原子力安全委員会の考え方をフォローするため恒例の記者会見をフォローしておきます。
<ポイント>
*高濃度汚染水の処理
*窒素封入
*海江田大臣がシビアアクシデント対策、各地の原発は、確認し終えて、安全性が確認できたということで、原発の再開を地元の方にお願いしていきたいというふうに述べたことについて
*****原子力安全委員会ホームページより****
http://www.nsc.go.jp/info/20110620.pdf
原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年6月20日(月)14:37~14:48
場所:合同庁舎4号館6階643号室
参加者:班目委員長、久木田委員、小山田委員、加藤審議官、水間課長
○NHK岡本記者 NHKの岡本と申します。
班目委員長に伺いたいんですが、高濃度の汚染水が施設内でどんどん溜まっていく一方で、移送先がどんどん減っていると。にもかかわらず、その、処理装置が不具合続きで、本格稼働まで至っていない。こういった現状について、どういう危機感をお持ちでしょうか、そういった感想等について伺いたいのですが。
○班目原子力安全委員長 こういう油とか、あるいは、塩水を含んだ汚染水の処理ということについては、世界初の試みですので、予定どおりにいくということは、むしろ難しいのだろう、というふうに最初から考えておりました。ただ、関係者としては、最大限の努力を払っておりますので、徐々に解決していくのであろう、というふうに期待しているところです。
○NHK岡本記者 タイムリミットとしては、あと、1週間というリミットがありますが、それについてはいかがですか。
○班目原子力安全委員長 是非、この1週間に間に合わすように、解決していただきたいと思います。
○NHK岡本記者 もう1点、お願いします。
今日、午前中の保安院での会見でも、少し言及されたんですが、高濃度の汚染水を、今、低濃度用に作っているタンクに、移送する可能性というものも、ちょっと話が出ていたんですが、ただ、低濃度用に作っているタンクというのは、放射線遮へいとか、あるいは耐震性の問題も含めて、あまり、確認とれてないと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。
○班目原子力安全委員長 この辺りになりますと、まさに緊急避難的に、どの程度のことまでが許されるか、という問題になります。ただ、実際に高濃度の汚染水が海に漏れ出すというようなことの問題と比べた場合には、耐震性等々に問題があって、また、作業環境なんかも悪くなる、ということがあったとしても、緊急避難的にはやらざるを得ないときには、それもあり得るんだろうなというので、ひとつの選択肢としては、考えておくべきことだろうとは思っております。
○NHK岡本記者 それに対して、原子力安全委員会としては、どういったことを助言していきたいですか。
○班目原子力安全委員長 まだ、助言要請も来てないので、何とも言えませんけれども、当然、そういうことをやるときには、どの程度のリスクがあるか、ということの評価はした上でやっていただきたい。例えば、高濃度汚染水をタンクに移送したのはいいんだけれども、その後、対応が非常に難しくなってしまうという、そういうことはあってはならないわけで、ちゃんと、その後のことまで、考えた対応策が予めなされるということを強く要望したいと思っております。
○日経新聞吉野記者 日経新聞、吉野と申します。
今のに、関連して、セシウムの吸着塔の表面線量が4mSv/hを超えたので、止まりましたよということなんですが、これは、作業員の健康影響を評価した上で4mSv/hというふうに決めた、というふうに東電は言っているんですが、これを、例えば、上げるということは、健康影響上、どのような影響が出るというふうに考えられるんでしょうか。差し支えないものなんでしょうか、もしお分かりでしたら。
○班目原子力安全委員長 すみません。そこまでの事実関係を原子力安全委員会としては、ちゃんと把握してないんですが、我々が聞いているところでは、5時間ぐらいで4mSv/hまで上がってしまったということなので、当初、予定していたものよりも、はるかに早くなってしまったわけですね。
ということは、これを、例えば、2倍とか3倍にするとしたとしても、恐らく順調な運転というのは不可能なわけなので、まずは、油分の除去のためにやろうとしていたことの見直しから入るという、今の対応というのは、適切ではないかとは思っております。
○毎日新聞比嘉記者 毎日新聞の比嘉と申します。
