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Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

南極旅行 23 デセプション島

2014-04-17 19:00:03 | 北米/南米/南極
2月19日 続き

リビングストン島から戻って昼食を取った後は、隣のデセプション島へ向かう。

 活火山のあるこの島はドーナッツ型をしていて、中央に大きな湾がある。


やがて見えてきたデセプション島。
 湾の入り口には「ミシン針」と呼ばれる細長い岩が立っていて
 その横の Neptune's Bellows と名付けられた狭い開口部を通ってドーナッツの穴に入る。


ボートで上陸したのは開口部のすぐ右手にあるWhaler's Bay。名前の通り、20世紀の初めに捕鯨基地があったところだが、この静かな湾を避難場所にしたのは当然だろう。

上陸後はいくつかのグループに別れ、湾を見下ろすまわりの山に向かった人たちもいたが、晴天とは言え風が吹いて寒いので、軟弱な自分はカメラマンについて歩く写真教室を選択。
 
浜に残る鯨油のタンクなど、はじめのうちこそみんな説明を聞きながら撮っていたが、そのうち勝手にバラバラになるのが欧米人らしい。

浜に残るゆがんだ建物は1911年から31年までこの島にあったノルウェーの捕鯨基地の跡。
  
  
 
風や雪、それに火山の爆発でぼろぼろになっているが、一応「南極の歴史的建造物」として保存されているのだそうだ。
 ノルウェー人の墓も少し残っているが、大部分は火山爆発による泥流に埋まってしまったとか。この島に眠るのはちょっと寂しすぎる。

さらにこの島には1944年から69年までイギリスの観測基地があったため、飛行機の滑走路と格納庫が残っている。
 
格納庫の中は扉が閉まっているのに雪でいっぱい。どんな風が吹くのか、想像するだに恐ろしい。

島の別のところには大きなアゴヒゲペンギンのコロニーがあるらしいが、上陸地にはほとんど動物がいない。
 
赤い海藻が打ち寄せる浜辺にオットセイが少しいるぐらい。 

そしてその浜辺からはほのかに湯気が立ち上り、強くはないが硫黄の香りも少しする。
 火山島のこの浜辺には温泉が湧いているのだ。

少し前まではこの浜辺に穴を掘って温泉に入ることができ、それを楽しみにしていたのだが、最近穴を掘るのが禁止されてしまったとかで温泉浴のイベントはなし。
 なので指先をつけただけで南極温泉は終了。
足先でちょっと砂を掘るだけでもお湯が湧いてきて、しかも45℃ほどの適温だっただけに残念至極。

船に戻って出発を待っていると、来るときにも見かけたもう一隻の船が島を出て行った。
 これは「ナショナル・ジオグラフィック」のクルーズ船。
南極では上陸地が重ならないよう、クルーズ船同士情報交換して調整しているそうだが、デセプション島は大きいので、あちらの船は湾のもっと奥に停泊していたようだ。

