暗黒女子 (双葉文庫) | |
クリエーター情報なし | |
双葉社 |
・秋吉理香子
映画化もされた本書。主演女優が宗教生活に入ることを発表したということでも話題となったことは記憶に新しい。
ストーリーは新会長・澄川小百合が主催する、聖母女子高等学院文学サークルの定例会の場面から始まる。この会はなぜか闇鍋形式で行われ、サークルのメンバーはそれぞれ作成してきた小説を読み上げるというものだ。
いつもは自由にテーマを選んでもいいのだが、今回はテーマが決められている。それは「前会長白石いつみの死」。彼女は、女学院の経営者の娘であり、美しく聡明な大金持ちのご令嬢。学院の女王様的存在で、全校生徒のあこがれの的でもあったが、先般謎の死を遂げていたのだ。いったい誰がいつみの死に関わっていたのか。
ところがメンバーの朗読する小説は、それぞれサークルメンバーの誰かを犯人として告発するような内容だったが、すべて違う人間を名指ししており、互いに矛盾するようなものだった。しかし、明らかになるのは、美しき女の園と思われたものの実情が、いかにどろどろとした暗黒で満ちていたかということだろう。
そして、最後に小百合よって意外な真実が明らかにされる。いつみが死んだ際ににぎりしめていたという「すずらん」、そして闇鍋。こういったものが伏線となっていて、最後の一気に回収されるのだ。
しかし、種が明かされたとき、世の中の男子諸君は、きっとこのように思うに違いない。
「女って、怖い!!」
この作品は、女子とは「可愛らしい」ものだなどという男子の幻想を徹底的に打ち砕いてくれるだろう。端的に言えば、「イヤミス」の決定版ともいえるような作品かもしれない。でも、こんな話、男が書くと非難が殺到するかも。作者が女性だから書けたような気もしないことはないのだが・・・。
☆☆☆☆
初出は「風竜胆の書評」です。