「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

築地市場は移転をさせません。『シンポジウム6.1 築地の女将が市場を語る』お知らせ

2013-05-21 16:27:24 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
シンポジウム6.1

築地の女将が市場を語る


発祥を江戸時代の日本橋魚河岸に遡る 日本の食を司り、世界一の水産物市場として、また昨今は東京一の観光スポットとして国内外でも大人気の築地市場。

今回はこの築地市場を盛り立てて来た女将さんの代表が、浅草の見番という粋な場所で 「築地の今昔、魅力」 を語ってくれます。 【其の弐】

前座でやっちゃ場(青果部)の仲卸が新鮮野菜果物を大赤字覚悟の売り切れ御免で販売。【其の壱】

さらに築地で働く津軽三味線の名取りたちの太棹を聴きましょう。【其の参】

また、この20年近く築地を悩ます豊洲移転問題。これには市場で働く熱い江戸っ子たちと手弁当で頑張ってきた市民派弁護士たちが説明、会場からの声にもできるだけお答えします。【其の志】

お終いに、会がはねてから築地問題についてさらに浅草の町なかで、一献傾けさらに語ろうという趣向は如何でしょうか。詳しくは当日…【其のGO】

会場  浅草三業会館 台東区浅草3-33-5
     浅草寺裏手の言問通りの向いゴロゴロ会館の脇入る
     浅草駅から徒歩7分
日時  2013年6月1日(土) 午後2時から5時
会費  1千円也
     (築地特製マグロカツサンド・ベジサンド&お茶付のお代)

【其の壱】 0:00‐2:00 築地場内市場の高級野菜果物大安売り
【其の弍】 2:00‐3:00 「築地の女将が市場を語る」
【其の参】 3:00‐3:30 「津軽三味線浅草で聴く」
【其の志】 3:30-5:00 「築地に問う」
【其のGO】 5:00-    希望者による懇親会

申込み/問合せ Mail tsukiji.mamoro@gmail.com Fax 03-5547-1166
           Short Mail 090-7170-5627l


協賛:(株)エヌエイ・オルカ
協力:築地で働く人たちの有志  築地移転を検証する会
    築地ファンクラブ  Ring Do組  築地で朝食ツアー(B@TT)有志
    東京津軽三味線の会
企画:(株)オフィスいまり03-6457-4832 k.mizno@me.com
主催:築地を守る市民会議(CATT)  共催:築地の女将会


当日の主な出演:マグロ仲卸女将・岩井令子さん。
           「トンカツ豊ちゃん」女将・長田光子さん。
           津軽三味線奏者。青果商卸・南雲雅雄さん。
           築地で働く皆さん。
           築地を守る市民会議弁護士など。

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メモ:平成25年司法試験問題

2013-05-20 17:31:02 | 築地を守る、築地市場現在地再整備

法務省ホームページより

平成25年司法試験問題

http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00082.html

 

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著作権法:特殊な著作物(二次的著作物、編集著作物、データベースの著作物)について

2013-05-20 14:45:55 | シチズンシップ教育

 特殊な著作物

第1、二次的著作物

1、二次的著作物とは:

  著作物を翻訳し、編曲し、もしくは変形し、または、脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作された著作物

 (2条1項11号)

 例:
  ○英語の小説を日本語に翻訳した作品

  ○クラシックをジャズに編曲した作品

  ○絵画を彫刻に変形した作品、二次元を三次元に

  ○小説を漫画に翻案

  など

****著作権法****
2条1項11号
十一  二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。

(翻訳権、翻案権等)
第二十七条  著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。


2、二次的著作物の作成行為の一種である「翻案」の定義

 最高裁

既存の著作物に依拠し、原著作物の表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、変更、増減を加えて新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為

3、原著作物の著作者の権利

****11条****
(二次的著作物)
第十一条  二次的著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。


4、二次的著作物にあたる、当たらない場合、

 ア 既存の著作物と全く同一の作品を作出した場合

 ⇒複製権(21条)の侵害

 イ 既存の著作物に修正増減加えているが、その修正増減について創作性が認められない場合

 ⇒複製権(21条)の侵害&著作者人格権での同一性保持権の侵害

 ウ 既存の著作物の修正増減に創作性が認められるが、原著作物の表現形式の本質的特徴が失われるに至っていない場合=「翻案」

 ⇒改作利用権(27条)の侵害&著作者人格権での同一性保持権の侵害

 エ 既存の著作物の修正増減に創作性が認められ、かつ、原著作物の表現形式の本質的な特徴が失われてしまっている場合=全く別個独立の著作物を作出する

 ⇒著作権侵害を侵害しない


第2、データベースの著作物

1、データベースとは:論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
  2条1項10号の3

***著作権法****
2条1項
十の三  データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。



2、データベースの著作物とは:データベースのうち、情報の選択または体系的な構成によって創作性を有するもの
  12条の2第1項

***著作権法***
(データベースの著作物)
第十二条の二  データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2  前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。


第3、編集著作物

1、編集物とは:編集物で素材の選択または配列によって創作性を有するもの

 12条1項

****著作権法****
(編集著作物)
第十二条  編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2  前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。


2、編集著作物も著作物の一種

 編集著作物として保護されるのは、素材を選択、配列した結果としての具体的表現であり、素材を選択、配列するもととなった編集方針や編集方法ではない。

 ⇒編集方針や編集方法がごくありふれていても、そのような方針ないし方法に従って具体的に素材を選択、配列する過程に創作性が認められれば、編集著作物として保護される


以上

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著作権法:著作物とは?著作権法10条1項を個別に検討。(建築、図面、映画、写真、プログラム言語等)

2013-05-20 13:28:11 | 築地を守る、築地市場現在地再整備

(続き、一~四→ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/30fe2c197c8c17cbe7e7af692f8d280d


五  建築の著作物

1、建築の著作物:建築物の外観に表れた美的形象をいう。すなわち、形象が美的鑑賞の対象となりうるようなもの。例えば、宮殿や凱旋門、勝鬨橋や東京タワーなどの美的特性を備えた建築物。


2、建売住宅などの通常の建築物は、建築の著作物として保護されない。

 ⇒通常の建築物は、美術性を有する著作物(2条1項1号後段の「美術の範囲」に属する著作物)としての実質を有しておらず、著作物性が否定される。

 原則:著作物性を否定
 例外:著作物性の判断は、応用美術と類似。

3、もし保護されるとなると、後行の建築デザインの開発に支障を来すことになる。

4、図面をもとに美的形象を有する建築物を完成させる行為は、建築の著作物の「複製」となる。(2条1項15号ロはこのことを確認的に規定)


六  地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物

1、地図の著作物性

(1)素材の取捨選択や表現方法に関して創作者の個性を発揮する余地があるため、著作物として保護。

(2)地図は、もともと表現の選択の幅が狭いため、著作物として保護されるとしても、範囲は狭い。


2、設計図の著作物性

(1)設計図とは:対象物(建築物や工業製品等)に関する設計情報(建築物の間取りや、機械の形状、寸法等)を一定の製図法に従って記述した図面。

(2)図示された対象物が美的鑑賞の対象となるようなものであれば、そのデザイン自体が美術の著作物や建築の著作物として保護。

(3)工作機械の設計図など、対象物が著作物として保護されないものであっても、作図の過程で作成者の個性が表れていれば、その図面は図形の著作物として保護。

 単純な工業製品の設計図などでは、創作性が否定。

(4)工作機械の設計図に従って無断で機械を製作しても、設計図の著作権の侵害となることはない。ただし、対象物が美的鑑賞の対象となるものである場合、対象物がそれ自体著作物として保護されるから、設計図に従って対象物を制作する行為は、対象物の著作権を侵害することとなる。



七  映画の著作物

1、映画の著作物とは:連続した映像により創作的に表現したものを物に固定したもの。

  映画の著作物には、以下の3要件を満たすものも含む(2条3項)
  (1)「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、
   ⇒映像が動きをもって見えるという効果、動きのある映像であれば、この要件をみたす。

  (2)物に固定されている
   ⇒「著作物が何らかの方法により物と結びつくことによって、同一性を保ちながら存続し、かつ著作物を再現することが可能な状態」
   例、ゲームソフト
   否定例、テレビの生放送で録画が行われないような場合

  (3)著作物
   ⇒否定例、防犯カメラの映像のように、自動的、機械的に撮影された映像

   
八  写真の著作物

1、写真の著作物とは:人物や風景などの被写体をカメラを用いてフィルム等に画像として表現したもの
  (2条4項)
  デジタル写真も含む。

2、証明写真のように、撮影・現像のプロセスが自動的、機械的に行われる場合や、被写体をそのまま忠実に撮影した場合など、作成社の個性が表れる余地がない場合否定。

3、「写真手法説」と「被写体許容説」

 (1)被写体は何か これをまず判断。

   客観的にいじれない場合→「写真手法説」

 (2)被写体がいじれるもの

   いじっていること(背景をどのように、被写体をどう配置するか)を考慮の対象とする「被写体許容説」+「写真手法説」



九  プログラムの著作物

1、プログラムとは:「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」(2条1項10号の2)

ソースプログラム:人間が読取可能な状態のもの

オブジェクトプログラム:機械が読み取り可能な言語、0と1のならんだようなもの。

 ソースプログラムとオブジェクトプログラムの両者、対象足り得る。

2、プログラム言語、規約、解法に著作権の保護は及ばない。(10条3項1~3号)

 ⇒「特許」で保護


以上

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第37回わんぱく相撲中央区大会無事終了。団体戦優勝男子月一小、女子京橋築地小。

2013-05-19 23:00:00 | 教育

 無事、言葉通り、無事、わんぱく相撲中央区大会は終了しました。

 毎年、骨折を疑う子(実際診断も骨折)がいたりもしましたが、今年は、救護所受診のかたは、骨折を疑った子はいませんでした。

 聖路加国際病院からも小児外科の医師が派遣されるようになり、ものすごく助かりました。あっきー先生ありがとうございました。
 また、ご父兄の中にも、これまた整形外科の先生(それもスポーツドクター専門)がおられ、以前も助けていただいたことがありましたが、今回もお世話様になりました。ありがとうございました。



 救護所利用のかたは、30名。男17、女13.