久木田委員長代理にお伺いしたいんですけれども、先ほど窒素封入の効果について、他の委員からも、疑問が出てましたけれども、どういった必要性という観点で、なぜ必要ないのかといったことも含めて、お考えをお聞かせください。
○久木田原子力安全委員長代理 窒素の注入については、一番、懸念されることとしては、圧力容器、格納容器の圧力を順調に下げていく過程で、周囲の大気圧よりも低くなったような場合が起こり得て、そうすると酸素を含んだ空気が入ってきて、水素燃焼の可能性が出てくると、そういうことから、窒素注入をやった方がいいだろうという考えに立っているわけですね。それに対して、そういうふうに圧力を下げていったとしても、ある程度、水蒸気が出続けるような状況であれば、中に水素や酸素が溜まるようなことは、起こりにくいのではないか、というようなことも含めて、検討して、優先度をもって、お仕事を進めていただきたいという趣旨でコメントさせていただいたということです。
○毎日新聞比嘉記者 現在のやり方ですと、少し、優先度が高過ぎるんじゃないかと、そういったことになるんですか。
○久木田原子力安全委員長代理 それは、あくまで現場、あるいは東京電力として総合的に判断していただきたいと思うのですけれども、一旦、決めたことだからといって、必ずしもそのとおりにやらなくてもよいわけで、時間の経過とか、あるいは、1号機での経験を踏まえて、評価をしていただいて、その上で、念のためにやった方がよい、という判断であれば、それはそれで、そのようにやっていただければよいと思います。
○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。
土曜日に、海江田大臣がシビアアクシデント対策、各地の原発は、確認し終えて、安全性が確認できたということで、原発の再開を地元の方にお願いしていきたいというふうに述べられました。このことについて、班目委員長はどう受けとめていらっしゃるのかというのをまずは、シビアアクシデント対策の報告は安全委員会の方にはないですが、シビアアクシデント対策が終わったことで、今ある原発の運転再開というのが安全だ、というふうに考えてよいものかどうかということと、あと、現状でこの夏を控えて、原発の稼働が下がっていて、電力不足の危機もある状況の中で、経産大臣の再開を促すような対応をどう思うのか、その2点をお願いしたい。
○班目原子力安全委員長 まず、申し上げたいのは、シビアアクシデント対策も含めて、いろいろな対策をとるようにという、緊急安全対策というのが行われているわけで、このこと自体は、どの項目を見ても、より安全性を高める方向に行くというふうに、安全委員会としては評価しています。したがって、これは、是非、進めていただきたいと思っております。
それから、運転管理段階に入っている原子炉の規制に関しては、これは、一義的に規制行政庁側のなさることなので、それに対して、原子力安全委員会の方から、特段、何か助言要請がない限りは、申し上げる気はございません。
ただ、確かこういう場でも申し上げたことがあるかと思うんですけれども、いろいろな緊急安全対策をとられているんだけれども、あれの全体像といいますか、全体として、どういうことになったのか、今回の、福島第一発電所の事故によって、今までの安全対策というのは、大きな穴が空いていたことがはっきりしてしまったわけですね。
そういうものに対して、この緊急安全対策というのが、穴をふさぐのにどれほど有効だったのか、多分その評価というのは、ある程度の時間がかかるのはしようがないと思うので、すぐにとは言わないけれども、是非、そういう観点からのまとめというのも、時間はかかってもいいですから、原子力安全・保安院に対しては求めたいと思っているところです。
○東京新聞榊原記者 ちょっと漠然とした質問で恐縮ですが、地元の方では、今の状況では、安全に対して不安があると、国として安全基準を示して欲しい、という声が原発立地の自治体から上がっているんですが、そのことについて、委員長はどのようにお考えになりますか。
○班目原子力安全委員長 地元自治体が要求している安全基準なるものが何であるのかというのは、我々としては、承知してないところです。いわゆる指針類、これは専門家の間のコンセンサスを得て作っているものですから、これは、そう1か月や2か月でまとまるものではない。もし、1か月や2か月でコンセンサスが得られるようだったら、その時点でどんどん改訂していきますけれども、そういうものとはちょっと違うと思っております。むしろ、地元自治体が求めているのは、むしろ、そういう総合的な観点からの評価なのではないかなとは思うんですが、ちょっと、この辺りは、私も事実関係を知りませんので、ちょっとこれ以上のコメントはできないところです。
