こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

最後の願い

2006-07-17 00:00:00 | 未分類
昨日に引き続きまして光原百合さん『最後の願い』を読みました。

劇団φにまつわるミステリ、と言っていいのかな?
度会の性格の曲がりっぷりと推理の鮮やかさが楽しかったですね。

『花をちぎれないほど・・・』
初めに詞を読んだ時は、切ない別れの歌だなと感じていたのですが、
そこまで深く読みますか?私は単純なので、考え込んでしまいました。

『彼女の求めるものは・・・』
携帯電話に間違い電話をかけたり、見知らぬ男とホテルに同行してまで
彼女の求めたものは何なのか?あれだけの出来事で推理できてしまうところがすごいですね。

『最後の言葉は・・・』
いつも対立していた小梶と橘。その間でおろおろしていた澪子。
小梶と澪子は結婚したが、しばらくして小梶は不治の病にかかってしまった。
ある日、橘が小梶邸を訪問した。
澪子は睡眠薬を飲まされて眠っているうちに何かされたと疑っている。
なぜなら、いつの間にやらいなくなり、小梶が真っ青な顔で汗まみれになって苦しんでいたから。
どちらの気持ちも分かるから、読んでいて痛ましく思えました。

『風船が割れたとき』
小学校6年の時の不思議な出来事。
学芸会のミュージカルで使った50個もの風船を、卒業式にも使うため、用具置き場に置いていたところ、
鍵もかけていたのに全て割られてしまっていました。
同時に、バレーネットを張る支柱も2、3本持ち出されていました。
そういうトリックだとは気づきませんでした。
でも遼子が再会する時には、懐かしい笑い話になりそうですね。

『写真に写ったものは・・・』
20年前思いがけず所有することになった古い洋館。
愛美は手入れはするけれど、ある理由から住むことはしていなかった。
あまりにもやりきれない出来事が、ここで起きていたから。
犯人の身勝手さに憤りを感じます。

『彼が求めたものは・・・』
小野寺尚司は、ある日車道に飛び出して車にひかれて死にました。
起きた事は起きた事として、それを気づかせないようにする思いやりの深さに心うたれました。
彼が、いつまでも罪の意識にさいなまれているから。
とはいえ芝居までうつなんて、よほど心の整理をしないとできないことですね。

『・・・そして、閉幕』
最後は、劇場の怪談話。
劇団代表と看板女優の不倫の話です。
代表は妻と女優との板ばさみで苦しみ、台本を書き上げたあと、自殺してしまったとのこと。
果たしてその真相は?

ここまで事件が起き続けることはないでしょうが、様々な人々がからみあい、影響しあって
舞台ってできていくのですね。
面白かったです。

コメント
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