 外科系16、整形外科系13、耳鼻科系1

   男 女 計
1年生 2 2  4

2年生 2 3  5

3年生 2 2  4

4年生 3 3  6

5年生 5 2  7

6年生 2 1  3

年不明 1

合計 17 13 30  


 ボランティア、ご父兄、地域のかた、ボランティアの皆様、青年会議所の皆さん、関係者の皆さん、
 本当にお疲れ様でございました。

 今年は、中央区で都大会が開催。
 6/23日曜日、場所が、築地本願寺。
 忘年会・新年会あたりで、お願いされたでしょうか。救護所にご協力させていただきます!ちゃんと手帳に記載しています。





   

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5/19わんぱく相撲中央区大会。みんな、頑張って。救護班にて応援しています。

2013-05-18 02:18:05 | 教育
 いよいよ、5/19日曜日、わんぱく相撲中央区大会。

 みんな、頑張って下さい。

 例年のごとく、救護班を守っています。

 今年は、聖路加病院にお声がけをさせていただき、外科系の医師も参加協力くださるとのこと。
 病院診療の忙しい中、本当に感謝致します。
 
 体と体がぶつかるので、どうしても小さな怪我は生じることはあります。
 大きな怪我なく、みんな、日頃の練習の成果が出せますように祈っています。
 
 また一年、大きくなった子ども達に会えること楽しみにしています。
 
 
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手続の重要性を示唆する重要判例:一級建築士免許取消し処分の取消し事件

2013-05-18 00:22:53 | シチズンシップ教育
 どうもひっかかる行政判例のひとつです。

 最高裁でも、結論が割れた模様。
 結論に賛成3、反対2。

 耐震偽造を犯した一級建築士の免許取消処分を取り消してまで、手続きの重要性をとるべきことを本判決は示唆しました。

 判決理由は、法廷意見のみ掲載します。
 田原睦夫裁判官補足意見、那須弘平反対意見は略しています。



******最高裁ホームページ******
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81379&hanreiKbn=02

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110607135658.pdf

主文

1 原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。

2 国土交通大臣が上告人X1に対し平成18年9月1日付けでした一級建築士免許取消処分を取り消す。

3 北海道知事が上告人X2に対し平成18年9月26 日付けでした建築士事務所登録取消処分を取り消す。

4 訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。


理由

上告代理人川守田大介の上告受理申立て理由第1,第2,第6について

1 本件は,一級建築士として建築士事務所の管理建築士を務めていた上告人 X1が,国土交通大臣から,建築士法(平成18年法律第92号による改正前のも の。以下同じ。)10条1項2号及び3号に基づく一級建築士免許取消処分(以下 「本件免許取消処分」という。)を受け,これに伴い,同事務所の開設者であった 上告人X2(以下「上告会社」という。)が,北海道知事から,同法26条2項4 号に基づく建築士事務所登録取消処分(以下「本件登録取消処分」という。)を受 けたため,上告人らにおいて,本件免許取消処分は,公にされている処分基準の適 用関係が理由として示されておらず,行政手続法14条1項本文の定める理由提示 の要件を欠いた違法な処分であり,これを前提とする本件登録取消処分も違法な処 分であるなどとして,これらの各処分の取消しを求めている事案である。


2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。

(1) 上告人X1は,昭和56年に一級建築士免許を取得し,上告会社が開設する建築士事務所の管理建築士を務めていた。

(2) 国土交通大臣は,上告人X1に対し,平成18年9月1日付けで,本件免許取消処分をした。その通知書には,処分の理由として,次のとおり記載されてい た。

「あなたは,北海道札幌市中央区南▲条西▲丁目▲-▲,北海道札幌市厚別区厚 別中央▲条▲丁目▲-▲,北海道札幌市豊平区平岸▲条▲丁目▲,北海道札幌市北 区北▲条西▲丁目▲-▲,▲,▲,▲,北海道札幌市中央区北▲条西▲丁目▲番 ▲,北海道札幌市中央区南▲条西▲丁目▲-▲,▲,▲,▲,北海道札幌市中央区 南▲条西▲丁目▲-▲を敷地とする建築物の設計者として,建築基準法令に定める 構造基準に適合しない設計を行い,それにより耐震性等の不足する構造上危険な建 築物を現出させた。

また,北海道札幌市東区北▲条東▲丁目▲-▲,北海道札幌市豊平区豊平▲条▲ 丁目▲-▲,北海道札幌市豊平区月寒西▲条▲丁目▲番▲,北海道札幌市豊平区月 寒中央通▲丁目▲番▲,北海道札幌市白石区南郷通▲丁目北▲を敷地とする建築物 の設計者として,構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行った。

このことは,建築士法第10条第1項第2号及び第3号に該当し,一級建築士に 対し社会が期待している品位及び信用を著しく傷つけるものである。」

(3) 北海道知事は,上告人X1に対し本件免許取消処分がされたことを受け て,上告会社に対し,平成18年9月26日付けで,本件登録取消処分をした。

(4) 建築士法10条1項は,建築士が「この法律若しくは建築物の建築に関す る他の法律又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反したとき」(2 号),「業務に関して不誠実な行為をしたとき」(3号)においては,免許を与えた国土交通大臣又は都道府県知事は,当該建築士に対する懲戒処分として,「戒告 を与え,1年以内の期間を定めて業務の停止を命じ,又は免許を取り消すことがで きる。」と定めている。

本件免許取消処分がされた当時,建築士に対する上記懲戒処分については,意見 公募の手続を経た上で,「建築士の処分等について」と題する通知(平成11年1 2月28日建設省住指発第784号都道府県知事宛て建設省住宅局長通知。平成1 9年6月20日廃止前のもの)において処分基準(以下「本件処分基準」とい う。)が定められ,これが公にされていた。

本件処分基準によれば,その別表第1 に従い,処分内容の決定を行うこととされており,上記別表第1の(2)は,建築士 が建築士法10条1項2号又は3号に該当するときは,

「表2の懲戒事由に記載し た行為に対応する処分ランクを基本に,表3に規定する情状に応じた加減を行って ランクを決定し,表4に従い処分内容を決定する。ただし,当該行為が故意による ものであり,それにより,建築物の倒壊・破損等が生じたとき又は人の死傷が生じ たとき(以下「結果が重大なとき」という。)は,業務停止6月以上又は免許取消 の処分とし,当該行為が過失によるものであり,結果が重大なときは,業務停止3 月以上又は免許取消の処分とする。」と定めていた。

また,上記別表第1の表2 は,「違反設計」に対応する処分ランクを「6」とし,「不適当設計」に対応する 処分ランクを「2~4」とし,「その他の不誠実行為」に対応する処分ランクを 「1~4」とするなど,懲戒事由の類型ごとに処分ランクを定め,表3は,その処 分ランクから,「過失に基づく行為であり,情状をくむべき場合」には1~3を減 じ,「法違反の状態が長期にわたる場合」や「常習的に行っている場合」には3を 加えるなど,情状等による処分ランクの加減方法を定め,表4は,このようにして決定された処分ランクが「2」の場合は「戒告」とし,「3」ないし「15」の場 合はそれぞれ「業務停止1月未満」ないし「業務停止1年」とし,「16」の場合 は「免許取消」とするなど,処分ランクに対応する処分等(文書注意を含む。)の 内容を定めるとともに,複数の処分事由に該当する場合の処理について,「二以上 の処分等すべき行為について併せて処分等を行うときは,最も処分等の重い行為の ランクに適宜加重したランクとする。ただし,同一の処分事由に該当する複数の行 為については,時間的,場所的接着性や行為態様の類似性等から,全体として一の 行為と見うる場合は,単一の行為と見なしてランキングすることができる。」など と定めていた。

(5) 上告人らは,本件訴訟の提起の段階で,本件免許取消処分の根拠は本件処 分基準の別表第1の(2)本文であると理解していたが,被上告人国は,本件訴訟に おいて,本件免許取消処分の根拠を,主位的に,同(2)ただし書であると主張し, 予備的に,同(2)本文であると主張した。

3 原審は,上記事実関係等の下において,次のとおり判断し,本件免許取消処 分に行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法はなく,その 余の違法事由も認められず,本件登録取消処分にも違法はないとして,上告人らの 請求をいずれも棄却すべきものとした。

行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に当該不利益処分の理由を 示さなければならないとしている趣旨は,一級建築士に対する懲戒処分の場合,当 該処分の根拠法条(建築士法10条1項各号)及びその法条の要件に該当する具体 的な事実関係が明らかにされることで十分に達成できるというべきであり,更に進 んで,処分基準の内容及び適用関係についてまで明らかにすることを要するものではないと解すべきである。国土交通大臣は,本件免許取消処分の通知書の中で具体 的な根拠法条及びその要件に該当する具体的な事実関係を明らかにしているから, 十分な理由が提示されていたといえる。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次 のとおりである。