以 上
<ポイント>
*高濃度汚染水の処理
*窒素封入
*海江田大臣がシビアアクシデント対策、各地の原発は、確認し終えて、安全性が確認できたということで、原発の再開を地元の方にお願いしていきたいというふうに述べたことについて
*****原子力安全委員会ホームページより****
http://www.nsc.go.jp/info/20110620.pdf
原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年6月20日(月)14:37~14:48
場所:合同庁舎4号館6階643号室
参加者:班目委員長、久木田委員、小山田委員、加藤審議官、水間課長
○NHK岡本記者 NHKの岡本と申します。
班目委員長に伺いたいんですが、高濃度の汚染水が施設内でどんどん溜まっていく一方で、移送先がどんどん減っていると。にもかかわらず、その、処理装置が不具合続きで、本格稼働まで至っていない。こういった現状について、どういう危機感をお持ちでしょうか、そういった感想等について伺いたいのですが。
○班目原子力安全委員長 こういう油とか、あるいは、塩水を含んだ汚染水の処理ということについては、世界初の試みですので、予定どおりにいくということは、むしろ難しいのだろう、というふうに最初から考えておりました。ただ、関係者としては、最大限の努力を払っておりますので、徐々に解決していくのであろう、というふうに期待しているところです。
○NHK岡本記者 タイムリミットとしては、あと、1週間というリミットがありますが、それについてはいかがですか。
○班目原子力安全委員長 是非、この1週間に間に合わすように、解決していただきたいと思います。
○NHK岡本記者 もう1点、お願いします。
今日、午前中の保安院での会見でも、少し言及されたんですが、高濃度の汚染水を、今、低濃度用に作っているタンクに、移送する可能性というものも、ちょっと話が出ていたんですが、ただ、低濃度用に作っているタンクというのは、放射線遮へいとか、あるいは耐震性の問題も含めて、あまり、確認とれてないと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。
○班目原子力安全委員長 この辺りになりますと、まさに緊急避難的に、どの程度のことまでが許されるか、という問題になります。ただ、実際に高濃度の汚染水が海に漏れ出すというようなことの問題と比べた場合には、耐震性等々に問題があって、また、作業環境なんかも悪くなる、ということがあったとしても、緊急避難的にはやらざるを得ないときには、それもあり得るんだろうなというので、ひとつの選択肢としては、考えておくべきことだろうとは思っております。
○NHK岡本記者 それに対して、原子力安全委員会としては、どういったことを助言していきたいですか。
○班目原子力安全委員長 まだ、助言要請も来てないので、何とも言えませんけれども、当然、そういうことをやるときには、どの程度のリスクがあるか、ということの評価はした上でやっていただきたい。例えば、高濃度汚染水をタンクに移送したのはいいんだけれども、その後、対応が非常に難しくなってしまうという、そういうことはあってはならないわけで、ちゃんと、その後のことまで、考えた対応策が予めなされるということを強く要望したいと思っております。
○日経新聞吉野記者 日経新聞、吉野と申します。
今のに、関連して、セシウムの吸着塔の表面線量が4mSv/hを超えたので、止まりましたよということなんですが、これは、作業員の健康影響を評価した上で4mSv/hというふうに決めた、というふうに東電は言っているんですが、これを、例えば、上げるということは、健康影響上、どのような影響が出るというふうに考えられるんでしょうか。差し支えないものなんでしょうか、もしお分かりでしたら。
○班目原子力安全委員長 すみません。そこまでの事実関係を原子力安全委員会としては、ちゃんと把握してないんですが、我々が聞いているところでは、5時間ぐらいで4mSv/hまで上がってしまったということなので、当初、予定していたものよりも、はるかに早くなってしまったわけですね。
ということは、これを、例えば、2倍とか3倍にするとしたとしても、恐らく順調な運転というのは不可能なわけなので、まずは、油分の除去のためにやろうとしていたことの見直しから入るという、今の対応というのは、適切ではないかとは思っております。
○毎日新聞比嘉記者 毎日新聞の比嘉と申します。
