前のブログで掲載すると書きました平成21年3月の予算特別委員会の一部です。
昨年度の予算のための審議内容であり、問題が古くなっている点は、ご注意ください。ただ、問題の本質は、今も変わっていません。
***平成21年3月予算審議引用***
○小坂委員
友愛中央の態度表明を述べます。
平成21年、日本は派遣村から始まりました。急激な経済の悪化の状況下、雇用の調整弁として位置づけられた派遣社員が解雇され、職を失うと同時に住居も失い、路頭に迷いました。雇用を守ることを訴えたNPOが彼らの年越しのための住居を日比谷公園内に確保し、その惨状を国に訴えたことにより、国や都を動かし、区を動かし、ここ中央区も受け入れ先を準備し、NPOとの協働による早急なる対応を成し遂げました。その御努力に感謝申し上げる次第です。
今や、金融不安、経済成長の失速、貿易停滞、失業増をはらんだ経済危機は、世界共通の問題となっています。
一方、大きな歴史の流れの中では、世界は今、近代に入って3度目のパラダイム転換期を迎えていると言われています。15世紀に、まずキリスト教文化圏の思考体系や技術力、政治経済の理念などが西洋の台頭という形で広がり、18世紀後半から加速的に世界を席巻していきます。その流れの中で、産業革命を達成した大英帝国が覇権を握ったのが第1のシフトです。
19世紀末には、旧宗主国である英国から米国が覇権を譲り受け、特にソ連崩壊以降は唯一の超大国、ローマ帝国以来の最強国家として君臨しました。これが第2のシフトです。
そして、現在進行している第3のシフトが、米国による一極支配体制の終えんです。米国の凋落ではなく、その他すべての国の台頭により、世界はこの第3のシフトに入りました。ポストアメリカの時代が始まったのだと言います。
実際に、この第3のシフトにおいて、時代の寵児としてバラク・オバマ氏が黒人初の大統領につき、ブッシュ前大統領の単独行動主義の路線から多国間主義へと路線を切りかえてきています。第3のシフトという歴史的な世界の大きな流れの中で、また経済危機の中で、日本や日本の中心、心臓部に位置する中央区の役割は大きいと言えます。
このたびの中央区の一般会計予算678億3,038万4千円は、昨年度比64億634万4千円、10.4%増であり、区債発行することもなく、総合経済対策124億8,500万円を計上し、直面する最大の課題の一つ、経済危機に果敢に取り組むとともに、温暖化防止対策や子育て支援、高齢者施策の充実、学校の改修、認証保育園誘致、認定こども園や産科医院を開設し、着実に区民福祉の向上を目指している点を高く評価します。
また、新たな取り組みとしてのワーク・ライフ・バランス施策の導入が功を奏し、PTAや地域貢献活動に参加したり、子育て環境が充実されることを期待します。こちらも新たな取り組みである中央区マンションの適切な管理の推進に関する条例の制定により、新しく中央区の住民になられた方々が地域づくりの一員として、地元町会・自治会を初め、地域に早く打ち解けることができる環境整備がなされることを切に願います。
昨今、行政課題も複雑さを増してきております。複雑な行政課題では、その分析に当たって、行政側が専門家による会議体を設置して検討をし、政策立案することが多くなってまいりました。歌舞伎座の建てかえ問題を検討する歌舞伎座再生検討委員会や、豊洲の土壌汚染対策を検討する専門家会議や技術会議などが好例です。
理事者の皆様に期待するところとして、そのような検討会議体の公開はもちろん、その報告をきちんと区民に説明する場を速やかに設けていただきたいと考えます。また、議会としては、報告をうのみにするのではなく、その報告書を十分に吟味した上で、政策決定の材料としたいと考えています。
今回の予算特別委員会で、開かれた区政のあり方について、特にシステムがつくられるプロセスの大切さ、システム決定に至るプロセスもまた公開されることの大切さを指摘してまいりました。
その理由を述べます。
議会も行政も、条例、法律や制度、すなわちシステムをつくっています。システムと区民の関係は、当然、システムはそれを利用する区民の福祉向上に寄与するために存在すべきであります。ただ、残念ながら、システムが区民福祉の向上とは逆に、区民を縛り、区民がシステムに仕える主従逆の現象が今の区政の中に散見されています。もし、正しいプロセスを経てつくられたシステムであれば、主従逆には決してならないはずとの思いで、プロセスの大切さを指摘してまいった次第です。
