東京電力株式会社福島第一原子力発電所から調査結果の文書が出されましたので、こちらでも掲載をいたします。
*****東京電力ホームページより*****
http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/bi1386-j.pdf
福島第一原子力発電所3号機タービン建屋における
協力企業作業員の被ばくに関する調査結果について
平成23 年3月25 日
東京電力株式会社
福島第一原子力発電所
当発電所は、東北地方太平洋沖地震の影響により停止中ですが、平成23 年3月24 日、
3号機タービン建屋1階および地下1階において、ケーブル敷設作業を行っていた協力企
業作業員3名について、約170mSv以上の線量を確認し、そのうち2名について、両足
の皮膚に放射性物質の付着を確認いたしました。
2名の協力企業作業員の放射性物質が付着した部分について洗浄を行ったものの、ベー
タ線熱傷の可能性があると判断したことから、福島県立医科大学附属病院へ搬送し、当該
病院での診察の後、本日25 日に千葉県にある放射線医学総合研究所に移動し、4日程度様
子を見ることとし、作業員が踏み入れた水の評価結果が判明し次第お知らせすることとし
ておりました。 (お知らせ済み)
このたび、当該作業員の作業環境を調査した結果を、以下の通りお知らせいたします。
・水表面の線量率は、約400mSv/h
・溜まり水をサンプリングしたガンマ線核種分析の結果
場 所 福島第一原子力発電所3号機 タービン地下溜まり水
核種名 試料濃度(Bq/cm3)
コバルト60 約7.0×102
テクネチウム99m 約2.5×103
ヨウ素131 約1.2×106
セシウム134 約1.8×105
セシウム136 約2.3×104
セシウム137 約1.8×105
バリウム140 約5.2×104
ランタン140 約9.4×103
セリウム144 約2.2×106
合 計 約3.9×106
また、引き続き、ベータ線による皮膚の被ばく線量について評価いたします。
今回の原因は、3月23 日に行った当社社員による現場調査時の線量実績から当該作業エ
リアについては、線量率が低いものと思いこみ、作業当日(24 日)の作業環境の変化に気
づかず、個人線量計の警報が発報したものの、作業を継続したためと推定しております。
今後、当社社員および協力企業作業員に対しては、個人線量計の警報を十分認識し、そ
の警報が発報した際には必ず退域することを再度徹底いたします。
以 上
****以下は、関連報道*****
****毎日新聞(2011/03/25)*****
福島第1原発:作業員被ばく 線量計警報、故障と思い無視
東京電力福島第1原発3号機で作業中の作業員3人が被ばくした問題で、東電は25日、線量計は正常に警報が鳴ったものの、3人は線量計の故障と思って作業を続けていたと説明していることを明らかにした。東電の作業員に対する放射線管理の徹底に問題があったとして経済産業省原子力安全・保安院は25日、口頭で再発防止と改善を指示した。西山英彦審議官は(1)作業前の調査が適切に行われていなかった(2)靴の中に水が入るなど、作業員の装備が不適切だった(3)個人の線量計のアラームが鳴っていたが、長時間にわたって作業を継続していた--などの問題点を指摘した。
3人の作業員のうち、両足に放射性物質が付着し、ベータ線による熱傷も疑われた2人は、福島市の福島県立医科大病院に搬送された。搬送された2人は、東電と直接に請負契約を結んでいる企業の社員で、もう1人は孫請けにあたる企業の社員としているが、東電は企業名を明らかにしていない。2人は25日午前に同病院をたち、千葉市の放射線医学総合研究所に向かった。
東電によると、被ばく事故では当日、現場の放射線調査をしていなかった。前日23日午後5時ごろに東電社員が現場を巡回し、1時間当たり0.5ミリシーベルト程度の被ばく線量で、水も少ないことを確認していた。このため被ばくした作業員らは線量計が20ミリシーベルトを観測して警報が鳴ったにもかかわらず、誤作動と思って作業を中断しなかったという。同じ時間に作業していた別の作業員も56.72ミリシーベルト被ばくしたが警報を無視していた。
東電は「放射線管理を徹底したい。放射線管理員の増員も検討している」としている。
作業員が被ばくした3号機のタービン建屋では25日朝から汚染された水の排出作業を始めた。
東電は同日の作業を始めるにあたり、放射線の管理を徹底するよう社員や協力企業作業員に周知した。作業前に放射線データを確認し、異常があれば作業を中断して本部に指示を仰ぐことや、線量計の警報が鳴った場合や水にぬれた場合は作業を中断して検査を受けるよう求めた。
25日は1~4号機で冷却機能復旧を目指して機器の健全性の確認を進める予定。順調に作業が進めば2号機の中央制御室の照明が点灯される。【関東晋慈、平川昌範、足立旬子】
****以上****
*****毎日新聞(2011/03/25)*****
福島第1原発:作業員被ばくの水 炉水の約1万倍の濃度
2011年3月25日 11時35分 更新:3月25日 11時46分
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発3号機で作業中の作業員2人が水たまりに足をつけて被ばくした問題で、同社は25日未明、汚染された水たまりの放射性物質の濃度が1立方センチ当たり約390万ベクレルに上ったとする調査結果を明らかにした。原子炉内の冷却水に比べても約1万倍に達する高濃度で、水表面の線量は1時間当たり400ミリシーベルトあった。
東電によると、この水からはヨウ素131やセシウム137などベータ線を放出する放射性物質が高濃度で検出された。セシウム137などは通常運転時には炉内の冷却水からは検出されず、核燃料の溶融によって漏出した可能性があるとみている。
この件について伊藤哲夫・近畿大原子力研究所長(原子炉安全工学)は「使用済み核燃料プールを冷やすため、大量の海水を注入して、あふれた水が流れ込んだのではないか。おそらく使用済み燃料の一部が破損しているのだろう」と分析する。
3号機のプールには、使用済み燃料514体が貯蔵されており、震災による停電で冷却装置が止まったため、経済産業省原子力安全・保安院が16日、余熱で沸騰したと推定。17日から約1週間、自衛隊や東京消防庁などによる海水の注入が続けられてきた。この水がプールからあふれ、原子炉建屋とタービン建屋を貫通する主蒸気管などの隙間(すきま)から漏れたとの推定だ。
小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理)も使用済み核燃料プール内の燃料溶融の影響が考えられるとして「あれだけ放水すれば、放射性物質を大量に含む水があふれ出るのは容易に想定できる」と話す。
東電によると、前日の23日には作業現場に水はなかったとされるため「地震で主蒸気管が破損し、原子炉内の水が漏れていたとは考えにくい」と伊藤さん。一方で、震災で建屋の壁にひびが入っている可能性も否定できないという。伊藤さんは「地下が水浸しなら、機器類も海水をかぶった可能性があり、復旧作業が遅れるおそれもある。しかし、今は冷やすために海水を入れ続けるしかない」と語る。小林さんは「復旧作業を急いでいるとはいえ、そのような危険性のある水があるところに十分なチェックをせず、作業員を入れさせるのは人命軽視もはなはだしい」と訴える。【日野行介、山田大輔、大場あい】
*****以上****