行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人 に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利 を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保し てその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便 宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理 由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令 の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分 の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決 定すべきである。

この見地に立って建築士法10条1項2号又は3号による建築士に対する懲戒処 分について見ると,同項2号及び3号の定める処分要件はいずれも抽象的である 上,これらに該当する場合に同項所定の戒告,1年以内の業務停止又は免許取消し のいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして,建築 士に対する上記懲戒処分については,処分内容の決定に関し,本件処分基準が定め られているところ,本件処分基準は,意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき 手厚い手続を経た上で定められて公にされており,しかも,その内容は,前記2 (4)のとおりであって,多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。

そうすると,建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由として は,処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて,本件処分基準の適用関係 が示されなければ,処分の名宛人において,上記事実及び根拠法条の提示によって 処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても,いかなる理由に基づいてどのよ うな処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるの が通例であると考えられる。

これを本件について見ると,本件の事実関係等は前記 2のとおりであり,本件免許取消処分は上告人X1の一級建築士としての資格を直 接にはく奪する重大な不利益処分であるところ,その処分の理由として,上告人 X1が,札幌市内の複数の土地を敷地とする建築物の設計者として,建築基準法令 に定める構造基準に適合しない設計を行い,それにより耐震性等の不足する構造上 危険な建築物を現出させ,又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行った という処分の原因となる事実と,建築士法10条1項2号及び3号という処分の根 拠法条とが示されているのみで,本件処分基準の適用関係が全く示されておらず, その複雑な基準の下では,上告人X1において,上記事実及び根拠法条の提示によ って処分要件の該当性に係る理由は相応に知り得るとしても,いかなる理由に基づ いてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ること はできないものといわざるを得ない。このような本件の事情の下においては,行政 手続法14条1項本文の趣旨に照らし,同項本文の要求する理由提示としては十分 でないといわなければならず,本件免許取消処分は,同項本文の定める理由提示の 要件を欠いた違法な処分であるというべきであって,取消しを免れないものという べきである。

そして,上記のとおり本件免許取消処分が違法な処分として取消しを免れないものである以上,これを前提とする本件登録取消処分もまた違法な処分として取消し を免れないものというべきである。

5 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違 反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したと ころによれば,上告人らの請求は理由があるから,第1審判決を取り消し,上告人 らの請求をいずれも認容すべきである。


よって,裁判官那須弘平,同岡部喜代子の各反対意見があるほか,裁判官全員一 致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官田原睦夫の補足意見がある。

(以下、略)
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米子供の13~20%精神疾患:CDC米疾病対策センター16日発表、日本は大丈夫か?

2013-05-17 17:42:00 | 小児医療
 少々驚いています。

 米疾病対策センター(CDC)の発表なので、その通りと思うものの、その通りなら、ものすごい罹患率です。

 日本は大丈夫か?


****時事コム****
米子供の13~20%精神疾患

 【ワシントン時事】米疾病対策センター(CDC)は16日、全米の子供の13~20%が精神疾患を患っているとの調査結果を発表した。
 同センターは、子供の精神疾患は家族や地域にも影響を及ぼし、治療や特別な教育などに年間2470億ドル(約25兆円)もの費用がかかるとし、「米国の重要な公衆衛生上の問題だ」と指摘した。調査は2005~11年に行われた。(2013/05/17-11:00)
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証拠間の矛盾をつく、検察に証拠不開示と言われても裁判所に開示命令を求める:冤罪を絶対に生まないために

2013-05-16 23:00:00 | シチズンシップ教育

 弁護人/被告人側から、検察官に求める証拠。

 類型証拠:特定の検察官の証拠の証明力を判断するために重要であると認められる証拠。

 検察官側が、集めた証拠を“切り貼りして”あるストーリーを作り、それが真実に起こったものではない場合、証拠間に矛盾衝突が生じるはずです。
 かといって、検察官側は、つくりたいストーリーに都合が悪い証拠を裁判で提出するとは限りません。というか、提出することは避けるでしょう。

 弁護人/被告人側は、提出されていないそれら証拠を入手し、真実の発見に努める必要があります。

 そして、そのことを可能にするために、「類型証拠開示請求」として法整備がなれています。

 「類型証拠開示請求」を有効に使う必要があると考えます。

 以下、その手順。

 
 ここでのポイントは、検察官側が、検察官側の論理で、証拠の出す出さないを決することはできず、検察官側も「被告人の防御の準備のために開示することの必要性」で判断することが法律で規定されており、その点からは、たいていの証拠が、出すことによるその他弊害(証拠がもとで他のひとに危害が生じる可能性がある場合など)がない限り、検察官側は出すことになると思われます。



******手順*************

1、類型証拠開示請求(刑事訴訟法316条の15)

弁護人/被告人側が、

 1)どの内容に関する証拠かを明らかにする(類型の明示)

 2)どの証拠かわかるようにする(証拠を識別できる程度の特定)

 3)なぜ、その証拠が必要かを明らかにする(被告人の防御の準備のために当該開示が必要であることの理由の明示)

 をして検察官に証拠開示を請求


2、開示不相当の回答

検察官側が、

 開示不相当と判断すると、その理由を付して回答


⇒弁護人/被告人側は、ここで、ひきさがってはなりません!!!


3、裁判所に開示命令の裁定を求める(刑事訴訟法316条の26 1項)

弁護人/被告人側が、

 開示不相当とすることは、おかしいと考えるなら、裁判所に開示命令の裁定を求める


4、裁判所による類型証拠開示命令の裁定

裁判所が、

 検察官から当該証拠の提示を受けて、開示命令を判断。(刑事訴訟法316条の27 1項)
 その際、裁判官は、検察の意見を聴く。(刑事訴訟法316条の26 2項)

 裁判所もどのような証拠があるかわからないので、提示の求めをしようがその特定のしようがないのですが、裁判所は、証拠の一覧表を検察官側に提示を求めることができ(刑事訴訟法316条の26 2項)、それによって、弁護人側が求めているであろう証拠を特定して、検察官に当該証拠の提示を求めます。

*裁判前に、裁判官が証拠に触れて、「予断排除の原則」に反するのではないかと疑問をいだかれれるかもしれませんが、裁判所は、証拠の“提出”ではなく、“提示”を受けるだけであり、それを見て被告人側に開示の有無を判断し、すぐに検察官に返すので、裁判官の心証が裁判前に形成される等の問題とはなりません。

****該当 条文 刑事訴訟法*****

第三百十六条の十五  検察官は、前条の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、次の各号に掲げる証拠の類型のいずれかに該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められるものについて、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、その重要性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、同条第一号に定める方法による開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。
一  証拠物
二  第三百二十一条第二項に規定する裁判所又は裁判官の検証の結果を記載した書面
三  第三百二十一条第三項に規定する書面又はこれに準ずる書面
四  第三百二十一条第四項に規定する書面又はこれに準ずる書面
五  次に掲げる者の供述録取書等
イ 検察官が証人として尋問を請求した者
ロ 検察官が取調べを請求した供述録取書等の供述者であつて、当該供述録取書等が第三百二十六条の同意がされない場合には、検察官が証人として尋問を請求することを予定しているもの
六  前号に掲げるもののほか、被告人以外の者の供述録取書等であつて、検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするもの
七  被告人の供述録取書等
八  取調べ状況の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務上作成することを義務付けられている書面であつて、身体の拘束を受けている者の取調べに関し、その年月日、時間、場所その他の取調べの状況を記録したもの(被告人に係るものに限る。)
○2  被告人又は弁護人は、前項の開示の請求をするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
一  前項各号に掲げる証拠の類型及び開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項
二  事案の内容、特定の検察官請求証拠に対応する証明予定事実、開示の請求に係る証拠と当該検察官請求証拠との関係その他の事情に照らし、当該開示の請求に係る証拠が当該検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であることその他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由


第三百十六条の二十六  裁判所は、検察官が第三百十六条の十四若しくは第三百十六条の十五第一項(第三百十六条の二十一第四項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)若しくは第三百十六条の二十第一項(第三百十六条の二十二第五項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるとき、又は被告人若しくは弁護人が第三百十六条の十八(第三百十六条の二十二第四項において準用する場合を含む。)の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるときは、相手方の請求により、決定で、当該証拠の開示を命じなければならない。この場合において、裁判所は、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。
○2  裁判所は、前項の請求について決定をするときは、相手方の意見を聴かなければならない
○3  第一項の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第三百十六条の二十七  裁判所は、第三百十六条の二十五第一項又は前条第一項の請求について決定をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官、被告人又は弁護人に対し、当該請求に係る証拠の提示を命ずることができる。この場合においては、裁判所は、何人にも、当該証拠の閲覧又は謄写をさせることができない。
○2  裁判所は、被告人又は弁護人がする前条第一項の請求について決定をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官に対し、その保管する証拠であつて、裁判所の指定する範囲に属するものの標目を記載した一覧表の提示を命ずることができる。この場合においては、裁判所は、何人にも、当該一覧表の閲覧又は謄写をさせることができない。
○3  第一項の規定は第三百十六条の二十五第三項又は前条第三項の即時抗告が係属する抗告裁判所について、前項の規定は同条第三項の即時抗告が係属する抗告裁判所について、それぞれ準用する。

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親会社の法令違反指示に従い損害を生じた子会社のその取引先による親会社取締役に対する責任追及

