「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

原発事故緊急時作業における放射線業務従事者の線量限度(250mSv)を超える被ばくに係る報告について

2011-06-11 21:55:24 | 防災・減災

線量限度を大きく超える被ばくが明らかになってきました。
 今後、このような事態が増えないことを願いながら、その後の対応を追っていきたいと考えます。

 まずは、東京電力による、原因の究明及び再発防止対策の策定に(平成23年6月17日まで)注目していきたいと思います。

*****経済産業省ホームページより*****

http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110610009/20110610009-1.pdf
平成23年6月10日 原子力安全・保安院

福島第一原子力発電所の緊急時作業における放射線業務従事者の線量限度を超える被ばくに係る報告について

 原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、平成23年6月10日、東 京電力より、福島第一原子力発電所の緊急時作業における放射線業務従事者の線量 限度(250mSv)を超える被ばく者が2名いることの報告を受けました。
 東京電力に対し、放射線業務従事者の実効線量が、原子炉等規制法に定める線量 限度(250mSv)を超過し管理できなかったことは、遺憾であり、厳重に注意 するとともに、原因の究明及び再発防止対策の策定を行い、平成23年6月17日 までに、保安院に報告することを指示しました。

1.経緯
・ 平成23年6月3日、東京電力より、緊急作業に従事した男性社員2名の甲状腺の体内放射能量(ヨウ素131)が高いことが確認され、独立行政法人放射線医学総合研究所に内部被ばく線量の評価作業を依頼したとの報告がありまし た。A氏は210~580mSv、B氏は200~570mSv。(平成23年 6月3日お知らせ済み)
・ 本日(6月10日)、東京電力より、当該2名について福島第一原子力発電所の 緊急時作業における放射線業務従事者の線量限度(250mSv)を超えることが確定したとの報告を受けました。

2.東京電力の報告の概要
 東京電力は、福島第一原子力発電所における緊急作業時に従事した社員の内部被ばく線量の評価作業を、順次実施しており、5月30日に、男性社員2名における甲状腺の体内放射能量(ヨウ素131)が高いことが確認された。
 その後、独立行政法人放射線医学総合研究所で当該社員2名の被ばく線量の評価作業を行っていた。
 6月10日に同研究所より、これまでの評価結果について報告があり、本日(6 月10日)、これをもとに東京電力は、内部被ばく線量の評価を行い、当該社員2 名とも緊急時の線量限度である250mSvを超えることを確認した。
 なお、当該社員2名については、健康診断の結果、健康への影響はないことが確認されている。  
 また昨日新たに、男性社員1名における甲状腺の体内放射能量(ヨウ素131)が高めであることが確認されたとの報告が、独立行政法人日本原子力研究開発機構よりあった。
 今後この1名については、独立行政法人放射線医学総合研究所による健康診断を受けるとともに、内部被ばく線量の評価を行い、被ばく線量の確定作業を行う。
A氏:678mSv(外部被ばく 88mSv、内部被ばく 590mSv) B氏:643mSv(外部被ばく 103mSv、内部被ばく 540mSv)

3.保安院の対応
 保安院は、平成23年3月14日に実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則に基づく線量限度等を定める告示第8条の緊急作業に従事させることが出来る放射線業務従事者の線量限度を100mSvから250mSvに変更しました。
 東京電力に対し、この変更した線量限度を超過し、管理できなかったことは、 遺憾であり、厳重に注意するとともに、原因の究明及び再発防止対策の策定を行い、 平成23年6月17日までに、保安院に報告することを指示しました。

【本発表資料のお問い合わせ先】
原子力安全・保安院 原子力発電検査課長 山本 哲也
担当者:米山、今里、舘内 電話:03-3501-1511(内線)4871
03-3501-9547(直通)

 

****以下は、250mSv決定の背景 文科省ホームページより****

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/11/1303577_3.pdf

(別添)

緊急作業時における被ばく線量限度について


平成23年3月26日 放射線審議会


 当審議会では、人事院総裁、厚生労働大臣及び経済産業大臣から、緊急作業時における 被ばく線量の限度を250 mSvとする諮問に対し、妥当であるとの答申を行ったところである。 

 この理由は以下のとおりである。

 わが国では、緊急作業従事者の被ばく線量の限度として、これまで実効線量で100 mSvが 決められていた。一方国際的には、この値として500 mSvが推奨値として示されており、当審議会としても本年1月に「国際放射線防護委員会(ICRP)2007 年勧告(Pub.103) の国内制度等への取入れについて-第二次中間報告-」(平成23年1月放射線審議会基 本部会)を策定し、緊急時被ばくの線量限度については、国際的に容認された推奨値との整合を図るべきである旨を放射線審議会基本部会の提言としてとりまとめたところである。

 しかるに、今回の東北北関東大地震による福島原発の事故が発生し、これを制御することが、国として最重要課題となるに至った。これを受け、第113回放射線審議会総会では厚生労働大臣及び経済産業大臣から、また、第114回放射線審議会総会では人事院総裁から緊急時被ばくの線量の限度として250mSvとする諮問がなされ、これを妥当と判断した。当審議会の判断にあたっては、上記第二次中間報告の提言を踏まえ、国際的に容認された推奨値との整合が図られていることをもって妥当であるとの答申を行ったものである。

 なお、国際的に容認された推奨値である500 mSv(ICRP2007年勧告において「緊急救助活 動に従事する者の線量として確定的影響が発生することを回避するための線量である500mSv又は1000mSvが推奨されており、国際原子力機関(IAEA)の国際基本安全基準(改訂 中ドラフト4.0)において「壊滅的状況への発展を防止するための活動に対する線量として500mSv以下」が推奨されている)は、組織影響が発症しない閾値であり、国際的にも確定的影響については、急性の障害(下痢、下血、出血等)および晩発の重篤な障害(心筋梗 塞などの脈管系障害)は認められない値とされている。

