議員になり、初めての本会議での一般質問です。
振り返りますと、あの時とりあげた一般質問の課題は、今でも私自身が考える区の最重要課題であると思っています。
そのひとつが住民税の1%を、納税者が、能動的に使い道を決めるという制度の導入です。
住民全員が、誰もが、タイガーマスクという制度です。
もう一度、現時点で、自分自身も再考したく、当時の本会議一般質問の該当箇所を抜粋致します。
<1%支援制度関連アドレス>
市川市1%支援制度:http://www.genki365.com/ichikawa/ichikawa_volunteer/nouzei.htm
市川市の関連条例は、下のブログ:『市川市納税者等が選択する市民活動団体への支援に関する条例 』平成16年12月20日
****中央区議会 本会議 一般質問*****
平成19年第三回定例会会議録(第3日 9月27日)
http://www.kugikai.city.chuo.lg.jp/kaigiroku.cgi/h19/teireikai200703-3.html?userq=10
◯小坂議員
三つ目の課題に移ります。
NPO・ボランティア活動の活性化による地域力向上を目指した「一%支援制度」の導入について。
平成十年(一九九八年)に、特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が成立いたしました。
NPOはNONPROFIT ORGANIZATIONという和製英語で、非営利組織を指します。NPOは、NGO、すなわちNONGOVERNMENTAL ORGANAIZATION、非政府組織と大体同義と考えてよいわけですが、NGOは、もともと、国連に、政府としてではなく活動する組織を指してきた経緯があり、NGOは主に国際協力活動、NPOは主に国内活動を指しています。さらに、NPOは社会システムを変革する道具として新しく誕生したことを強調することの意味もあり、和製英語がつくられた経緯を持つと言われています。
NPOは、寄附、ボランティア、委託事業等の社会的資源を活用して公共的サービスを提供する事業体と定義されます。例えば、福祉や環境保全、まちづくりなどの活動をする、営利を目的としない市民団体のことです。日本では一九九五年の阪神・淡路大震災以降注目され、九八年にNPO法が施行につながりました。英国では、ボランタリー・コミュニティ組織(VCO)などと呼ばれ、公益性を認定され、税制上の優遇資格を持つ団体だけで約十九万に上っています。
市民にとって、NPOとは社会参加の道具であり、今までは企業と行政が社会を成り立たせていましたが、NPO法によりNPOが認められたことは、企業と行政、そして市民が社会を成り立たせる時代の到来を意味いたします。
私は、一九九八年をこそ、日本社会を変えるメルクマールとなる年と考えます。このNPO法成立は、明治以来の中央集権体制からの脱却であり、市民が公共に参加することを認めたからです。そして、その年から十年以上が経過し、認証を受けたNPO法人は現在三万を超えます。ここ中央区にも、平成十七年の段階で三百九十のNPO法人が存在するようになりました。
中央区は、平成十八年三月に、「みんなでつくる快適で活力に満ちた都市型協働社会」の実現をうたい文句に、地域との協働指針を策定、そして、このたび、地域との協働指針の円滑な執行と社会貢献活動の一層の活性化、協働の推進に向けて、中央区協働推進会議を設置し、検討を始めることになっており、その活躍に期待をするところであります。
日本社会全体で地域力の低下が叫ばれ、地域ぐるみで子育て、地域で見守りができにくくなっています。しかし、その一方で、中央区では町会・自治会活動がもともと存在しておりました。その後、プレディという、地域の人がボランティアで学校に出向き、放課後の子供たちの面倒を見たり、ファミリーサポートという地域の人が地域の人の助けになるシステムができたり、NPO法成立以後、子育て支援、教育、環境学習、地域情報発信の取り組み等、さまざまな形のボランティア団体やNPOが登場してきています。地域力が芽生える新たな土壌ができつつありますが、この地域力がさらに育ち、花開く中央区にするためには、NPOの人材育成、行政や他のNPOなどとの連携、弱い財政基盤など、まだまだ多くの課題があります。
NPOは、福祉力、教育力、雇用力をその強みとして持っており、今後、地域力を高める主体となっていくと考えますが、そこで、御質問させていただきます。
第一番目の質問は、今後、中央区はNPOとの協働をどのように進めていくお考えでいらっしゃいますでしょうか。
例えば、地域振興課内に協働推進の係を持つのではなく、(仮称)NPO・ボランティア協働推進課のようなNPO・ボランティアとの協働推進のための独立した課を設け、積極的に取り組むところから始める必要があると考えますが、いかがでしょうか。
