Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「クロワッサンで朝食を」@シネスイッチ銀座

2013-07-27 23:30:15 | 機内食・映画・美術展
ここしばらく飛行機に乗っていないもので映画とはご無沙汰。

久しぶりに映画館に足を運ぶ気になるものを見つけたのでチェックすると、幸運にも出かけようと思った日が映画館のレディースデイで半額。
ならば2本立てで見てしまおう。

駅に降り立つと開演時間の40分前。
これは早く来すぎた、と思いながら映画館の方へ角を曲がるとなんと、ほとんど60代以上とおぼしきマダム達が長蛇の列を作っている。
銀座の小さな映画館、シネスイッチ。ここでこんな行列を見たのは初めてだ。

行列の元となっている映画は自分としてはついでの方。でもこちらを先に見た方が時間のつなぎがいいので、「すぐの回は立ち見です」というけど仕方がない。炎天下を20分も並んでチケットをゲット。

そして見た映画はこちら。
 「クロワッサンで朝食を」 Une Estonienne a Paris

マダム達に人気の理由はお懐かしや、ジャンヌ・モローが出ているからだと思う。
その上このタイトル、ちょっとおしゃれで気楽な内容を期待してしまう。

ところが開巻早々、景色は寒そうな冬のエストニア。
飲んだくれの元亭主に付きまとわれる、いかにも幸薄そうな中年女が認知症の母親を看取るところから始まる。
その彼女が紹介されてジャンヌ・モローの家政婦として働くためにパリに来るのだ。

モロー演じるばあさんも元はエストニアの出身。女優志願であった美人がおそらくは金持ちの亭主を見つけ、さんざん色っぽい過去があったであろうことがほのめかされる。
そんな元美女もすでに近所のカフェへ行くことさえ億劫なほどに年老いているが、しかし毎日きっちりとメイクをしてブランド物の服を身に着け、ジャラジャラと大きなアクセサリーをつける。こういうところがいかにもヨーロッパっぽい。

ジャンヌ・モローもすでに85歳だそうだが、自前の物だと言うシャネルの服がさすがに良く似合い、昔からさんざん好き放題をしてきて今さら変われない、身勝手だからこそかわいい女なんて朝飯前。むしろひねりのなさすぎる役で物足りなかったのではないだろうか。

身勝手な女はいくら年をとっても枯れたりしないし、そんな女に振り回される男は女を愛していても「死ぬのを待っている」なんてドキッとするほどリアル。
決して明るい映画ではないが、地味なエストニア人の中年女がパリで暮らすうちにいつのまにかちょっとおしゃれになっていくところなど、やっぱりパリと思わせる。

それにしてもパリに暮らすエストニア人というのはどういう存在なのだろうか。
そのニュアンスがわかればこの映画ももっとよく理解できるような気がする。

立ち見で映画を見たなんて一体何十年ぶりだろう。
短い映画でよかった!


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コメント
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