独自の基準を打ち出す自治体が出てきています。
*埼玉県川口市:年1.64ミリシーベルト、毎時0.31マイクロシーベルト
*千葉県野田市:放射線の被ばく限度 年1ミリシーベルト、毎時0.19マイクロシーベルト
本来自治体のあるべき姿として、国の基準を待つまでもなく、きちんと住民の生命を守る基準を打ち出し、住民にその設定の理由を説明し、その基準遵守を通して、住民の安心安全を守っていかねばならないと考えます。
***まずは、中央区の考え方:中央区のホームページより*****
http://www.city.chuo.lg.jp/kurasi/gakkokyouiku/kyusyoku_gakkougyouji/index.html
放射能に対する給食・学校行事等の考え方について
教育委員会では、今までホームページや保護者へのお知らせなどにより、学校給食やプールでの水泳授業等についてお知らせしてきましたが、この度、改めてホームページに掲載することといたしました。
(平成23年6月17日掲載)
1 学校給食について
この度の東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故の影響で、一部の食材について出荷制限等の措置が行われているところです。これを受け、給食では出荷制限等の対象となっている食材は一切使用しないとともに、食材の確保が困難な場合は、栄養価に配慮しながら献立を変更し対応しています。
また、次のとおり対応することにより、安全な給食の提供に努めています。
1 出荷停止措置がとられた地域の出荷停止食材は使用していません。
2 毎日、出荷停止措置等がとられた食材・地域を確認しています。
3 食材については、発注時、納入時に産地を確認しています。
4 出荷停止措置がとられる前に出荷され、納品された食材についても使用を中止します。また、出荷停止措置がとられていない食材についても、基準値を超えた旨報道された場合には使用を中止します。その場合、献立の変更、除去食となりますので、ご理解をお願いします。
今後とも、厚生労働省などから、いち早い情報の取得に努め、新たに出荷制限、摂取制限の対象となった食材についても迅速に対応し、安全な食材の使用に努めてまいります。
2 学校プールでの水泳授業について
毎年、6月から水泳授業や夏季水泳教室などを実施しておりますが、この度の東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故の影響を懸念される方もおられるものと存じます。
教育委員会といたしましては、次の理由から、現在のところ学校プールでの水泳授業を例年どおり実施しても問題はないものと考えております。
1 実施に先立ち、各校6月2日以降順次、清掃業者への委託によりプール清掃を実施のうえ、新たなプール水を注水していること。
2 東京都水道局が公表している放射能測定結果では、4月5日以降各浄水場とも不検出であることから、水道水を用いているプール水についても安全であること。
3 東京都健康安全研究センターが公表している都内の降下物(塵や雨)の放射能の調査結果では、5月15日以降不検出の状態が続いていること。
なお、今後とも、公的機関のデータを常に把握し、都内の降下物の放射能が増加するなど、新たな事態が生じた場合には、中止も含め適切に対応してまいりますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
(参考)ホームページアドレス
東京都水道局:http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/
東京都健康安全研究センター:http://www.tokyo-eiken.go.jp/
3 中央区立柏学園におけるセカンドスクール等について
毎年、中央区立柏学園でセカンドスクールや遠足を実施しております。
その柏学園の所在地である千葉県柏市内の放射線量につきましては、東京大学柏キャンパスのほか、千葉県や柏市が測定し、数値を公表しているところです。
これらの測定地点の内、中央区立柏学園に最も近い地点は約600m程離れた柏市立柏第五小学校ですが、測定値は地上50cmで0.32マイクロシーベルト/時、地上1mで0.27マイクロシーベルト/時(測定日6月6日)です。
この空間放射線量は、東京都健康安全研究センター(新宿区)の計測数値約0.06マイクロシーベルト/時と比べ高い数値が出ていますが、柏市では児童・生徒は通常の授業を行なっています。