 わが国は緊急時対応の線量の上限値の設定基準の見直しにおいては、国際的に対応が遅れていた。本改定での上限値であっても放射線の健康影響は最小限に保たれていることを、 まずは緊急事態に対応してくださっている事故現場の皆様方にご理解いただきたい。さらに本改定が、今回の大地震における人命の救助や今後の復興にとって、重要な意味をもつことを国民の皆様にご理解いただきたい。

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被災地での災害医療支援を振り返る。

2011-06-11 21:07:42 | 防災・減災

 被災地での災害医療支援を、本日東京新聞が特集を組んでいた。

 以下、記載内容をまとめてみると、

<医療の状況>

津波の被害が大きく、亡くなった人が多い一方、重傷者が比較的少なかったのが特徴。発生直後の「急性期」を過ぎた後は、避難者が以前から患っていた慢性疾患や、避難所の衛生環境の悪化による病気への対応が中心。

 

<患者の状況>

遠慮して診療所に来ない人や、崩れかけた家に住み続けているお年寄りも多かった。

対応→避難者の中に入って話を聞きながら血圧を測ったり、自宅を訪ね歩いて診療したりして疾患を見逃さないように心がけた。

 

<医療体制のポイント>

被害の形態の違いや地域の状況、時間の経過などによって、必要とされる医療は変わる。全体をみる中心的な存在が必要。

模範例:石巻赤十字病院が各地から集まった医療チームの拠点となり、担当地域を割り振ったり、ミーティングを開いて各地の避難所の情報を集約。同病院に集まった薬剤を、各避難所の患者にバイクで届けるシステムがあった。

うまく機能しなかった例:情報がなく、どこで活動すればいいのかわからずに困った。支援チームや薬剤が到着しても、必要な場所に行き渡らないなどの問題も生じた。

その原因→放射線が理由の福島県での避難は、津波被害と違ってスタートが遅かった。自治体によって時期もバラバラだったため、県と市町村などの対応がかみ合わず混乱が生じた可能性がある。

 以上。

******

 震災後、約一週間後、二週間後、三週間後の石巻、そして、約二ヶ月後のいわき市・郡山市の災害医療支援を見、自らも行ってきたところである。

 野戦病院化した石巻赤十字病院、記事にもあるように石巻の拠点として、機能を果たしていた。全国から集まったDMAT・JMATが献身的に医療を提供していた。行政との連携もまた、当該保健担当職員のご尽力をいただきながら、うまく行っていたのではないだろうか。

 被災地災害医療支援も三ヶ月が立ち、拠点病院から地域への移行としての次のフェーズに入ってきたところであろう。

 開業医としては、出来る形は限られているが、今後とも、できるかぎりの支援を行いたいと考える。

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「福島第1原発約60キロ圏内の高放射線量地域から子どもと妊婦を避難させるべき」グリーンピース見解

2011-06-11 03:07:50 | 防災・減災
 国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は9日、福島第1原発から約60キロ圏内の放射線量の高い地域から子どもと妊婦を避難させるべきとの見解を示したとのこと。

 重要な指摘であります。

*****AFP(2011/06/10)*****
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2805373/7322531

【6月10日 AFP】国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は9日、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所から約60キロ圏内の放射線量の高い地域から子どもと妊婦を避難させるべきで、日本政府はそのために資金や輸送の面であらゆる支援をすべきだとの見解を示した。

 グリーンピースが独自に測定した放射線量のデータは日本政府が発表したものとほぼ同じだが、放射線が子どもの健康に与える影響などについての両者の見解には根本的な違いがある。

 保護者らが放射性物質に汚染された園庭の表土を除去した福島県内の保育施設を訪れたグリーンピースのクミ・ナイドゥ(Kumi Naidoo)事務局長は、福島の人びとは放射線と情報不足という2つの問題に直面していると述べた。

 都内で記者会見したグリーンピースのヤン・ベラネク(Jan Beranek)氏は、日本政府が震災後、子どもを含む人びとの年間被ばく線量の上限を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げたことに対し、チェルノブイリ(Chernobyl)原発事故後、当時のソ連政府は年間被ばく線量が5ミリシーベルトを超える地域に住む人の避難を決めたと指摘し、年間20ミリシーベルトが安全だという日本政府の主張は全く容認できず、正当化もできないと述べた。

■適切な支援と情報を

 成長期にある子どもは放射線で健康への悪影響を受けやすいことが分かっている。ベラネク氏は、放射線の影響を受けやすい人は避難させ、それ以外の人が自分の意志でその地域にとどまる場合には、適切な支援と情報を提供する必要があると述べた。

 ベラネク氏は、放射性物質を吸い込まないようにマスクをして、風が吹いている時には屋内にとどまり、手に放射性物質がついている可能性がある時には飲食や喫煙をしないように助言した。

■子どもに線量計配布する自治体も

 一方、福島県伊達市は9日、市内の幼稚園・保育園と小中学校に通う全ての子どもたち約8000人に小型線量計を配布すると発表した。(c)AFP
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初動ミスで住民に余分な被ばく 小佐古敏荘東大教授(放射線安全学)辞任前提出の報告書

2011-06-11 02:49:02 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
 初動ミスで、住民が余分な被ばくをした可能性があると小佐古敏荘東大教授(放射線安全学)が報告書を提出していたということです。

 重要な指摘がなされています。

 報告書にある小児甲状腺がんの発症が予想されることに対しての対応を、今後、検討していかねばなりません。
 


*****東京新聞(2011/06/10)****
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011061001000979.html
初動ミスで住民に余分な被ばく 助言チーム報告書判明
2011年6月10日 22時08分

