多職種チームで」
「連携」
*本日10/11開催中央区医師会の勉強会を参考に作成
講演『がん緩和医療の現状と今後の展望』
演者 国立がんセンター中央病院
手術部 部長
緩和医療支援チーム 管理者
下山 直人先生