 
その後を追って、我々の船もまた Neptune's Bellows を通り、デセプション島を離れた。


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南極旅行 22 リビングストン島

2014-04-16 19:07:46 | 北米/南米/南極
2月19日

 夜の間に南極半島の西側に移動、本日午前の上陸地はサウス・シェットランド諸島リビングストン島のハナ・ポイント。

 
黒い岩だらけの島の、小さなビーチに上陸する。

  
石ころだらけのビーチにはジェンツーペンギンがいっぱい。
 
ここのジェンツーたちは羽の生え変わり時期らしく、地面も抜けた羽根で白くなっている。
 この哀愁漂うボロボロの姿もいいし
  ころっとした後姿がまたたまらない。

 
浜から上の、草が生えているところにいるのはアゴヒゲペンギン。こちらはどうも泥の中がお好きらしく
  
水たまりに映る自分の姿にうっとりしたり、声高く鳴いてみたり。
 おひげがやっぱりダンディーだ。

 上陸した浜から崖の中の道を歩いて行くと
  
眼下の浜には、まるで鰹節を並べたようにゾウアザラシがくっつきあっている。
 
この子たちはまだ若いオスだそうだが
 
鼻水たらして寝ていたり、口元が笑っているように見えるので結構かわいい。

 こちらはもうちょっと育ったオス。
 
鼻が名前の通り「ゾウ」になりつつあるが、あくびをしたらすぐまた寝てしまう。

この島の高い崖の上には鳥の巣もいっぱいあって
 
大きな翼を広げて飛んでいるのはオオフルマカモメ。
 
トウゾクカモメは死んだペンギンをつついているし、血だらけのペンちゃんはアザラシの攻撃をかわしたのか。
平和そうな島でも生存競争は厳しい。 

 
3時間ほど遊ばせてもらって、青空の見えてきたリビングストン島を後にした。


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南極旅行 21 ジョインビル島

2014-04-15 18:07:02 | 北米/南米/南極
2月18日

早朝の濃い霧が次第に晴れてきて、船の右舷に陸地が見えてきた。

 これぞ南極大陸からおたまじゃくしのしっぽのように伸びる南極半島。その東側、南極海峡を南に下って行く。
 海岸沿いにかろうじて見えるのはアルゼンチンのエスペランザ基地だろう。

やがて停泊したのは上陸予定地、ブラウン・ブラフ。
 
名前の通り、750mもの茶色い崖が立ちはだかっているが、その麓にはゴマ粒のようなペンギンたちの姿が見える。

さあ、いよいよ南極半島に上陸だ!と乗客がワクワクしながら待っていると、
 なんと、一度おろしたゴムボートを回収し始めた。

 
船の周りを見ると氷の帯がどんどん押し寄せてくる。
停泊しているとこの氷に囲まれて、へたをすると出られなくなってしまうのでこの海域を離れることを船長が決断したのだと言う。

昨年のクリスマスには同じロシアの調査船アカデミック・ソコルスキー号が氷に閉じ込められ、乗客の救助で大騒ぎになったばかり。それもあって慎重になっているのだろう。
そもそもこの南極半島の東側、ウェッデル海は西側に比べて氷が多く、シャクルトンのエンデュアランス号が閉じ込められたのもこの湾のはるか南。安全策を取るにしくはない。

それでは今日はもう上陸はないのかと思っていたら、対岸のジョインビル島に行くことになった。
 半島側がブラウン・ブラフ、赤丸が上陸地のマッダー・クリフ。

 午後2時半からまたボートを下して上陸開始。

と言っても上陸地が狭いので、またクルーズをしながら順番を待つ。

 島に近づくと地面が分厚い雪の層に覆われているのがよくわかる。写真の左下の黒い点が仲間のゴムボート。

海には面白い形の氷塊が浮かび
  
 
水はきれいに透き通っている。

  
地面の露出しているところにはペンギンがいるが、この島にはジェンツーとアデリーペンギンが同居している。
 
浮氷の上にいるのもアデリー。早くこの子たちを近くで見た~い、と思っていると
  
アザラシの中でも一番凶暴だと言う Leopard Seal(ヒョウアザラシ)発見。

自分が見たときには水から上がって転がっていただけだが、他のボートの人たちはすごい場面に遭遇した。
アイルランド人のグレッグさんから許可をもらったので使わせていただくが
 
ヒョウアザラシがペンギンを捕まえて食べているところ。
他のアザラシは魚やイカ、オキアミを主に食べるが、ヒョウアザラシは肉食でペンギンやオットセイの子供を食べる。
目撃者たちによるとこいつは捕まえたペンギンを投げたり離したり、しばらくなぶってから食べちゃったそうだ。まるで猫みたい。

とクルーズを楽しんでいるうちに順番になったので島へ上陸。

 
待望のアデリーたちが走り回っていてかわいい~。

   
アデリーペンギンはジェンツーより少し小さく、タキシードを着ているように白黒で目の周りに白い輪がある姿は一番ペンギンらしい。JRのスイカペンギンもアデリーだ。
一番見たかったペンギンだが、南極大陸にしか住んでいないので初お目見えだし、実はここでしか見ることはできなかった。南極の温暖化がすすんで、寒いところの好きなアデリーはもっと南に移ってしまっているらしい。
  