 東京電力福島第1原発事故で、政府の対応を批判して4月末に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東大教授(放射線安全学)が、辞任直前に菅直人首相に報告書を提出し、「不適切な初動」で放射性物質の拡散予測結果が十分に活用されず、住民に「余分な被ばく」を与えたと指摘していたことが10日、分かった。

 小佐古氏は報告書で首相官邸の指導力不足や原子力安全委員会の機能不全を挙げ初動を批判。「小児甲状腺がんの発症が予想される」ことから福島県と近県で「疫学調査が必須」としている。今後の検討事項として、被ばく者手帳の発給やメンタルケア対策を挙げた。 

 報告書は非公式な「助言チーム」の活動をまとめた記録。政府内で事故収拾に携わった当事者が政府対応の問題点を分析しており、今後の事故検証で注目されそうだ。

 共同通信が入手した報告書「震災後、1カ月余の活動と今後に向けての提言」は小佐古氏が参与辞任を表明する2日前の4月27日付。それによると、3月16日に菅首相から参与に任じられた小佐古氏は、事故収束や公衆被ばくの対策が「講じられていなかった」ことから、政府内の専門家や与党議員らと「助言チーム」を同日立ち上げた。

(共同)
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原子力安全委員会記者ブリーフィング 第41回 平成23年6月9日(木)15:27~16:11

2011-06-11 00:47:27 | 防災・減災
 「避難区域外での高放射線地域」「ストロンチウム」「SPEEDIの活用」「津波」等、原発事故に関連してさまざまな重要な視点が出てきておりますので、原子力安全委員会の考え方を知りたく、記者会見を振り返ってみます。


<原子力安全委員会委員>
班目 春樹 (専門:流体・熱工学)
1972.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
1990.11. 東京大学工学部教授
1995.4. 東京大学大学院工学系研究科教授
2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)

久木田 豊 (専門:原子力熱工学)
1975.3. 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1990.4. 日本原子力研究所東海研究所安全性試験研究センター
原子炉安全工学部熱水力安全研究室長
1996.10. 名古屋大学大学院工学研究科教授
2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)

久住 静代 (専門:放射線影響学)
1972.3. 広島大学医学部医学科卒業
1988.5. 日米共同研究機関・放射線影響研究所臨床研究部副部長
1989.4. 広島大学原爆放射能医学研究所非常勤講師
1996.4. (財)放射線影響協会放射線疫学調査センター審議役
2004.4. 原子力安全委員会委員(常勤)

小山田 修 (専門:原子炉構造工学)
1970.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
2002.4. (株)日立製作所技師長
2005.10. (独)日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門長
2007.10. (独)日本原子力研究開発機構原子力科学研究所所長
2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)

代谷 誠治 (専門:原子炉物理・原子炉工学)
1974.3. 京都大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学
1996.4. 京都大学原子炉実験所教授
京都大学大学院エネルギー科学研究科教授(兼任)
2003.4. 京都大学原子炉実験所長
2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)




*****原子力安全委員会ホームページより*****
http://www.nsc.go.jp/info/20110610.pdf

原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年6月9日(木)15:27~16:11
場所:合同庁舎4号館6階643号室
参加者:班目委員長、久木田委員長代理、小山田委員、加藤審議官、水間課長

○ニコニコ動画七尾記者 ニコニコ動画の七尾と申します。いつもありがとうございます。
 先ほど文科省からのご説明にもありましたけれども、南相馬市や伊達市の一部に放射線量が高い地域があることにつきまして、福山哲郎官房副長官は、本日の午前の会見で、南相馬市長とお会いしたそうで、何をおっしゃっているかというと、住民の意向も踏まえ、どう対応していくか、なるべく早く結論を出したい、と述べられておりました。
 こうした避難区域外での高放射線地域への対応についてのご見解をお願いできますでしょうか。

○班目原子力安全委員長 安全委員会としては、助言機関ですので、我々としては、今ある意味では、ポイントで非常に線量が高いところが見つかっているという状況だと理解しています。それで、これを少し面に広げるというか、もうちょっと詳しくとって、まさに生活支援といいますか、本当に生活する上で、その影響がどうなのか、というところが分かるようなデータをまずとるべきではないか、というのが基本的な考えです。ただ、実際の行政組織としてどういうことをなさるかというのは、これはまさに行政行為そのものでございますから、原災本部の方でしっかりお考えいただけていると思っております。

○ニコニコ動画七尾記者 それで、今のもう少し面的にというのは、単純に言いますと、調査地点を増やすという、そういう理解でよろしいでしょうか。

○班目原子力安全委員長 基本的には、増やすというよりは、今日も文科省からの報告についての質疑の中でもあったと思うんですけれども、新たにポイントをとってみたら、実は高いと、増えているところがあると、そこがどうも谷か何かで、山の上の方から落ちてきているとか、結局、そういうような情報と一緒に考えていかないといけない。そのあるポイントが高いといっても、そこは何かちょうど道路が谷合を通過しているところで、常時、人がずっとそこにいるようなものでない可能性もあるわけですね。
そういうものであるにもかかわらず、住民避難を考えるというと、これはちょっと過度な介入になるかと思うんですね。ですから、その辺のきめ細かさというのが、むしろ大切なんだというふうに理解しています。

○ニコニコ動画七尾記者 あともう1点お願いしたいんですが、今度は関東の方なんですけれども、千葉や東京でも、国の基準を超える放射性物質の検出が相次いでおります。例えば、6日には東京大田区の下水処理施設内の空気中から、1年分に単純換算するとですが、計画的避難区域の対象となる年間積算量を上回る値が検出されております。
 もう1点、これとSPEEDIのデータによりますと、放射性物質の放出が最大だったと見られる3月15日の午前は、関東に向かったとされておりますが、これとの関連と、都民等は非常に不安を感じているわけですが、今後、関東周辺におきまして、こうした点をどう見ていけばよろしいのか、この2点についてお願いします。