2013-05-15 16:37:23 | シチズンシップ教育

 民法、会社法を学ぶ上で、歯がゆく思うケース。

 実務上も難しいということです。

 親会社が悪さを指示しているのに、その責任追及ができないケース。


 親会社が、100%持ち株の子会社に法令違反行為を指示。
 それに従って、子会社に損害が生じ、それをきっかけに財務状況が悪化、子会社の取引先が債権回収不能に陥った。

 子会社の取引先Xは、子会社と親会社の取締役に訴えを提起できるか。



 
 子会社の取締役Y5-Y7は、会社法429条で訴えることはできる
 法令違反をしているのだから、経営判断の原則以前の問題であり、それはたやすい。

 問題が、本当に悪いはずの親会社の取締役。


 いかに訴えられるか。


 1)事実上の取締役論
 子会社を基点にみた方法として、Y1-Y4が事実上の子会社の取締役であるとみなし、会社法429条を用いる。(京都地裁H4.2.5)

 2)法人格否認の法理
 親会社と子会社が、同視できるとみなし、親会社取締役に、会社法429条を用いる。(H4.2.7)

 3)会社法429条の第三者の範囲の拡大
 親会社を基点にみる。
 親会社の子会社への支配の濃淡を判断し、子会社の取引先も、第三者に入るとする。


****会社法****

(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条  役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う
 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
 取締役及び執行役 次に掲げる行為
 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
 虚偽の登記
 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)
 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
 監査役及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
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国会審議に注目。福島原発事故被害に安易な「時効」制度が適用されぬように。

2013-05-15 15:48:53 | 国政レベルでなすべきこと
 ものすごく重要な法案が審議中です。

 想定すべきものを想定せずに福島第一原発事故は起きました。
 その事故被害の損害賠償が、法律で定められた「時効」という制度のため、東京電力が損害賠償をしなくても済む事態が生じる可能性があります。

 そのための手当てが、時効特例法案として、現在、国会で審議中です。

 真に求められる立法措置は、日弁連がいうところの、、「原発事故の賠償請求権については民法を適用せず、消滅しないとする特別の立法措置」ではないかと同感です。


 時効が成立しても、それを使うか(援用する)かどうかは、東京電力側にあり、ぜひとも使わないで筋を通していただくことを期待します。

 また、万が一、時効で争いが生じた場合は、裁判所が、原発事故の賠償請求権の時効を援用することは、信義則上許されないと、最後の防波堤になっていただきたいと思います。

 ただ、そのような争いが生じることなく、原発事故の被害者をすべて満足のいく救済をできるように、十分な立法措置を国会がとることを求めたいと思います。

*****民法****

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する

 

*****東京新聞(2013/05/15)*****
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013051590072504.html

原発事故損害賠償 時効特例法案 不十分

2013年5月15日 07時25分


 福島原発事故に伴う損害賠償請求で、民法上の請求権の時効(三年)を過ぎても東京電力に賠償を求められる政府提出の特例法案が衆議院で審議されているが、被災者たちから「実態にそぐわず、切り捨てにつながる」という懸念の声が上がっている。日本弁護士連合会(日弁連)も時効規定を適用しない特別立法の制定を訴えている。

 法案は最短で来年三月に時効を迎えるケースが予想されるため、被災者救済を目的に浮上。国の「原子力損害賠償紛争解決センター」(原発ADR)での和解交渉が不調に終わった場合、打ち切り通知を受け取ってから一カ月以内であれば、時効にかかわらず、裁判所に賠償請求訴訟を起こせるとしている。

 しかし、原発ADRに申し立てをしている人は一万六千五百四十四人(十三日現在)と避難区域の住民の一割程度。東電と直接交渉をしているか、まだ賠償請求をしていない人が大半を占めるが、こうした被災者の時効には触れていない。

 さらに損害の全容が判明しておらず、ADRへの申し立て内容も損害の一部でしかないのが実情。事故がいまだ収束しておらず、潜在的な被害もありうるため、被災者が不安を募らせている。

 福島県の被災者団体の一つ「原発事故被災者相双の会」の国分(こくぶん)富夫代表代行(68)は「特例法案の仕組みは極めて不十分。効果を疑問視している。むしろ、その中身をよく知らない被災者らの間で『これで時効が過ぎても大丈夫だ』という誤解が生まれており、心配している」と話した。

 日弁連は先月十八日付の意見書で法案を批判しつつ、「原発事故の賠償請求権については民法を適用せず、消滅しないとする特別の立法措置を講じるべきだ」と指摘した

 東電広報部は「時効が完成しても一律に賠償請求を断ることは考えていない。個別の案件ごと柔軟に対応していく」としている。

 <損害賠償請求権の時効> 民法724条は不法行為による時効を被害者らが損害を認識し、加害者を知った時から3年か、不法行為後20年を経過した時点と定めている。債権と財産権の時効については同法167条で前者を10年、後者を20年と規定。今回の福島原発事故では、両方の規定が適用される可能性がある。

(東京新聞)

*****日弁連ホームページ****
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130418.html

本意見書について
日弁連は、2013年4月18日付けで「東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効について特別の立法措置を求める意見書」を取りまとめ、内閣総理大臣、文部科学大臣に提出しました。


本意見書の趣旨
1 平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により生じた原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)第2条第2項にいう「原子力損害」をいう。)の賠償請求権については、民法第724条前段を適用せず、短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置を早急に講じるべきである。



2 前項の原子力損害の賠償請求権については、民法上の除斥期間及び消滅時効の規定(民法第724条及び同法第167条第1項)は適用されず、別途、一定の期間を経過した後に消滅するものとする特別の立法措置を講じることの検討に着手すべきである。ただし、その期間については、慎重に検討するべきである。


意見書全文
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2013/opinion_130418.pdf
東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効について特別の立法措置を求める意見書

2013年(平成25年)4月18日
日本弁護士連合会

第1 意見の趣旨
1 平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により生じた原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)第2条第2項にいう「原子力損害」をいう。)の賠償請求権については,民法第724条前段を適用せず,短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置を早急に講じるべきである。
2 前項の原子力損害の賠償請求権については,民法上の除斥期間及び消滅時効の規定(民法第724条及び同法第167条第1項)は適用されず,別途,一定の期間を経過した後に消滅するものとする特別の立法措置を講じることの検討に着手すべきである。ただし,その期間については,慎重に検討するべきである。
第2 意見の理由
1 はじめに
2011年(平成23年)3月11日に東京電力福島第一原子力発電所事故が発生してから,既に2年1か月が経過した(以下「東京電力福島第一原子力発電所」を「本件原発」,その事故を「本件事故」という。)。
本件事故の被害者の東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)に対する損害賠償請求権は,その本質が不法行為に基づくものであるとして民法第709条に基づいて構成することができるところ,東京電力が後述の見解において前提としているように,消滅時効については民法第724条前段が適用され,「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間」の消滅時効により請求権が失われると解釈される余地があることは否定し得ない。
しかし,本件事故による被害は,いまだその全容も明らかではなく,その収束の見通しも立たない状況にある。このような状況において,本件事故の損害賠償請求権につき,民法第724条前段が適用され,最短で2014年(平成26年)3月11日に同条前段の短期消滅時効が成立するとなれば,本件事故の被害者に残された時間はわずか11か月弱しかなく,多くの被害者が,先の
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見えない生活の最中に,損害賠償請求の法的手続をとらざるを得ない状況に追い込まれることになるが,このような損害賠償請求権の短期消滅時効が成立するのは著しく正義に反する。
かかる事態を回避するために,早急に,本件事故の損害賠償請求権が民法第724条前段の短期消滅時効によって消滅しないことを,特別の立法措置により明確にするべきである。
また,本件事故の被害の深刻さ,そしてチェルノブイリ原発事故による健康被害が同事故後25年を経過してもなお発生し続けていることからすれば,本件事故の損害賠償請求権につき,民法第724条後段が適用され,本件事故発生から20年経過後に除斥期間により確定的に消滅するということも,民法第167条第1項が適用され,権利を行使し得る時から10年経過後に時効により消滅するということも,同様に許されるべきことではない。
したがって,本件事故の損害賠償請求権の消滅期間については,別途,慎重に検討した上,特別の立法措置により規定するものとすべきである。

2 東京電力福島第一原子力発電所事故による被害の特徴
(1) 被害が深刻かつ広汎であり,継続性があること
本件事故は,我が国に原子力発電所が設置されて以来経験したことのない未曾有の大事故であり,福島県のみならず,その他の地域においても深刻な放射能汚染による被害を及ぼし続けており,福島県内外において依然として放射線量が高い地域も多い。
旧警戒区域から福島県内への避難者は約9万6千人,福島県内から県外への避難者は約5万5千人存在するとされ,これらの約15万人以上の被害者は,生活基盤を根こそぎ奪われ,地域コミュニティから隔絶された中で,経済的にも精神的にも困難な状況に置かれた状況が続いている。旧警戒区域内は,2012年(平成24年)4月から帰還困難区域・居住制限区域・避難指示解除準備区域に再編されつつあるが,長期間,人が住むことのなかった地域であるため,いまだ病院や学校,様々な事業所などの社会的インフラが機能しておらず,この地に戻り,生活を再開することが極めて困難な状況にある。他方,福島県内やその他の放射能汚染が懸念される地域にとどまった人々も,放射線被ばくの危険と向き合い,様々な損害や不自由な生活に苦しみながら生活している現状にある。
本件事故による被害は,地域的に広域にわたり,被害者の数が多数に上るということのみならず,避難しているか否かを始め,家族構成や職業等個々の状
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況ごとに様々な被害が混在しており,極めて深刻かつ広汎にわたるものである。
(2) 被害に潜在性があること
また,本件原発から大量に拡散された放射性物質が人体や環境に与える影響については,専門家の間でも意見が分かれており,とりわけ低線量被ばくについては,一致した科学的知見が確立していない状況にある(いわゆる「原発事故子ども・被災者支援法」第1条参照)。このような中で,本件事故当時いずれの地域に居住していた被害者の身体にどの程度の期間経過後に影響が現れるのか予測することは不可能であり,少なくとも現時点において,本件事故による被害の全容を把握することは全く不可能である。