先日、小説家、村上春樹氏は、エルサレムの非常に栄誉ある文学賞を受賞されました。多くの皆様の記憶に新しいところであると思います。そこでなされたすばらしい内容のスピーチは、地元イスラエルを初め、世界中のメディアが取り上げました。
村上氏は、システムとそれに縛られる弱い存在の人間の関係を、高く固い「壁」と、それにぶつかると割れてしまう「卵」と述べました。
彼は、多くの反対を押し切って、自分の目で確かめるために現地エルサレムに出向きました。それは、今起こっているガザ地区での戦闘において、爆撃機であり、戦車であり、ロケット砲であり、白リン弾という高く固い「壁」に壊され、燃やされ、撃たれる「卵」のような弱い非武装市民が存在することを、小説家として、暗喩を用い、述べることが目的でした。そして、彼は、どんなに「壁」が正しく、どんなに「卵」が間違っていようとも、自分は「卵」のそばに居続けるという小説家としての姿勢を明らかにしたのでした。
今、日本には、幸運にして、戦争という「壁」に、ぶつけられ壊されていく「卵」のような存在の市民はいません。けれども、村上氏のその「卵」の比喩は、中央区民並びに中央区にも当てはまると考えます。
村上氏は、スピーチの中でこう述べています。
僕たち一人一人が、多かれ少なかれ「卵」なのです。僕たちは、唯一かけがえのない魂を内包した壊れやすい殻に包まれた「卵」なのです。これは、僕にとっての真実であり、皆さんにとっての真実でもあります。そして僕たちはそれぞれ多少の違いはあっても、高くて固い「壁」に直面しています。その「壁」の名は、そう、「システム」です。システムは僕たちの守りを固めるためのものですが、しかし時折自己増殖して、冷酷に、効果的に、システマティックな方法で僕たちに殺し合いをさせるようしむけます。
システムが私たちを殺し合いにしむけるということは、今の日本では大げさであるとしても、中央区を見渡せば、システムという高くて固い壁に直面し、苦悩する多くの区民がおられるのではないでしょうか。
防災性の向上という名のもとに超高層建築物が立案され、十分な説明を受けることなく計画は進行、日照を奪われることや、風害や工事の騒音に苦しめられることに不安を抱く周辺の住民がいらっしゃいます。
地上げに遭い、バブルの崩壊後には虫食い状態となった土地の再開発において、区道廃止と超高層建築物が立案され、計画は進行、困難な状況を乗り切った一番の当事者であり、彼等の一人一人の権利をこそ大切にすべきであるのに、十分な計画の説明を受けることもなく、計画に取り残された戸建ての住民がいらっしゃいます。
歩行者交通量を緩和するということの解決を目的に計画されておきながら、その目的達成の効果の証明もないまま、橋梁の架橋が立案され、計画は進行、十分な計画の説明を受けることもなく、日々の静かなたたずまいやプライバシーを侵害されかねない住民がいらっしゃいます。
環状2号線は、地下で行うはずの都市計画決定から地上化に計画が変更され、大気汚染や騒音により周辺住民の生活は犠牲になろうとしています。同様に、首都高速晴海線は、その必要性の説明もないまま、豊洲から、次は晴海へと延長する計画が進行中であり、大気汚染、騒音、交通環境の悪化が周辺住民に押しつけられようとしています。
そして、今や、オリンピックが東京開催で決定された場合、立候補ファイルでは、晴海の運動場の場所にオリンピックメーンスタジアム、豊海小学校の運動場に道路の絵が描かれており、区民の生活を犠牲にした計画が遂行される可能性が危惧されてなりません。
障害のある方々の施策の関連で申し述べれば、ソフト面も含め、学校のバリアフリー化が進んでいれば、復籍制度を利用して地元の小・中学校にも通うことができる特別支援学校在籍の障害のある児童がいらっしゃいます。
コミュニティバスが就労支援施設の前にとまるのであれば、自分の能力を社会に生かし、自己実現をすることができる障害のある方がいらっしゃいます。
成年後見制度の認知度が高まっていれば、親亡き後のことを不安に思いながら過ごさずに済む障害のある子を持つ親御さんがいらっしゃいます。
まだまだ、挙げればきりがありませんが、システムという高くて固い「壁」に直面し、苦悩する区民の例を述べさせていただきました。そして、中央区自体も、システムという高くて固い「壁」に直面をしている「卵」なのかもしれません。