○班目原子力安全委員長 まず、例えば、下水処理場等の問題なんですけれども、私の知る限りでは、付近の住民の方に直接大きな影響があるような数値ではない、むしろある管理されたところだけがそうだ、というふうに理解しております。そういう意味では、特別なご心配はむしろしていただく必要はないのではないか、というふうに理解しています。
実際、現在の福島第一発電所のプラント状況を考えるならば、かなり安定な方向に行っておりますので、過度な心配はなさらないでいただきたい、というのが私からの希望です。
何か補足ございますか、よろしいですね。

○ニコニコ動画七尾記者 3月15日の関連というのは、やはり影響はゼロとは言えないと思いますけれども。

○班目原子力安全委員長 実は3月15日辺りのデータというのが、必ずしも十分なものがとれておりません。しかしながら、総合的に見たときには、いろいろなデータというのがどうもあちこちにあるかもしれないというので、原子力安全委員会としては、是非、その辺りのデータもできれば使って、もうちょっと精度のいい解析みたいなのは試みてみたいとは思っておりますけれども、ちょっと今の段階では、必ずしもできますとお約束できる状況ではございません。

○ニコニコ動画七尾記者 その辺りのデータというのは、どういうデータでしょうか。

○久木田原子力安全委員 最近、文部科学省や原子力安全・保安院から、事故の当初にとられていたけれども、いろいろな事情で公表されていなかった、この手のデータが公表されていますけれども、そういったものをできるだけ使うということで、事故当初については、当然ながら停電等もあって、十全なモニタリングが行われていなかったというところがあるわけですけれども、できるだけ、そういった情報を掘り起こして活用するということになると思います。
 それから、先ほどのご質問ですけれども、15日にピーク的な放出がありましたけれども、その後もある程度、放出は継続していましたし、そういったものがいろいろな場所に集積して、例えば山とか、そういうところに集積したものが、最終的に下水の汚泥として出てきているというようなこともあるのだろうと思います。ですから、15日に関東地方にプルームが来た、それが直接の原因であるかどうかということも含めて、多分、それだけではないというふうに思います。

○朝日新聞石塚記者 朝日新聞の石塚といいます。
最初の福島県の学校のモニタリングの結果についてお伺いしたいんですけれども、表土状況について、一定の低減効果が見られたという報告がなされましたけれども、その件について委員長のご見解をお願いしたいんですが。

○班目原子力安全委員長 これはALARAの原則に従いますと、当然、よい方向だと思っております。ただ、実際問題として、ALARAの原則に従えば、学校のグラウンドさえ下げればいいというものでもないので、ちょっと今日、久住委員辺りからコメントもあったことかと思いますが、是非、そういうデータ、どういう処置をとったら、どれだけ下がるかというしっかりとした記録を残して、これが将来的には、例えば、現在、避難地域になっているところの避難の解除とか、そういうのにもつながるようにしていただきたいなというふうに思っている次第です。

○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。
主に2点ありまして、1つはストロンチウムの検出のことでお伺いします。
文部科学省の方では、6月7日のときに62�ぐらい離れた福島市の土壌からも検出されたということで、これまでもストロンチウムの評価については、こういった会見の場で何度も述べられていますが、今回の値についてと、その距離ですとか、についての安全委員会の見解を教えてください。

○班目原子力安全委員長 基本的にストロンチウムについては、その影響というのは、セシウムに含めて、今のところ考えていて、かなり厳しめというか、10分の1程度ということで考えています。要するに、ストロンチウムの測定となりますと、β核種ですので、それは理想的なことを言うと、たくさん採るのがいいのかもしれませんけれども、モニタリングをすることにもリソースの有効配分ということもありますので、適確な形でデータの蓄積をやっていただきたいと思っております。
 例えば、セシウムとストロンチウムの比率がどういうふうになっているのか、というのを見ると、必ずしも測定しないところについても、大体こんなものかなというのが想像がついてくるのではないかと。今後、そういうような分析作業をもっともっとする必要がある、というふうに思っております。

○東京新聞榊原記者 値については、現時点で健康に影響を与えるレベルではないということでいいかと思うんですが、内部被ばくについて、体内の取込みへの危険性などについて、どう見たらよろしいんでしょうか。

○班目原子力安全委員長 内部被ばくは、これは何らかの形で、再飛散率のデータを我が国なりにとる必要があるのではないか、と思っております。要するに、現時点で、プラントの方から放出されているストロンチウムというのは非常に少ない。これはあくまでも、初期の時点で放出されたものが地面に沈着しているものだ、というふうに理解しています。
 そうしますと、内部被ばくの可能性というのは、食物による経口摂取もあるのかもしれませんけれども、あとは、ほこりか何かでの呼吸による被ばくということになりますね。そういう意味では、例えば、そういう再飛散率なんかのデータなんていうのは、チェルノブイリ等々で用いられたようなものを、今のところ適用しているわけですけれども、そういうのも気候風土の違う我が国に本当に使えるのかとか、そういう、よりきめ細かな分析がこれから必要になってくるんだろう、というふうに思っています。

