文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

ミスコン中止、論点はそこか!

2016-10-06 12:18:39 | オピニオン
 テレビをつけていると、たまたま未成年飲酒事件で慶応のミスコンが中止に追い込まれたことについて芸能人たちがわいわいやっていた。

 私自身はアルコールはまったくやらないし、この世に酒というものがなくとも全く困らない。あれは、基本的に隣の人に害をおよぼさない(酔っ払いが絡んでくるのは別にして)ので、タバコよりはほんの少しましなものくらいの認識でしかない。

 私が大学生になったころといえばもうウン十年も前だが、そのころの社会は大学生の飲酒には寛容だったと思う。コンパでは普通にビールが出ていたし、スナックに入り浸っていたような知人もけっこういた。「もう大学生になったんだから、そんなこと自己責任でしょ!」という訳だ。それでどうこう言うものもまずいなかった。ところが最近の風潮は違う。大学生自体が幼稚化したためか、社会全体がおせっかいになったためか、つまらないことが大問題になる。

 初めに言った通り、私自身はアルコールは大嫌い(臭いを嗅ぐのも嫌だ)だが、それが他人に迷惑をかけない限りどうこう言うつもりはない。問題なのは、飲酒が他人に迷惑をかけるような行為につながったり、飲めない人間に飲酒を強要したりするようなことだ。そのような行為は、成年、未成年に関わらず厳しく取り締まるべきだろう。逆に今の法律や社会の風潮は甘すぎるように思う。

 しかし、そうでない限りは、細かなことをいちいちあげつらうような社会というのはどうだろうか。私はそんな社会の方がよほど嫌だ。選挙権は18歳からに繰り下げられた。18歳といえば自分自身に十分責任が取れる年ごろである。それにこのようなつまらない規制を課す必要はないと思う。ただし他人に迷惑をかけることは厳禁で、そちらの方は厳罰化すべきだろう。
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なぜ新聞はサイエンスについてもっと書かないのか

2016-10-06 10:57:28 | オピニオン
 こちらでは、やれカープの優勝だの、サンフレッチェのホームグラウンドをどこにするかだの、私のようにまったくそんなことに興味がないものにとっては、うっとうしくて仕方がない。これに反して、ノーベルウィークだというのに、新聞を読んでも、科学技術関係の記事は寂しい限りである。

 新聞には、スポーツ欄というものが毎日ついてくる。今日の中国新聞では3ページもあった。全く読まないにも関わらず、この部分も含めて購読料が取られる。全く不合理なことだ。スポーツ欄を不要とする代わりに、購読料を安くする制度をつくってもらいたいものである。スポーツのことなど、一般紙で扱わずにスポーツ新聞にでも任せておけばよいのだ。

 これに対して、昨日発表があったノーベル科学書については、社会欄にほんの少し申し訳程度に触れられているだけだ。野球などと比べて、いったいどちらが世の中に与えるインパクトが大きいと思っているのだろう。物理学賞の時もそうだったが、あまりにもサイエンスに対する扱いが小さすぎる。

 少なくともノーベル賞を受賞するようなものは、見開き2ページくらいは割いて、詳細な解説を掲載すべきだろう。それができないのは、マスコミ関係には理系の学問に精通した人間があまりにも少なく、その価値が分かっていないからではないのか。
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書評:最強エンジニアの仕事術

2016-10-06 08:31:26 | 書評:学術教養(科学・工学)
最強エンジニアの仕事術
クリエーター情報なし
実務教育出版

・中村修二、佐川眞人

 本書は、それぞれ「青色ダイオード」と「ネオジム磁石」の発明者として知られる中村修二さんと佐川眞人さんの対談集だ。

 ノーベル賞の受賞対象にもなった「青色ダイオード」についてはよく知られていると思う。光の3原色は赤(R)、緑(G)、B(青)である。赤と緑の発光は既にできていたが、青色の発光ダイオードはなかなかできなかった。「青色ダイオード」の発明により、光の3原色が揃い、省エネ、長寿命というダイオードの特性とも相まって照明の世界に革命がもたらされたのである。

 一方ネオジム磁石は、最も磁力の強い永久磁石であり、強力なモーターを作る際などには欠かせないものだ。人類への貢献度でいえば、「青色ダイオード」と比較しても決して遜色のない発明である。こちらは「日本国際賞」の受賞対象となった。

 本書から学べる最も重要なことは、人の後を追いかけてはいけないということだろう。中村さんは窒化ガリウム(GaN)を使って青色ダイオードを開発したが、当事有力と見られていたのはセレン化亜鉛(ZnSe)だ。これは、窒化ガリウムはセレン化亜鉛に比べて結晶欠陥が桁違いに多いからである。

 しかし、なぜ中村さんが窒化ガリウムを選んだのかは、本書を読む限りはよく分からなかった。調べてみると、どうも他と同じことをやっていては、しょせんは大手にはかなわないということで、最初から勝算があったわけではないようだ。

 ネオジム磁石の方は、佐川さんの素朴な疑問からきているようだ。磁性は鉄、コバルト、ニッケルの順に強い。ところが、当時最強の磁石と言われていたものは、サマリウム・コバルト磁石だった。なぜ鉄を使わないのか。

 この疑問は、1978年に開催された「希土類磁石の基礎から応用まで」という講演会で、東北大学の浜野正昭さんの講演を聴いたことにより、ネオジム磁石を生むためのアイディアに結びつく。その時の説明は鉄では原子間距離が小さ過ぎるので、強磁性体の安定性が損なわれるということだった。それなら、ホウ素(B)などを入れて、鉄と鉄の間の原子間距離を広げればいいのではないか。

 よく知られる投資の格言に「人の行く裏に道あり花の山」というものがある。大きな成功を収めようとするのなら、人とは違った道を歩かなければならない。お二人の事例は、このことを実感させてくれる。

 ところで、日本がこれから取り組まねばならないのはベンチャー企業を育てるための制度づくりだろう。本書によれば、アメリカではよいアイディアさえあれば、リスクを冒さずにベンチャーを立ち上げる仕組みがあるということだ。だから例え失敗しても、次へのチャレンジが可能なのである。

 これが日本では、つまらない書類を沢山書かされたうえ、銀行に家や土地を抵当に入れさせられて、失敗すれば即破滅。あまりにもリスクが大きすぎて、ベンチャーなど簡単に立ち上げられる訳はない。日米のどちらが、新しい産業を育成するうえで有利かは言うまでもないだろう。

 このほか、中村さんと日亜との裁判や、ノーベル賞での中村さんの貢献に対する報道に対するマスコミのいいかげんさなども分かり、本書は興味深い内容に満ちている。科学・技術の道を志す人は、一読しておけば得られるものは多いのではないかと思う。

 最後に、こういったことを勉強したいのなら、理学部物理学科だけでなく工学部の電子工学科という進路もあることを参考までに付け加えておこう。これらの材料関係のことは電子工学の中の「物性」という分野で扱うことなのだ。とくに「ものづくり」に興味があるのなら、電子工学の道の方が良いと思う。もっとも大学によってはそういった研究室がない場合もあるので、進路を決める際には事前によく調べておかなければならないことは言もちろんである。

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※本記事は、「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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