3 東京電力及び政府の対応について
(1) 東京電力の見解による解決だけでは極めて不十分であること
東京電力は,本年2月4日に「原子力損害賠償債権の消滅時効に関する弊社の考え方について」と題する見解を公表し,①時効の起算点については,被害者が事実上請求することが可能となった時,具体的には東京電力がそれぞれの損害について賠償請求の受付を開始した時とし,②時効中断事由について,東京電力の被害者に対する請求書又はダイレクトメール(以下「ダイレクトメール等」という。)の送付は「債務の承認」に該当し,被害者がダイレクトメール等を受領した時点から新たな時効期間が進行するとしている。しかし,この見解は,いずれも解釈や運用によるもので不確実であるため,加害者である東京電力の判断によって被害者が不安定な地位に置かれることになりかねず,かかる見解による解決だけでは極めて不十分である。
第1に,ダイレクトメール等が送付されていない,又は受領したことを立証できない被害者については,東京電力が請求受付を開始してから3年間で消滅時効が完成する可能性を否定できない。特に,東京電力のダイレクトメール等は,東京電力が自社の基準により被害者であると判断した人にのみ送付されている。そのため,ダイレクトメール等の送付がなされていない被害者の損害賠償請求権については,東京電力が損害賠償請求の受付を開始した時から3年間で消滅時効が完成し得ることになる。すなわち,避難等対象地域以外で放射能汚染が懸念される地域に居住する住民の大多数が,わずか3年間で消滅時効の完成という問題に直面することになる。その他にも,転居に伴い住所不明でダイレクトメール等が届いていない,また,避難先を移動する際にダイレクトメール等を紛失したという例は多数存在しており,時効
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消滅の完成の可否をダイレクトメール等の送付にかからせることは妥当ではない。
第2に,東京電力の見解では,東京電力がダイレクトメール等を複数回発送している場合,ダイレクトメール等を発送する都度に自社の債務の承認をするものと認識しているかどうか,明らかではない。仮に,東京電力がダイレクトメール等を発送するたびに債務承認すると認識しているとしても,いわゆる包括請求方式の場合には,包括請求に対する賠償をもって全ての賠償が終了したものとし,東京電力が,その後ダイレクトメール等を発送しないことが想定される。この場合,包括請求方式に関するダイレクトメール等を受領した時から3年間で包括請求の対象以外の損害についても時効が完成してしまう可能性が否定できない。
以上から,東京電力の見解では,日を置かずに問題が再燃することは避けられず,抜本的解決には程遠いものといわざるを得ない。
(2) 政府提出予定法案では一部被害者の損害賠償請求権の時効消滅を妨げられないこと
政府は,原子力発電所事故の損害賠償請求権についての時効特例法案(「東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律案(仮称)」。以下「本法案」という。)を今国会に提出する方針であり,その内容は,原子力損害賠償紛争解決センター(以下「原紛センター」という。)への和解仲介申立てに時効中断効を付与し,和解が成立しなかった場合でも打ち切りの通知を受けた日から1か月以内に裁判所に訴訟提起すれば,和解仲介申立時に訴えを提起したものとみなすというものである。
本法案の内容は,原紛センターに和解仲介申立てをした被害者に関しては,時効中断効が維持されるという点では評価し得る。しかし本法案のみでは,相当数に及ぶ被害者は,以下に述べる問題点により不安定な地位に置かれることになり,被害者の救済としては不十分である。したがって,やはり本法案とは別途,立法的解決が不可欠である。
第1に,本法案は原紛センターへの和解仲介申立てを行うことを時効中断の要件としているが,同センターに和解仲介申立てをした被害者は,平成24年末時点でわずか1万3030名に過ぎない(同センター発表)。このように,被害者のうちごく限られた人数しか原紛センターへの和解仲介申立てを行うことができずにいる理由としては,①そもそも原紛センターや和解仲介手続の存在すら知らない被害者が数多くいるという実情のほか,②現状で
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は原紛センターにおける平均の審理期間が約8か月と解決に至るまでに相応の期間を要していること,不動産を始めとする財物賠償のように中間指針等で基準が明確に定められていない損害項目について,和解仲介手続内での解決を図ることを先送りしてきたなど,被害者が和解仲介手続の利用を躊躇せざるを得ない事情が存在していることが挙げられる。このような状況において,原紛センターへの和解仲介申立てを行わない限り,最短で後11か月弱の間に訴訟提起を行わなければ時効の完成を避けられないとすれば,実質的には,憲法が保障する裁判所による裁判を受け,自らの権利を主張する権利そのものを侵害しかねない。
第2に,現在,和解仲介手続は,損害項目ごとに,被害者に生じた損害の一部について請求が行われている場合がほとんどである。この場合,和解仲介手続において請求がなされていない損害項目については時効中断効を生じないおそれがある。すなわち,訴訟手続において損害の一部のみを明示して請求した場合には,その他の損害については時効が中断せず,消滅時効が完成するとされているのが一般的な解釈とされるためである。しかし,損害が明確になっている項目のみを先行して原紛センターに和解仲介申立てを行うことも多数あり,また,和解の段階において,和解仲介手続内での解決を図ることを先送りにした損害項目を和解合意の対象から一部外すということも一般的に行われている。このように現状では,必ずしも全ての損害についての和解仲介申立てが行われていない,又は全ての損害が和解仲介手続の対象となっていない場合がほとんどである。そのため、全ての損害についての和解仲介申立てを行わない限り,時効中断効を得られないという解釈の余地を否定し得ない本法案では,現状に即した被害者救済とはなり得ず,また,確実に時効中断効を生じさせるために,被害者が全ての損害についての和解仲介申立てを行うことを強いる結果となりかねず妥当でない。
第3に,そもそも,2014年(平成26年)3月11日までに,東京電力に対し損害賠償請求を行いたいと考えている全ての被害者が,自己の全ての損害について,原紛センターに和解仲介申立てをし,かつ,和解が成立しなかった場合に打ち切りの通知を受けた時から1か月以内に訴訟提起をすべきことを想定することは,原紛センターや裁判の実務上も無理があるといわざるを得ない。そのような申立てや提訴が短期間に一斉になされた場合に事実上処理が滞ることは必至であるし,被害者本人が代理人を付けずに和解仲介申立てをしていた場合に,打ち切り通知後1か月以内に,訴状を作成し,証拠を整理して裁判所に提出することは極めて困難である。
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4 民法第724条前段が適用されないものとする立法措置を講じるべきこと
(1) 「原子力損害の賠償に関する法律」に消滅時効が規定されていないこと
そもそも,原子力損害の賠償に関する法律(以下「原賠法」という。)には,原子力発電所の事故により生じた原子力損害賠償請求権に関する消滅時効の規定は定められていない。この点,原賠法に別段の定めがなければ,民法第724条前段規定によるという考え方も成り立ち得るが,不法行為責任の特則を定めた他の特別法においては,民法の適用について規定を設けている(自動車損害賠償責任法第4条,製造物責任法第6条等)。一方,原賠法においては,そのような規定はない。
また,原賠法が制定された当時の国会等における議論では,原子力損害賠償請求権の消滅時効について民法の規定が適用されることが前提とされておらず,むしろ,原子力損害の特殊性に鑑みて別に考慮されるべきとの意見も出されていた。
(2) 民法第724条前段の趣旨が当てはまらず,適用の前提を欠くこと
我が国の民法上,消滅時効制度が設けられている趣旨は,種々の論議があるものの,①権利の上に眠る者は保護しない,②法的安定性,③立証の困難性,といった点にあるとされている。そして,民法第724条前段が,不法行為に基づく損害賠償請求権について,特に3年間の短期消滅時効を定めているのは,特に②の趣旨につき,現実に権利行使の可能性がある被害者といかなる責任を負うのか不安定な立場にある加害者との関係を勘案したものとされている。
しかし,本件事故の損害賠償請求権においては,上記①ないし③のいずれの趣旨にも当てはまらない。
まず,①については,本件事故の全容と被害がいまだ明らかでないことから,本件事故の被害者は,本件事故から2年1か月を経過した今も,先の見えない,生活の再建すらままならない過酷な環境に置かれ続けている。多額の費用をかけて除染や住居の補修を行っても実際に従前の住居に戻り,生活することができるのか,それとも新たな地においての生活を決意すべきなのかなど,本件事故の被害者は,置かれた立場や状況ごとに異なる,いい尽くすことのできない悩みを抱えて,日々増大する不安と戦いつつ生活している状況にある。そのような不安定な生活状況の下で,いかなる項目についてどのような根拠に基づいて賠償を求めるかといった方針を明確に見定め,賠償請求に向けた行動を行うことがいかに困難であるかということは,その現実
- 7 -
を直視すれば,容易に想像し得るところである。そして,このような状況において,直ちに賠償請求権を行使することができないとしても,これを権利の上に眠っていると評価するべきではない。よって,①の権利の上に眠る者は保護しないとの趣旨が当てはまらないことはおのずと導き出される結論である。
何よりも,前述のとおり,本件事故発生から2年1か月が経過しても,いまだに約15万人以上の被害者が福島県内外に避難しており,自らの権利行使のための効率的な活動を期待することが到底できかねる現状に照らせば,全ての被害者が請求手続を開始し得るまでの期間として,3年という期間が余りに短いことは明白である。
さらに,②については,自ら引き起こした本件事故が深刻かつ広汎な被害をもたらし,現在もなお本件原発より放射性物質が放出され続け,被害が継続的に発生し,これが今後も継続することがほぼ確実である以上,本件事故の加害者である東京電力が本件事故の損害賠償債務を履行することは当然の責務である。したがって,短期の消滅時効により早期に損害賠償請求の範囲が確定され,被害者との間でいかなる責任を負うのかなどについて不安定な立場から解放されるであろうといった信頼は保護に値しない。むしろ,多数の被害者が,消滅時効によって賠償請求の権利行使の途を閉ざされ,被害を回復されることなく放置されることこそが正義に反するというべきである。また,民法第724条前段における消滅時効の起算点となる「損害を知った時」については,その判断に主観的な要素が加味され,個別に判断されるものであり,個々の被害者の置かれた状況や,また損害の項目ごとによって判断や見解が異なる可能性があり,一義的に明確ではなく,被害者間における格差を生じかねないおそれもある。このようなことからすれば,②の法的安定性という趣旨も本件事故の損害賠償請求権については当てはまらない。
③の立証の困難性については,時間が進行することにより証拠が散逸し,公平な解決を得ることに支障が生ずるということがその根拠とされているところ,本件事故による損害賠償請求については,多くの被害者が避難生活を強いられ,証拠が散逸するどころか,そもそも証拠や立証資料を確保・収集することができない状況が続いており,通常の消滅時効を考えることがかえって公平な解決にならない,という点が改めて強く認識されなければならない。
以上のとおり,本件事故の損害賠償請求権については,民法に規定されて
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いる消滅時効の趣旨はいずれも当てはまらず,民法第724条前段を適用する前提を欠くというべきである。
(3) まとめ
以上のとおり,本件事故の損害賠償請求権については,民法724条前段の趣旨は当てはまらず,その適用の前提を欠くというべきである。

