11月5日 続き
さて、嬉野温泉での泊りはバスターミナルからすぐの「嬉泉館」。
階段を上がった所に玄関があり、通された客室はその上なので3階。
間口は狭いが奥に長い造りで8室ある。
今回お願いしたのは一番リーズナブルな6畳のお部屋。
窓からはすぐ隣に豊玉姫神社が見える。
温泉街の探検から戻ったらお風呂へ。
階下にあるお風呂の入り口はいささか殺風景、脱衣場もごくシンプル。
しかし扉を開けると右手にはシャワー付きのカランが並び、丸い浴槽が2つある。
こちらのお湯は自家源泉のナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉で源泉温度は83.5℃もあるとのこと。
これを加水することなく冷ましてかけ流し、湯口の温度は54℃あるが投入量で調整しているのだろう、浴槽内はどちらの浴槽も長湯仕様の38℃。
普通ならぬるいと感じる温度だが、無色無臭のお湯はローションのようにつるんつるん。あまりの気持ち良さにいつまでも浸かっているとお風呂を上がってもしばらく汗が引かない。噂にたがわぬ素晴らしいお湯だ。
お風呂から上がったらじきに夕食。
食事処は一組づつ個室になっていて、テーブルにはすでにたくさんの料理。お品書きなどはないが、特に八寸のイカ、カニ、アワビ、ホタテなどがおいしくて喜んでいると
お造りがまためちゃくちゃうまい。
その後も一品づつ次々に料理が運ばれてきて、グラタンの中はホタテ、松茸の土瓶蒸しに天ぷらは穴子、これがまた絶品。
蕪蒸しが来た時には思わず「まだあるんですか」と聞いてしまったほどお腹いっぱいだったが、その後は噛む必要のないほど柔らかい佐賀牛が陶板焼きになって
食事はなんとマグロのにぎりが3貫。デザートにはゆずシャーベットもあって大満足。
寝る前と朝も温泉に入ればまたお腹に余裕ができるが
朝食にもたくさんのご飯の友に、嬉野温泉の名物であるトロトロの湯豆腐。
さらにハムエッグも来るからまた腹パン。
こちらのお宿、電話予約をした時にあまり説明もなく値段のオプションだけ示されたので、一番安い部屋で普通の食事をお願いしたところ一人14,000円だった。
そもそもここのお風呂が「九州八十八湯」に含まれているので選んだ宿だったが、お湯だけではなく食事もこれほど素晴らしいとは思ってもいなかった。
家族経営で奥さんはどうもあまり接客が得意ではなさそうだったが、また来たい宿が増えてしまった。
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2024年11月5日~11月8日 佐賀・長崎の旅
アルバニアに続いては同じ友人と国内の温泉旅で九州へ。
福岡へ行くべく朝の羽田へ。今回はマイル利用のJLなので久しぶりに国内ラウンジへ行ってみると
すごく広く見えたのは鏡マジック。しかし鶴丸の向こうに富士山が見えた。
2時間はあっという間で福岡に到着。
本日の目的地、嬉野温泉へ行く高速バスは国際線ターミナル前からの出発なのですぐに無料シャトルで移動。
食事処の充実した福岡空港だけれど、国際線ターミナルの方はぐっと寂しくて、しかもレストランフロアは工事中でほとんどの店がお弁当のみの販売。
そんな中、目当てのうどんやだけはありがたいことに営業中。最近、すっかり福岡うどんのとりこなのだ。
13時になって福岡から長崎まで行く九州号に乗車。
1時間20分で到着した嬉野温泉のバスターミナルは昭和の香りぷんぷん。
今夜泊まる宿はこのターミナルのすぐ裏で、チェックイン時間前でも部屋に入らせてくれたけれど、温泉街で行きたい所があるのですぐに外へ。
まずは宿のすぐ隣にある豊玉姫神社へ。
最近は神社でさえ萌えキャラだらけ。
しかしこの神社の一番の売りはナマズ様。この白いナマズ様にお参りすると美肌になれるのだ。
裏から入って表から神社を出てしまったけれど、その先の道は普通の住宅街のように静かで歩く人もいない。