島にはヒナから大人になりかけているのがたくさんいるが、頭のてっぺんにだけぽよぽよした毛が残ってモヒカンになっているのがおかしい。ヒレが頭の上まで届かないのでそこだけ残ってしまうのだ。

こちらはジェンツーのヒナたち。
 
頭を丸ごと親ののどにつっこんで餌をもらっている。ペンギンの親も大変だ。

とペンギン観察で楽しいマダ-・クリフだったが、ここには問題が一つ。
それはここがとてつもなくくさいこと。
 
これまでのペンギン・コロニーもそれなりに糞のにおいがしたが、耐えられないと思うほどのところはなかった。
しかしここはものすごくて
 何しろ地面が餌のオキアミの色に染まっているほどで生臭い。
ぬかるんだ地面で転ぶ人までいて、帰ってからも船中ににおいが充満してしばらく大変だった。
かわいいアデリーちゃんは他のペンギンよりくさいのだろうか。

そんなことを思いつつ
 
また流氷帯を抜けて島を離れる。

しばらくすると大きな卓状氷山が見えてきた。
 
何百年分もの氷の層が見えるこの氷山も、南極では「ベビーサイズ」なんだそうだ。

 今日も一日、楽しかった。

が、アデリーペンギンをもっと見たいという方はこちら↓



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南極旅行 20 エレファント島

2014-04-11 19:26:00 | 北米/南米/南極
2月17日

スコシア海を西へ航海中。
 朝は太陽がかろうじて見える曇天。
気温は0℃だが風が30ノット、つまり秒速15メートルでかなりの強風。
体感温度は風が強いと低くなり、気温0℃で風速20ノットの場合マイナス6℃となる、と壁に説明書きが出ていたから今朝はおそらく体感マイナス10℃以下。風の当たるところには1分も出ていられない。

 朝食を済ませたあたりから天気が良くなって快晴になった。

 今日はこのまだら模様の海鳥が船の周りをずっと飛び回っている。
 
Cape Petrel、マダラフルマカモメ
 
海面すれすれ、波しぶきをかぶりながら飛び回るのが面白くて写真を撮りまくってしまう。

昼間はまた南極の植物や地理などのプレゼンテーションを聞いて過ごす。

現在南極には30ヶ国以上が観測基地を持ち、夏には5000人ほど、冬でも1000人ほどの「住人」がいるとのこと。
南極条約によってどこの国にも領有は認められていないが、チリやアルゼンチンの大きな基地には家族連れもおり、学校まで作って領有する気満々らしい。
それにしても「出身校は南極」なんて、かっこいい!

やがて夕方の17時、エレファント島に到着。
 こここそシャクルトンの一行がボートで命からがらたどり着いた島。
フランク・ワイルドをリーダーとして22名が救援を待って4ヶ月過ごしたビーチに上陸予定だったが
 深い霧でまったく何も見えない。
天気が良い時でも波が荒く、上陸は難しいところと聞いてはいたが、ここまで見えないとは。
 せめても、と本の記念撮影(笑)。

あきらめて船を動かし、東の岬を回ったあたりでようやく霧が晴れて島が見えてきた。
  
思ったよりもずいぶん大きな島だが 
 
見えるのはいくつもの氷河
 あとは切り立った崖ばかりで、本にもある通り、上陸できそうな浜辺などほとんど見えない。
こんなところで生き延びたのか、と上陸できなかったからこそ実感できたかもしれない。

 エレファント島を後に、船は進路を南に向けた。


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南極旅行 19 サウス・オークニー、ローリー島

2014-04-10 18:35:43 | 北米/南米/南極
2月15日

サウス・ジョージアを出てスコシア海を南西に航海。
時間をまた1時間戻す。

一日海上なのでプレゼンテーションが多く、そのたびに階段を6階分上り下りする。

本日教わったこと:

