これも半七捕物帳の中の話。半七親分は、知り合いのお亀から相談を娘のことで相談を受けた。お亀の娘はお蝶といい、今年17歳になる美しい娘だった。お亀はこのお蝶といっしょに永代橋の際で茶店をやっていた。
このお蝶に起こった不思議な出来事。いきなり攫われて、どこかに連れていかれた。しかし10日経つと真っ青な顔をして帰ってきたという。聞けば、どこかのお屋敷で、風呂に入れられるわ、綺麗な着物を着せられるわで、ひどいことはされなかったそうだがなんとも不気味な思いをしたそうだ。そしてまたお蝶が行方不明になり、10日後にはもどってきた。しかし、3度目に行方が分からなくなったとき、お蝶は戻ってこなかった。
このように最初は、ちょっと怖い感じで進んでいく話。これがスリラーなんかだったら、狐に化かされる話かもしれないが、種明かしされればなるほどという気もする。それにしてもお蝶さん優しいなあ。でも最後は、怖いことはなにもなかった。それどころかお蝶さん、結局は良かったのかな?
母親の名前がお亀で、娘がお蝶。この名前を見ただけで鳶が鷹を生んだような感じを受ける。うまいネーミングだと思う。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。