しかし、そんな中にお茶屋さんを発見。嬉野はお茶の産地なので
ちょっとおしゃれな店内でお茶のジェラート。煎茶ジェラートが抹茶のように香り高くて、あとで出してくれた熱いお茶もとてもおいしい。
さらに歩いて、やって来たのは和多屋別荘。
モダンな高層棟に、奥には古い建物も残る大型旅館。
広い館内にはおしゃれな売店にピエール・エルメのマカロンまで売っているが
そのさらに奥にはカフェも併設の本屋があって、ここに「ペンギン・ミュージアム」があるのだ。
こちらのペンギンとはJR東日本のスイカのペンギン。
作者のさかざきちはるさんは千葉県出身とのことで、なぜこの嬉野にミュージアムがあるのかはよくわからないが
このペンギン、大好きなのだ。千葉出身だからかチーバくんも見えるが、チーバくんもさかざきさんのデザインだそう。
グッズの販売もあるが、なぜかほしいと思うものは非売品ばかり。
この時計、売り物だったら絶対に欲しかった。
さらに旅館を出て駐車場を歩いているとウサギの提灯が目に付いた。
脇にカーテンが下がっていて入れそうなので中に入ってみると
鳥獣戯画のランタンがいっぱい。こちらは三上真輝さんというランタン作家の作品とのこと。
和多屋別荘さんは趣味が良くて商売も上手そうだ。
和多屋さんからは温泉街の反対端にある宿へ戻ろうと来た道とは一本違う道を行くと
なにやら怪しげなお宝倉庫があるかと思うとおしゃれなケーキ屋があったり、お茶屋さんもいっぱいでなかなか楽しい。
川のほとりにあるのは公衆浴場シーボルトの湯。
2010年に作られたということで古い建物ではないがかわいらしい。
が、もう日も暮れかけている。
お風呂は宿に帰って入ろう。
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ヤムの会メンバー、スクムビットさん、Trintrinさんからお誘いをいただいて、勝手知ったる佐倉へ遠足。
まず向かったのは佐倉の誇る(?)謎のイラン料理屋、サダフ。
先日家族とランチをしようと向かったらなんと平日なのに駐車場がいっぱいで入れなかった。
そこで12時少し前に行くとさすがに駐車はできたがすでに多くの車。
中に入ると以前からの通り、南アジア系とおぼしき男性客が目立つが、半分は日本人客、しかも近所のマダムらしき中高年の女性客が二人、三人とグループで来ていて、いや~、この店も地元にしっかり定着したわ、と感慨深い。
本日はランチバイキング、1400円なりをオーダーしてお料理を取りに行くと
たっぷりのサラダにピラフが2種類、チキンカレーとうれしや大きな骨がゴロゴロした羊肉の煮込みがある。
それ以上にうれしいのが横の保温ケース。
ナンとともにおこげがある!イランに旅行した時、イランのご飯はいかにおこげを美しく作れるかがポイントだとガイドさんのお宅で家庭料理をいただきながら教わった。イラン人、本当におこげが好きなんだ。
骨付きの羊はホロホロと崩れるほどよく煮込まれ、小さな米粒のピラフにチキンカレーも優しい味でうま~い。
お会計の時に隣のスーパーを覗くと以前は見なかったお料理のレトルトパックがあって
イングレリストを見ると「肉15%」としか書いていないのがなんだか豪快。
この店、今年で開店10周年を迎えるそうで、こんな辺鄙な場所でよく頑張っている。また来なきゃ。
レストラン サダフ
お腹を満たしたところで次に向かったのはこれも佐倉のはずれにある川村美術館。
大日本インキの創業家のコレクションを展示する美術館として開館からすでに34年経ったそうだが、今年の年末で無期限の休館を発表。しからば最後にもう一度ご自慢のレンブラントを拝んでおこう、と今回の遠足となったのだが、敷地内には平日だというのに今まで見たことのないほど多くの来館者。そのため来年の3月まで閉館を延ばしたというのだから皮肉なものだ。
ここが閉館したらお宝のレンブラントはともかく、この巨大なフランク・ステラとかどうなるのだろう。
