中央区には、銀座のランドマーク・歌舞伎座を守りながらの更新ができず、取り壊してしまった苦い経験があります。
米子市公会堂改修問題にも通じるところがあり、関連記事を掲載させていただきます。文化を守っていくことは、それなりに経費がかさむことでもあります。
ただし、かけがえのない文化を守ってこそ、街の価値をずっと後世に伝えていくことができると考えます。
*****読売新聞(2010/12/23)******
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tottori/news/20101222-OYT8T01070.htm
米子市公会堂改修 知恵絞れ
3月末に耐震強度不足が判明した米子市のランドマーク・市公会堂。11月末に野坂康夫市長が「改修」を決断しましたが、市議会の委員会は今月、市民団体が存続と早期改修を求めていた陳情を継続審査としました。15億円余りと試算される改修費のうち、市の実質負担がどれだけになるのかといった疑問が解消されないためです。
市民団体のメンバーは「本当に改修されるか分からず、結論が出るまで募金も止めざるを得ない」と落胆しています。公会堂問題はいつまで〈迷走〉するのでしょう。
こじれた最大のきっかけは、市長が7月に実施すると公言した改修費の再調査を、9月になって中止したこと。陳情を審査した今月16日の委員会で、市長は「基本設計と同様の多額の費用がかかることが、後になって分かった。見通しが甘かった」と非を認めました。
市民アンケートの実施もしかり。市長は9月議会で「我々が集めているデータに基づき、施設の設置者として判断する」と実施しない方針を明言。取材に対しても「色んな人の意見を聞いている」と述べ、〈トップ判断〉で決める意向を強調していました。
ところが、その後「公会堂の存廃に結論が出るまで、図書館・美術館の改修事業費の執行を保留すべきだ」との議会の付帯決議を受け、急きょ実施を決めたのです。
市民の意見をなぜ速やかに聞かなかったのか。文化行政に遅れを招くまで頑固な姿勢をとり続けた理由が、よく分かりません。
改修にかかる実質負担額のほかにも、文化勲章受章者の建築家村野藤吾氏のデザインという文化財的価値に改修が及ぼす影響、改修後の活用策など、議員からは課題を指摘する声が上がっています。改修の必要性や意図、公会堂を利用した街の活性化策を真摯(しんし)に説いていくことにこそ、市長には持ち前の頑固さを発揮してもらいたいと思うのです。
議会にも注文があります。緊縮財政下、費用対効果を懸念するのは当然ですが、活用策の検討を市に丸投げするのではなく、古里のランドマークがいっそう親しまれる施設になるよう一緒に知恵を絞るべきではないでしょうか。(大櫃裕一 54歳)
* *
今年もあとわずか。話題を追って現場を駆け回った記者たちが、主な出来事を振り返ります。
ご意見、ご感想は手紙やファクス、電子メール(tottori@yomiuri.com)で鳥取支局へ
(2010年12月23日 読売新聞)
米子市公会堂改修問題にも通じるところがあり、関連記事を掲載させていただきます。文化を守っていくことは、それなりに経費がかさむことでもあります。
ただし、かけがえのない文化を守ってこそ、街の価値をずっと後世に伝えていくことができると考えます。
*****読売新聞(2010/12/23)******
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tottori/news/20101222-OYT8T01070.htm
米子市公会堂改修 知恵絞れ
3月末に耐震強度不足が判明した米子市のランドマーク・市公会堂。11月末に野坂康夫市長が「改修」を決断しましたが、市議会の委員会は今月、市民団体が存続と早期改修を求めていた陳情を継続審査としました。15億円余りと試算される改修費のうち、市の実質負担がどれだけになるのかといった疑問が解消されないためです。
市民団体のメンバーは「本当に改修されるか分からず、結論が出るまで募金も止めざるを得ない」と落胆しています。公会堂問題はいつまで〈迷走〉するのでしょう。
こじれた最大のきっかけは、市長が7月に実施すると公言した改修費の再調査を、9月になって中止したこと。陳情を審査した今月16日の委員会で、市長は「基本設計と同様の多額の費用がかかることが、後になって分かった。見通しが甘かった」と非を認めました。
市民アンケートの実施もしかり。市長は9月議会で「我々が集めているデータに基づき、施設の設置者として判断する」と実施しない方針を明言。取材に対しても「色んな人の意見を聞いている」と述べ、〈トップ判断〉で決める意向を強調していました。
ところが、その後「公会堂の存廃に結論が出るまで、図書館・美術館の改修事業費の執行を保留すべきだ」との議会の付帯決議を受け、急きょ実施を決めたのです。
市民の意見をなぜ速やかに聞かなかったのか。文化行政に遅れを招くまで頑固な姿勢をとり続けた理由が、よく分かりません。
改修にかかる実質負担額のほかにも、文化勲章受章者の建築家村野藤吾氏のデザインという文化財的価値に改修が及ぼす影響、改修後の活用策など、議員からは課題を指摘する声が上がっています。改修の必要性や意図、公会堂を利用した街の活性化策を真摯(しんし)に説いていくことにこそ、市長には持ち前の頑固さを発揮してもらいたいと思うのです。
議会にも注文があります。緊縮財政下、費用対効果を懸念するのは当然ですが、活用策の検討を市に丸投げするのではなく、古里のランドマークがいっそう親しまれる施設になるよう一緒に知恵を絞るべきではないでしょうか。(大櫃裕一 54歳)
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今年もあとわずか。話題を追って現場を駆け回った記者たちが、主な出来事を振り返ります。
ご意見、ご感想は手紙やファクス、電子メール(tottori@yomiuri.com)で鳥取支局へ
(2010年12月23日 読売新聞)