また、セカンドスクール(3日間)に参加することによって増える積算放射線量を試算すると約12マイクロシーベルト程度です。(別添)
一方、東京都健康安全研究センターでは、都内(新宿)の空間放射線量(H23.6.16現在)を積算して、国際放射線防護委員会の勧告にある一般の人が受ける放射線量の値と比較した試算をしています。それによると、都内では年間推定積算線量が年間151マイクロシーベルトとなりますが、年間に約0.2ミリシーベルトであり全く心配ないとしています。年間151マイクロシーベルトに、セカンドスクールの12マイクロシーベルトを加えても、0.2ミリシーベルト/年以内です。
これらのことから、セカンドスクールを中止する状況にはないと考えていますが、ご心配される保護者の方もいらっしゃると思いますので、その場合は各学校にご相談いただきますようお願いいたします。
(参考)
東京都健康安全研究センター:http://www.tokyo-eiken.go.jp/
柏市ホームページ:http://www.city.kashiwa.lg.jp/
東京大学環境放射線情報:http://www2.u-tokyo.ac.jp/erc/index.html
(別添) 放射線量の積算
1日に8時間屋外活動を行うという条件で、東京都健康安全研究センターの試算を参考にしました。
1 空間放射線量の測定結果
柏第五小学校 0.32μSv/時(柏市)
東京都 0.06μSv/時(東京都健康安全研究センター)
2 セカンドスクール3日間の積算放射線量
0.32μSv/時×(8/24+16/24×0.4)×24時間×3日間=13.82μSv
ここから中央区に居た時の積算放射線量を引いたものが、セカンドスクールに参加した場合に増える積算放射線量です。
3 中央区での3日間の積算放射線量
0.06μSv/時×(8/24+16/24×0.4)×24時間×3日間=2.59μSv
4 セカンドスクールに参加して増える積算放射線量
13.82μSv-2.59μSv=11.23μSv
4 夏季臨海学校について
夏季臨海学校については教育課程外の行事として、各小学校が5年生及び特別支援学級4年~6年生の参加希望者を対象に千葉県館山市内の民間施設を利用し、毎年実施しています。
本年度については、この度の東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故の影響により海水の汚染、地震・津波発生時の対応や夏季の計画停電について懸念されている方もいらっしゃると思います。教育委員会では海水の汚染、地震・津波発生時の緊急避難場所、各宿舎における停電時対応等について、学校とともに4月26日に館山市で実地踏査を行い、慎重に検討した結果、夏季臨海学校を実施できるものと判断いたしました。
各小学校において今後、保護者説明会を実施し、これらの事項等について説明を行って参ります。保護者の皆様方におかれましては、保護者説明会にご参加いただき、ご理解の上でご参加くださるよう、お願い申し上げます。
なお、夏季臨海学校実施までに新たな事態が生じた場合には、再度、実施について検討して参ります。
【問合せ先】
学務課保健給食係
電話 03-3546-5516
****中央区、以上****
*****独自基準を設けた埼玉県川口市ホームページより*****
http://www.city.kawaguchi.lg.jp/kbn/01050169/01050169.html
【1 はじめに】
~川口市では、独自の放射線量の年間換算数値の基準を、
1.64ミリシーベルトとしました。~
現在、放射線低線量での被曝について、国の統一的な基準のもとで対策が講じられていません。
こうしたことから、市民、とりわけ幼児、児童・生徒を持つ保護者のみなさんの不安に対応するために、年間の放射線低線量の被曝限度数値を、国の統一的な対応が図られるまでの暫定値として、1.64ミリシーベルトと定めたものです。
基準を超えた場合は、屋外の保育・授業時間を制限するとともに、保護者のみなさんへご連絡し、日常生活での健康影響の低減に役立てていただきます。
また、測定結果は、既に公開している市のホームページに随時更新していきます。
客観的で合理性のある数値をよりどころとして、冷静に行動していただけるよう、正しい情報をお届けして参ります。
(1) 基準とする数値「年間1.64ミリシーベルト」について