空は今にも崩れそうだが、最後にこれも佐倉市自慢(笑)のふるさと広場にご案内。
春のチューリップフェスタが結構有名になっているが、秋には同じ敷地でコスモスフェスタを開催。フェスタは3日前に終わっているが、今年は暑さで開花が遅れたとのことなので、まだ花は残っているだろうと行ってみたのだが、なんと早々とコスモスを片付けて更地になっていた。
コスモスは唐突に現れる風車の周りにしょぼしょぼと咲いているだけだったけれど、まだ汗ばむ気温の中、印旛沼の風に吹かれて佐倉の遠足は終了。
スクムビットさん、Trintrinさん、お付き合いありがとうございました。
また謎のイラン料理屋のランチ、食べに行きましょう。
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バラを堪能したらその正面に建っている大温室も覗いてみる。
最初の熱帯の部屋に入るとそれほど大きくはなく、緑がうっそうとしているので大したことはないと思ってしまったのだが「世界一美しい花木」なる看板があるのでよく見るとオレンジの花房が下がっているのが見えた。
ヨウラクボクというこの花、日本で見られるのは珍しいのだとか。
世界一美しい花木かどうかは微妙だが。
よく見て歩けば他にもあちらこちらに熱帯らしい変わった花が。
以前、熱川バナナワニ園で見たヒスイカズラにも再会。
チョウチョにそっくりな花があったり
これは他のお客さんが話しているので気が付いたダースベイダー。本名は「アリストロキア・サルバドレンシス」というそうだが、本当にダースベイダーそっくり。
次にランの部屋に入ると、ここは小さいが充実していて
ゴージャスな洋ランよりも小さな花が面白い。
中でもドラクラ属という中米のラン、猿の顔のように見えるモンキー・オーキッドは見られなかったが
これもドクロみたいで不気味かわいい。
と、この辺りでもう気力が尽きてしまったので、隣の華やかなベゴニア室などは素通りし、
咲き始めたスイレンの池の脇を通り、深大寺門から外へ。
すると門の前に深大寺と言えばのお蕎麦屋さん。爽やかな風の抜ける外の席に座って
十割そばの細うちせいろ、うまし。
この蕎麦屋の脇の坂を降りると深大寺の門前。
本堂で手を合わせ、「国宝」の大きな看板があるのでそちらへ行ってみると
粗末な釈迦堂の中にいらっしゃるのが飛鳥時代の作という国宝、白鳳釈迦如来像(撮影禁止なので写真はHPから)。
さすがにこの釈迦堂、再建のための浄財募集中のようだが、設計は隈研吾なのだそうな。隈氏、よく働く。
帰りは参道を通ってバスに乗り、つつじヶ丘から帰ったが、天気のいい日にはぴったりの遠足だった。
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調布市にある神代植物公園に行ってきた。
ここは3年前、バラの撮影にはまった時に行きたいと思ったのだが、その時はコロナの流行で閉園していた。今回はようやくそのリベンジというわけ。
調布駅前からのバス乗り場にも列ができていたけれど
次々に到着するバスで入場券売り場にはこの行列。
平日の午前でこの人気、お客さんのほとんどは自分同様250円で入場するシニアだ。
しかしゲートを入ってしまえば広い園内。
緑濃い中にしゃくなげもまだわずかに咲いていたけれど、ほとんどの人がまっすぐ目指すのはバラ園。
近づくともうバラの香りが漂ってきて
色とりどりのバラのなんと華やかなこと。ここには約400種、5200株のバラが植えられているそうで、千葉県の谷津バラ園の7500株や京成バラ園の1万株に比べると少ないのだが、ちょうど満開に当たったので今まで見てきた中でも一番の豪華さ。
こちらのバラフェスタは5月8日から6月2日とされているのでまだ始まって間がないのだが、今年は花が早いのだろう、この調子では5月中に花が終わってしまいそうだ。
バラのアーチなども作られている中をまずは一通り歩くと
中央には噴水があって、その向こうに見えるのは大温室。
