「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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メモ:相続権のない内縁の妻が、契約当事者の夫の死後も、同居の借家に住み続けるための借地借家法上の配慮

2012-03-04 23:00:00 | シチズンシップ教育
 原則は、賃借人が死亡しても、賃貸借契約は、終了せずに、「相続」されます。

 「相続権」のない同居者では、どうか。

 内縁の夫婦が、借家に住んでいたとします。
 もし契約当事者の夫が死亡した場合、婚姻があるわけではない夫婦間に「相続」が生じません。
 相続権のない同居人、この場合内縁の妻は、その借家から出て行かねばならないのかどうかが問題となります。

 「借地借家法36条1項」では、その相続権のない同居人の権利を保護する規定を備えています。

*******借地借家法36条****************
居住用建物の賃貸借の承継

第36条 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

2 前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。
***********************

 よって、内縁の妻(事実上の養子の場合なども)は、 「借地借家法36条1項」により、契約当事者の権利義務を継承でき、住み続けることができます。(相続人がいない場合。)
 

 「民法」では、補いきれないところを補う特別法として「借地借家法」が制定され、ゆえに優れた点が、多々あるのは当然としても、このようなところまで気配りができている点にあらためて感動しました。

 
 なお、相続人がいる場合は、明文規定がございません。
 その相続人が、賃借権を相続することになります。
 
 その場合でも、相続人が承継した賃借権の「援用」で、住み続けることが主張できます。
 
 万が一、その相続人が、嫌がらせ等の理由で追い出そうとしても、「権利濫用の法理」をもって、住み続けることが主張できます。(争点にはなるところのようですが、)
コメント
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