国際放射線防護委員会(ICRP)は、自然放射線と医療被曝を除く放射線量を、年間1ミリシーベルトとしています。※1
また、自然界の大地から放出される放射線量は、日本の平均で、年間0.34ミリシーベルトとされています。※2
これに加え、宇宙から地上に降り注ぐ放射線量は、日本の平均で、年間0.30ミリシーベルトとされています。※2
この、自然界以外の放射線管理基準に、自然界の大気に存在する放射線量を加え、年間1.64ミリシーベルトを基準としました。
※1 ICRP2007勧告・放射線の管理基準(平常時:年間1ミリシーベルト以下に抑える) (2) 基準とする時間数値への換算について
※2 独立行政法人放射線医学総合研究所,『放射線シリーズ-5「地域によって異なる自然放射線の量」』,放医研ニュース,1999.03
時間当たりの基準値を0.31マイクロシーベルトとします。
これは、
1. 1年を365日とします。
2. 1日24時間の生活を、屋外8時間、屋内16時間とします。
3. 屋内は、屋外の数値に0.4を乗じた値とします。
年間1.64ミリシーベルトをもとに、こうして1時間当たりの数値を計算した結果です。
(3) 基準を超えた場合の対応について
1. 時間当たり0.31マイクロシーベルトを超えた場合
保育所・幼稚園・小中学校の屋外の保育・授業時間を3時間以内とします。
2. 時間当たり0.38マイクロシーベルトを超えた場合
屋外の保育、授業時間を2時間以内とします。
3. いずれの場合も、各保育所、幼稚園、小中学校から保護者のみなさんにお伝えします。
そして、家庭生活においても、外出の時間への配慮、判断の参考としていただきます。
時間当たり0.38マイクロシーベルトを超えた場合には、マスクの着用等を呼びかけます。
(4)記者会見資料
****川口市、以上****
*****毎日新聞(2011/06/23)****
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110623ddm012040043000c.html
東日本大震災:被ばく限度、幼小中学は年1ミリシーベルト 千葉・野田市が独自の基準
千葉県野田市は22日、放射線の被ばく限度を年1ミリシーベルト、毎時0・19マイクロシーベルトとする独自の基準を定め、市内の幼稚園や小中学校などで基準を超えた場合は対策を実施すると発表した。同市など同県北西部は周辺に比べ放射線量が比較的高いが、各自治体は「国が定めた上限の年20ミリシーベルトは超えない」などと対策を見送り、保護者から異論が出ていた。国とは対照的な厳しい対応で、他の自治体にも影響を与えそうだ。【橋口正、早川健人】
同市によると、国際放射線防護委員会(ICRP)の通常時の目安の年1ミリシーベルトを参考に決定。屋外で1日8時間活動する前提で毎時の値を算出した。今後、市内全ての保育園、幼稚園、学童保育所、子ども館、小中学校で線量を測定する。
さらに基準を超えた施設では、施設内で詳細な測定を実施。(1)毎時0・3マイクロシーベルトを超える場所(すべり台や砂場など)への立ち入りを禁止(2)帽子着用と手洗い・うがいの励行(3)保育士に線量計を持たせ、累積線量のデータを収集--という対策を行う。市内では県の先月末の測定で、保育所1カ所で1時間当たり0・25マイクロシーベルトを計測。この保育所では既に、これらの対策をとった。
この問題を巡って文部科学省は4月、上限を年20ミリシーベルトとし、毎時3・8マイクロシーベルト超の場合、屋外活動を制限する基準を公表。5月になって、「不安感解消のため」として年1ミリシーベルトを新たに目標として掲げたため、保護者の間には混乱が生じていた。
根本崇市長は「子どもには一番低い年1ミリシーベルトを取るべきだ。周辺が『ホットスポット』と言われている現況を打開するには、基準をはっきり決めることが大切だ」と説明する。
周辺自治体には戸惑いも広がる。野田市を含む周辺6市は6月8日に対策協議会を結成し、測定方法や評価の基準を統一することにしていた。県や6市の測定によると、柏市など4市では全測定地点が野田市の基準値を超えており、柏市の秋山浩保市長は「野田には野田の事情があったのだろう」と話す。学校や幼稚園の土の入れ替えを求め1万人以上の署名を柏市に提出した大作ゆきさん(33)は「野田市民がうらやましい。行政は早く対応してほしい」と話した。
毎日新聞 2011年6月23日 東京朝刊