これをバックに遠足の幼稚園児の集合写真を撮ろうと先生たちが大奮闘しているのを笑いながら眺めて、それではバラの撮影会。
白や赤など単色のバラももちろんきれいだけれど
ぼかしや開花するにつれて花色が変わるバラが好きでつい撮っちゃう。
花弁の多いゴージャス系もいいけれど、野バラっぽいつる性のバラもかわいい。
緑がかったものや青バラも少々。
蜜蜂さんも忙しそう。
日が照り付ける中、花を眺め、香りを嗅いで写真を撮って、気が付くと2時間も経っていた。
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旧古河庭園を出たら上中里駅から御徒町へ移動し、同じく都立文化財になっている旧岩崎邸庭園へ。
65歳以上はやはり半額、わずか200円を支払って正門からの坂を上がれば
ヤシの木の向こうに堂々たる洋館。
古河さんちは石造りで田舎のコテッジ風だったが、岩崎さんちはまさに貴族様のお屋敷。
入口で渡される袋に靴を入れて玄関を入り、順路通り左手に行けば洋風の部屋が続く。
こちらのお屋敷は古河邸以上に細部が凝っていて
各部屋の天井に
金唐革紙などを使った壁紙
イギリスのミントン社製タイルのベランダから
暖房用パネルラジエーターまでなんとも贅沢。
2階へ上がる階段や扉のステンドグラスも素敵だけれど
部屋ごとにある暖炉の意匠がすべて違うのがすごい。
ちなみに暖炉の上など部屋ごとに花がいっぱい飾られているが、これはちょうど假屋崎省吾のイベントが開催されていたから。
サンルームにはお弟子さんたちの作品が飾られ、庭にある撞球室も假屋崎省吾に占拠されていた。
2階のベランダから芝のお庭を眺めたら玄関ロビーに戻って右手へ。
角を曲がるとがらっと雰囲気が変わって、廊下の先は和館。
あちらこちらに岩崎家の三菱の意匠があるというこちら
中に売店とカフェがあるが、元々は洋館よりもはるかに大きな550坪もあって、普段の居住はこちらだったとのこと。
純和風と純洋風が繋がっているのが面白いが、古河さんち同様、やっぱり畳の生活からは離れられなかったと見える。
和館は日本人の棟梁が建てたが、洋館は古河邸も手掛けたジョサイア・コンドルの設計。
古河邸の一室がコンドルの資料室になっていたが、それを見ていたらコンドルがお雇い外国人として来日し工部大学校の教授に就任した時まだ24歳だったと知って驚いた。
司馬遼太郎の「胡蝶の夢」にも幕末に西洋医学を系統的に伝えたポンぺがまだ20代だったとあった。
意地の悪い言い方をすれば「未開国」日本にえらい先生方は来たがらず、若造の知識でも全くの白紙の日本人にはありがたかったということだろう。
今読んでいるアーネスト・サトウの回顧録にも開国したばかりの日本には無一文でやって来て一攫千金を狙う「ヨーロッパ人のクズ」が大勢いたとある。
そんな中、コンドル先生は日本人建築家を育てただけではなく、河鍋暁斎に師事して見事な日本画を描いたり、日本人の奥さんももらって死ぬまで日本で暮らした。
クズではない西洋人には白紙の日本は若くても存分に腕を振るえる夢のような国だったのかも。
門の三菱を確認して、岩崎邸を離れた。
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毎日が日曜日の身にGWは関係ない。
とはいえ気候のいい時期、きれいに晴れた一応平日の一日、久しぶりにバラの写真を撮ろうと旧古河庭園に出かけてみた。
地下鉄南北線の西ヶ原駅で降りて徒歩7分。
庭園の塀が見えて、入り口はどこだろうと思っていると大きな観光バスが停まって乗客がぞろぞろと降りてきた。
その後について入り、入園料はと見ると、都立庭園のこちら、お庭だけなら150円、65歳以上ならたったの70円とありがたい。
すぐに見えてくる石造りの古河邸。
脇を通って建物の裏手に回るとその前がバラ園。