* ペンギンは生後1年が正念場。卵やヒナはトウゾクカモメなどに狙われて、90%が1年目に死んでしまう。1年目を生き延びれば寿命は15年から20年近くある。

* 南極オットセイは20世紀の初めに毛皮猟で乱獲されて絶滅しかけた。がその後猟がなくなり、鯨もいなくなったので3500頭から現在は推定150万から500万頭もいるらしい。

* アホウドリは寿命が長くて、人間と同じぐらい長生きする。ヒナが一度巣を離れると、繁殖期の14,5歳になるまで一度も陸には上がらないのだそうだ。寝るのも飛びながら、脳の半分づつ寝ているらしいがよくはわかっていない。

部屋を暗くされるとうとうとしてしまうこともあるが、知らないことがいっぱいでおもしろい。

 夕方、波がちょっと荒くなったがこの程度。
ブリッジまで届くような波しぶきを期待して待ったがとうとう見られずじまい。


2月16日

 朝6時の気温が5℃と暖かいが、船の周りは濃霧。

 船はサウス・オークニー諸島に到着し、東端のローリー島を目指す。
ここはスコットランドのオークニー諸島と緯度がほぼ同じなので「南のオークニー」と名づけられたそうだが、南緯60度以南なので南極条約によりどこの国の領土でもない。

 
10時過ぎて見えてきた、これがローリー島。
 この島にはアルゼンチンの海軍基地と南極観測基地があり、今日はその基地を訪ねる。

とは言え一度に100人近くがお邪魔するわけにはいかないので、半数はまず島の周りをボートクルーズ。

 
小さいながらもいよいよ現れてきた氷山。
  
近くで見るとアイスブルーがほんとにきれい。

 ボートで島に近づいてみると
  
海岸は足の踏み場もなさそうなほどアザラシだらけ。
 急な崖にはゴマ粒がたくさん見えるが、これはペンギン。地面がピンクがかっているのはオキアミを食べた糞のせい。

この島にいるのは初お目見えのアゴヒゲペンギン。
 
体長70cm弱でジェンツーよりちょっと小さく、体も頭もちょっと細い。英語では Chinstrap と言う通り、ひげと言うより帽子のあご紐のような黒い線が顔に入っている。
 ヒナは灰色のホワホワでジェンツーのヒナにそっくり。
 驚くほど高い崖の上にもいるが、ぎゃーぎゃー騒ぐトウゾクカモメのすぐそばにもいるのはなぜだろう。
 
  おなじみナンキョクムナジロヒメウやオオフルマカモメ
 Southern Fulmar (ギンフルマカモメ)に
 こっちの白いのは Snowy Sheathbill(サヤハシチドリ)と鳥もいっぱいいる。

 海岸にウェッデル・アザラシがいる、と思ったら
 
もぞもぞ動いて近くまで泳いできた。好奇心が強いのだろうか。

 ← もっとアゴヒゲペンギンが見たい方はこちら

1時間もボートクルーズを楽しむうち、交替時間が来て基地へ。
  
赤い建物が散らばるアルゼンチンの Orcadas 基地。
 
補給船が来たばかりとかで荷物がいっぱい。

基地の女性研究者に先導されて、まず向かったのはこちら
 これがなんと「博物館」。
ここは1903年にウィリアム・ピアースに率いられたスコットランドの探検隊が越冬した建物で、その翌年にはアルゼンチン政府に譲渡され、以来アルゼンチンはここに観測所を維持し続けて、南極で一番歴史の長い基地なのだとか。
  
誇らしげにスコットランドの旗が掲げられた室内は驚くほど物が豊富で、この建物内にいる限りは結構快適そう。

それでは現代はどうか、と基地にお邪魔すると
   
室内は暖房がよく効いて、カメラが曇る~。
   
お茶とお菓子まで用意してくれ、ステッカーやキーホルダーなど基地グッズも販売中。
礼拝室まであるこの基地の夏の住人は45人、冬は14人ほどだそうだが、アルゼンチンはここの他にも11か所も観測基地があるらしい。

