GOSICK BLUE | |
クリエーター情報なし | |
KADOKAWA/角川書店 |
・桜庭一樹
桜庭一樹のGOSIK新シリーズの2巻目となる本書。ヴィクトリカと久城一弥が移民として新大陸に上陸早々、彼女たちが巻き込まれた事件を描いたものだ。
人気コミック「ワンダーガール」の作画を担当しているボンヴィアンと出合った二人は、彼の祖母で大富豪のラーカディアが、自分が所有する世界一の高層タワー「アポカリプス」の最上階で開いたパーティに出席することになる。
ところが、何者かによってパーティ会場に爆弾が仕掛けられ、パーティ客は最上階に閉じ込められた状態になってしまう。事件が発生した際に、たまたま地下の駐車場にいた久城は、ボンヴィアンの相棒のくーどグラース、謎の紳士トロル、女性消防士メアリと共に、最上階に残されたヴィクトリカを救いに向かうのだが。
ツンデレキャラが可愛いヴィクトリカだが、この作品でも、そのキャラを爆発させている。何しろ新大陸に上陸して早々の「絶対に働かない」宣言。一方久城に対しては、「馬車馬のように働け」との仰せ。でも、心の底では久城と深く心を通わせていることが、彼女の言動の節々から読み取れるだろう(たぶん)。
ところでヴィクトリカたちが新大陸に渡った理由がこの巻では少し触れられている。それは久城パパのトンでもぶり。久城のために、海を渡ってきた超絶美人の貴族のお嬢様。普通なら暖かく迎えて、一弥の嫁にとでもなりそうなものだが、流石にあれはないよな。
最後に大きな秘密がヴィクトリカによって解き明かされたとき、色々なところに伏線が張り巡らされていたことが分かる。作品中には、ボンヴィアンたちの描く「ワンダーガール」の物語が挿入されているが、これも作品中で大きな役割を果たしているのだ。
最後に一つ疑問があるが、35歳の女って、いくら童顔だとしても15歳の少女として通用するのだろうか?20歳のサバ読み、やったことのある人はいるかな?
☆☆☆☆☆
※初出は「風竜胆の書評」です。