5 本件事故の損害賠償請求権は,民法第724条後段の適用の前提も欠くこと
また,本件事故の損害賠償請求権に,民法第724条後段が適用され,「不法行為の時から20年を経過した時」前段と同様に消滅しないか否かも問題となるが,同条前段と同じく,適用の前提を欠くというべきである。
すなわち,民法第724条後段の規定は除斥期間を定めたものと解されているところ,本件の損害賠償請求権に適用されるとすれば,財産的損害については,不法行為時から20年で確定的に消滅することとなる。しかし,事故後2年を経過した現在においても,本件事故被害者への法的救済が遅々として進まない現状に照らせば,20年間の経過によって確定的に権利を消滅させることによる弊害は無視できない。一方,民法第724条後段の除斥期間は,通常,20年間の経過により証拠の散逸が進み,また加害者にとっても長期に賠償債務を負い続けることは酷であるとの価値判断により設定されているのであり,本件事故において加害者である東京電力がこのような制度的利益を享受すべきでないことは,既に述べたとおりである。
次に,健康被害との関係では,現時点では健康被害がいつの時点でどのように出現するか一致した科学的な知見も確立しておらず,2011年(平成23年)4月に公表されたウクライナ政府緊急事態省の「チェルノブイリ事故後25年」と題する報告書においても,チェルノブイリ原発事故発生後25年が経過した後,新たな被害が発生し続けている事実が報告されている。本件事故においては,チェルノブイリ原発事故を下回るものの大量の放射性物質が拡散しており,その被害は,広汎かつ多岐にわたるものであることから,2011年(平成23年)3月11日から20年が経過した時点でも,被害の全容が明らかになるものではなく,被害者が本件事故による損害の内容を全て把握し,賠償請求の権利を適切に行使することが可能とはいい難い状況にある。
この点,判例は,いわゆる三井鉱山じん肺訴訟(平成16年4月27日最高裁第三小法廷判決,民集58巻4号1032頁)において,「民法724条後段所定の除斥期間の起算点は,(中略)当該不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合
- 9 -
には,当該損害の全部又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となると解すべきである。」と判示しており,本件事故における損害の起算点についても,除斥期間に対する同様の考え方で判断されるべきと考える。しかしながら,除斥期間の起算点について裁判上の争点とし,これにより判断を受けざるを得ないとすることは,被害者にとって権利行使期間の判断を不安定にさせることから,民法第724条後段の適用をあらかじめ立法措置により排除しておく必要がある。

6 本件事故の損害賠償請求権は民法第167条第1項の適用の前提も欠くこと
本件事故の損害賠償請求権に民法第724条前後段が適用されないとしても,一般債権の消滅時効の規定である民法第167条第1項が適用され得るかが問題となるが,前述のとおり,特に健康被害を含めた損害の全容について10年間では把握し得ないことから,同様に適用の前提を欠くというべきである。

7 本件事故の損害賠償請求権について,民法上の除斥期間及び消滅時効の規定(民法第724条及び同法第167条第1項)は適用されず,一定の期間を経過した後に消滅するものとする特別の立法措置を講じるべきこと
本件事故の損害賠償請求権については,民法第724条前段のみならず,同条後段及び民法第167条第1項をも適用すべきではないことは前述のとおりであるが,これが永久に消滅しない性質の権利とまではいい難い。したがって,この点についても,特別の立法措置を講ずることを検討すべきであるが,かかる立法措置については,民法724条前段を適用せず,短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置とは別途,起算点も含めて本件事故の損害賠償請求権が消滅するまでの期間を慎重に検討した上で講ずるべきである。

8 結論
以上から,3年の短期消滅時効完成まで最短で11か月弱しかない現状において,本件事故の損害賠償請求権については,民法第724条前段を適用せず,短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置を講ずる緊急の必要性があり,速やかにこれを講じるべきである。
その上で,本件事故の損害賠償請求権が消滅するまでの期間については,慎重に検討を行い,特別の立法措置を講ずるべきである。
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平成25年5月15日水曜日、司法試験はじまる。受験生の皆さん、体調万全で実力を全て発揮できますように。

2013-05-15 12:44:09 | Weblog

 司法試験が始まりました。

 長丁場の試験です。
 まずは、公法系第1問と第2問。

 どうか、体調を整えて、全力が出せますことを、心から祈っています。

 がんばってください。

 初日から、交通機関が乱れるのですね。
 予期せぬことは、起きるものです。
 どうか、試験に影響せぬように。


*****日経新聞(2013/05/13)****
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG15019_V10C13A5CR0000/
司法試験、全国7都市で始まる 7653人が受験
2013/5/15 11:09 (2013/5/15 12:35更新)

 司法試験が15日、東京など全国7都市の11会場で始まった。法務省によると、受験者は7653人(速報値)。東京都内の会場では、交通機関が乱れた影響で一部の受験生が遅刻し、別室で受験させる措置をとった。

 約2千人が受験した東京都品川区の会場には、タクシーを使って駆け込む受験生の姿もあった。試験は15、16、18日に論文式、19日に短答式で実施される。合格発表は9月10日。

 受験資格があるのは、法科大学院の修了者と予備試験の通過者。受験は修了後5年間で3回までという制限があり、今回は受験予定者(1万178人)の4人に1人が受験を見送った。昨年は8387人が受験し、2102人が合格した。

 政府の法曹養成制度検討会議は先月、司法試験の合格者数を「年間3千人程度」とする政府計画の撤回を求める中間提言をまとめている。

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一次情報に遡りましたが、橋下市長13日慰安婦問題発言の事実は、メディアで曲げられていません。

2013-05-15 10:25:18 | シチズンシップ教育

 記事を読むということは、そこで、記者/新聞のフィルターを通してしまいます。

 場合によっては、発言者の意図が捻じ曲げられてしまうことがあります。

 しかし、かといって、私達ひとりひとりが、すべての発言を通して聴くことは、時間的にも場所的にも制限があり、無理なことで、メディアの限界のやむを得ないところと割り切って、記事に接することが求められます。

 すなわち、フィルターのかかった記事であるという意識で、情報に接することは、メディアリテラシーの最も大事なことのひとつと考えます。


 そうは言いつつ、一方で、発言者する現場に、あたかもいたかのようにして発言を聞くことが、インターネットの発達によって、可能になっています。

 できるだけ、そのようなものを利用していくこともまた大事なことと思います。


 先日の、橋下大阪市長の慰安婦問題の発言(自分のブログ記載⇒ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/0af32e0c35801e9674ffb562a51e428c )も以下、全文お越し記事と録画映像で、実際に聞くことが可能です。

 橋下市長もその旨言っています。
橋下徹@t_ishin
 これが初日の会見の全文。特ダネの伊藤氏も田崎氏も会見の中身もろくに見ずに選挙に絡めての下らないコメント。小金稼ぎのコメントだ。この全文を見てどう評価されるかは皆さんに委ねます。シノドスそして紹介してくれた駒崎さんありがとうございます


 

 
 自分も聞いてみましたが、橋下大阪市長は、歴史事実を認識して、誤りはきちんと主張するという文脈の中で、
 「慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」という発言をされています。