風が強くなる中、波をかぶりながら船に戻った。


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南極旅行 18 サウス・ジョージア南部

2014-04-08 17:14:42 | 北米/南米/南極
2月14日

船はサウス・ジョージア島の南部へ移動。

朝はどんよりと曇り、6時の外気温は-5℃と寒かったようだ。

本日午前の上陸地はゴールド・ハーバー。
 山は雪に覆われ

海岸にも氷が流れ着いている中を上陸した。

 棒を立てて示されたルートを歩いて行くと

ここもまた大きなキング・ペンギンのコロニー。
  
びっしりと立ち並ぶペンギンさんたち、足元が膨らんでいるのは卵を抱いている場合もあるし、冷たいので足を上げているだけの時もあるんだそうだ。

キング・ペンギンは卵を産む時期が11月から1月までとばらつきがあるため
  
茶色のヒナやら、大人になりかけやら、羽が生え変わり中の大人やら、いろいろな姿が見られる。 

さらにこの浜にはジェンツー・ペンギンも同居していて
  
 後ろの草の中をよく見ると灰色でホワホワしたジェンツーのヒナたちがいる。
ペンギンは違う種類同士で領土争いなどけんかをすることはないんだそうだ。

この浜にも毎度おなじみ、南極オットセイたちがいるが、もっと大きなゾウアザラシたちも浜にゴロゴロいる。
 
ゾウアザラシと言うと巨大なオス同士が壮絶な縄張り争いをする姿をよく動物番組などで見るので凶暴なのだと思っていたが、実際は陸上では早く動けないし、巨体に押しつぶされる以外の危険はないらしい。

特にこの浜にいるゾウアザラシは若いオスなのでまだ体も小さい方で
 
あくびをする時には迫力があるが、転がっている顔はかわいい。
 
ペンギンたちも平気でそばを歩いている。

 氷の浮かぶ水の中でもペンギンたちは平気そうに泳いでいるが
 
岸の氷が厚くなると水に入るのが大変になるので途方に暮れちゃうらしい。

2時間ほど浜で遊んで帰船
午後は緑のクーパー島に上陸することになっていたが
 波があると言うことで上陸中止。

浜にもいたSouthern Giant Petrel(ミナミフルマカモメ)とか
  
 Antarctic Prion(ナンキョククジラドリ)などを船から眺めているうち 
 
船はサウス・ジョージア島最南端のフィヨルドに入って行く。

やがてラーセン・ハーバーという湾に入って、16時半からゴムボートでのクルーズに出る。
 
  
まわりは雪をまとった高い崖なので水面は穏やか。

白と黒の世界でボートのエンジンの他には音もないが
 
ここにも Antarctic Tern(ナンキョクアジサシ)やナンキョクムナジロヒメウがいるし
 
南極オットセイはどこにでもいる、と思ったら
 
こちらはウェッデル・アザラシ。手前のオットセイよりずっと大きく、体に白い斑点があるのでそれとわかるが、サウス・ジョージアにはあまりいないらしいので遭遇できたのはラッキー。

と動物を探しながら2時間もボートに乗っていたら体がすっかり冷えてしまった。
気温は2,3℃あるが風が冷たく、なにより指先が冷たくて痛い。

 フィヨルドの中ではとても小さく見える船だが、暖かい船室にそろそろ帰ろう。 


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南極旅行 17 サウス・ジョージア、グリトヴィッケン

2014-04-07 18:24:24 | 北米/南米/南極
2月13日 続き

ジェイソン・ハーバーから戻り、遅い昼食を食べているうちに船はグリトヴィッケンの沖に停泊した。
 ここも1902年に捕鯨基地が作られたところ。
 
赤錆びた建物が並んでいるところは廃棄されたストロムネスとそっくりだが
 ここと地続きのキング・エドワード・ポイントにはサウス・ジョージアでほとんど唯一人間が住んでいる。
イギリスの南極調査研究施設があるためで、その他に3人、お役人がいる。

