「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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築地市場廃止・豊洲新市場開設の問題は、日本の農業・水産業、食品産業の将来に関わる重大問題。

2010-12-23 20:06:38 | マニフェスト2011参考資料
 12/22の『第13回築地市場を考える勉強会』では、有意義な情報交換・意見交換がなされ、私自身もたいへん勉強させていただきました。

 築地市場の現在地での再生を考えることは、日本の将来の流通のあり方、食品産業のあり方、農業・水産業のあり方を考えることにつながることを改めて認識させていただきました。

 築地市場を廃止し、豊洲での新市場開設が計画されています。

 そもそも、その場所は、日本最大規模の土壌汚染地であり、土地購入代金1980億円に対して土壌汚染対策費用586億円で割合としての30%は、ブラウンフィールド・塩漬け土地の定義にも合致しています。
 土壌汚染調査・土壌汚染処理対策が不十分な形で、また、土壌汚染処理をチェックするはずの環境アセスメントも不十分な形でなされたまま、強引な計画が進められている状況にあります。
 
 土壌汚染地に市場建設をするということ自体論外な話ではあるのですが、今まで、築地市場が守ってきた「食の安全・安心」、「築地のブランド」、「食文化」等等、築地市場を現在地で再整備を成し遂げることで、これからも守り続けて行かねばならないと考えています。

 以下は、勉強会でもテーマにされた農林水産省 食料・農業・農村審議会食品産業部会で現在審議されている内容です。

 食品産業部会のスケジュールでは、平成23年1月~2月に「食品産業の将来方向(仮称)」(原案)について議論され、パグリックコメントがなされ3月に「とりまとめ(案)」について議論されるとあります。
 パブリックコメントの段階で、ぜひとも、多くの声を農林水産省へ届けて行きたいものです。

 下線は、私が、重要と思われる部分。

*******農林水産省ホームページより*******
(資料1)

食品産業の将来方向(たたき台)

<趣旨>
○ 食料・農業・農村基本計画(3月)・新成長戦略(6月)を踏まえ、更に8月の基本フレーム策定以降の変化も考慮したものとして策定。食品産業全般の将来方向を議論するのは、1981年11月の「食品産業の展望と課題」以来。
○ 食品産業が、食料の安定的な供給を始めとする国民への価値提供を持続、発展させていくためには、個々の事業者が創意工夫を発揮し、経営発展を遂げることが必須。
○ 食品産業が国民生活に及ぼす影響の大きさ、最近の国内外における急激な環境変化、中小企業の事業者が大宗を占める産業構造等を考慮すると、個別事業者の自助努力のみでは課題解決に限界
○ 食品産業事業者が各々の判断を的確に行うためには、食品産業が目指すべき基本的な方向性を提示するとともに、行政も含めた多様な関係者の役割分担を明確にして目標を掲げながら協働していくことが必要。

<食品産業に期待される役割>
○ 国民が食を通じた豊かな生活を楽しむために食品産業に期待される以下の役割を意識して、各々の事業活動が展開されることが重要。
・国民に対する安全な食料の安定的な供給
・国民に対して良質かつ多様な食料を供給し、「食」を通じた豊かな生活の実現に貢献
・国産農林水産物の最大の需要者として国内農林水産業を支える
・国民経済、特に地域経済の担い手
・資源の有効利用の確保及び環境への負荷の低減

<食品産業をめぐる状況変化>
○ 我が国経済全体として需給ギャップが拡大し、デフレが進行。食品産業も人口減・高齢化等により国内市場は量的に縮小傾向で推移している中、過剰設備などの需給ギャップ問題が顕在化。他方、店舗に直接出向いて商品を購入することが困難となる、いわゆる「フードデザート」や「買い物弱者」と呼ばれる問題が顕在化するなど一部地域において需給のミスマッチ状況が見られる。食品産業は、マクロ面での需給ギャップと局地的な需給のミスマッチが存在するアンバランスな状況にある。
○ 食品の安全性、品質に対する消費者の関心が高い状態は継続。
○ アジア諸国をはじめとする新興国の経済発展に伴う市場の拡大。
○ 国内農林水産業の弱体化により、国産農林水産物の供給力が低下している一方で、世界的には、穀物等需要の増加や投機マネーの流入等を背景にした原料等の価格上昇・不安定化。
○ 食品供給行程(フードチェーン)全体では、延伸化と複雑化の動きが継続。
○ このほか密接に関係する社会経済状況
・ 情報・通信技術(IT)の発達等を背景にした事業変化のスピードの加速化
・ 環境負荷低減や生物多様性への配慮等環境課題、法令遵守等の企業の責任ある行動に対する要請の高まり
・ 農林漁業者の所得減少や公共事業削減等による地方経済の停滞
○ グローバル化の急速な展開(EPA交渉等)
・主要貿易国間において高いレベルのEPA/FTA網が拡大し、市場の垣根が低下。
・11月の「包括的経済連携に関する基本方針」の閣議決定