 
 なお、他にも同様の指摘をされるかたがおられました。
想田和弘‏@KazuhiroSoda
橋下クンが例によって「メディアの切り取り方が悪い、マスコミもコメンテーターも批判者も僕の真意を理解していない」と責任転嫁をしている。悪いけど、僕もYouTubeで会見映像を全部観たけど、要約したら普通はあのように切り取ります。だって発言の趣旨がああだから。


 きちんと文脈の中で、発言を受け止める必要性と関連して、指摘させていただきます。

 元の記事も以下に再掲しますが、新聞記者は、忠実にインタビュー内容を記事にされていると私は思います。


****朝日新聞(2013/05/13)*****
http://www.asahi.com/politics/update/0513/TKY201305130072.html 

「慰安婦は必要だった」「侵略、反省とおわびを」橋下氏


 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は13日、戦時中の旧日本軍慰安婦について「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」と述べ、慰安婦は必要だったとの認識を示した。大阪市役所で記者団に語った。

 橋下氏は「当時の歴史を調べたら、日本国軍だけでなく、いろんな軍で(慰安婦を)活用していた」と指摘。そのうえで「なぜ日本の慰安婦だけが世界的に取り上げられるのか。日本は国をあげて強制的に慰安婦を拉致し、職業に就かせたと世界は非難している。だが、2007年の(第1次安倍内閣の)閣議決定では、そういう証拠がないとなっている」と述べ、「事実と違うことで日本国が不当に侮辱を受けていることにはしっかり主張しなければいけない」と語った。

 一方で「意に反して慰安婦になったのは戦争の悲劇の結果。戦争の責任は日本国にもある。慰安婦の方には優しい言葉をしっかりかけなければいけないし、優しい気持ちで接しなければいけない」とも語った。

 また、橋下氏はアジア諸国に対する反省とおわびを表明した村山談話については「日本は敗戦国。敗戦の結果として、侵略だと受け止めないといけない。実際に多大な苦痛と損害を周辺諸国に与えたことも間違いない。反省とおわびはしなければいけない」と強調。

 一方で、安倍晋三首相が「侵略の定義は定まっていない」と主張している点については「学術上、定義がないのは安倍首相が言われているとおり」と述べ、理解を示した。


*****synodos(2013.05.14 Tue)*****
http://synodos.jp/politics/3894 


2013.05.14 Tue

橋下徹大阪市長「米軍の風俗業活用を」はいかなる文脈で発言されたのか(2013年5月13日)

大阪市長・橋下徹氏ぶらさがり取材全文文字起こし


現在、物議を醸している橋下徹大阪市長の「米軍の風俗業の活用を」といった発言は、一体どのような文脈でなされたものなのか。ぶらさがり取材の全文文字起こしを緊急掲載する。(編集部註:一部文章を整えています)




―― おはようございます。



橋下 おはようございます。





―― 日経新聞さんを拝見しますと、参院選の公約素案がでていましたが、これは協議されたのか、あるいは???(聞き取れず)。



まだです。これからきちんと政調会で中身をつめていきますので、ええ。





―― 長距離弾道ミサイルの研究開発???(聞き取れず)



まだ聴いていませんのでこれから。今週末くらいに政調会である程度方向性をあわせて行くそういう会議をやりますので。





―― とりあえず検討の対象になりうるという。



まあ、いろいろな議題をテーブルにあげるのはあたりまえのことではないですか? それをみんなで議論してどうするか決めればいいですから。





―― 村山談話ですが、自民党の高市さんが侵略という言葉はどうかと批判的なことをおっしゃっていましたが、安倍首相も侵略についてはっきりと???(聞き取れず)ですが、植民地支配と侵略をお詫びするという村山談話については。



侵略の定義については学術上きちんと定義がないことは安倍首相が言われている通りです。



第二次世界大戦後、事後的に、国連で安保理が、侵略かどうかを最後に判定するという枠組みが決まりましたけれども。侵略とはなにかという定義がないことは確かなのですが、日本は敗戦国ですから。戦争をやって負けたんですね。そのときに戦勝国サイド、連合国サイドからすればね、その事実というものは曲げることはできないでしょうね。その評価についてはね。ですから学術上さだまっていなくてもそれは敗戦の結果として侵略だということはしっかりと受け止めなくてはいけないと思いますね。



実際に多大な苦痛と損害を周辺諸国に与えたことは間違いないですからその事実はしっかりと受け止めなくてはならなないと思います。その点についても反省とお詫びというものはしなくてはいけない。



またこの立場はずっと週刊朝日や朝日新聞にたいして言い続けていますけども、自らの一方当事者が「もう終わりだ、終わりだ」といって時間を区切って終わりにすることができないんですね。



それは時間が解決する、ようは相手方がある程度納得するまでの期間、時間的な経過が必要であることはまちがいないです。だから、戦後60年経ったんだから、70年経ったんだから、全部ちゃらにしてくれよってことを当事者サイドがいうことではないです。



これは第三国がね、まあアメリカや連合国の方が、また、まあアメリカもそりゃ損害はあったんでしょうけど、それでも第三者的な立場の国がね、「もういいんじゃないの」っていうのは、まあそれはいいんでしょうけど。当事者である日本サイドの方が「もう60年経ったんだから、70年経ったんだから、もうちゃらだよ」っていうのは、これは違うと思いますね。



ただ事実と違うことでね、我が日本国が不当に侮辱を受けているようなことに関しては、しっかり主張はしなくては行けないと思っています。だから敗戦国として受け入れなければいけない、喧嘩っていうはそういうことですよ、負けたんですから。



だからそれは当時の為政者に重大な責任があるわけです。負けたんだったらね、そりゃ負けたらね、そりゃいろんなことを……我慢ならんことだってねいろいろ言われることもあるけれども、負けたってことはそういうことなんです。だから負けるような戦争なんかやっちゃいけないんです。そもそも戦争なんかやっちゃいけないけれども。だから負けたってことをすぐさま捨て去れるような、そんな甘いものじゃないですね、けんかをやったってことは。



ただね、事実としては言うべき事はいって行かなくちゃ行けないと思っていますから。僕は、従軍慰安婦問題だってね、慰安婦の方に対しては優しい言葉をしっかりかけなきゃいけないし、優しい気持ちで接しなければいけない。意に反してそういう職業に就いたということであれば、そのことについては配慮しなければいけませんが。



しかし、なぜ、日本の従軍慰安婦問題だけが世界的に取り上げられるかというと、その当時、慰安婦制度っていうのは世界各国の軍は持っていたんですよ。これはね、いいこととは言いませんけど、当時はそういうもんだったんです。ところが、なぜ欧米の方で、日本のいわゆる慰安婦問題だけが取り上げられたかというと、日本はレイプ国家だと。無理矢理国を挙げてね、強制的に意に反して慰安婦を拉致してですね、そういう職に就職業に付かせたと。



レイプ国家だというところで世界は非難してるんだっていうところを、もっと日本人は世界にどういう風に見られているか認識しなければいけないんです。慰安婦制度が無かったとはいいませんし、軍が管理していたことも間違いないです。ただ、それは当時の世界の状況としては、軍がそういう制度を持っていたのも厳然たる事実です。だってそれはね、朝鮮戦争の時だって、ベトナム戦争だってそういう制度はあったんですから、第二次世界大戦後。



でもなぜ日本のいわゆる従軍慰安婦問題だけが世界的に取り上げられるかというと、日本は軍を使ってね、国家としてレイプをやっていたんだというところがね、ものすごい批判をうけているわけです。



僕はね、その点については、違うところは違うと言っていかなければならないと思いますね。ただ意に反して慰安婦になってしまった方はね、それは戦争の悲劇の結果でもあるわけで、戦争についての責任はね、我が日本国にもあるわけですから。そのことに関しては、心情をしっかりと理解して、優しく配慮していくことが必要だと思いますけど。しかし、違うことは違うって言わなきゃいけませんね。



それから戦争責任の問題だって敗戦国だから、やっぱり負けたということで受け止めなきゃいけないことはいっぱいありますけど、その当時ね、世界の状況を見てみれば、アメリカだって欧米各国だって、植民地政策をやっていたんです。



だからといって日本国の行為を正当化しませんけれども、世界もそういう状況だったと。そういう中で日本は戦争に踏み切って負けてしまった。そこは戦勝国としてはぜったい日本のね、負けの事実、悪の事実ということは、戦勝国としては絶対に譲れないところだろうし、負けた以上はそこは受け入れなきゃいけないところもあるでしょうけど。



ただ、違うところは違う。世界の状況は植民地政策をやっていて、日本の行動だけが原因ではないかもしれないけれど、第二次世界大戦がひとつの契機としてアジアのいろんな諸国が独立していったというのも事実なんです。そういうこともしっかり言うべきところは言わなきゃいけないけれども、ただ、負けたという事実だったり、世界全体で見て、侵略と植民政策というものが非難されて、アジアの諸国のみなさんに多大な苦痛と損害を与えて、お詫びと反省をしなければいけない。その事実はしっかりと受け止めなけれないけないと思いますね。



日本の政治家のメッセージの出し方の悪いところは、歴史問題について、謝るとこは謝って、言うべきところは言う。こういうところができないところですね。一方のスタンスでは、言うべきとこも言わない。全部言われっぱなしで、すべて言われっぱなしっていうひとつの立場。もう一つは事実全部を認めないという立場。あまりにも両極端すぎますね。