○東京新聞榊原記者 確認ですが、値としては健康に影響を与えるレベルではないと。

○班目原子力安全委員長 すみません。値自体は非常に小さなものだと理解していますので、これが直ちに危険なものだというふうには考えてございません。

○加藤審議官 今の関係で補足しますと、今、委員長がおっしゃられたことは、私も昨日、合同会見で申し上げたんですけれども、それに加えて、最近、IAEAの方でオペレーショナルインターベンションレベルというものを提唱しています。これは緊急時の初期において、容易に得られるモニタリングデータの形から、緊急に介入措置が必要かどうか、判断するための換算計数みたいなものなんですけれども、それを使って、今回、11か所の中で、一番ストロンチウム90の値が高かった地点、83番の地点ですけれども、250Bq/kgだったんですけれども、そこの地点について、吸入、それから、あとこのやり方だと、沈着したものからの直接線も含めて評価するやり方ですけれども、それでやってみますと、1年間そこにずっと居続けたとして、24時間、365日、居続けたとして受ける線量が、0.03mSvということでしたので、本当にこれは小さい線量です。

○東京新聞榊原記者 わかりました。もう1点ありまして、政府がまとめたIAEAの報告書についてなんです。そこの事故から得られた教訓のところで、SPEEDIについての項目というのがありまして、SPEEDIの計算結果について、当初段階から公開すべきであったと、今後、SPEEDIの活用結果を当初から公開するという表現があります。このことについて、3月16日からSPEEDIの運用を担ってこられた安全委員会としてのご見解ですか、そういうのを伺えたらと思います。

○班目原子力安全委員長 ちょっと誤解があるようなんですけれども、3月16日からも別に安全委員会の方で運用はしてございません。あくまでも、文部科学省の予算に基づいて、文部科学省の関係団体であるところの原子力安全技術センターが計算を行っていただけであって、たまたま、オペレーターに部屋貸しをしていたという状況です。したがって、今後のSPEEDIの活用についても、原子力安全委員会として何か言える立場ではないので、是非、その質問は文部科学省の方にしていただきたいと思います。

○東京新聞榊原記者 昨日、SPEEDIの公開について、改めて文部科学省の方に質問しましたら、結局、答えとしては、16日以降は公開するかしないかも含めて、安全委員会の方で判断するんだという文部科学省の見解は、当初の見解がまだ生きているというご説明だったものですから、ちょっと、改めてお伺いしたんです。

○班目原子力安全委員長 少なくとも、一元化された事実はない、というのが、これは政府全体としての判断のはずなので、ちょっと、もう一度、文部科学省の方に確認をお願いしたいと思います。

○水間課長 だれがそう言っているのか教えてください。言いますから。

○東京新聞榊原記者 全般的に、このSPEEDIの活用結果は、当初から公開すべきだというふうになった報告書についてはいかがですか。
 これは活用結果というふうに表現されていて、計算結果じゃなくて、活用した結果を公開するという表現なんですけれども、計算結果をそのまま公開すればいいんじゃないのかな、というふうに個人的には思ったものですから、その辺、何かしっかり読み込まれて、何かご見解などがあれば。

○久木田原子力安全委員 活用結果という形になっていましたか。私は、そういうことを注意深く読んでいませんけれども、活用というのは何を意味するのかということも含めて、ちょっとよくわかりません。

○水間課長 事務局ですけれども、皆さんもうご存じのとおり、ホームページですべて公開をしておりまして、例えば、計算の前提を安全委員会が工夫をして計算した結果については、安全委員会が説明責任を当然負いますので、そこについては、いろいろご説明もしてきたと思いますけれども、単位放出というのは別に誰がやっても同じですし、それは予測そのものにダイレクトには使えないかもしれませんけれども、こちらの方へ飛んでいくとか、濃淡としてはこういう傾向が出やすい、とかというようなものは、毎時間当たり今でも続いておりますけれども、そういうデータが出ておりますので、いろいろな方がいろいろな計算結果でいろいろなインプットをすれば、いろいろ使い方ができるということで、ある意味では、そういう情報は公開されているというふうに思っています。

○NHK山崎記者 NHKの山崎です。よろしくお願いします。
 ストロンチウムの件なんですけれども、今日、多分、文部科学省さんの方は情報が入っていると思うんですけれども、地元は、事前によく数値について、説明を受けていなかったというので、飯舘村とか、幾つかの自治体から多分クレームか何か、どういう形か分かりませんけれども、文部科学省の方に、もう少し事前にちゃんと、そういう関心の高いものについては、説明が欲しいという形で、午前中か、午後一か分かりませんけれども、そういう要望があったと聞いているんですが、これも再三、ずっとやっているミスで、地元が一体、今、何に関心が高いかというところを、どういうふうに把握していくかというところは、もう少し、特に、放射線に関わるところについては、何か、もっと工夫ができないのか、といったところについて、それは安全委員会だけの責任じゃないのは分かっているんですけれども、助言組織として、何度も同じことをやっているので、こんなことをやっていたら、住民の不安なんて絶対なくならないので、その辺の仕組みというか、マネジメントについては、もうちょっと、ちゃんと言っていただけないか、というところについての班目委員長のご見解と。
 もうひとつは、話は変わりまして、保安院が7日に出した第4号の送電線等についてのところで、今日、大分、委員の先生方から、要はちょっと甘い、というようなご指摘が幾つか出たと思うんですけれども、僕も、それは妥当だと思っていて、大丈夫だとか何とか書いていても、こういう発想自体が間違っていると思うんですが、もう少し、具体的にどういうところを、これは差し替えるというか、指示し直すべきかというのを、ちょっともう一回、整理していただければなと思います。その2点です。 

○班目原子力安全委員長 後の方は、ちょっと小山田委員にお願いします。
 まず、現地の意見をきちっと反映させるということについては、安全委員会の方でも、大変気にしています。ただ、ちょっと、安全委員会は小所帯なもので、なかなか現地に委員を派遣して、本当の状況がどうなっているのか、というのをなかなか把握するに至ってない、というのが実情です。しかし、これからできる限り、その辺も努力して、現地の生の声をちゃんと聞いた上で、いろいろな場を通じて、行政庁の方に伝えるという努力は、やっていきたいと思っております。
 例えば、実は福島市内といえども、道路の真ん中はいいけれども、側溝なんかは実はそれなりに放射線量の高いところになっているんだよとか、そういうような、多分、きめ細かい生活へのアドバイスみたいなものが必要なんであろうと思っていまして、少し、そういうようなことを我々なりにも把握した上で、行政庁の方に伝えるとか、そういう努力をやっていきたいと思っているところです。情報の伝達の仕方については、ちょっと、我々もどうしたらいいか、今のところ、いいアイデアを持ってないというのが実情です。    

