めくりめくる 5巻 (ガムコミックスプラス) | |
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ワニブックス |
・拓
本書は、倉敷に暮らす女子高生たちの何気ない日常を描いたシリーズの5巻目だ。作品に登場する少女たちは、まったく普通の女の子である。描かれているのは、友達同士の微笑ましいやりとり。気になる男の子のことなど。特に盛り上がりといったようなものはないが、読んでいて心が少し暖かくなってくる。
面白かったのは、奈津、愛華、由美の仲良し3人組の話。奈津から愛華に昼をいっしょに食べようと電話がかかってくる。そして連れていかれたのは、瀬戸大橋を渡ったうどん県こと香川県坂出。瀬戸大橋ができて、岡山県と香川県はとても近くなった。ただし女子高生のおこずかいでは、JRの運賃は財布に響くかもしれない。愛華も今月は服を買う予定だったのにとぼやいていたのだが、それでもとっても楽しそうだ。
1巻から読んでいると、以前の話の続きになっているものが多いので、あの話の後はこうなるのかと思いながら読むと一層楽しめる。前の話を忘れてしまっても、遡ってどんな話だったか確認するという楽しみもある。私も何度も読み返しているが、その度にほっこりとした気持になってくるのだ。
その一番の理由は、この作品には悪い人間がまったく出てこないというところだろう。いじめがテーマだったり、不良が幅をきかせているような作品は履いて捨てるほどある。でもそんな作品はもう読みたくない。本当に読みたいのは、この作品のように心を軽くしてくれるようなものである。
☆☆☆☆☆
※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。