京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

門外不出

2022年11月01日 | 日々の暮らしの中で
雨が降り続いて、門外不出。
じっとしていると冷えてくるので上着を一枚重ねて寒さ対策としたが、
やっぱり寒い。読書に小さな湯たんぽを抱えて、時々居眠り。


『金剛の塔』を読んでいたとき、幸田露伴の『五重塔』に関心が広がった。のっそり十兵衛さん、どんな話だったか。再読になるし、手早く抑えようとしたが簡単ではなかった。
長らく無沙汰の文体に慣れ、気持ちがそこに入るには、拾い読みなどでは到底無理とわかった。
会話も、心情も、人間関係も、描かれた言葉を少しも味わえない。これを“心の余白”に描きこむことが必要だったのに。
大事なのは筋ではない。倍速は鈍行より効率悪く、同じ場所を読み返すばかりとなる。

今、映画も録画された授業も、倍速で見る学生が増えているらしい。手っ取り早くスジを知り最速で内容を把握したい。バイトや趣味に忙しい学生の気持ちは分かるけれどとしながら、「時間の効率化は失うものも大きいことを知っておくべきです」と龍谷大学の学長さんがお話なのを読んだ。その最たるものが「心の余白」だと。心の余白が少ないと、短絡的な思考や行動につながりがちであることを指摘されている。

まさに私への機をたがわぬ忠告、戒めと受け止めた。たっぷり時間があるわけではないが、ゆっくりでいい。
                                                              
休養になったような、疲れたような一日は暮れた。    ( ↑ 絵・文はROKUさん)


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