日本国憲法の保障する地方自治の大原則である団体自治の原則を破り、地元自治体の意向を一切無視し、築地ブランドや築地の食の文化、食の安全・安心、市場内外で商売を営む方々の生活を犠牲にして、東京都は築地市場廃止、豊洲の土壌汚染地での新市場開設を強行しようとしています。
議会と区政は、常にシステムという壁と直面する人間の側にこそ寄り添い、希望を見出したいものです。
村上氏は、次のようにスピーチを締めくくっています。
僕はきょう、皆さんにお伝えしたかったことはただ一つです。僕たちはだれもが人間であり、国籍や人種や宗教を超えていく個人であり、システムと呼ばれる固い「壁」に直面する「卵」だということです。どう見たって僕たちに勝ち目はなさそうです。「壁」は余りにも高く、余りにも強く、そして余りにも冷たい。もし僕たちに勝利の希望が幾らかあるとすれば、それはかけがえのない独自性を信じ、自分と他の人々の魂とを互いにつなぎ合わせた暖かさに頼るしかありません。少し考えてみてください。僕たちは、それぞれ、今ここに実態のある魂を持っています。システムは、それを持っていません。僕たちは、システムが僕たちをつかさどることを許してはなりません。僕たちは、システムがひとり歩きすることを許してはなりません。システムが僕たちをつくったわけではない。僕たちがシステムをつくったのです。これがきょう、僕が皆さんに語りたかったことのすべてです。
村上氏のスピーチに同感です。私たちのつくったシステムに決して縛られてはなりません。区民生活の向上を目指して、常にシステムを改革、更新していかねばなりません。
一般会計予算の評価は前半に述べさせていただいたように、高く評価しています。特別会計予算も医療、介護の質の確保と持続可能な制度運用を期待しています。
それにあわせて、最後に申し述べましたように、常に区民の側に立ち、常に区民生活の福祉向上を念頭に置いて議会運営・区政運営がこれからもなされていくための予算執行であることを強く要望して、平成21年度各会計予算案に賛成いたします。
ありがとうございました。
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昨年度の予算のための審議内容であり、問題が古くなっている点は、ご注意ください。ただ、問題の本質は、今も変わっていません。
***平成21年3月予算審議引用***
○小坂委員
友愛中央の態度表明を述べます。
平成21年、日本は派遣村から始まりました。急激な経済の悪化の状況下、雇用の調整弁として位置づけられた派遣社員が解雇され、職を失うと同時に住居も失い、路頭に迷いました。雇用を守ることを訴えたNPOが彼らの年越しのための住居を日比谷公園内に確保し、その惨状を国に訴えたことにより、国や都を動かし、区を動かし、ここ中央区も受け入れ先を準備し、NPOとの協働による早急なる対応を成し遂げました。その御努力に感謝申し上げる次第です。
今や、金融不安、経済成長の失速、貿易停滞、失業増をはらんだ経済危機は、世界共通の問題となっています。
一方、大きな歴史の流れの中では、世界は今、近代に入って3度目のパラダイム転換期を迎えていると言われています。15世紀に、まずキリスト教文化圏の思考体系や技術力、政治経済の理念などが西洋の台頭という形で広がり、18世紀後半から加速的に世界を席巻していきます。その流れの中で、産業革命を達成した大英帝国が覇権を握ったのが第1のシフトです。
19世紀末には、旧宗主国である英国から米国が覇権を譲り受け、特にソ連崩壊以降は唯一の超大国、ローマ帝国以来の最強国家として君臨しました。これが第2のシフトです。
そして、現在進行している第3のシフトが、米国による一極支配体制の終えんです。米国の凋落ではなく、その他すべての国の台頭により、世界はこの第3のシフトに入りました。ポストアメリカの時代が始まったのだと言います。
実際に、この第3のシフトにおいて、時代の寵児としてバラク・オバマ氏が黒人初の大統領につき、ブッシュ前大統領の単独行動主義の路線から多国間主義へと路線を切りかえてきています。第3のシフトという歴史的な世界の大きな流れの中で、また経済危機の中で、日本や日本の中心、心臓部に位置する中央区の役割は大きいと言えます。
