線量限度を大きく超える被ばくが明らかになってきました。
今後、このような事態が増えないことを願いながら、その後の対応を追っていきたいと考えます。
まずは、東京電力による、原因の究明及び再発防止対策の策定に(平成23年6月17日まで)注目していきたいと思います。
*****経済産業省ホームページより*****
http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110610009/20110610009-1.pdf
平成23年6月10日 原子力安全・保安院
福島第一原子力発電所の緊急時作業における放射線業務従事者の線量限度を超える被ばくに係る報告について
原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、平成23年6月10日、東 京電力より、福島第一原子力発電所の緊急時作業における放射線業務従事者の線量 限度(250mSv)を超える被ばく者が2名いることの報告を受けました。
東京電力に対し、放射線業務従事者の実効線量が、原子炉等規制法に定める線量 限度(250mSv)を超過し管理できなかったことは、遺憾であり、厳重に注意 するとともに、原因の究明及び再発防止対策の策定を行い、平成23年6月17日 までに、保安院に報告することを指示しました。
1.経緯
・ 平成23年6月3日、東京電力より、緊急作業に従事した男性社員2名の甲状腺の体内放射能量(ヨウ素131)が高いことが確認され、独立行政法人放射線医学総合研究所に内部被ばく線量の評価作業を依頼したとの報告がありまし た。A氏は210~580mSv、B氏は200~570mSv。(平成23年 6月3日お知らせ済み)
・ 本日(6月10日)、東京電力より、当該2名について福島第一原子力発電所の 緊急時作業における放射線業務従事者の線量限度(250mSv)を超えることが確定したとの報告を受けました。
2.東京電力の報告の概要
東京電力は、福島第一原子力発電所における緊急作業時に従事した社員の内部被ばく線量の評価作業を、順次実施しており、5月30日に、男性社員2名における甲状腺の体内放射能量(ヨウ素131)が高いことが確認された。
その後、独立行政法人放射線医学総合研究所で当該社員2名の被ばく線量の評価作業を行っていた。
6月10日に同研究所より、これまでの評価結果について報告があり、本日(6 月10日)、これをもとに東京電力は、内部被ばく線量の評価を行い、当該社員2 名とも緊急時の線量限度である250mSvを超えることを確認した。
なお、当該社員2名については、健康診断の結果、健康への影響はないことが確認されている。
また昨日新たに、男性社員1名における甲状腺の体内放射能量(ヨウ素131)が高めであることが確認されたとの報告が、独立行政法人日本原子力研究開発機構よりあった。
今後この1名については、独立行政法人放射線医学総合研究所による健康診断を受けるとともに、内部被ばく線量の評価を行い、被ばく線量の確定作業を行う。
A氏:678mSv(外部被ばく 88mSv、内部被ばく 590mSv) B氏:643mSv(外部被ばく 103mSv、内部被ばく 540mSv)
3.保安院の対応
保安院は、平成23年3月14日に実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則に基づく線量限度等を定める告示第8条の緊急作業に従事させることが出来る放射線業務従事者の線量限度を100mSvから250mSvに変更しました。
東京電力に対し、この変更した線量限度を超過し、管理できなかったことは、 遺憾であり、厳重に注意するとともに、原因の究明及び再発防止対策の策定を行い、 平成23年6月17日までに、保安院に報告することを指示しました。
【本発表資料のお問い合わせ先】
原子力安全・保安院 原子力発電検査課長 山本 哲也
担当者:米山、今里、舘内 電話:03-3501-1511(内線)4871
03-3501-9547(直通)
****以下は、250mSv決定の背景 文科省ホームページより****
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/11/1303577_3.pdf
(別添)
緊急作業時における被ばく線量限度について
平成23年3月26日 放射線審議会
当審議会では、人事院総裁、厚生労働大臣及び経済産業大臣から、緊急作業時における 被ばく線量の限度を250 mSvとする諮問に対し、妥当であるとの答申を行ったところである。
この理由は以下のとおりである。
わが国では、緊急作業従事者の被ばく線量の限度として、これまで実効線量で100 mSvが 決められていた。一方国際的には、この値として500 mSvが推奨値として示されており、当審議会としても本年1月に「国際放射線防護委員会(ICRP)2007 年勧告(Pub.103) の国内制度等への取入れについて-第二次中間報告-」(平成23年1月放射線審議会基 本部会)を策定し、緊急時被ばくの線量限度については、国際的に容認された推奨値との整合を図るべきである旨を放射線審議会基本部会の提言としてとりまとめたところである。
しかるに、今回の東北北関東大地震による福島原発の事故が発生し、これを制御することが、国として最重要課題となるに至った。これを受け、第113回放射線審議会総会では厚生労働大臣及び経済産業大臣から、また、第114回放射線審議会総会では人事院総裁から緊急時被ばくの線量の限度として250mSvとする諮問がなされ、これを妥当と判断した。当審議会の判断にあたっては、上記第二次中間報告の提言を踏まえ、国際的に容認された推奨値との整合が図られていることをもって妥当であるとの答申を行ったものである。
なお、国際的に容認された推奨値である500 mSv(ICRP2007年勧告において「緊急救助活 動に従事する者の線量として確定的影響が発生することを回避するための線量である500mSv又は1000mSvが推奨されており、国際原子力機関(IAEA)の国際基本安全基準(改訂 中ドラフト4.0)において「壊滅的状況への発展を防止するための活動に対する線量として500mSv以下」が推奨されている)は、組織影響が発症しない閾値であり、国際的にも確定的影響については、急性の障害(下痢、下血、出血等)および晩発の重篤な障害(心筋梗 塞などの脈管系障害)は認められない値とされている。
わが国は緊急時対応の線量の上限値の設定基準の見直しにおいては、国際的に対応が遅れていた。本改定での上限値であっても放射線の健康影響は最小限に保たれていることを、 まずは緊急事態に対応してくださっている事故現場の皆様方にご理解いただきたい。さらに本改定が、今回の大地震における人命の救助や今後の復興にとって、重要な意味をもつことを国民の皆様にご理解いただきたい。