○小山田原子力安全委員 今日、送電線の鉄塔についての話があって、委員会の席上で申し上げたとおりですけれども、少なくとも、今までの地震で耐えられたから、強度が十分でありますという説明は、それでは、私どもとしては納得することはできないし、どのくらいのゆとりがあるのかということも含めて、きちんと評価をすべきである、というふうなコメントを申し上げたわけです。
 それから、もうひとつは、鉄塔の基礎の部分について、それについても、十分な強度を持っていなければいけないということは、鉄塔を設置する者として、当然、考えておかなければいけない話であると思うんですよね。それが盛り土の部分で問題があって、鉄塔が倒れたというのは、大変に大きな問題であるというふうに思います。
今まで、鉄塔の設計に関わってきた人たちの多くが、鉄塔は地震で倒れるものではないというようなことを実績としても持っていたということはあると思うのですね。私も、鉄塔そのものはいろいろな話を聞くと、かなり頑丈なものではあると思うんですね。ただ、それが今回のような事態になったときに、どのくらいのゆとりを持っているのか、ということをきちんと示していただきたい、というのが私が申し上げたことであります。
 例えば、私自身は、配管の耐震ですとか、それから、原子炉の構成構造物の耐震強度というものが、そもそも、どのくらいゆとりがあるものかということは、自分で、いろいろな評価をしたり、実験を目の当たりにして分かっております。
 これは班目委員長も、今までいろいろなところで申し上げていることですけれども、Ss地震動というものを少し超えたところで損傷することはないというのは、そもそも配管や何かの持っている強度特性だと思うのですけれども、それが鉄塔においてはどうなのかと、先ほどの40mの強風があっても大丈夫なようにしてある、ということでありますけれども、今回、起こった事象は、残念ながら40mという自然災害を設定をしても、それを超えてしまう可能性があるということに対して、それが、直ちに大きな災害をもたらすことにはならないということを示す必要があるということですので、そういうことも含めて、もう少し、現実的なきちんとした評価をして、我々に説明するようにというふうに要求をしたつもりです。
以上です。    

○NHK山崎記者 最初の質問は、安全委員会が直接人を送ってという意味合いで、私はちょっと申し上げたつもりではなくて、文科省と政府、官邸も含めてですけれども、どういった情報の出し方というんですか、住民に分かりやすい情報の出し方、逆に言うと、今一番ストロンチウムは福島県内でもご専門の方に聞くと、住民が知りたい関心のひとつだというふうに聞いていたので、我々もニュースで取り上げるわけで、そういうところ、報道の仕方とか公表の仕方等も含めて、もう少し、しっかり調査をされるアドバイスというのは非常に大事だと思うんですが、もう少し情報をどう出していくか、といったところも多分、ご助言していかないと、これまでの混乱は、全く理解につながらないのではないかなと思ったので、安全委員会直接、ということではなくて、その辺りも目配せをしていくべきではないかな、という意味合いの質問でありました。         

○班目原子力安全委員長 ご趣旨は理解しました。まさに原災本部の方に生活支援チームなるものがあって、そちらの方でしっかりとした対応をとるべきことなんだと思います。どういう助言ができるかどうか、ちょっと内部で議論してみたいと思いますけれども、今現在、ちょっと答えを持ち合わせてないというのが実情です。
 
○加藤審議官 今の関係で言うと、これは決して原子力安全委員会として、という話じゃないんですけれども、政府の対策本部の現地対策本部もあるわけでして、ここにはそれぞれの班の役割に応じて、各省からいろいろな人が参加しているわけでして、そこでは日に1回、県の方も入ってミーティングをやっておられるようですし、そういったミーティングの概要なんかも毎日送られてくるわけで、うちも当然、事務局職員とか専門員を出していまして、そういう彼らからの情報とか、そういうのを見たり、あと地元の新聞、原子力関係の記事だけじゃなくて、全体を見ると、全体の中で原子力関係がどれぐらいの重みを持って報じられているかというのが、すごい大事なポイントだと思うんですね。
 それから、あと合同記者会見なんかで、地元の人の懸念を背景に質問されているご質問もかなりありますよね。だから、そういうところで、アンテナを張って、そのつもりになって聞いていれば、かなり分かるのではないかなというふうに思うんですけれども。    

○NHK山崎記者 加藤さんのおっしゃるとおりだと思いますので、実際に人を送って、そういう仕組みを作っていらっしゃるのはよく分かっているので、例えば、昨日のストロンチウムでも、1枚ぺら、あれだけ単独でちゃんとつくって、抜き出して、しかも開会の前に地元、11か所については、一言説明をしておいてあげると、その数字の意味合いはどうだというのを言っておいてあげると、そうして欲しいと彼らは数か月前から言っているわけで、そこまでアンテナを伸ばしているのであれば、そこまで出し方まで丁寧にしてあげるところは、安全委員会としても目配せを多分、もっとしていってあげた方がいいんじゃないかと、そういう趣旨であります。
 あと小山田さんに追加で、今の委員のおっしゃるところもそのとおりだと、僕の一番気になるのは、評価結果のところ、2ページ目で十分な供給信頼性を有しているものといって、9発電所がいわゆる異なる2つ以上の変電所から受電しているため、外部電源が喪失しないものというふうに、電力事業者から報告があり、保安院もそれを妥当というふうにしているんですが、そもそも、今回まさにIAEAの報告書にあったように、広域に複合災害が来たときに、複数あったって、それは同時に壊れるわけだし、特に、敦賀半島なんて途中からどうせ1本でしか送電線がいってないわけで、半島がやられれば止まるわけで、これはそもそも喪失しないものと言っていること自体がおかしいんじゃないかと思うんですけれども、ここについては、安全委員としては、これはよしとしますか。       

