先日、恒例の「下鴨納涼古本まつり」(8/11~8/16)が開催中の下鴨神社糺の森を訪れて2時間余りを見て回った。フリー。久しぶりに一人っきりで歓を尽くした。
4人ほどの共著だったがあいにく書名を思い出せないでいる。近代詩から現代詩へ、荒川洋二さんが解説されている部分を開いた時に目に留まった千家元麿の詩。
「秘密」 千家元麿
子供は眠る時
裸になった嬉しさに
籠を飛び出した小鳥が
魔法の箱を飛び出した王子のやうに
家の中を非常な勢ひでかけ廻る
襖でも壁でも何にでも
頭でも手でも尻でもぶつけて
冷たい空気にぢかに触れた嬉しさに駆け回る
母が小さな寝間着をもって後ろから追ひかける。
裸になると子供は妖精のやうに痩せてゐる
追ひ詰められて壁の隅に息が絶えたやうにひつついてゐる
まるで小さく、うしろ向きで。
母は秘密を見せない様に
子供をつかまへるとすばやく着物で包んでしまふ。
家に帰ってから、この詩を調べ直してみた。
一人に一つ、誰もが授かりもつ尊いいのち。小さな美しいいのちは、やがてどのような花を咲かせることだろう。子供に(孫に)いろいろな夢をみたり希望を託したりしながら、慈しみ育てていきたいもの。この詩を読み返しながら、5年ほど前に「パドマの願い」として教えられた言葉を思い出している。
【原石のごとく、比べようのない輝きを有すあらゆるいのち。それらのいのちは相互に照らしあって、自己を知り、より深い輝きを放つ。】
ハイハイし出した弟のぷりっぷりのおしりを撫でようと、「かわいいなあ、るーちー(Lukas)」と追う5歳の兄。姉のJessieは、かつてオーストラリアから日本にやってきた折には京都で短期で幼稚園や小学校に通わせていただいてきた。そこで親しくなった友達と映画やショッピングにと夏を楽しんでいる。もう数日、Hall家の京都での夏休みは続きそう…。