今回のマレー半島行きには久しぶりにJALの国際線を利用。
LCCも検討したものの、思ったほどの価格差はなかったのでJLにしたのだが、運賃よりも燃油サーチャージの方が高いってどうよ。
行きの羽田発バンコク行きは787-9がほぼ満席。
中央列の4人掛けも埋まっていたが、自分の隣に座った女の子、飛び立つ前から着陸寸前までずっと眠りっぱなしなのには感心してしまった。
その女の子がスキップしたお昼ごはん。
ハンバーグと御飯がかなりわびしいが、JLの機内食は野菜が多いのがいい。上段の右端はプリンかと思ったらとうもろこしのパンナコッタという不思議なメニュー。デザートはこの後でハーゲンダッツが配られた。
これをいただきながら機内で眠れない自分は早速映画。
まずはインド映画。
Saandi ki Aankh
この原題はヒンディー語でBull's Eye、つまり射撃の的の命中点のこと。
これはインドの農村出身の義理の姉妹が60歳を過ぎてからピストル射撃の競技会に出て好成績をあげまくったという、実話を元にしたお話なのだ。
いいインド映画は社会問題を巧みに織り込んでいるがこの映画も例外ではなく、同じ家に嫁いだ二人が家の外には出してもらえず、家事をして子供を産む道具のように扱われてきた様を軽快な歌で表現してしまう。
古い慣習を一切変えようとしない村に射撃練習場ができるのは子供たちに軍での仕事の機会を与えるためだったのだが、男の子たちは根性なしですぐにやめてしまい、孫娘たちに自分たちとは違う自立した生活をさせたいと願うばあちゃんたちが内緒でやって来るのが話の発端。
うまく撃てない孫娘たちに「こうするのよ」とばあちゃんがやって見せると大当たりというところ、経験もないのになぜ、と思うが実話なのだから仕方ない。
ラスト近く、頑迷で横暴な一家の長男をそれまでずっと黙っていた嫁が大反撃するところも気持ちいいし、孫娘世代の未来が明るいと思わせるラストもいい。
60過ぎの設定の姉妹を明らかに若い女優さんたちに老けメイクで演じさせているのがいささか残念だけれど、楽しくていい映画だった。
続いてはイギリス映画。
Boiling Point 「ボイリング・ポイント 沸騰」
あるレストランの超多忙な一夜を描いた映画だが、これを90分、完全なワンショットで撮っているというのが驚異的。
大昔、ヒッチコックが実験的にカットなしで撮った「ロープ」という映画があったが、その頃はフィルムのリール交換が必要なので実際には10分ごとにカットが入った。ところが今はデジタルなので90分間まったくのつなぎなし。しかもカメラはレストランの客席から厨房、バックヤードまで役者たちの後を追って動き回り、その間ずっと中心になる人物を変えながら芝居が続く。
この設定を知った時にはテクニック主体の映画なのだろうと思ったのだが、実際に見てみると次々に問題が起こりながら営業を続けるレストランの大変さがとてもリアルで、それを表現するためのテクニックだと納得する。
それにしてもこんな映画を作ってしまうクルーに俳優たち、プロってすごい。
この2本を見てしばらくしたらパンが配られて、バンコクまでの7時間は長くない。
帰路はシンガポールから早朝8時の出発。
こちらの767-300は5割ほどの搭乗率。おかげで隣に人のいないバルクヘッドに移動して広々と使わせてもらえた。
出発してしばらくしたら早めの昼食。
今回もメインのチキンがしょぼいが、副菜のスモークダックはおいしい。
食べ始めたとたんにデザートのアイスクリームが配られたのには驚いたが、これはカチカチに凍っていたのでこのタイミングが正解。シンガポールのチョコレートアイスは濃厚。
と、この食事のトレーが下げられた途端におやつのケーキが配られたのにはまた驚いた。こんなことは初めてだし、飲み物のサービスも食事の配膳と一緒だったし、JLは省エネ仕様か。このケーキ自体はほうじ茶シフォンでおいしかったけど。
帰路はもうあまり見たい映画もなく、韓国映画を選んでみた。
King Maker 「キングメーカー 大統領を作った男」
映画の初めに「これは実話を元にしたフィクションです」と出るが、主役二人のモデルは金大中とその選挙参謀だった人。
1960年代の選挙運動がすごくて、反対政党の名前でお金やらシャツやらゴム長靴まで配って、それをまた取り返すなんてエグイことをする。
党内の権力闘争も騙しあいの連続、どこまでが実話、どこからがフィクションなのやら。
が、なにしろよその国のことなのでいまいちピンと来ず、金大中だけがやけに清廉潔白な政治家のように描かれているのも本当かな、と思ってしまう。
こういう映画は背景がちゃんとわかっていないとダメ、と選択を後悔。
後は本を読んでいるうちに成田に到着。
飛行機、もっと乗りたい!
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