○小山田原子力安全委員 私は、今日の質問の中で、最初に細かいことについて話をしますというふうに申し上げたのは、そういうことも含めてでして、これの評価については、今日の段階で了解をしましたというつもりではありません、あの中でよく調べてみて、それで保安院の評価についての見解を出したいというふうに思っています。       

○日本テレビ小林記者 日本テレビの小林と申します。
SPEEDIの公開の件で、非常に重要だと思うので、再度、確認をしたいんですけれども、これはIAEAの報告書でもここまで明記されていて、実際に3月15日、16日辺りの時点で、何があったのかというのが、今ちょっと宙に浮いているような状態になっているのではないかと思うんです。
 昨日ああいった報告書が出て、改めて文部科学省の方に、15日の夜の時点で文部科学記者会の方では、記者からSPEEDIの公表についてかなり質問が相次ぎました。それについて、文科省は確認をすると言って、翌日の会見で、副大臣がこのSPEEDIの公開についての質問に対して、原子力安全委員会がやる、やらないということも含めて決定することです、というお答えをはっきりしております。
 文科省としては、昨日の時点でも、その見解ですということだったんですが、実際に原子力安全委員会の方では、この3月16日以降は、オペレーション及び公開の是非についても、安全委員会でお願いしますというような指示なり、要請なりが国の原災本部などからあったんでしょうか、なかったんでしょうか。 

○班目原子力安全委員長 少なくても、私の知る限りはそのような要請はありません。 

○日本テレビ小林記者 ということは、23日に最初のSPEEDIの試算結果というのを安全委員会の方で報告されましたけれども、そこまでのオペレーションというのは、どういうふうになっていたんでしょう。     

○久木田原子力安全委員 水間課長が一番詳しいと思いますが、文部科学省からの委託契約によって、原子力安全技術センターが単位放出の予測計算を定常的に行っていた。それから、文部科学省、経済産業省、保安院、それから安全委員会も一部行っていますけれども、今言った単位放出の計算とは別の個別発注についての計算も、文部科学省からの委託業務として安全技術センターが行っていた。そういう状況だったと理解しています。   

○日本テレビ小林記者 ただ、実際には、事故直後から単位放出量で毎時計算はされていたということが大分後になって分かって、データも公表されたわけですけれども、あれらを公表するかどうかについての決定の責任者というのは、やはり文科省だったんでしょうか、それとも安全委員会だったんでしょうか。         

○久木田原子力安全委員 安全委員会は公表、非公表について一切関与をしない、文部科学省からの委託業務として、すべての計算は行われていたという理解です。 

○日本テレビ小林記者 ということは、文部科学省が3月16日の記者会見及び昨日の記者会見でもおっしゃった、原子力安全委員会がSPEEDIの公開についても決定する、という認識は、そこに誤解があるということですか。      

○水間課長 誤解のあるなしよりも、文部科学省が何を考えているかについては、私どもは承知しておりません。 

○加藤審議官 SPEEDI問題についての政府としての統一的な見解、これは文科大臣も出席した閣議で決まった統一的見解は、上野通子先生あての質問主意書に書かれています。そこでは、単位放出の計算については、事故発生当日の16時から、それは文科省が原子力安全技術センターに指示してやりなさいと言ったと、それでそれは後ずっと続いていると。
 それで、原子力安全委員会について言えば、16日の時点からオペレーターをここに出しますので、その人を介して自由にやりたいように使ってくださいと、特に、放出源情報がなかったので、環境モニタリングデータから放出源を逆推定するようなことをやってくれと、これは官房長官なんかもそれを期待されていたわけですけれども、そういうことをやって、まさに23日には逆推定した放出源から、小児甲状腺の積算線量を出して、これは大事な情報なので発表したということです。            

○日本テレビ小林記者 ということは、確認ですが、情報の公開については、原子力安全委員会は当時から今に至るまで、主体となって責任を負っているということはないということですね。       

○加藤審議官 少なくとも、全体については、16日の時点でも言われてないです。  

○水間課長 そういう認識はありませんで、当時は、文部科学省の方からは、SPEEDIのオペレーターを送り込んできて、ある意味では何で16日かといいますと、官房長官から指示があって、モニタリングを強化しなきゃいけないので、文部科学省の方はデータをとる方を一生懸命やりなさいと、安全委員会の方は、文部科学省が自らとる、あるいは取りまとめたデータを評価することについては、原子力安全委員会の方がやってくださいと、やるようにというご指示がありましたので、それはそれでしっかりご指示をいただいたという認識はございましたが、SPEEDIについてまでデータを全部、どのように公開するとか、しないとか、そこまでを指示されているわけではございませんし、文部科学省からオペレーターがこちらへ移ってきたということについては、直接指示というか、計算の依頼を文科省を通じてやらなくてもいいということのみ、我々としては受け止めたということでございますので、すべてもともと文部科学省の方から配信をするという仕組みになっておりましたから、その部分についてまで、文部科学省に代わってやりますという、そういう約束を取り交わしたとか、そういう認識はございませんでした。

○日本テレビ小林記者 では、あくまでデータ、試算結果についての分析及び評価などは安全委員会がやるけれども、公開については、今現在、文科省が言っていることは、間違っているということですね。