このたびの中央区の一般会計予算678億3,038万4千円は、昨年度比64億634万4千円、10.4%増であり、区債発行することもなく、総合経済対策124億8,500万円を計上し、直面する最大の課題の一つ、経済危機に果敢に取り組むとともに、温暖化防止対策や子育て支援、高齢者施策の充実、学校の改修、認証保育園誘致、認定こども園や産科医院を開設し、着実に区民福祉の向上を目指している点を高く評価します。
また、新たな取り組みとしてのワーク・ライフ・バランス施策の導入が功を奏し、PTAや地域貢献活動に参加したり、子育て環境が充実されることを期待します。こちらも新たな取り組みである中央区マンションの適切な管理の推進に関する条例の制定により、新しく中央区の住民になられた方々が地域づくりの一員として、地元町会・自治会を初め、地域に早く打ち解けることができる環境整備がなされることを切に願います。
昨今、行政課題も複雑さを増してきております。複雑な行政課題では、その分析に当たって、行政側が専門家による会議体を設置して検討をし、政策立案することが多くなってまいりました。歌舞伎座の建てかえ問題を検討する歌舞伎座再生検討委員会や、豊洲の土壌汚染対策を検討する専門家会議や技術会議などが好例です。
理事者の皆様に期待するところとして、そのような検討会議体の公開はもちろん、その報告をきちんと区民に説明する場を速やかに設けていただきたいと考えます。また、議会としては、報告をうのみにするのではなく、その報告書を十分に吟味した上で、政策決定の材料としたいと考えています。
今回の予算特別委員会で、開かれた区政のあり方について、特にシステムがつくられるプロセスの大切さ、システム決定に至るプロセスもまた公開されることの大切さを指摘してまいりました。
その理由を述べます。
議会も行政も、条例、法律や制度、すなわちシステムをつくっています。システムと区民の関係は、当然、システムはそれを利用する区民の福祉向上に寄与するために存在すべきであります。ただ、残念ながら、システムが区民福祉の向上とは逆に、区民を縛り、区民がシステムに仕える主従逆の現象が今の区政の中に散見されています。もし、正しいプロセスを経てつくられたシステムであれば、主従逆には決してならないはずとの思いで、プロセスの大切さを指摘してまいった次第です。
先日、小説家、村上春樹氏は、エルサレムの非常に栄誉ある文学賞を受賞されました。多くの皆様の記憶に新しいところであると思います。そこでなされたすばらしい内容のスピーチは、地元イスラエルを初め、世界中のメディアが取り上げました。
村上氏は、システムとそれに縛られる弱い存在の人間の関係を、高く固い「壁」と、それにぶつかると割れてしまう「卵」と述べました。
彼は、多くの反対を押し切って、自分の目で確かめるために現地エルサレムに出向きました。それは、今起こっているガザ地区での戦闘において、爆撃機であり、戦車であり、ロケット砲であり、白リン弾という高く固い「壁」に壊され、燃やされ、撃たれる「卵」のような弱い非武装市民が存在することを、小説家として、暗喩を用い、述べることが目的でした。そして、彼は、どんなに「壁」が正しく、どんなに「卵」が間違っていようとも、自分は「卵」のそばに居続けるという小説家としての姿勢を明らかにしたのでした。
今、日本には、幸運にして、戦争という「壁」に、ぶつけられ壊されていく「卵」のような存在の市民はいません。けれども、村上氏のその「卵」の比喩は、中央区民並びに中央区にも当てはまると考えます。
村上氏は、スピーチの中でこう述べています。
僕たち一人一人が、多かれ少なかれ「卵」なのです。僕たちは、唯一かけがえのない魂を内包した壊れやすい殻に包まれた「卵」なのです。これは、僕にとっての真実であり、皆さんにとっての真実でもあります。そして僕たちはそれぞれ多少の違いはあっても、高くて固い「壁」に直面しています。その「壁」の名は、そう、「システム」です。システムは僕たちの守りを固めるためのものですが、しかし時折自己増殖して、冷酷に、効果的に、システマティックな方法で僕たちに殺し合いをさせるようしむけます。
システムが私たちを殺し合いにしむけるということは、今の日本では大げさであるとしても、中央区を見渡せば、システムという高くて固い壁に直面し、苦悩する多くの区民がおられるのではないでしょうか。
防災性の向上という名のもとに超高層建築物が立案され、十分な説明を受けることなく計画は進行、日照を奪われることや、風害や工事の騒音に苦しめられることに不安を抱く周辺の住民がいらっしゃいます。
