『2010DOCOMOMO ISC(International Science Committee) Technology Seminar in Tokyo』が、5月14日から3日間の日程で、開催されています。
http://www.tis-partners.co.jp/docomomojapan_tech/2010wg.html
日本でのISC技術セミナー開催は、「do.co.mo.mo_Internatinal Science Committee」の後援による日本初のイベントであるといいます。
開催の意義は、大会抄録集のはじめのページに、学術委員会委員長藤岡洋保氏(東京工業大学大学院教授、建築史家)が書かれていますが、「文化背景の異なる専門家が集まって、(中略)金属が近代の建築においてどのように使われてきたかについて意見を交わすことは、技術に対するより深い洞察につながるだけではなく、その歴史的価値をどうやって継承するかを考えるきっかけになることが期待される。」とその意義を述べられています。
「DOCOMOMO=Documentation and Conservation of buildings,sites, and neibourhoods of the Modern Movement(モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織)」の活動目的は、
1.モダン・ムーブメントの建築遺産を、一般市民、行政当局、専門家、教育機関に広めること。
2.モダン・ムーブメントの建築作品の調査を進め、広げること。
3.モダン・ムーブメントの建築貴重な作品の破壊と破損に反対すること。
4.資料調査と保存のために基金を誘致すること。
5.モダン・ムーブメントに関する見識を広め、探求すること。
とあります。(抄録集より)
初日の本日は、会場が築地市場で開催されました。ご存知の通り、築地市場は、ふんだんに鉄骨が使われた名建築です。参加した専門家・学識経験者の皆様が、築地市場の名建築をつぶさに御覧いただけたこと自体、非常に有意義な出来事であったと思います。
できましたら、築地市場の更新のあり方に関し、専門家の皆様からご教授がいただければありがたいと思っています。
私も、一般参加が可能であったため、参加してきました。
セミナーの内容は、ものすごく専門的でした。
セッション名だけ書きますと、
「地震と保存の改修事例」
「構造システム」
「生産システム」
「ファサード」
「技術の評価と保存」
「技術と20世紀」
中央区にも、歴史的・文化財的重要性を有した多くの建造物・橋梁があります。築地市場だけでなく、歌舞伎座、明石小学校・中央小学校・明正小学校などの復興小学校、日本橋や勝鬨橋などなど、数多く存在しています。
それらを、今後、どのように後世に伝えていくべきか、政治的判断の前に、土木建築学や構造学など科学的な分析が欠かすことができないと考えます。
専門家・学識経験者との情報交換、情報共有の場を大切にしていきたいと思います。
写真は、研究会のひとこま。
下は、朝日新聞に取り上げられた国際会議開催の記事です。
****朝日新聞 夕刊(2010/05/08)論説委員室から*****
鉄とコンクリートでつくる機能重視のモダニズム建築は、戦後の日本の町並みの基調をなしてきた。東京中央郵便局や赤坂プリンスホテル新館のように、その名建築が次々に姿を変えたり、消えたりしつつある。何とか残せないものか。
そんな問題をテーマにした国際会議が5月14日から3日間、欧米の専門家も多数参加して東京で開かれる。
建て替えの主な理由は、経済性や老朽化、耐震性の弱さだ。しかし、会議の主催者でモダニズム建築保存に取り組む「DOCOMOMO Japan」の中で実行委員長を務める今川憲英さんによると、多くの場合、技術進歩のおかげで、改修の際に補強すれば使い続けられるし、経済的にも安上がりという。
たとえばモダニズムを代表する建築家、村野藤吾の旧千代田生命本社ビル(1966年)は、鉄骨構造の強化などで東京・目黒区役所へと再生した。
会議では、地震国日本で補強のために盛んに使えわれてきた鉄筋や鉄骨を中心に保存技術の観点から話し合う。
このため会場の一つにモダニズム建築の傑作である東京の築地市場を選んだ。「鉄骨造りの大空間がすばらしい。市場の移転論議は経済性や環境面ばかりだが、会議をきっかけに建築の価値にも目を向けてもらえれば」と今川さん。
会議は有料で誰でも参加可能、東京のモダニズム建築の見学ツアーもある。問い合わせは実行委員会(電話03-5217-2611)へ。(大野正美)
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