NPOの活動を根付かせるためには、基本的には財政的基盤が弱いNPOへの支援が必要であります。昨今、他の自治体の例を見るに、例えば、市川市納税者が選択する市民活動団体の支援に関する条例(通称一%支援制度)が平成十六年十二月に市川市に誕生し、同市の市民活動が盛んになってきております。
一%支援制度とは、市川市の住民が、自分が払う市民税の一%分を、市内の応援したいNPOや住民団体に提供できる制度であります。義務ではなく希望制であり、応援したい団体を一つ選び、市役所に通知すれば、市の補助金としてその団体に届けられます。平成十七年の初年度は、受け手として、福祉ボランティア養成、少年野球教室、ミュージカル公演など八十三の団体が名乗りを上げ、市の審査の結果、八十一団体が適格と判断されました。各団体へは、市にあらかじめ提出した計画に基づく事業に必要な経費の二分の一を限度に、市から補助金が交付されます。限度額を超えた場合は、新たに設置する基金に積み立てられます。
市川市は、四十六万人余りが住み、個人市民税の納税義務者は二十二万人です。個人市民税は約三百億円であり、納税者全員が団体を指定した場合、一%に当たる約三億円が市から各団体に助成されることになります。実際は、各団体のPR期間を経て、税の提供を申し出た人は六千二百六十六人、うち有効であった申し出は五千五百五十七人であり、最終的に千百二十四万四千九百五十二円が支援金額として各団体に交付されました。この一%制度には、首長の予算編成権との関係、議会の議決権との関係、普通税を目的税化すること、非課税者の扱いなど、さまざまな課題があるわけですが、市川市は条例をつくることでそれらの課題を克服し、見事実現させました。
第二番目の質問です。
ここ中央区でも、NPO・ボランティア活動、市民活動を活性化するために、一%支援制度のような仕組みの導入をいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。仮に一%支援制度を導入したとして、平成十九年度の中央区財政白書のデータをもとに、平成十九年九月一日現在、人口十万四千二百二十九人の中央区の場合に当てはめますと、平成十八年度の納税義務者は六万三千八百一人、特別区民税の十八年度の決定額は百六十七億九千六百万円でありました。その一%は約一・七億円に上りますが、十人に一人ぐらい申し出をすると仮定して、約一千七百万円がNPOや市民団体に事業費として交付できる計画になります。
一%制度のような仕組みを導入、運営する場合、大切になってくることが、その納めた先のNPOなどの活動をきちんと評価していく必要であります。NPOが活動を行う上で大切なことは、公益性、社会貢献性、計画性、情報公開などありますが、それらNPOの活動をきちんと評価する体制の整備が必要と考えます。
第三番目の質問です。
地域の一人一人が評価できる目を持つこと、いわゆるメディアリテラシーを持つことが大切な一方、NPOを評価する第三者評価機関の設置について、区のお考えをお聞かせください。
◯矢田区長
次に、一%支援制度についてであります。
平成十七年に地域との協働指針策定の基礎資料として実施したアンケート調査では、NPO法人の八割が活動資金の確保が課題であると回答しており、安定した財政基盤への支援が必要であると考えております。
平成十七年度から千葉県市川市で導入された市民税の一%をNPO法人などの活動費に充てる支援制度は、活動団体の財政基盤を強化するほか、住民の社会貢献活動への理解を深め、協働の促進を図るとともに、納税者意識の高揚にもつながる効果があるとして実施されたものと認識しております。しかし、一方で、普通税である住民税は、一般財源として、その使途を限定しないといった税法上の原則にそぐわないことや、納税した住民のみが財政使途を決める権利を付与されることになるなどの問題点も指摘されております。NPO法人への方策につきましては、一%支援によらない方策も種々考えられますので、区民の皆様の理解を得られる仕組みを協働推進会議において慎重に検討してまいりたいと存じます。
次に、NPO法人の第三者評価機関の設置についてであります。
区では、具体的にNPO法人と協働事業を実施した場合には、事業の目標達成度や協働相手の団体の特性がどの程度生かされたかなどの事業評価を行う予定であります。その際の評価機関は、学識経験者や活動団体代表者などで構成される協働推進会議を予定しております。
◯小坂議員
ボランティア、市民活動、その活性のために関しましては、第三者評価機関を持つことや協働推進会議を充実させていくことをおっしゃいましたので、ぜひこれを充実させていっていただき、また活動資金が乏しいボランティアの活動において資金の流れを何らかの形でつくっていっていただける、そのことをぜひ要望しておきたいと思います。