認めるところは認めて、やっぱり違うところは違う。世界の当時の状況はどうだったのかという、近現代史をもうちょっと勉強して、慰安婦っていうことをバーンと聞くとね、とんでもない悪いことをやっていたとおもうかもしれないけど、当時の歴史をちょっと調べてみたらね、日本国軍だけじゃなくて、いろんな軍で慰安婦制度ってのを活用してたわけなんです。



そりゃそうですよ、あれだけ銃弾の雨嵐のごとく飛び交う中で、命かけてそこを走っていくときに、そりゃ精神的に高ぶっている集団、やっぱりどこかで休息じゃないけども、そういうことをさせてあげようと思ったら、慰安婦制度ってのは必要だということは誰だってわかるわけです。ただそこで、日本国が欧米諸国でどういう風に見られてるかというと、これはやっぱりね、韓国とかいろんなところの宣伝効果があって、レイプ国家だって見られてしまっているところ。ここが一番問題だからそこはやっぱり違うんだったら違うと。



証拠が出てきたらね、それは認めなきゃいけないけれども、今のところ2007年の閣議決定では、そういう証拠はないという状況になっています。先日、また安倍政権で新しい証拠が出てくる可能性があると閣議決定したから、もしかすると、強制的に暴行脅迫をして慰安婦を拉致したという証拠が出てくる可能性があると。もしかするといいきれない状況が出てきたのかもわかりませんが、ただ今のところ、日本政府自体が暴行脅迫をして女性を拉致したという事実は今のところ証拠に裏付けられていませんから、そこはしっかり言ってかなければいけないと思いますよ。



ただ意に反して慰安婦になった方に対しては、配慮しなければいけないと思います。認めるところは認めて、謝るところは謝って、負けた以上は潔くしないと。自民党だって、すぐ武士精神とか武士道とかもちだすのに、負けたのにぐちゃぐちゃいったってしょうがないですよ。負けちゃったんですから。そこは潔く認めて。



ただ、いわれなき事実・根拠のない評価については言うべきところは言う。世界の当時の状況はどうだったのか、それも前面に持ちだしてね。当時植民地政策っていうものがあった。あったんだけれども、日本は戦争して負けてしまった。その中で損害と苦痛を与えてしまったことについてどう評価するのかとういうことは、真摯に考えなきゃいけないし、反省するところは反省しなければいけないと思いますね。





―― 先程の政策の話に戻ってしまうのですが、政策協議、今週来週でとのことですが、エネルギー戦略会議の最終報告は一応今月末ということです。



ああ、そうですか





―― エネルギーについては参考にするということ、最終報告については……。



そうですね。

(以下、略)



*****高知新聞(2013/05/15)*****

http://203.139.202.230/?&nwSrl=302441&nwIW=1&nwVt=knd

【慰安婦発言】人権感覚が問われている

 

2013年05月15日08時13分

 

 旧日本軍の従軍慰安婦問題について「当時は軍の規律を維持するために必要だった」とする橋下徹日本維新の会共同代表(大阪市長)の発言が波紋を広げている。
 13日に続いて昨日も必要性に言及しているから、発言は失言の部類ではない。橋下氏の言うように軍隊と性の関係は旧日本軍だけの問題ではないが、今問われているのは過去の事実にどう向き合うかということだ。
  人権に対する配慮、感覚はこれでいいのか。橋下発言は、歴史認識の在り方にも一石を投じている。
 本音で政治を語ることを身上とする橋下代表は、旧日本軍の従軍慰安婦問題に対する他国の見方には同意できない点があったようだ。13日には従軍慰安婦のような制度は「世界各国が持っていた。なぜ日本だけが取り上げられるのか」と反発している。
  歴史的に見て、兵士の性問題に頭を悩ませる軍隊組織が多かったのは確かであろう。橋下発言はこの点を強調しているが、違和感を覚えるのはそれが従軍慰安婦の必要性とストレートにつながっていることだ。
  その認識は過去の事例にとどまらない。先日、視察で訪問した沖縄でも在日米軍幹部に対し海兵隊での風俗業者の活用を求めている。
 もっとも橋下氏は「慰安婦は戦争の悲劇の結果だ。心情を理解し、優しく配慮することが必要だ」とも述べている。こんな人権感覚と必要論との間には埋め難い溝が存在する。
  橋下氏は野党の共同代表の一人で市政トップという立場だが、慰安婦必要論への再三の言及は、個人的見解では済まない要素をはらんでいる。国際社会の動きとの関係である。
  従軍慰安婦問題は「解決済み」というのが日本政府の基本方針だ。しかし元慰安婦が声を上げ始めた1990年代以降、問題はより複雑化し、国際社会の関心は広がっている。
  国連人権委員会は96年、「日本政府は法的責任を認め、性奴隷にされた被害者に補償金を払うべきだ」との報告をまとめた。これを端緒に欧州議会や欧米諸国では日本政府に公式謝罪を求める決議が相次いでいる。
  橋下氏はこうした動きにも反発しているかもしれないが、それは問題の本質ではない。過去の事実、現在の状況を見るのに、普遍の人権感覚があるかどうかが問われているのだ

******************************

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クレジットカードを用いた詐欺事件 重要判例H16・2・9

2013-05-14 11:17:25 | シチズンシップ教育
 詐欺事件の重要判例。

 明日の講義の題材ゆえ、メモとして。


****最高裁ホームページ*****
判決文全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115338769000.pdf

 主    文
       本件上告を棄却する。
       当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

         理    由

 弁護人渡邉靖子の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴
法405条の上告理由に当たらない。
 なお,所論にかんがみ,詐欺罪の成否について,職権をもって判断する。

 1 原判決及びその是認する第1審判決並びに記録によれば,本件の事実関係は
,次のとおりである。
 (1) Aは,友人のBから,同人名義の本件クレジットカードを預かって使用を
許され,その利用代金については,Bに交付したり,所定の預金口座に振り込んだ
りしていた。
 その後,
本件クレジットカードを被告人が入手した。その入手の経緯はつまびらかではない
が,当時,Aは,バカラ賭博の店に客として出入りしており,暴力団関係者である
被告人も,同店を拠点に賭金の貸付けなどをしていたものであって,両者が接点を
有していたことなどの状況から,本件クレジットカードは,Aが自発的に被告人を
含む第三者に対し交付したものである可能性も排除できない。なお,被告人とBと
の間に面識はなく,BはA以外の第三者が本件クレジットカードを使用することを
許諾したことはなかった。

 (2) 被告人は,本件クレジットカードを入手した直後,加盟店であるガソリン
スタンドにおいて,本件クレジットカードを示し,名義人のBに成り済まして自動
車への給油を申し込み,被告人がB本人であると従業員を誤信させてガソリンの給
油を受けた。上記ガソリンスタンドでは,名義人以外の者によるクレジットカード
- 1 -
の利用行為には応じないこととなっていた。
 (3) 本件クレジットカードの会員規約上,クレジットカードは,会員である名
義人のみが利用でき,他人に同カードを譲渡,貸与,質入れ等することが禁じられ
ている。また,加盟店規約上,加盟店は,クレジットカードの利用者が会員本人で
あることを善良な管理者の注意義務をもって確認することなどが定められている。

 2 【要旨】以上の事実関係の下では,被告人は,本件クレジットカードの名義
人本人に成り済まし,同カードの正当な利用権限がないのにこれがあるように装い
,その旨従業員を誤信させてガソリンの交付を受けたことが認められるから,被告
人の行為は詐欺罪を構成する。仮に,被告人が,本件クレジットカードの名義人か
ら同カードの使用を許されており,かつ,自らの使用に係る同カードの利用代金が
会員規約に従い名義人において決済されるものと誤信していたという事情があった
としても,本件詐欺罪の成立は左右されない。したがって,被告人に対し本件詐欺
罪の成立を認めた原判断は,正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項本文により,裁判官
全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 福田 博 裁判官 北川弘治 裁判官 亀山継夫 裁判官 滝井
繁男)
-



http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50047&hanreiKbn=02
事件番号

 平成14(あ)1647



事件名

 詐欺被告事件



裁判年月日

 平成16年02月09日



法廷名

 最高裁判所第二小法廷



裁判種別

 決定



結果

 棄却



判例集等巻・号・頁

 刑集 第58巻2号89頁




原審裁判所名

 大阪高等裁判所



原審事件番号

 平成13(う)1472



原審裁判年月日

 平成14年08月22日




判示事項

 クレジットカードの名義人に成り済まし同カードを利用して商品を購入する行為が詐欺罪に当たるとされた事例




裁判要旨

 クレジットカードの規約上,会員である名義人のみがクレジットカードを利用できるものとされ,加盟店に対しクレジットカードの利用者が会員本人であることの確認義務が課されているなど判示の事実関係の下では,クレジットカードの名義人に成り済まし同カードを利用して商品を購入する行為は,仮に,名義人から同カードの使用を許されており,かつ,自らの使用に係る同カードの利用代金が規約に従い名義人において決済されるものと誤信していたとしても,詐欺罪に当たる。




参照法条

 刑法246条1項
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やさしい生き方。

2013-05-14 10:58:32 | こども達へのメッセージ
 ときどき、ものの見え方を変えてくれる文章がある。

 今日であった、文章。

 

Ai tan‏@aitanTX
ネイティブアメリカンの人たちは、
木のことを「立っている人々」、
魚のことを「水を泳ぐ兄弟」、
鳥のことを「空を飛ぶ兄弟」、
動物のことを「四本足の兄弟」
と呼びます。
自分だけじゃなく、人間だけじゃなく
みんなで幸せになろうっていう
やさしい生き方。
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