○水間課長 間違っているかどうか、文科省が何をおっしゃっているのかは、ちょっと細かく伺っておりませんけれども、もしもそういうことがあるとしたら、我々の認識とは違います。政府内の認識の違いというのがまたまた明らかになったとか何かということになると、きついと思いますけれども、私どもは正直に、あったことをそのまま申し上げているつもりです。

○久木田原子力安全委員 今、水間課長からありましたように、3月16日の段階で安全委員会がやるようにということになったのは、モニタリング結果の評価ということでして、文科省がやっていた単位放出のSPEEDIの計算の評価までやれと、そういう趣旨ではないと私たちは理解しています。
 そして、公表について安全委員会が判断したのは、安全委員会自身が3月16日以後、独自に行った計算結果、3月23日に公表したような放出源情報を安全委員会が推定して行った計算については、3月23日に安全委員会の判断のもとに公表したと、そういうことです。

○小山田原子力安全委員 もう少しつけ加えると、1時間ごとに計算をするというのは、最初の段階で指示を出したので、その後は、つきっきりで指示をしなくとも、それは自動的にいわば続けられると。一方で、原子力安全委員会が試みた計算というのは、こういうことをやってもらいたいということがオペレーターがすぐ近くにいて、そのとおりにインプットをしてもらわないといけないわけで、そういう意味で、我々の近くにいる人にやってもらうことにしたということです。初めの段階では、文部科学省に、オペレーターに対して、こういうことをやってもらいたいけれども、いいでしょうかという確認を文部科学省に対して、しておりました。それが、3月16日以降、それについては一々その件については確認はしなくていいよと、こちらの方でいろいろなトライアルを、つまり通常のSPEEDIの使い方ではないトライアルを、我々から直にオペレーターに頼んでよい、ということになったということです。

○日本テレビ小林記者 IAEAの報告書にまさに書かれていることが、何か今現在、解決してないというか、問題になっているのかなという気もするんですけれども、いずれにしろ、文部科学省の見解と安全委員会の見解はいまだに食い違っていると。

○加藤審議官 だから、そこは基本は、それぞれ使ったところが、使ったジョブについては説明責任を負う、これが原則だと思います。

○久木田原子力安全委員 単位放出については、繰り返し申し上げているように、事故当日から1時間置きの計算というものが自動的に行われていた。そして、それは関係機関に配信されていて、安全委員会はその関係機関のひとつとして、それを受け取っていた、そういう立場です。  

○時事通信松田記者 時事通信、松田です。
先ほど委員会の中で、高い放射線量のところの場所の写真をつけて、是非という話がありましたが、まさにどういった集まりやすいかというか、それが分かっていけば、ある共通性といいますか、それが浮かび上がってきて、そうすると逆に、積極的に高そうなところを探していって、こういうところは確かに高いとか、あるいは住民の方々が写真を見て、こんなような地形でこんなふうなところは危なそうなんだろうなとか、そういうことが分かるようになるんじゃないかと思うんですが、それはいつ頃どのような形でということについて、何かもう少し具体的なアドバイスというのはございますか。

○班目原子力安全委員長 きめ細かいモニタリングということになると、データをとるのにはそれなりの時間がかかりますので、一定の期間は必要だろうと思っています。
 ただ、まさにこのモニタリングも、モニタリングの強化計画によって、第2フェーズに入っているというふうに我々は認識していて、初期の段階のひたすらとにかくたくさんとるという状態ではなくなっているんだと思うんですね。
 むしろ、多くの方にご理解いただきたいのは、ひとつの点をとにかく毎日、測るといっても、ほとんど変動がないんですね。そういうところにせっかくのリソースを割いてしまって、そういうきめ細かい配慮ができないようでは、これはつまらないことになる。結局、何のためのモニタリングをやっているかというと、これはまさに生活している人の支援、あるいは避難地域となっているところの避難の解除が目的なわけです。そのためには、ひたすら何か大きな地点をとにかく毎日、毎日、測っていることがいいのだという考えから、皆さんが脱却していただきたいというふうに希望しています。その上で、まさにおっしゃるように、どういうところには注意しなきゃいけないかとか、そういうデータこそをとる方向に変えていかなきゃいけない時期に来ている、というふうに思っております。

○読売新聞野依記者 読売新聞、野依と申します。
 保安院さんから説明がありました所内の電気設備の津波対策の関係で、委員から、高さ以外にもいろいろ影響を評価すべきではないか、というご意見があったと思うんですけれども、津波というのが、地震と違って絶対的にサンプル数が少なくて、どういう影響が出るのかというのがわからない中で、どういうものを評価項目に加えていくかということは、難しいと思うんですけれども、そこら辺に関して、何かご見解があればお尋ねできればと思います。

○班目原子力安全委員長 津波については、例えば1メートル想定を超えた場合に、とにかく水が入ってくることは事実ですね。しかし、原子力発電所の場合、水が入ってきたらすぐアウトになるような設計になってはいけないわけですね。
例えば、水密構造にして、水がやってきても、重要な機器は使い続けられるようにしておくとか、さらにはその水密構造が破れた場合には、予備の電源車を用意しておくとか、とにかく、分厚く守らなきゃいけないわけですよね。その分厚さというのが大切なのであって、ただ単に、津波については、これだけの高さを想定しましたから、もうあとは知りません、という態度では、これは許されないというふうに思っています。

 そういう意味では、是非、津波というものが、どうしたってこれは今、最大で15mで、プラス9.5mでしたっけ、という緊急対策をとっていらっしゃる。それは、それでわかるんですけれども、それをまた上回ったときには、一体何が起こるのか、ということもちゃんと検討して、配慮がなされているかどうか、という辺りを安全委員会としては、これからちゃんと見ていきたいというふうに思っております。

以 上
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