しかし思っていたよりだいぶこじんまりして人も多いので、まずはその向こうの日本庭園を一回り。
富士山の溶岩を積み上げた石垣があったり、大きな池があったり、緑の木陰がとても気持ちいい。
日本庭園から階段を上がった所に洋風庭園とお屋敷があって
5月初めなのに都内のこの庭園ではもう早くもバラが満開に近い。
バラ園の中に入るとふんわりといい香りに包まれる。
緑色の変わったバラなどもあって、100種200株とはいえ近くでじっくり見れば楽しめる。
しかしバラは華やかすぎるからだろうか、写真を撮るとありきたりになってしまって、特に真っ赤や真っ白が難しい。
コロナで遠出が難しかった3年前の春に続けざまにバラの写真を撮り歩いたが、また練習のし直しだ~。
バラを一通り撮ったらお屋敷の正面に回って中へ。
が、こちらは大谷美術館の管轄で別料金400円、しかも館内の撮影は禁止。
1階は洋風で壁や天井、暖炉を見るのが楽しいが、ほとんどの部屋が喫茶室になってお茶を楽しむお客さんがいるので確かに写真は撮れない。
2階のプライベート空間は和室になっているそうだが、こちらはガイドツアーでなければ見ることはできない。
明治・大正時代に建てられた洋館はどこも素敵だけれど、どこもくつろぐために和室が必ずあるのが面白い。財閥の皆さんも普段かっこつけるのに無理してたのだろうか。
見学の後はお庭の隅にある売店でバラの花びら入りアイス。ほのかにバラの香りがしておいしゅうございました。
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3月27日
中棚荘のチェックアウトは11時だけれど、ちょっと早めの10時半にタクシーを呼んでもらう。
前日とは打って変わった素晴らしいお天気だけれど、これから街歩きをするのにあの坂を上がるのはいやだ。
駅のロッカーに荷物を預けて、まずは赤坂を上がって与良町を目指す。
するとこれが写真ではわからないが結構な急坂。さっきのタクシーの運転手さんが「小諸は坂なんです」と言っていたのはこういうことか、と納得。
坂を上がって突き当たる大きな道が越後と江戸を結んだ北国街道。
交差点から右手に折れると与良町だが
この辺りはあまり写真映えする旧家は残っていない感じ。
そこで交差点に戻って、今度は左手に折れてしばらく行くと、お味噌の工場が見えてきた。
こちらで作られている山吹味噌、偶然にも現在家で使っていた。門の上の立派な看板は江戸中期のものだとか。
この先、街道が折れて緩やかな下り坂になると本町と呼ばれるエリアで、この周辺にはきれいに修復保存された旧家がいっぱい。
素晴らしいのは多くの家が今もちゃんと普通の民家として住まわれていることで、外見は昔のまま、中はピザ屋やメキシコ料理店なんて所もある。
家の奥に立派な蔵がある家も多くて、そこが店や住まいになっている家もあれば
この蔵は英語教室。
途中にほんまち町屋館という施設があったので入ってみると、元はお味噌屋さんだったというお屋敷。
まだお雛様が飾られていたが、その上に下がっていた鶴の吊るし雛がきれい。
家の造りを見せてもらってから裏庭に出ると
素敵なテラスになっている。
坂を下ってお城に近くなるにつれて
家が大きくなる。
こちらは脇本陣だった所。
今は旅館とカフェになっているが、水曜日にはお休みの店が多くて残念。
ここから少し先には重文指定されている本陣問屋場があるが、現在修復中で見られず。
さらに線路脇の公園内に本陣の御殿だけ移築されているが
この中は現在はイタリアンレストラン。
これも重文の大手門を見たら北国街道の散歩は終わり。
何か地元の物はないか、と街の中心に戻ってスーパーに入ってみると
さすが、お味噌の品ぞろえがすごい。
持って帰れるような物はそれほどなかったが、くるみ製品が多いのも面白くて
左下は桜エビとくるみを甘~く和えたもの。
ついでにこちらは戸倉で仕入れたあんずもの。
あんず姫は初めて買ったが、最中の中にあんずゼリーが入ってすごくおいしい!
