![]() | 広島大学は世界トップ100に入れるのか (PHP新書) |
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・山下柚実
よく世界大学ランキングなるものが話題になる。これは、イギリスのタイムズ・ハイアー・エデュケーション(Times Higher Education:THE)という雑誌が毎年秋に発表しているもので、本書に収められている2015のデータによると、東大43位、京大が88位だそうだ。これが、2016-2017のデータでは、東大39位、京大91位になっている。
もっともこのランキングに問題がないわけではないようだ。本書によれば、「評判」という要素がランキングに大きく影響するため、普段から付き合いのある欧米や英語圏の大学が有利になるというのである。
しかし、我が国における高校や大学の偏差値と同じで、くだらないと思っても、なかなか無視できない存在になっているようだ。安倍政権は、2013年に打ち出した「日本再興戦略」において、今後10年間で、我が国の大学を世界大学トップ100以内に10校以上入れるという目標を掲げた。
国は、その可能性のある13大学について「トップ型」大学としているが、旧帝大や首都圏の大学を除けば、地方大学として広島大学が唯一その中に入っている。
昔私が通っていた田舎高校では、ちょっと勉強のできる子は広島大学を目指していた。考えてみれば、中四国地方には旧帝大がないので、その分広島大学に期待が集まったのではないかと思う。
ただ、昔広島市内にあった頃と比べれば、東広島市に移転した今の広島大学はなんとも不便だ。しかし、本書によれば色々と魅力的な研究も行われているようである。もし進路に迷っている受験生がいれば、一読しておいても損はないだろう。でも、私がもう一度受験生に戻ったら、やっぱり自分の出身大を受けるだろうなあ・・・。
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※初出は「風竜胆の書評」です。