久木田委員長代理にお伺いしたいんですけれども、先ほど窒素封入の効果について、他の委員からも、疑問が出てましたけれども、どういった必要性という観点で、なぜ必要ないのかといったことも含めて、お考えをお聞かせください。
○久木田原子力安全委員長代理 窒素の注入については、一番、懸念されることとしては、圧力容器、格納容器の圧力を順調に下げていく過程で、周囲の大気圧よりも低くなったような場合が起こり得て、そうすると酸素を含んだ空気が入ってきて、水素燃焼の可能性が出てくると、そういうことから、窒素注入をやった方がいいだろうという考えに立っているわけですね。それに対して、そういうふうに圧力を下げていったとしても、ある程度、水蒸気が出続けるような状況であれば、中に水素や酸素が溜まるようなことは、起こりにくいのではないか、というようなことも含めて、検討して、優先度をもって、お仕事を進めていただきたいという趣旨でコメントさせていただいたということです。
○毎日新聞比嘉記者 現在のやり方ですと、少し、優先度が高過ぎるんじゃないかと、そういったことになるんですか。
○久木田原子力安全委員長代理 それは、あくまで現場、あるいは東京電力として総合的に判断していただきたいと思うのですけれども、一旦、決めたことだからといって、必ずしもそのとおりにやらなくてもよいわけで、時間の経過とか、あるいは、1号機での経験を踏まえて、評価をしていただいて、その上で、念のためにやった方がよい、という判断であれば、それはそれで、そのようにやっていただければよいと思います。
○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。
土曜日に、海江田大臣がシビアアクシデント対策、各地の原発は、確認し終えて、安全性が確認できたということで、原発の再開を地元の方にお願いしていきたいというふうに述べられました。このことについて、班目委員長はどう受けとめていらっしゃるのかというのをまずは、シビアアクシデント対策の報告は安全委員会の方にはないですが、シビアアクシデント対策が終わったことで、今ある原発の運転再開というのが安全だ、というふうに考えてよいものかどうかということと、あと、現状でこの夏を控えて、原発の稼働が下がっていて、電力不足の危機もある状況の中で、経産大臣の再開を促すような対応をどう思うのか、その2点をお願いしたい。
○班目原子力安全委員長 まず、申し上げたいのは、シビアアクシデント対策も含めて、いろいろな対策をとるようにという、緊急安全対策というのが行われているわけで、このこと自体は、どの項目を見ても、より安全性を高める方向に行くというふうに、安全委員会としては評価しています。したがって、これは、是非、進めていただきたいと思っております。
それから、運転管理段階に入っている原子炉の規制に関しては、これは、一義的に規制行政庁側のなさることなので、それに対して、原子力安全委員会の方から、特段、何か助言要請がない限りは、申し上げる気はございません。
ただ、確かこういう場でも申し上げたことがあるかと思うんですけれども、いろいろな緊急安全対策をとられているんだけれども、あれの全体像といいますか、全体として、どういうことになったのか、今回の、福島第一発電所の事故によって、今までの安全対策というのは、大きな穴が空いていたことがはっきりしてしまったわけですね。
そういうものに対して、この緊急安全対策というのが、穴をふさぐのにどれほど有効だったのか、多分その評価というのは、ある程度の時間がかかるのはしようがないと思うので、すぐにとは言わないけれども、是非、そういう観点からのまとめというのも、時間はかかってもいいですから、原子力安全・保安院に対しては求めたいと思っているところです。
○東京新聞榊原記者 ちょっと漠然とした質問で恐縮ですが、地元の方では、今の状況では、安全に対して不安があると、国として安全基準を示して欲しい、という声が原発立地の自治体から上がっているんですが、そのことについて、委員長はどのようにお考えになりますか。
○班目原子力安全委員長 地元自治体が要求している安全基準なるものが何であるのかというのは、我々としては、承知してないところです。いわゆる指針類、これは専門家の間のコンセンサスを得て作っているものですから、これは、そう1か月や2か月でまとまるものではない。もし、1か月や2か月でコンセンサスが得られるようだったら、その時点でどんどん改訂していきますけれども、そういうものとはちょっと違うと思っております。むしろ、地元自治体が求めているのは、むしろ、そういう総合的な観点からの評価なのではないかなとは思うんですが、ちょっと、この辺りは、私も事実関係を知りませんので、ちょっとこれ以上のコメントはできないところです。
以 上