しかし小諸まで来るとあんずのお菓子は見なくなってしまうので、買っておいてよかった。
時間は1時を回って、それでは最後におそばを食べて帰ろう、と駅の高架橋を渡って小諸城址の懐古園の三の門へ。
と言っても城跡には入らず、横の有名なそば屋、草笛本店に行ってみたのだが
席待ちのお客さんが一杯で、30分は待つだろうとのこと。
そこで街中に引き返し、「笊蕎麦 刻」というお店へ。
小さなお店を店主が1人で切り盛りしているが
ざると田舎蕎麦の二色盛りがすばらしかった。
ざるは細くて白い更科系、田舎蕎麦の方は太くて、すするのではなくよく噛まないと食べられないほど。
自分の好みは細い方だけれど、どちらも今回の旅で一番のおそば。
予定通り、とはいかなかったけれど、今回も楽しい温泉旅だった。
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3月26日
この日は朝から土砂降り。
その上強い風も吹いて、10時少し前にホテルをチェックアウトして千曲川を渡ると傘が壊れそうなほど。
万葉超音波温泉で一風呂浴びて
戸倉駅まで歩くとあちこちびしょぬれになってしまった。
戸倉駅からは小諸駅まで40分。
ちょうどお昼で、普通ならお蕎麦でも食べに行きたい所だがひどい雨なので街歩きもできない。
幸い駅前が停車場ガーデンなるちょっとした公園になっていて、中にカフェがあるので入ってみる。
片側は工芸品や園芸品なども売っているおしゃれなお店。
予定よりがっつり食べてしまったがおいしかった。
駅から今夜の宿までは徒歩20分のはず。これも歩くつもりだったが雨と寒さに負けて駅前からタクシー。すると思いがけずすごい坂を下って、これは帰りも大変そう。
中棚荘に着いたのは13時。
これは翌朝撮ったが、玄関前にはサンドアーティストによるアマビエ様が。もう半ば崩れかけているのはもうお役目終了ということだろうか。
チェックインは14時からなのでさすがにまだ早い。部屋の用意をしてもらっている間、ロビーの暖炉で温まらせていただく。
大きな額に入っているのは島崎藤村の肖像画で、本棚にも藤村の本がいっぱい。
というのも藤村は小諸で学校の先生をしていた時代、この宿によく来ていたとか。長野ではよく藤村先生に遭遇するが、先生どれだけ温泉が好きだったのやら。しかし藤村の本は一つも読んだことがない。
大きな窓の外には咲き残る梅だろうか、ヤマガラやシジュウカラが来ている。
13時半になって部屋に案内していただく。
フロントのある棟からは渡り廊下を通った平成館の2階。
8畳の部屋にはもう布団が敷かれ、こたつがあるのがうれしい。
意外なのは浴衣の上に羽織る半纏。これがなんとモンベルのダウンで、旅館で遭遇したのは初めてだけれど、軽くて暖かくて、これはいい。
冷えた体を温めるべく、早速お風呂へ向かう。
浴室への扉は部屋から階段を一つ降りたすぐの所にあるが、ここからは石段を50段以上も上がらなければならない。
途中には源泉の飲泉所もあるが、これを過ぎると男湯、女湯はさらに上に上がる。
ようやく女湯に到着して中に入ると
広い畳敷きの脱衣場の先は仕切りもない浴室になっていて、天井の木組みも立派。
浴槽には冬の間はリンゴが浮かべられて、これは藤村にちなんで「初恋りんご風呂」と名付けられている。浴槽の底には藍色の石が敷き詰められ、そこに赤いリンゴがうかぶ様がとても上品。
アルカリ性単純温泉の癖のないお湯は源泉が38℃とぬるめなので循環加温され、内湯では消毒もされている。
が、露天のうたせ湯は源泉そのまま。飲泉所で飲んでみるとわずかに硫黄の卵味が感じられて、この静かなお風呂はいつまでも入っていられる。
ゆったりしているうちに18時になったので、玄関を出て隣の大正館へ。
藤村の泊まった部屋もある旧館、今も客室があるが食事もすべてこちら。他にもお客さんはいるはずなのだがとても静か。