もうさんざん島には上陸しているが、ここでそのお役人による入国審査があり、それが終わるまではグリトヴィッケンに行けないので、その間に島の環境保護活動をしている Heritage Trust という団体からプレゼンテーションと寄付のお願いがある。
隔絶された環境のサウス・ジョージアとはいえ、捕鯨の盛んだった時代に外来生物や植物が持ち込まれ、今はそれを元に戻そうと、特にネズミとトナカイの駆除に尽力しているとか。トナカイは食料として持ち込まれた動物の内、唯一この島で繁殖してしまったもの、ネズミは船に乗っていたもので、在来植物や鳥の卵を食べてしまうのが問題らしい。

やがて入国審査が終わるとパスポートにハンコが押され、立派な島のガイドブックももらえた。
 
オットセイとペンギンが向かい合う島の紋章がかわいい。

16時になってようやくボートで上陸開始。
  
まず全員で集合したのは墓地。ほとんどノルウェー人の鯨獲りの墓だが、
 
ここにサー・アーネスト・シャクルトンの墓があり、彼の右腕だったフランク・ワイルドも分骨されてここに眠っている。
 シャクルトンの好きだったウィスキーで彼の偉業に乾杯し、お墓に酒をかける。
 墓の正面には我らが船が停泊し
 
左手には捕鯨基地、右手の浜にはオットセイやアザラシ、ペンギンが遊ぶ風景はシャクルトンにふさわしい気がする。

お墓参りが済んだらグリトヴィッケンの観光。
 ガイドのお姉さんはスコットランドの大学生。Heritage Trust に応募し、選抜されてここに来ているらしいが、できたら来シーズンも来たいとか。夏の人口は30人、冬には研究者と役人の10人ほどしか人がいないが、観光シーズンには60隻ほど船が来るし、特にクリスマス頃は週に10隻も入港して忙しいんだそうだ。

このガイドさんに先導されて浜を歩けば
 
オットセイよりずっとおとなしいゾウアザラシのメスがゴロゴロ。
 
打ち捨てられたボートや捕鯨船があり
  
  
赤錆びた鯨のや鯨油の貯蔵タンクが残っている。
 
作業員宿舎や売店だった建物はかわいいが、鯨油しか獲らなかった時代には肉は浜辺に捨てられたままだったとか、お湯が出ないので体を洗うには水しかなく、寒いので当然誰もそんなことをしなかったとか、「昔のこの島のにおいを想像してみてください」って、いや~!

そんななか、売店でよく売れたのはオーデコロンだったそうだが、それはこの基地を最初に運営していたノルウェー人が飲酒を禁じたためだそうで、「におい消しではなく、みんな飲んじゃったんです」とガイドさんは説明がうまい。

  
支配人の家だった建物は現在は博物館になっている。 
 シャクルトンの展示や
 捕鯨の説明。鯨油は欧米では街灯を灯すのにも使われていたなんて初めて知ったが、そのためにどれだけ殺したんだか。
 しかしここの捕鯨基地を最後(1963~65年)に使ったのは日本水産だったそうで、日本語の捕獲簿まで展示されている。こんなところまで来て仕事していた日本人がいたとは、ご苦労様。お肉は給食でおいしくいただきました。

 この博物館には立派な売店まであって、Tシャツや本などなかなかの品ぞろえ。売り子のお兄さんがスコットランドのキルトを履いていた姿、写真を撮らせてもらえばよかった。なんで履いているのかと聞いたら、「ここの気候にピッタリだろ?」だって。

 隣の建物にはシャクルトンが救助を求めて乗ってきたボートのレプリカが展示されているが、こんなボートに5人で乗り組み、荒海を16日間、1300キロも航海したなんて。
  
しかもこんな装備で。改めてすごいと思う。

 
最後は捕鯨基地のはずれにある教会。1913年にノルウェー人によって建てられたそうだが現在も現役で、望めばここで結婚式を挙げることもできるとか。 

 滞在は3時間だったが、この島にもっといたいと言うお姉ちゃんの気持ちがちょっとはわからんでもないグリトヴィッケンだった。


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南極旅行 16 サウス・ジョージア、ジェイソン・ハーバー

