本書は伊豆大島の海に生息する小さな生き物の写真を集めたものだ。著者の星野さんは、伊豆大島に住み、年間500本以上の潜水監察を行っているとのことだ。小さな生き物と言ったが、どのくらい小さいかというと、例えば海の中には、わずか1cm四方の空間に、コケムシやゴカイの世界が広がるし、7cm四方の砂場の中にも、クーマやイソヤムシなど多種多様の生き物が見つかる(もちろん目に見えない細菌の類は除いて)。
掲載されている写真はどれも美しい。おそらく実物を見れば鳥肌が立つくらい気色が悪いものもあるのではないかと思うが、写真にするとものすごくきれいになるのは驚きだ。副題に「誰も知らない共生・寄生の不思議」とあるように、寄生しているような生き物も載っている。
私は昔釣りに嵌っているころ、住んでいたところの近くで10cmくらいのサヨリが釣れた。その中にはエラに寄生虫を持っているものが結構な割合でいた。これはサヨリヤドリムシという寄生虫のようだ。この寄生虫は一応白いダンゴムシのような形をしており、ウネウネもしていないので気色悪さは大分無くなると思う。私は平気だったが、苦手な人は苦手だと思う。
しかし、この本にあるようなホシノノワキザシやイノヅナアミヤドリなんかが寄生しているのを見つけたら、気色悪くて捨ててしまうと思う。
ゴカイなんかも、私などは釣りの餌としか認識していなかったが、こんなにきれいな種類もいるのかと認識を新たにした。
海の中というと、ついつい魚類に注意が行きがちだが、こういった生物も生息しているのだと思うと、「母なる海」という言葉が実感を持ってくる。
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