今回は信州の食文化プランというのをお願いしておいたところ
木の芽和えの先付けに始まって、ねっとりととてもおいしい信州サーモンの昆布締め。
鰆には黄色い菜種餡がかけられ、ホタルイカの酢の物は下に敷かれたキャベツもおいしい。
道明寺の上に載せられた甘鯛が春らしいが、驚いたのは天ぷら。なんと佐久鯉の薄い切り身が桜の葉と揚げられていて、これが川魚とは思えないほど臭みもなくおいしい。なんでも最近は鯉の養殖技術が向上して、お刺身で食べることもあるのだとか。
さらに信州らしいのは鍋のおにかけそば。昔の農家で囲炉裏にかけた鍋に手の空いた者がそばを入れて食べたものだそうだが、竹の子やキノコがいっぱい入ったお鍋の出汁もおいしくて完食。
おかげで自家で育てているというお米のアサリご飯は入らなくなってしまった所、お夜食に、とおにぎりにしてくれた。夜食も入らないのでこれはそのまま持ち帰り。
その代わりプルプルのわらび餅はしっかりいただいた。
翌朝はお部屋も変わって
リンゴジュースで始まる朝食も手のかけられたおかずにとろろご飯がおいしくて完食。
食後は腹ごなしに外に出てみると、大正館は思いがけず洋風の造り。
庭の狸の蓑ももうすぐ取れるだろう。
こちらは泊まった部屋のある平成館。その前の庭にはなぜか山羊が飼われている。
玄関前から坂を上がって道路に出るとお向かいに「初恋ポスト」と看板の出ているポストがあったが、何の変哲もない丸型ポストなのは残念。
すぐ脇は小諸城址の懐古園だが、目の前は普通の田んぼや民家の並ぶ里山の風景。
何かが突出しているわけではないが、すべてが上品で穏やかな中棚荘は素敵な宿だった。
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3月25日
ホテルプラトンは朝食付き。
1階の食堂に行くとカウンターに弁当箱が並んでいて、ご飯や味噌汁、飲み物はすべてセルフ式。
おかずはお総菜屋さんの手作りと言った感じだけれど、品数も豊富で悪くない。これで一泊7000円ちょっとなのだからお安く湯めぐりもできてなかなか良かった。ただし禁煙部屋が喫煙部屋より500円高いのは納得できない。
今日は朝からどんよりと曇って残念なお天気だけれど、朝食を済ませたら行動開始。
上山田温泉から万葉橋を渡ると左手に昨日渡った大正橋が見える。
振り返った山の上には戸倉上山田温泉の大きな看板。これ、夜には赤く光っていささか怪しかったが、その隣に見えるお寺は善光寺の別院だ。
川を渡った先は新戸倉温泉。
こちらでまず訪れたのは「戸倉観世温泉」。
自販機で買う入浴料は300円、小さな石鹸は70円。
中は地元の皆さんでいっぱいだったので写真はネットから拝借したが、広くて明るい浴室の3面にカランが並び、中央に大きな浴槽がある。アルカリ性単純泉というお湯は緑がかって41,2℃だろうか。硫黄の香りは弱いがツルツル。隅には木の枠の小さい浴槽があって、こちらはちょっとぬるめの40℃ほど。
大きな浴槽の一部は浅くなっているのでここに寝そべると実に具合がいい。
地元の皆さんは体を洗うのに熱心であまりお湯に浸からないので、ゆっくりお湯を堪能させていただいた。
湯上りは若いお姉さんがとても丁寧にお掃除している休憩所で吹き出る汗を抑えさせていただいて、戸倉地区を歩いて行く。
こちら側は普通の民家がたくさん並んでいて、川向うにあれだけスナックがあるのは地元の人も通うからか、とちょっと納得する。
しなの鉄道の線路脇をずっと歩いて戸倉駅の裏側に出ると
その先は坂になっているのを上がって行く。
観世温泉から20分ほどでやって来たのは戸倉宿キティパーク。
キティと言っても例の猫とは関係なく、遊具などある所を見るとkiddyのつもりだったのかもしれない。この日も英語幼稚園の遠足が来ていた。