2014-04-05 18:25:32 | 北米/南米/南極
2月13日

今朝も6時前に起床。
 デッキに上がってみると船は氷河のたくさん見える湾に停泊している。

 
しばらくしてボートで出発して行ったのは「シャクルトン・ウォーク」に参加を表明した人たち。
もっと早く出発する予定だったのが、波の様子を見ていて遅くなったらしい。

「シャクルトン・ウォーク」とはシャクルトンが助けを求めてこのサウス・ジョージアに上陸した時歩いたルートの、最後の部分だけを体験しようというもの。
 この地図の赤線がシャクルトンのルートだが、そのほとんどは氷に覆われた高い山で、ここを常人が装備もなしに歩くことは不可能なので、地図の青い丸で囲んだ最後の楽な部分だけを歩く。

とは言っても下りは結構急だと言うし、トレッキングシューズも持って来ていないので今回はパスして参加者をお見送り。
 真っ赤なコートは遠くからでもよく見える。

 
あんな山や氷河をシャクルトンたちは装備も地図もなしに越えたのか、と眺めるうちに
 船は半島を回ってストロムネス湾に入った。

正面に見えるのが今は廃棄された捕鯨基地。
 
 この白い家がシャクルトンたちを迎え入れたマネージャーの家と聞いて、なんだか感無量。

 我々のハイカーたちも2時間ほどのハイキングを終えて無事に船に戻った。

あとで話を聞くとここに上陸して歩けることはめったにないそうで、今回このハイキングをガイドしたスタッフも6年目にして初めて実現できたと大喜び。
そんなことなら少し無理してでも参加すればよかった、と後悔しても後の祭り。ああ、もったいないことをした。

お昼近くになって次の上陸地、ジェイソン・ハーバーに到着。
 
まわりの海には氷塊が浮かんでいる。

上陸地ではまたもペンギンとオットセイがお出迎え。
 
降り出した雪の中、海岸を少し歩くと
 
これは避難小屋だろうか、家具も少し残っている。

もうすっかりおなじみになったオットセイたち。
  
 雪の中でもスヤスヤ。

再びお目にかかったキング・ペンギンはさすがに寒そう。
 
 
立っていると人間くさいペンギンが横になるとたちまち鳥っぽく見えるのが面白い。

 
ここには1時間いただけで船に戻った。


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南極旅行 15 サウス・ジョージア、プリオン島

2014-04-04 17:59:14 | 北米/南米/南極
2月12日 続き

ソールズベリー平原でペンギンを堪能した後、船に戻って昼食。
休む間もなく、14時半からはすぐ近くのプリオン島にまた上陸できることになった。



 ボートの向こうの小さな緑の島が目的地。
一度に上陸できるのは50人までと決められているので船客は2グループに分けられ、自分は先に上陸する組になった。

  
ビーチに上がれば早速たくさんのペンギンたちのお出迎え。
 
ここにいるのは目の上が白いジェンツー・ペンギン。キング・ペンギンよりは背が低く、体がコロッとしている。
 今はちょうど羽根が生え変わる時期らしく、ボロボロになってじっとしているのが多いけれど
  
動くとこれまたかわいい~

 
海岸にはここにも南極オットセイがいっぱいいて、海の中で転げまわって楽しそう

この島には背の高い草を踏まずに済むよう木道が作られていて、人間はこの上だけを歩くようになっている。
 
それというのもオットセイやペンギン、いろいろな鳥が草の中を寝床にしているからなのだが
  
オットセイに通せんぼされるわ、威嚇されるわで気が抜けない。

それでも気を付けて丘の上まで上がれば
 
青空も広がってきて素晴らしい景色。

そして丘の上の草の中にはワタリアホウドリの巣がある。
 
 
大きな翼を広げて頭上を滑空する姿は壮観。

 こちらは顔の黒い Light Mantled Albatross ハイイロアホウドリ。
 
海岸のペンギンたちの間を歩き回っていたのは Antarctic Skua ミナミオオトウゾクカモメ。
アホウドリは魚やオキアミしか食べないが、こいつらはペンギンの卵やヒナを襲う。 