地上げに遭い、バブルの崩壊後には虫食い状態となった土地の再開発において、区道廃止と超高層建築物が立案され、計画は進行、困難な状況を乗り切った一番の当事者であり、彼等の一人一人の権利をこそ大切にすべきであるのに、十分な計画の説明を受けることもなく、計画に取り残された戸建ての住民がいらっしゃいます。
歩行者交通量を緩和するということの解決を目的に計画されておきながら、その目的達成の効果の証明もないまま、橋梁の架橋が立案され、計画は進行、十分な計画の説明を受けることもなく、日々の静かなたたずまいやプライバシーを侵害されかねない住民がいらっしゃいます。
環状2号線は、地下で行うはずの都市計画決定から地上化に計画が変更され、大気汚染や騒音により周辺住民の生活は犠牲になろうとしています。同様に、首都高速晴海線は、その必要性の説明もないまま、豊洲から、次は晴海へと延長する計画が進行中であり、大気汚染、騒音、交通環境の悪化が周辺住民に押しつけられようとしています。
そして、今や、オリンピックが東京開催で決定された場合、立候補ファイルでは、晴海の運動場の場所にオリンピックメーンスタジアム、豊海小学校の運動場に道路の絵が描かれており、区民の生活を犠牲にした計画が遂行される可能性が危惧されてなりません。
障害のある方々の施策の関連で申し述べれば、ソフト面も含め、学校のバリアフリー化が進んでいれば、復籍制度を利用して地元の小・中学校にも通うことができる特別支援学校在籍の障害のある児童がいらっしゃいます。
コミュニティバスが就労支援施設の前にとまるのであれば、自分の能力を社会に生かし、自己実現をすることができる障害のある方がいらっしゃいます。
成年後見制度の認知度が高まっていれば、親亡き後のことを不安に思いながら過ごさずに済む障害のある子を持つ親御さんがいらっしゃいます。
まだまだ、挙げればきりがありませんが、システムという高くて固い「壁」に直面し、苦悩する区民の例を述べさせていただきました。そして、中央区自体も、システムという高くて固い「壁」に直面をしている「卵」なのかもしれません。
日本国憲法の保障する地方自治の大原則である団体自治の原則を破り、地元自治体の意向を一切無視し、築地ブランドや築地の食の文化、食の安全・安心、市場内外で商売を営む方々の生活を犠牲にして、東京都は築地市場廃止、豊洲の土壌汚染地での新市場開設を強行しようとしています。
議会と区政は、常にシステムという壁と直面する人間の側にこそ寄り添い、希望を見出したいものです。
村上氏は、次のようにスピーチを締めくくっています。
僕はきょう、皆さんにお伝えしたかったことはただ一つです。僕たちはだれもが人間であり、国籍や人種や宗教を超えていく個人であり、システムと呼ばれる固い「壁」に直面する「卵」だということです。どう見たって僕たちに勝ち目はなさそうです。「壁」は余りにも高く、余りにも強く、そして余りにも冷たい。もし僕たちに勝利の希望が幾らかあるとすれば、それはかけがえのない独自性を信じ、自分と他の人々の魂とを互いにつなぎ合わせた暖かさに頼るしかありません。少し考えてみてください。僕たちは、それぞれ、今ここに実態のある魂を持っています。システムは、それを持っていません。僕たちは、システムが僕たちをつかさどることを許してはなりません。僕たちは、システムがひとり歩きすることを許してはなりません。システムが僕たちをつくったわけではない。僕たちがシステムをつくったのです。これがきょう、僕が皆さんに語りたかったことのすべてです。
村上氏のスピーチに同感です。私たちのつくったシステムに決して縛られてはなりません。区民生活の向上を目指して、常にシステムを改革、更新していかねばなりません。
一般会計予算の評価は前半に述べさせていただいたように、高く評価しています。特別会計予算も医療、介護の質の確保と持続可能な制度運用を期待しています。
それにあわせて、最後に申し述べましたように、常に区民の側に立ち、常に区民生活の福祉向上を念頭に置いて議会運営・区政運営がこれからもなされていくための予算執行であることを強く要望して、平成21年度各会計予算案に賛成いたします。
ありがとうございました。
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