急斜面を少し上った先にはウサギなどのいる動物園もあるが、ここに来たのは昨日取材を受けたテレビ局の人からここならセツブンソウがまだ咲いているかもしれない、と聞いたから。
セツブンソウとは初耳だが、周りを見回してもそれらしいものは見えない。そこで動物の世話をしていたスタッフに聞くと、少し下の駐車場脇に案内板があると教えられた。
行ってみるとなるほど地図があって、ここからまた20分ほど歩かなければならないらしい。
車は入ってこられない道はぬかるんでいて、さっきは「熊注意」の看板があったが他に人もいないのでちょっとドキドキ。しばらく上がって行くと祠の脇に大きな松の木があって、これが樹齢400年の天狗の松。
ここからまた上がって、やっとセツブンソウの群生地に到着。
小さな花なので最初はわからなかったが、よく見ると一面かわいい花が満開。
白い花びらの中央のシベが紫でとてもきれいだが、白いのは実はがくで、シベの周りの黄色いのが花びらなのだとか。
絶滅危惧II類に指定されている希少な花らしく、アンズにもカタクリにも振られたけれど、これを見られたのはラッキー。
と、セツブンソウを見ながら途中で買ってきたパンを食べていると、雨が降り始めてしまった。
そこで山を降り、駅を過ぎてまた戸倉の住宅地に入り、今度は渋い外観の「国民温泉」へ。
看板の下をくぐると突き当りでいきなり男女の入り口が分かれていて、玄関を入ると中央に番台がある。
340円を支払って中に入れば先客は2名(なので浴室の写真はネットから)。
広い浴室の真ん中の浴槽は楕円形で豆タイルがきれい。壁にも20年代風の車と女性のタイル画があって、外観とは裏腹におしゃれな雰囲気。
こちらもアルカリ性単純泉のお湯は無色透明で40℃ほどの適温。湯口にコップがあるので飲んでみるとわずかに硫黄の卵味もするが、ちょっと塩気も感じておいしい。
ゆっくり浸かっていると炭酸の泡付きもあって、なんて気持ちのいいお湯だろう。
新戸倉側にはもう2軒外湯があって、そのうちの「万葉超音波温泉」はこの日はお休みだったので翌日に行ってみた。
万葉橋を渡るとすぐ見えてくるインパクトある看板。なぜか敷地内には宇都宮線や中央本線を走っていたJR車両が置いてある。
440円を支払って中に入ると、先の2軒より大きな脱衣場に浴室は多くのお客さんでいっぱい。
中央の浴槽のお湯は42℃ほど、真ん中はぶくぶくジャグジーになっていて、どうもこれが超音波温泉を名乗るゆえんらしい。
その手前は浅くて40℃ほど、奥にもう一つ小さな浴槽があるが、こちらは45℃以上もありそうな熱いお湯で、さすがに誰も入っていない。
こちらのお湯は単純硫黄泉だそうだが、内湯は無色透明、硫黄の香りも強くない。
ところが露天があるので行ってみると、半分ほど屋根のかかったこちらは白く濁って少し緑色がかり、少し焦げたような硫黄の匂いがはっきりわかる。すべてかけ流しなのにお湯の状態がちがう、だから温泉は面白い。
新戸倉の外湯はどこも明るくて清潔、お湯はかけ流しでしかも安い。
お勧めしてくれた方に感謝。
温泉を満喫した二晩目は目を付けていたジンギスカンのお店に行ってみた。スナック街の中にある店だけれど、月曜の晩なのに5卓ほどの店内はすでに満席。
そこでGoogle Mapで見つけたイタリアンの店までまた暗い中をトボトボ。
「Da Qui」というお店、最初入った側はテーブルが並んでいたがそちらはコースのみ、アラカルトでいいというと奥のバーカウンターに案内された。
壁の黒板から選んで
これでハーフサイズのグリーンサラダと、豚と玉ねぎの煮込みをいただく。
なかなか本格的なイタリアン、温泉でこういう食事も悪くない。
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