<食品産業の目指すべき方向>
○ 個々の食品産業事業者の経営体質の強化を通じて、食品産業全体として事業活動の持続性を高めていくこと。
○ 現在顕在化しつつある国内市場の量的な縮小局面における課題に対応するためには、国内外の新たな需要の開拓に向けた創意工夫が必要であるとともに、体質強化等による企業の構造改革、更に必要に応じて産業全体の構造改革を進めることが必要。各事業者は戦略を明確にしてこれらの課題に取り組むことが重要。
○ 需要開拓の観点では、国内市場の深耕と海外市場の開拓。
○ 企業の体質強化の観点では、情報・通信(IT)技術等を活用した生産や物流体制の見直しによる効率化、競争優位な分野への重点化と競争劣位分野からの撤退等による選択と集中の実施や企業結合、企業間連携による企業規模の拡大。
○ 企業の戦略を明確化する際に着目すべき共通の「視座」としては以下のものが考えられ、これらの視座を選び、組み合わせていくことが有効。
・ライフスタイル(消費者)起点
食品産業の事業活動を、単なる「物」の供給ではなく、幅広いライフスタイルの提案として捉え、研究・商品開発力を強化し、新たな付加価値を生む商品、サービスを開発すること。
・地域起点
必要に応じ、地域の関係者と連携・協力しつつ、各地域の気候、歴史、風土を反映した事業展開や地元産農林水産物を原材料として利用し、事業者間でマーケティング、研究開発等を連携することなどにより地域の魅力をフル活用すること。
・国際起点(グローバル化)
国内外での企業の合併・買収、資本参加、子会社化等の企業結合や企業間連携を通じ、事業の水平展開、垂直展開等を実現して、収益性の高く、効率の良い経営を実現すること。
○ 食品産業の全体構造としては、①水平、垂直両方向での企業結合や企業間連携を進め、グローバル企業の一翼を担う企業群が形成されることと並んで、②我が国の多様な農林水産物や食文化を背景とする独創的な食品及び食に関するサービスを生み出す中小企業の事業活動が活発化している状態を期待(国際的に見ても、食品産業には中小規模の事業者が多く、食の多様性を支えている)。

<共通の目標と関係者の役割分担・協働>
○ 個別の食品産業事業者の自助努力のみでは十分ではなく、生産から消費までのフードチェーンの幅広い関係者が行政とともに目指すべき目標を共有すること、官民が適切に役割分担をして取り組んでいくことが必要。更に、行政も含めた関係者が連携しながら協働した取組を推進。

【2020年までに実現すべき共通の目標】
① 国内の飲食料の最終消費額及び食品産業の国内生産額
〔健康・介護向け市場、朝食市場、訪日外国人市場の開拓等による〕
② 農業参入や農商工連携等、農林漁業者との連携を進め、食品産業事業者が参画した6次産業化の優良事例数
③ アジアにおける食品製造業の現地売上高

【食品産業事業者に期待される役割】
・食品産業事業者は、食品の安全性の向上を大前提とし、食品産業に対する社会的使命を意識しつつ、上記3つの視座を踏まえて戦略的な事業活動を展開

【フードチェーン関係者に期待される役割】
・業界団体等
個別企業では限界があり、同種の課題を抱える複数の企業が共同で取り組むことが有効な事項への対応。
・農林漁業者
消費者ニーズにきめ細かく対応できるような加工・外食仕向けの生産体制の確立や加工販売のノウハウの共有など6次産業化を通じた食品事業者との連携の促進。
・関連事業者
食品機械・包材、運送・保管、家電、ITなど多様な事業者との連携による新たなビジネスの開拓。
・消費者
食に対する理解の増進とバランスの良い食生活、食品ロスの削減等への取組。

【協働】
・個別事案ごとの連携ではなく、課題抽出から解決手法の考案まで、多様な関係者が目的を共有し、それぞれの資源を持ち寄って継続的に改善していく「協働」の取組が有効。
・案件に応じて政府が場の運営に携わる官民の協働の枠組みを構築(プラットフォームの形成)。

<政府の役割>
○ 政府は、目標の実現に向けて企業が主体性と創意工夫を発揮できるよう、以下のような制度面からの共通インフラの整備を行い、企業の事業活動を側面から支援する。
この考え方に基づき、以下の事項を推進。
①非関税障壁を含む国境措置など国家間の取り決めが必要となる事項への対応
②取引慣行の改善、知財保護、競争政策、構造政策、市場整備など、企業の創意工夫が円滑に発揮できる環境の整備
③情報の非対称性や外部不経済など市場の失敗を招く事態への対応
・地球環境の課題への対応、基盤技術の開発や食の安全の推進、技術革新と消費者理解との調和、食育の推進等(官民の協働の枠組み(プラットフォーム)も活用)
・投資促進など資金調達を容易にする環境整備やリスクを軽減する仕組みの構築

以上、
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