1時間ほど島の散策を楽しんだら、もう一組と交代して今度は島の周りをゴムボートでクルージング。
 
崖には鳥がいっぱいいるが、これは Blue-eyed Shag、日本語ではズグロムナジロヒメウ。英語の名前の通り目が青いが、よく見ると黒い目の周りが青いのだ。

 
海岸には黒いゴムホースのようなものがたくさんとぐろを巻いているが、これは海藻。ウナギの集団のようにウネウネ動いてかなりグロい。
 
そんな中からオットセイがお見送り。

 小さいけれど見どころ満載の島だった。

さらに動物たちを見たい方はこちら↓



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南極旅行 14 サウス・ジョージア、ソールズベリー平原

2014-03-31 13:48:40 | 北米/南米/南極
2月12日

早朝、デッキに出てみるとサウス・ジョージアの雪をかぶった島影が見えてきた。
 外気温は1℃とさすがに寒くなった。

9時からゴムボートで上陸開始。
 
海岸のゴマ粒はペンギンだ~。

 
ここにいるのはキング・ペンギンと言って皇帝ペンギンの次に大きい種類。そしてペンギンたちの間を動き回っているのは南極オットセイ。
ペンギンからは5メートル、オットセイからは15メートル離れるように言われているが、5メートル離れるだけのスペースがないほどペンギンがいる。

 砂浜からちょっと上がったところは草地になっていて、草の上にはオットセイたちがゴロゴロ。

その草地の上に上ってみると、その向こうに

なんだ、このペンギンの数は!

20万羽いるというこのコロニーの大きさとペンギンの鳴き声は動画でなければ捉えられない。



 キング・ペンギンは皇帝ペンギンにそっくりだけれど、体長が90cmほどで皇帝ペンギンよりは小さく、南極大陸には生息していない。 
   
大きな黒い脚で歩く姿がなんだか人間くさくて、つい話しかけてしまう。

 
ペンギンの中では一番好奇心が強くて、こちらがじっとしていると向こうから近づいてくる。
  
近づきすぎたら写真が撮れないよ!

ペンギンの群れの中にはまるで大きな蓑をかぶったような茶色いのがいるが、これはヒナ。
 
親はそっくりなのに、ヒナは皇帝ペンギンとは全く違うのが面白い。
 もう夏も終わりなのでだいぶ大人になっている。

 こちらは同じように羽が抜け替わっているが立派な大人。ペンギンは年に一度、羽が抜け替わるそうで、その最中は撥水性がないので海に入ることができず、エネルギーもいるのですごく消耗するのだそうだ。 

 
 こちらはペンギンたちと同居している南極オットセイ。
英語だとSouth American Fur Sealでアザラシみたいだが、後足が前を向いていて陸上を歩くことができ、小さな耳があるのはアシカ科でアザラシとは区別される。
 この写真の手前が耳のあるオットセイ、大きいのは耳のないゾウアザラシの子供。 

でこのオットセイ、島にいるのは子供と母親ばかり。父親はもうお役御免で海に帰ってしまったらしい。
 
子供はかわいいのだが、
 それを守ろうとする母親は結構狂暴。近づくと歯をむいてくるし、走るのが早くて怖いのだ。雑菌だらけの歯でかまれたらえらいことになると聞いていたので、最初に駆け寄られた時はこちらも走ってしまった。しかし犬と一緒で、じっと睨みつけるのが一番いいんだって。
 ペンギンもツンツンしてくれるし。

 
海で遊ぶオットセイやペンギンを見ているうちに
 
雪が降ってきた。 
   
 
動物たちにバイバイし
  
ペンギンたちに見送られて、3時間遊んだ海岸にさようなら。


ペンギンとオットセイをもっと見たい方はこちら↓



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コメント (6)
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